外務省が2019年版の外交青書で2018年版にあった「北方領土は日本に帰属する」との表現をなくした。外交上の配慮だという(朝日新聞2019-4-23)。最初聞いたときには、外交交渉の雰囲気を損なわないための好ましい配慮だと思ったのだが、「「固有の領土」教えよではないのか」という新聞投書(朝日新聞2019-4-28)を読んで考えを改めた。
たとえば韓国の裁判所が日韓合意を反故にする判決を出したとき、 . . . 本文を読む
原発事故の被災地など8県の水産物の輸入を韓国が禁止していることについて、WTOの上級委員会で逆転敗訴となった件。安倍政権は「敗訴ではない」と言い張っているが、政府の説明はどうも的外れだったらしい(朝日新聞2019-4-23)。
政府は「日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするとの一審の事実認定は維持されている」と説明している。だがそもそも一審の報告書に「日本産食品は科学的に安 . . . 本文を読む
安倍首相と麻生副総理の地元に関連する道路計画を国の事業に引き上げたことについて「私が忖度した」と公言した塚田副大臣が辞任した(過去ブログ)。だが議員は有権者のためにはたらくもの。地元の有権者の要望を実現しようと努力することもその仕事の一部ではないか。なぜ「利益誘導」が批判されるのか。
もちろん答えは明らかだ。首相や副総理のように大きな権限をもつ立場になれば、その権限の行使にあたっては、地元の利益に . . . 本文を読む
景気が悪ければ金融緩和し、景気が良ければ引き締めて調整する。教科書にも書いてある基本だ。だが日本ではアベノミクスのもと「異次元」と称する異常な金融緩和が続けられてきた。今年、景気拡大が戦後最長の6年超になった可能性があると発表されたが、アベノミクスで好景気と宣伝する一方で金融の引き締めは一度も行われなかった。「景気がいいときも景気が悪いときも緩和」というのは「永久緩和」であり、「思考停止」だと、「 . . . 本文を読む
一地方選挙の結果分析が気になった。身近な行政サービスの削減が現職敗退につながったというのだ。自公政権がどんなに悪法を成立させようと、将来世代につけを回す放漫財政を続けようと構わないが、日々の生活に関わる行政サービスの削減は許さない――有権者がそういう考えだとしたら、日本にもう先はない。
記事が扱うのは2018年12月の神奈川県逗子市長選。4選を目指した平井竜一氏が新顔に敗れた。突然財政危機に見舞わ . . . 本文を読む
東電の原発事故の被災地など8県の水産物の輸入を韓国が禁止していることについて、WTOの上級委員会が韓国の主張を認めた。一審に当たる紛争処理小委員会では「恣意的または不当な差別」を禁じるWTO協定違反との日本の主張が認められていたのだが、その判断が覆され、日本の逆転敗訴となった。
WTOの上級委というのはどういう組織なのだろうと思って検索してみたら、定数7人なのだが4人が欠員の状態だという(読売新聞 . . . 本文を読む
安倍政権が約束した「普天間飛行場の5年以内の運用停止」の期限が過ぎたが、一向に実現する様子はない。菅義偉官房長官は沖縄県の反対で普天間飛行場の辺野古移転が進まなかったことを原因に挙げているが(過去ブログ)、そもそもアメリカ側の事情でグアム移転が進んでいないことが報じられた(朝日新聞2019-4-16)。
移転先のテニアン島の実弾射撃訓練場の予定地は「聖地」であるとして住民の反対運動がある(同一面) . . . 本文を読む
子供にまつわる痛ましい事件もあり、「知らない人と話しちゃだめ」と教えることも多いだろう。だが他人と口をきいてはいけないというのはあまりに寂しくないか。そんな矛盾に長年悩んでいたが、「面識がない人と口をきかない子より、堂々と話す子の方が被害を防げる」という犯罪学が専門の小宮信夫教授の言葉(朝日新聞2019-4-13)で目からうろこが落ちた。
子供の連れ去りというのは力づくというよりも、やさしく話しか . . . 本文を読む
コンビニエンスストアが新規出店のペースを落とすとの報道が相次いでいる。コンビニなどが特定地域に大量出店するのは「ドミナント戦略」(高密度多店舗出店)と呼ばれているもので、地域での知名度向上や物流の効率化のほか、「来店頻度の増加」、「加盟店への経営アドバイス時間の確保」、「広告効率の向上」などの効果があるという(セブンイレブン)。
だが「近くに同じチェーンのコンビニができて売り上げが減った」という苦 . . . 本文を読む
仕事とは関係なくプライベートで行なった活動が政府の方針に合わないからと勤め先の会社が「国の事業を発注しない」と脅され、取締役辞任に追い込まれる――そんなサスペンス映画のようなことが日本で行なわれていた。東京高裁は「民間企業への威嚇」であるとして、一審の判決を変更して国に約530万円の損害賠償を命じた(朝日新聞2019-4-11)。
訴えていたのは建設コンサルタント会社の元社長の男性。仕事とは関係な . . . 本文を読む
懸案の幼保無償化に向けた子ども・子育て支援法改正案が衆院を通過したという(朝日新聞2019-4-10)。だがこのところ塚田・前副大臣の「忖度した」という発言に話題が集まってしまい、ろくに議論されなかったような印象がある。衆院通過を報じる朝日記事も4面でごく小さな扱いだ。
記事は「保育の質の確保など課題は残されたまま」と書いており、たしかに無償化対象を無認可園にも広げれば質の低い園を公認することにな . . . 本文を読む
1948年に韓国・済州島で起こった島民蜂起を機に多数の島民が虐殺された「四・三事件」(ウィキペディア)というものがある。21世紀になって大統領が謝罪したりはしていたようだが、このほど軍と警察が初めて公式に謝罪した(朝日新聞2019-4-4)。事件当時は軍や警察では共産主義から国を守るための正当な行為だったとの主張が根強く、その後の長年にわたり事件を語ることがタブー視されていたため、詳細はいまだ不明 . . . 本文を読む
芸能人が不祥事を起こして、関連する作品が公表中止になったり回収されたりするケースが相次いでいるが、他方、そうした風潮に対する疑問の声も上がっているという(たとえば福井健策「不祥事×作品封印論 ~犯罪・スキャンダルと公開中止を考える」)。
そんななか劇作家の鴻上尚史氏がツイッターで述べたという言葉が問題点をうまく表していると思った。
「出演者の不祥事によって、過去作品が封印されるなんて風習は誰の得 . . . 本文を読む
安倍首相と麻生副総理に関連する道路計画について、自民党の吉田博美参院幹事長が「首相と副総理の地元事業なんだよ」と言い、塚田一郎国土交通副大臣が「国直轄の調査に引き上げた」ことを、塚田氏が「私が忖度した」と自慢げに紹介した(朝日新聞2019-4-4)。本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)に関し、2019年度から事業調査の費用を全額国の負担としたことにまつわるやりとりだ。その後「事実と . . . 本文を読む
「保育園落ちた 日本死ね!!!」というブログが話題になったのは2016年のこと。過激な文面を敬遠する声をよそに、保育園を利用したいのに利用できない人々の間で大反響を呼んだ。当初は匿名だから確認できないなどと相手にしなかった安倍首相も、世論の批判に応えて対策を講じざるを得なくなった。だがその後、選挙の都合で「幼保無償化」を言い出してまた待機児童問題を後回しにしようとしている。
3年前に「保育園落ちた . . . 本文を読む