リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

オリンピックのためのワクチン量産設備への先行投資は無駄にならないか?

2020-06-07 | 一般
新型コロナウイルスのワクチンについて、開発と並行して生産態勢を整備するという小さな記事(朝日新聞2020-6-6)が気になった。加藤厚労相は来年前半に接種を始められる態勢を整えるという。ワクチンの開発は世界中で進められているが(過去ブログ)、開発に成功するのと実際に生産して国民にいきわたるのとは別問題だ。開発成功後に製造設備を整えていたら時間がかかるので、開発と並行して生産態勢を整備する。
だが成功するかどうかわからないワクチンの生産設備を用意するのは民間企業にはリスクが高く、開発が成功するかどうかわからない段階で量産態勢を用意するのは異例のことだ。そこで政府が支援することにし、第二次補正予算案に1377億円を盛り込んだという(朝日新聞2020-6-5夕刊)。

もちろんワクチンの供給は世界中が待ち望んでおり、一刻も早いに越したことはない。だが開発が成功するかどうかわからないワクチンに1377億円を投じるのは妥当なことだろうか。いつか必ず必要になる設備であれば先行投資して供給時期を早めるのは合理的な選択だが、開発できなかったら無駄になる設備だとすると疑問がある。たとえば特定のワクチンではなく、国内外の別のワクチンが先に開発された場合、その量産にも使えるものなのだろうか。
たった1年の延期で「完全な形」でのオリンピック開催を目指す安倍首相のためにばくちともいえる予算を投じるのだとしたら疑問を感じざるをえない。
評価できるようもう少し情報がほしい。

追記:開発が成功するかどうかわからない段階で量産の準備を始めるのはアメリカも同じで、「ワープ・スピード作戦」と名付けているという(朝日新聞2020-6-16)。

追記2:安倍首相はアメリカのモデルナ社が開発するワクチンについて「すごく早ければ、年末くらいに接種できるようになるかもしれない」と述べたという。開発・生産ができてもアメリカ国内向けの供給を優先することが予想されるが、日本でも確保できるようモデルナや英アストラゼネカと交渉中だという。(朝日新聞2020-6-15夕刊)だとすると、日本で大金を投じて準備している生産設備は無駄になるのだろうか。その後、よりよいワクチンを開発できたときに使うから無駄にならない、ということだろうか。それとも海外発のワクチンをライセンス生産するつもりなのだろうか。
国内の量産設備の準備と輸入に向けた交渉を同時に行なうこと自体を否定するつもりはないが、後日経緯を検証できるよう、きちんとした記録が求められる。



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