リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

エレベーターの車椅子ボタンの濫用が待ち時間を長くする

2017-08-27 | 一般
いくつかのエレベーターが並んでいる中で1台だけ車椅子ボタンがついていることがよくある.普通のボタンはどれか一つを押せば3つとも点灯して待ち状態になるが,車椅子ボタンは点灯しない.そんなとき車椅子ボタンも押してしまう人がいるが,そんなことをしてもエレベーターの到着は早くならないばかりか,全体的な待ち時間を長くしてしまう.厳に慎むべきだ.
そんなことを思いながらエレベーターを待っていたとき,たまたまその旨を警告している表示が目についた.「このボタンは車椅子利用者等専用です.押してもエレベーターが到着が早くなることは全くありません.車椅子利用者等以外は押さないでください.」というような内容だった.「押しても早くならない」,「押したら他人の迷惑になる」ということをおそらく多くの人は知らないと思う.もっと普及してもいい,必要な表示だと思った.
実は私は長年,あのボタンがどういう意味なのかわからなかった.押したらサービススタッフが駆けつけてきて介助してくれるのかとも思ったが,とてもそうは思えない.どうやら,そのボタンがあるエレベーターは,室内に車椅子の人でも手が届く位置にボタンがあります,ということのようだ.だから車椅子利用者なら,車椅子ボタンのついたエレベーターを使えば,ボタンに手が届かないという事態を避けることができる.
車椅子利用者のほかに普通の利用者もいて普通のボタンを押していた場合,普通のエレベーターか車椅子用ボタンのあるエレベーターかに関わりなく,先に到着したほうの扉が開く(※1)(だから車椅子用のボタンを押してもエレベーターの到着が早くなることは決してない).だが車椅子ボタンが押されていることで,普通のエレベーターでは用が足りていないと判断されて,車椅子用ボタンのあるエレベーターが到着したらその扉も開く.
このことから,車椅子を必要としない人が普通のボタンと車椅子用のボタンの両方を押した場合の弊害は明らかになる.普通のエレベーターが到着したらボタンを押した人はそれに乗るが,車椅子用のボタンの点灯はそのままで,その後,車椅子用のエレベーターが到着したら,すでに待っている人はいないのにもかかわらず,その階に停止してしまう.このようなことが各階で起こると,車椅子用のエレベーターは普通のエレベーターを追いかけて,各階で誰も乗る人がいないのに停止することを続けてしまう.
エレベーターの車椅子用のボタンは,必要のない人がみだりに押してはいけない.
これはもっと積極的に周知すべきことと思う.私はエレベーターを見比べて車椅子用ボタンの意味がわかってからは上記のことを推察できたが(※2),多くの人は悪気はなく,知らないために車椅子用のボタンを押してしまっているのだと思う.(※3)

※1 今のエレベーターは,単純に最初に到着したエレベーターに乗せるのではなく,全体的な輸送効率を最善にするよう考えるので,場合によっては先に到着したエレベーターは通過させることもあるという.そういうエレベーターでは,通過されて怒る人が出ないよう「今いる階」を表示しないようになっている.
※2 一つしかエレベーターがないのに普通のボタンと車椅子用のボタンの両方がついている場合があるのを疑問に思っていたが,今この記事を書きながらわかった.車椅子利用者のことを考えれば室内に車椅子用のボタンを設けることは必須.だとすると呼び出しボタンも当然,車椅子用のものも必要ということになる.
※3 古いエレベーターでは車椅子云々に関係なく,二つのエレベーターがリンクされていなくて,一方のボタンを押しても他方のボタンが点灯しないことがある.その場合,一方のボタンしか押さなければ,他方が先に到着した場合,通過されてしまうので,両方のボタンを押すことは,押す人の利益だけを考えるなら理にかなっている.だが,やはり他の人の迷惑を考えると,両方押すことは避けるべきだろう.

追記:エレベーターの車椅子ボタンの「濫用」が役に立つこともあるかもしれない.通勤時間帯やお昼時など,一つのかごには乗り切れなほどの人が待っていることがある.そういうとき「車椅子ボタン」を押すと,タイミングによっては2つのかごが相次いで到着してスムーズに乗客をさばくことができる.もちろん,人感センサーがあって待っている人が多い場合には自動的に複数のかごを手配する制御システムを使っているならそんなことは不要だが,そこまではしていないシステムがまだ多いのではないか.

追記2(2018-4):いまさらだが,車椅子用ボタンは単に位置が低くなっているというだけではないことを知った.車椅子用ボタンを使うと扉が開いている時間が長くなるのだそうだ.日本では「閉」ボタンを押す人が多いからあまり影響が出ないこともあるが,全員降りてしまうと誰も乗り降りしないのにずっと扉が開いたままになり,他の階で待っている人の待ち時間が長くなってしまう.エレベーターによっては「車椅子利用時以外のボタン押し禁止 車椅子をご利用の方,もしくはその付添の方以外の使用はお控えください」という表示があるらしい(このブログに写真あり).




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