再読のための覚え書き
野火
大岡昇平(1909-1988)
フィリピン・レイテ島の戦場で、田村一等兵は結核を患い、所属部隊から追放され、敗残兵として、野火の燃える原野を彷徨する。
自身を死んだ者としながら生を求めて彷徨う中で、彼の精神の遍歴は、答えのない神との対話として、偏執的な論理を形作ってゆく。
「出生の偶然と死の偶然の間にはさまれた我々の生活の間に、我々は意志と自称するものによって生起した少数の事件を数え、その結果我々の裡に生じた一貫したものを、性格とか我が生涯とか呼んで自らを慰めている。ほかに考えようがないからだ」
2021.9.5読了
野火
角川文庫
昭和30年6月15日初版発行
昭和46年12月30日改編4刷
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