再読のための覚え書き
北条民雄集
北条民雄(1914-1937)
《いのちの初夜》
癩病と診断された尾田は、東京府下の癩療養所に入院することとなった。
絶望を抱えた尾田は、院外の松林で自殺を試みるも失敗する。
そんな尾田を、付き添い係の佐柄木は見透かしていたが、佐柄木自身、かつてこの病院で療養をした癩病者だった。
尾田は、佐柄木の自分語りに引き込まれてゆく……。
「あの人たちは、もう人間じゃあないんですよ。生命です。生命そのもの、いのちそのものなんです。尾田さん、あなたは今死んでいるのです。あなたの苦悩や絶望、それがどこから来るか、考えてみてください。一たび死んだ過去の人間を捜し求めているからではないでしょうか」
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癩病者だった北条民雄自身の入院経験を描いた「いのちの初夜」の他、短編、随筆、日記、書簡を併録。
2023.3.23読了
北条民雄集
新潮文庫
昭和26年2月5日初版発行
昭和37年2月10日8刷
旧仮名遣い
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