再読のための覚え書き
号外・少年の悲哀
国木田独歩(1871-1908)
「窮死」
日雇い労働者の文公は、胸を患い、所持金もなく、宿も失う。そんな彼に、周囲は温かい手を差し伸べるのだが……。
「少年の悲哀」
少年が、下男の徳ニ郎に連れられて行ったのは、遊郭の女の部屋。女の弟が少年に似ているので、一目会いたいという女の希望だった。そして女は、数日後に朝鮮の遊郭に売られていく。徳ニ郎は、そんな女を救うことができない。大人たちの哀しみが、少年にとっていつまでも忘れられない哀しみとなる。
他6編収録
・・・・・・・・・・・・
どうにもならない苦境に置かれた人々の姿。切り取られたその数時間、数日間が淡々と描かれ、やがてそれらが静かに諦観となってゆく。
2021.6.14読了
岩波文庫
昭和14年4月17日初版発行
昭和45年8月30日25刷
#本 #読書 #文学 #文庫 #国木田独歩 #号外・少年の悲哀
