再読のための覚え書き
ブラームスはお好き
フランソワーズ・サガン（1935-2004）
朝吹登水子訳
装飾デザイナーのポールは、39歳の女性。恋人のロジェとの関係には、孤独と疲労感が募る。
そんな中、15歳下の青年シモンはポールに夢中になり、彼女もいつしか惹かれてゆくのだが……。
中年女性の孤独と希望の混じり合う心情を掬い取った美しい作品。
2021.9.18読了
ブラームスはお好き
新潮文庫
昭和36年5月10日初版発行
昭和39年6月28日8刷
#本 #読書 #文学 #文庫 #サガン #ブラームスはお好き
再読のための覚え書き
「愛」のかたち・才子佳人
武田泰淳（1912-1976）
光雄は、生理的欠陥のある人妻町子と逢瀬を重ね、良心の咎めを感じないものの、その実、彼女への愛に引きずり回される。
男性の理解を超える何かしらを持つ女性との間に、完全な愛のかたちは存在するのだろうか。
「どんなことがあっても愛してくれるという自信が彼女によって与えられてしまっていること、それは愛されたい、愛されてみたいという、満たされない空間の、あの暗い、深い、底知れぬ引力を消されてしまっていた」
他4編
2021.9.16読了
「愛」のかたち・才子佳人
新潮文庫
昭和38年12月5日初版発行
昭和43年11月20日5刷
#本 #読書 #文学 #文庫 #武田泰淳 #「愛」のかたち・才子佳人
再読のための覚え書き
リリオム
モルナール・フェレンツ（1878-1952）
徳永康元訳
回転木馬の客引きリリオムは、粗暴で、妻ユリへの愛情を素直に表現できない。
失職し、妻は身籠もり、悪者にそそのかされて強盗を計画するも、命を落としてしまう。
死後、リリオムが天界で命じられたのは、今後16年間火に焼かれて浄められた後、一日だけ地上に戻って善行をしろというものだった。
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ミュージカル「回転木馬」の原作の戯曲。
素朴でありながら痛いほど伝わるお話なのだが、この名作もまた、あいにく古書でしか読むことができない。残念だなぁ。
2021.9.12読了
リリオム
岩波文庫
1951年6月5日初版発行
1976年6月10日6刷
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再読のための覚え書き
小僧の神様・萬暦赤繪
滋賀直哉
《小僧の神様》
寿司屋に入った貴族議員Aが見たのは、所持金が足らず、食べずに出ていった小僧の姿だった。
その小僧と思いがけず再会したAは、優しさから小僧に寿司を奢るのだが、Aの心には変な淋しさが募る。
《流行感冒》
「私」の住む我孫子の町にも、流行性の感冒が流行り出した。幼い娘を心配し、女中たちには、出かけないようにと厳しく言っておいたのだが。
他13編
2021.9.11読了
小僧の神様・萬暦赤繪
新潮文庫
昭和27年9月10日初版発行
昭和39年12月15日21刷
旧仮名遣い
#本 #読書 #文学 #文庫 #滋賀直哉 #小僧の神様・萬暦赤繪
再読のための覚え書き
武蔵野夫人
大岡昇平（1909-1988）
フランス文学者の秋山は、貞淑な妻道子を蔑ろにして、近所の人妻富子との逢瀬を重ねる。折から復員した従兄弟の勉に、道子は心を寄せてゆく。
緻密な心理描写。そして、中でも第4章「恋ヶ窪」から第5章「蝶の飛翔について」で描かれる武蔵野の自然と心理描写の融合に心奪われる。
2021.9.10読了
武蔵野夫人
角川文庫
昭和28年6月5日初版発行
昭和43年7月10日26刷
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