勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

泣きました

2007-11-19 | TVや舞台やスポーツのお喋り
やはり紀伊国屋書店でサイン会をするということは、大先生の証なのではないだろうか。
それほど物々しい感じのサイン会だった。

想像していたのとはかなり違う。
なにしろサイン会場は個室なのだ。
机の向こうに腰を下ろした庄司先生は、少し緊張していたようだ。
第1陣として入室した私たちを、鋭い眼光で見つめる。
そこにいるのは「芸人・庄司智春」ではない。
間違いなく「作家・庄司智春」だった。

会場についてから、プレゼントも手紙も、何一つ持っていかなかったなと考えた。
持って行けば話をする糸口がつかめたかも知れないが、何も持っていかなかったし、ありきたりのことを言う気にもなれなかった。

私の番になって庄司さんの前に進むと、彼の方から「ありがとうございます」と言う言葉をいただき、会釈までされてしまった。
ますます私の言うことがなくなる。

整理券に名前を書いてあるので、庄司さんはすぐに本にペンを走らせ始めた。
だがその手つきは丁寧で、実にゆっくりだ。
サインをし慣れたタレントさんと言う感じはまるでしない。
手書きのサインの1字1字を確かめるようにペンを進めていく。

サインが終わり庄司さんが私を見上げた。
ここで何か言うべきなのかもしれないが、私はその目を見つめただけだった。
そして思いついたように手を差し出すと、庄司さんはペンを置いてその手を握り締めてくれた。
大きかったが、細くて繊細な手だった。

私はやっとここで「ありがとうございます」と言いながら本を受け取った。
間抜けだ。

初めの方だったのでどのくらいの方がサイン会にやってきたかわからなかったが、庄司さんのブログを読むと、出版社の方が「正直驚いた」ほどの人数だったようだ。

お茶をした後、来られなかった友達の整理券を持ってもう一度紀伊国屋書店に行った。
もちろん庄司さんは帰った後で(二度並ぶのは恥ずかしくて出来なかった)、名前入りではないがサインの入った本をもう一冊手にして家路に着いた。

電車の中ですぐに「交換日記」を読み始めた。
駅に着くまで、目を離すことなく読みふけった。
家に戻って最後まで読んだ。

最後の何ページか、私はずっと泣いていた。

Comment (1)
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