勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

特典が面白すぎる

2011-02-02 | 映画のお喋り
ずっと前から観ようかなと思いながら、なかなか機会がない映画があった。
「しあわせの隠れ場所」

ジャンルが「スポーツ」って言うだけで、すぐ借りるのに…。
タイトルがお涙頂戴風なのと、主演の方があまり好きじゃなかった。(汗

2009年のドラフト1位で指名されたNFLのレフトタックルの選手の実話らしい。
スポーツなら何でも見るので、当然アメフトも好きだ。
QBを相手のタックルから守るポジション。
それが天性の「保護本能」から生まれたものっていうのが面白かった。

映画もそれなりに面白かった。
涙は寸止め。
多分主人公の女性とは、絶対友達になれないことがわかってるからだろうと思う。
悪い人じゃないが、気が合わない。


BD観賞で良い点は、映画が終わった後で特典映像が見られるところだ。
しかも今回の特典映像は、ものすぐく面白かった。
監督のハンコック氏と、原作者の対談だ。

映像作家と文章作家。
似てるようでまるで似てない仕事をしていても、創造の悩みを良くわかっているお二人のやりとりは、共感できる部分がたっぷり。


面白かった部分を、ちょっと抜粋(覚えてる範囲で)
原作者ルイスはもともと映画の主人公リー・アンの夫であるショーンの友人だった。
20年ぶりにあったら、家で黒人の少年を預かっているという。
(まだアメフトを始める前)

その後成り行きが気になって連絡を取っているうち、この少年にすっかり興味を惹かれ、小説化したらしい。
まだ無名の選手の話なので、ある程度冒険だったらしい。
(今でも新人賞取っただけだし)


で、監督のハンコックが、この物語に出てくる「強い」人間は、みな女性だという話をする。
リー・アンだけでなく、積極的にマイケルを指導する女性教師、後で雇われた家庭教師など。
逆に夫の影は薄いし、コーチもなんだかなぁ~って感じ。

するとルイスが「南部の女性」について話し始める。
夫を立てているようで、実際には決定権は女性にあるとか。
男は威張ってるようでも、実は妻に頼り切ってるとか。
古い時代の日本の家庭にちょっと似ている。

さらにハンコックが、映画化に際してショーン(夫)に電話して許可を求めたら返事は…。
「僕に聞いたって…何の権限もないんだから」

ルイスは爆笑しながら、こういう場合、大抵は冗談なんだけど、ショーンの場合は事実だからね、とダメを押していた。


ただショーンがリー・アンの尻に敷かれっぱなしと言えば、そうでもないようだ。
映画の中でも「お父様が何と言われるか」みたいに、友達に言われてた。
リー・アンの父親はキリスト原理主義者で、白人至上主義者で、絶対的な差別主義者で、彼女は黒人と口をきいてもいけないという教育を受けていたらしい。

それがバスケの選手で、仲間の黒人選手とは大の親友で、結婚式の付き添いも黒人と言うショーンと結婚した。
この辺から、リー・アンの父とは一線を期した人生観が生まれていったのだろう。

ちょっとだけ、マイケルを引き取ったのも同情だけではなく、亡き父に対する反抗…。
私はあなたとは違うのよ、って言うのがあったのかもしれない。
そういう人生観は、明らかにショーンの賛同の裏付けがあったから、培われたものだと思う。
「強者」であったはずの父親から独立させてくれたのが、別の意味での「強者」ショーンなのかなと。

そう言う意味で「南部女性」とは反対に見えるリー・アンだが、車のダッシュボードから取り出した皮の手袋。
その中には小型拳銃がしっかりおさまっていたそうだ。

「全米ライフル協会会員」「キリスト原理主義」「共和党員」
この3点セットで、やっぱり友達にはなれないと思う。


またルイスは、アメリカ人は誰もが努力すれば成功するのだと信じていたい。
才能に恵まれ、努力したマイケルもまた、成功が当然だと信じている。
だがほとんどは、才能があっても環境などのせいで埋もれていってしまう。
そう言っている。
実際、マイケルのような環境にいる若者は、多くが若くして命を落とす。


アメリカンドリームは「奇跡」でしかない。
だから小説になり、映画化されるのだ。
そう言う意味では、とても悲しい映画だった。
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