アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

熱帯雨林の現状はー

2008-05-24 | ボルネオの旅(-2009年)
地球温暖化が本気で懸念される今日。
私にとっては、ようやく・・・といった感だけれど、そう思いながらも未だ何の行動も起こせていないのは他でもないこの私。
とやかく言う筋合いがないことは分かっている。

とはいえ、どんどん崩れていく生態系に人一倍不安と焦りを感じていることも事実。

なので、調べた。
旅に出る前、また旅をしながら、インターネットがあれば重たい辞書を持ち歩く必要はない。本当に便利な世の中なんだから。


『13州の全てが熱帯材を輸出しているマレーシアでは、世界最大の熱帯材丸太および製材の輸出国である。(省略)国連食糧農業機関FAOは、年間約40万ヘクタールの森林が失われていると推定しているが、(省略)この速度での伐採は長期的には持続可能でない。』(http://www.jca.apc.org/jatan/trade/malaysia.htm)

『アジア・太平洋地域の原生林は65%以上がすでに消失しており、インドネシアでは7割以上が違法に伐採されたものと推定される(要点のみ)』
(http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/nousui/image/BOX_NOS0019.pdf#search='熱帯雨林%20違法伐採%20割合' グリーンピースの発表より)


パソコンをたたけば、こうしていろんな地域のいろんな情報を得ることができる。
けれど目的をもってそれをしなければ、こうした情報が向こうからやってくることはない。

私が知りたかったのは、10年前に教科書で習った「環境問題」が、今もずっと同じ状態なのかどうか。


『この数年間の間にも、インドネシア・スマトラ島内の森林環境は悪化し続けている。2005年末から2006年初頭にかけては、天然林の伐採によりすみかを追われたゾウが民家付近に出没する事件が多発。』
(WWF報告より http://www.wwf.or.jp/activity/forest/news/2006/20061027.htm)


インドネシアといえば、こんな報告も発見。

『日本は、7割以上の木材を違法に伐採しているかもしれないインドネシアから、実に8割以上の外国産コピー用紙を輸入している』
(http://www.jca.apc.org/~earth/sub1e.html)
つまり私たちが日常的に使っている白紙の半分ほどは、違法な手段で伐採された木でつくられているかもしれない、ということだ。


『世界銀行によると、(違法伐採による)世界の木材生産国の経済的な損失は100億ドル~150億ドル』『また2004年アメリカの林業業界がまとめた調査報告によると、国際的な木材価格は10%~10数%程度下落しているとのリポートが発表されている』
( http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/nousui/image/BOX_NOS0019.pdf#search='熱帯雨林%20違法伐採%20割合' FoE Japanの発表より)


国内で使われている木材の約8割を輸入に頼っている日本は、こんなに緑あふれる国でありながら、恥ずかしくも世界最大の木材輸入国だといわれている。
野菜や肉と同様「外国産の方が安いから」に他ならないが、木材が「安い」理由は物価や人件費だけではない、ということだ。







マレーシアの中で最も木材輸出量が多いサラワク州。
北端のサバ州に近い街、LAWAS(ラワス)から車で3時間ほど山を登ったところにMERINGAU(マリンガウ)という村がある。
住んでいるのは Lun Bawan(ルンバワン)民族。

村人の一人Davidの案内で、デコボコの山道を上下左右に揺られながら走った。
道は伐採した木材を運ぶためにつくられたもので、「ティンバーロード」または「ロギングロード」と呼ばれる。
その道ができる30年ほど前までは、村人は片道1週間かけて村まで歩いて行っていたのだという。


途中、丸太を積んだ何台ものトラックとすれ違った。
場所によっては、さほど大きくない丸太が道ばたに無造作に放り出されている。
伐採の拠点ともなっている木材の集積場を通り抜ける。
これらの多くが、日本に向けて送り出されている。


「ここで今最も深刻な問題は何ですか?」

Davidに聞いた。

「川の汚染だよ。この辺の村では生活用水の全てを川に依存しているけれど、今では汚くて飲み水に使うことはできない。見てごらん、真っ茶色でコーヒーみたいだろう?」

「何が原因なんですか?」

「伐採さ。木と一緒に土が流れ出るんだよ。大量にね。」


標高が高いところにある小川の水は全く透明で綺麗なのに、橋が必要な大きさの川になると途端に茶色に濁る。
その濁り様といったらまさに「濁流」といった感じで、雨が降ろうが降りまいが、大きな川は常に「茶色」というのがこの国では当たり前の光景だった。


インターネットによると、1本の成熟した木を切り出すのに11~65本ほどの若い木が無駄に切り倒されているらしく、それらを規制するのは困難とのこと。
また、伐採に使用するオイル等をそのまま川に放り捨て、公害の原因にもなっているのだとか。
( http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/nousui/image/BOX_NOS0019.pdf#search='熱帯雨林%20違法伐採%20割合')



伐採による木材の輸出が悪いのではない。
事実、村人の中には丸太を運び出す仕事に就いている人も多く、また村と街とを結ぶ公道の整備が進まない中で、伐採業者が荒々しくつくったティンバーロードが村人の唯一の交通路になっている。

問題なのは、伐採の仕方とその管理。
そしてその根底にあるのは、そこで暮らす人々に配慮することのできない人間の、心の貧しさだ。







取り締まるべきところはどこか。

木材を輸出している国々もさることながら、それらを買っている側の国にも責任はある。

私たちにできることといったら、違法伐採によりつくられたコピー用紙を買わない、安すぎる外国産の木より国産の木を選ぶ、違法伐採を摘発しているNGO等を支援する、といった地味なことくらいだが、知らないふりしてやらないよりはやった方がマシってもんだ。
なぜなら、「これくらい、まぁいいか。」と思って反対の選択肢を選ぶこと自体が、違法伐採業者と全く同じ類いの “貧しい” 人間になり下がることと同じなのだから。





コピー用紙に関する情報はコチラ→http://www.jca.apc.org/jatan/ipp/sales.html(JATANホームページより)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿