
3日ほど前にネットで買った古本が届いた
「荷風思出草」というタイトル 150頁ほどの新書サイズの薄い本である
著者は写真右側の相磯凌霜氏・・・3月27日のブログ参照
160頁弱の本で 8割ほどが荷風と凌霜の対談
凌霜が知りたかった様々な出来事を荷風から訊き出そうというもの
残りの2割が「荷風先生七つの話題」 凌霜が短い逸話を書いている
題だけ並べると「同居人インコの死」「女ターザン秘話」「岡山美談」
「万年床と禁断の場所」「税金に対する考え方」「後輩を見る目」
そして最後が「偽筆と四畳半襖の下張り」 以上7編
伊庭心猿の情報不足に悩んでいたところ 思いがけない助っ人が現れた
ベースはこちら(青空文庫) 永井荷風「来訪者」 木場貞「來訪者のモデル」
以下 超要約で記述する
~有名人と偽筆の関係は 議員と汚職のように切っても切れない間柄
明治の3巨頭 子規・紅葉・漱石の偽筆も既に大手を振って出回っている
故人はともかく現存では荷風先生ほど偽筆・偽作に悩まされた方も少ない
筆頭は「来訪者」の主人公 筆札が上手い白井と篆刻が得意の木場
白井が書いて木場が判を押す 二人で見事なコンビを展開する
そのうえ木場は「おれは永井荷風の落胤だ」と名乗って歩いたこともある
薄汚い身なりで相手にされなかったが 今でも手慣れた偽作を続けている
白井の偽筆は堂に入ったもの 「四畳半襖の下張り」は40種類も出回った
そのイカサマを大金で買い 悦に入る人もいると聞くが気の毒千万
本物はとっくに偏奇館もろとも炎上してしまった
たとえ残ったにしても 巷間出回る「四畳半・・・」とは似ても似つかぬもの
当時 この「四畳半・・・」と抱き合わせで「問はずがたり」を売る男がいた
後者は先生が手を入れた後の旧版だが 盗まれて市川の古書店に出た
それを木場が嗅ぎつけて写し取り 白井の兄の菓子屋に高く売りつけた
菓子屋がそれを懇意の先生に見せたことから盗難が発覚した~
白井の本名は平井呈一という・・・昨日3月3日のブログ参照
怪奇小説の類の翻訳や創作も多いようだ ウィキぺディア参照
凌霜の話はまだ続く 白井が新たな手を考え出すのである
今日はここまでとし 続きは明日に回そう
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]