遊びをせんとや

人生総決算!のつもりで過去・現在のことなどを書きます
といっても肩肘はらずに 楽しく面白く書きたいと思います

伊庭心猿~白井が新しい手口発見

2024年04月05日 | 人物


永井荷風の「来訪者」から始まったこの贋作話
現在の語り手は相磯凌霜 某鉄工所の専務で荷風晩年の支援者である

~木場(伊庭心猿)が売りつけた白井(平井呈一)の兄の菓子屋は「たぬき屋」
その「たぬきや」主人が懇意の荷風に作品を見せる
そこで荷風は原稿等の盗難に気付き警察へ届け出 大半は戻ったという

一方で 白井は房州へ引越し 盛んに荷風宛に手紙を出す
短編を書いた 俳句を詠んだ どうぞ批評をお願いします・・・と 
贋作者の片割れだが 才能ある弟子でもあり 荷風は律儀に返事を出す

返書がだいぶ溜まった頃 白井は立派な表装をして売り歩く
それを知って驚いた荷風 兄のたぬき屋を呼んで手紙を取り戻せと厳命
兄は金を渡して弟から手紙を受け取り 平身低頭して荷風に返した~

・・・「たぬき屋」は上野の「うさぎや」のことだという
谷口喜作という人は もしかして白井(平井呈一)の兄さんか?
以前住んでいた街にも「うさぎや」の店があり 上野の店と親戚らしい
よく通っていた道なので 不思議なつながりを感じた・・・

・・・白井の 書簡の偽作商品化? はどこかからヒントを得たのだろうか?
相棒の木場に「緑雨と一葉」(青空文庫)という作品 単なる当て推量か・・・  

相磯凌霜「荷風思出草」の続き
~その後 偽書「四畳半・・・」を売った出版社が警察に捕まった
荷風先生は被害者だが 形式上調書をとりに 係官が市川に来た
その係官が無類の荷風愛好者・・・だけに口述を筆記する文字も文章も見事
先生も感嘆 記念に何か一筆と請われ 機嫌よく色紙を書いて渡した・・・

凌霜が書く贋作話は以上で終わり 「四畳半・・・」の内容は出て来ない
ところで 偏奇館の庭に大きな椎の木がある
凌霜はこれを巡る面白い話があると 「女ターザン秘話」を紹介している
以下に要約紹介する

~渡辺姓の夫婦 客の眼前で秘事を行って見せるという
先生も一時期は物珍しく 見て淫情を挑発されたが そのうち飽きた
その夫婦が或る夏の暑い日 偏帰還にやってきて 写真を撮ってくれという
「この暑いのに写真なんか・・・」「ウウン 庭で裸でとるのよう!」
「何っ 裸で?」「そうよ 素っ裸でアダムとイブをやるの」

これで先生も大乗り気になり 愛用のカメラを持って椎の木陰で待つ
初めにイブ ピチピチと豊満な身体にお色気もたっぷりに登場
次いでアダム こちらは特売のアスパラのように瘦せ細って貧弱
先生 腹をかかえて笑ったが 二人は大真面目に気取ってポーズをとる

先生もファインダーをのぞくが 絵にも字にもなりそうがない
苦心惨憺 一段落すると 亭主がターザンになるので1枚よろしく という
「そんな痩せたターザンがいるか」「それじゃあたしがターザンになる」
幹に縋りつく女房のお尻を 下からうんこらしょ 先生と亭主が持上げる

「しっかりつかまれ いまうつしてやるから・・・」とうまいところをパチリ!
先生 次のアングルを探していると キャ~と叫んで女房が地上に落ちた
女房殿 駆け寄った2人の手を振り払い 必死に家の中へ そして便所へ

ここで凌霜子は解説する
アリは椎の木を好む しかも夏はアリの稼ぎ時 行列して餌を巣穴に運ぶ
中には戻り道を間違うそそっかしいアリもいる あとは推察よろしく!~

今日はここまで 明日は再び伊庭心猿に戻る予定
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]