ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2024年J1昇格プレーオフ準決勝 V・ファーレン長崎vsベガルタ仙台

2024-12-03 16:00:39 | サッカー視聴記(J2)

※前回の長崎の記事はこちら(38節・愛媛戦、5-1)
※前回の仙台の記事はこちら(35節・横浜FC戦、3-0)
※仙台遠征記はこちら(38節・大分戦、2-1)
※両クラブの対戦の記事=1戦目(2節、長崎 1-2 仙台)2戦目(20節、仙台 2-2 長崎)

<長崎スタメン> ※()内は前試合のスタメン

  • エジガルが27節(山形戦、2-4)以来のスタメン。

<仙台スタメン>

  • ベンチメンバーをマテウス・モラエス→松下へと変更。

あっという間に、今季のリーグ戦も全試合を消化。
残るは昇格枠の残り1つを争う場であるプレーオフのみとなりました。
前年の「オリジナル10」クラブが織りなした血みどろの争いからは、幾ばくか爽やかな成分が増した感があるものの、それでも4クラブとも意地でもJ1の切符を掴みたい立場に変わりは無く。

当然求められるのは結果のみ。
そんな孤独の場である以上、長崎サイドは「5連勝でフィニッシュ」「新ホームスタジアムで無敗」、仙台サイドは「長崎に対し勝ち越し」といったポジティブな要素に縋りたいものであり。
しかしそれを無にしかねないのが「最終節から3週間空いての開催」という、Jリーグ側の事情よる、かつ両クラブに及ぼしかねない要素。
日程調整の側面があるとはいえ、勢いをもって臨みたいサイドに対し無効化される懸念が膨らむ事となりました。

かくして3位と6位の対決。
自動昇格圏にあと勝ち点1まで迫った長崎が、その実績を下にほぼ満員のホーム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank、以下ピースタ)での雰囲気を味方に付ける。
即ち「立場的優位故の振る舞い」を演じて勝利に辿り着きたいという思惑は少なからずあったと推測します。

それを塗り替えたいのが仙台で、そのためかキックオフからガツガツと仕掛け。
アバウトなボールをレイオフで繋いだのち、前を向いてゴールへと直進を果たすという姿勢でペースを掴まんとします。

前半2分にはそこから、長崎が攻撃を切ったのちのゲーゲンプレスで中島が再奪取して好機。
左ポケットを取った相良がボールキープからワイドに流れて奥へ切り込み、ヴァウドに倒されるも反則の笛は吹かれずに終了。
すると奪った長崎もギリェルメが右サイドをドリブルに入ってカウンターに突入(中央へ展開し、ジェズス前進→エジガルポストプレイもフィニッシュは撃てず)と、お互い縦に速い攻めの応酬という入りとなりました。

その流れが終わると、長崎は今季の基本である、最終ラインからの地上での繋ぎで隙を伺う体制へ突入。
しかし終盤の連勝の流れと違うのは、ハイプレスとリトリートの使い分けが巧みな仙台が相手という事。
そのため、アンカーの秋野も2トップの限定を嫌って最終ラインに降り、3枚での繋ぎがメインとなりました。

この「普段のサッカー」から若干弄った事が、勝負の分かれ目となった感があり。
最終ラインでひたすらサイドを振りながら繋ぐも、仙台のメリハリの利いた守備の前に、最後はエジガルへ向けて浮き球を送る局面が膨らみ。
8分にはそこから、こぼれ球を左へ展開ののち笠柳がカットインの姿勢からエリア内へ縦パス。
エジガルのポストプレイは掻き出されるも、拾った秋野のミドルシュートがゴール右へ外れという具合に、成果はそこそこながら何処かが違う感が付き纏う攻撃に。

秋野が仙台2トップの前方で受ける事で、仙台サイドも左サイドハーフの相良が加わる、3人でのハイプレスで試合を動かしに掛かり。
これに長崎が素早く右へと展開する事による、サイドバックに対し相手SBが付くという、プレッシング側の分水点(ここで前進を阻めなければウイングがフリーor陣形が大きく崩される)という局面も何度か見られます。
即ち増山とギリェルメの2人で、右サイドで数的優位を作るのが肝といった長崎のビルドアップ。
しかしそれを強く意識したか、ギリェルメはリーグ戦で見られたフリーマン的な動きが抑制された事が、第二の「普段のサッカーとの違い」となった感があり。
おかげで何処と無く堅さが取れず、冴え渡った増山とギリェルメのコンビプレイも見られずと、右サイドから有効打が放たれる事はありませんでした。

時間の経過とともに、仙台はハイプレスを抑制して相良が増山を監視するという、弱点を覆う姿勢へと移り。
それを見た長崎はワイドで相良をピン止めしながら、(2トップの片割れを秋野が引き付けたうえで)ヴァウドが持ち運ぶ場面も作りましたが、残念ながらヴァウドは積極的に敵陣まで仕掛けるという選手では無いため効果的にはなりません。

次第に硬直感が露わになる長崎のビルドアップ、そしてその隙を突かんとする仙台。
24分、最後方からの秋野の縦パスを、菅田が前に出て逆に縦パスを送り返してショートカウンターに持ち込み。
受けた中島が溜めを作って遅攻に切り替わると、パスワークののち中島が右サイド手前からクロスを送り、ニアで受けにいったエロンがディフェンスに遭うもこぼれ球が右ポケットへ。
すかさず反応した真瀬が走り込み、抑えんと前に出たGK若原を抜くループシュートを放ちましたが、右サイドネット外に終わり惜しくも決められません。

この際に、ディフェンスに入ったヴァウドとGK若原が交錯し痛んだ事で、ブレイクが齎され。(ともに無事に起き上がる)
この期間で落ち着きを取り戻したい長崎でしたが、逆に上手くいっていない感が膨らんでしまったか。
直後の26分に最終ラインでパスがズレ、仙台の左深めからのスローインに。
すると相良のロングスローを使用と果敢に仕掛ける仙台、連続となったその2本目からでした。
その跳ね返りを真瀬がミドルシュートにいくも、ミートせずクリアされるとここから二次攻撃の嵐を仕掛ける仙台。
クリアボールに長崎サイドが落下点に入っても、その背後から強引に跳んで落とす事で拾い続ける仙台サイドと、守備側の集中力が試される場面と化し。
そして右から鎌田のクロスがブロックされるも、これをまたも中島が確保、浮かせてからヘッドで落としたボールを相良がペナルティアークからシュート。
これもヴァウドがブロックと防ぐ長崎でしたが、これが腕に当たってしまった事で、ハンドならびにエリア内故にPKを告げる笛が鳴り響きます。
確かに腕に当てたものの閉じていたように見えたヴァウド、そのため猛烈に意義を浴びせるも判定は覆らず。

そしてPKゲットとなった仙台、キッカーは攻撃の中心を担う中島。
この大一番でも冷静さを失わず、かつ大胆にゴール中央へとシュートを放ちネットを揺らします。
一方左に跳んだGK若原、足を延ばしたものの無情にも触れられず。
納得し難い失点となってしまった故に、尚もヴァウドが異議を浴びせた結果警告を貰う(あるいはエリア内へ入ったのが中島の蹴る前だったという意味合いか?)という余分な被害も受ける事となり。

リードを得た仙台は、自信を持って4-4-2ブロックの色を強める守備体勢に。
懸念された左サイド(長崎から見て右サイド)もしっかり守備を固め、かつハーフレーンの(ヴァウドの)持ち運びには鎌田がその前方を埋める姿勢を取って対策し。
結局長崎は逆サイドに活路を見出し、笠柳に仕掛けさせる事ぐらいしか出来なくなり。
36分にはその笠柳がカットインからミドルシュートを放つも、これはやや強引に映るものであえなくGK林にキャッチされ。

それでも、最終ラインでの繋ぎにGK若原も加わり。
それもボックス内のまま若原がパスを出し入れする事で、仙台のハイプレスを誘発しに掛かり。
迎えたアディショナルタイム、その若原がパス交換ののち右ワイドの増山へフィードを通して前進開始。
中央へ渡ったのち、秋野が縦パスを送った先は左ワイドから絞っていた笠柳と、目線を変えて中央から突破が図られ。
そして笠柳→ジェズスフリック→エジガルと経由してエリア内を突き、エジガルのシュートが放たれましたが、ゴール右へ僅かに外れ。
非常に痛い決定機逸で、暗雲を振り払う事に失敗した長崎。

結局0-1のまま前半終了。
ピースタがビハインドとなったのは今季初で、こうなると縋りたい無敗神話も重圧と化するのみになり。
負の要素を振り払うべく、このハーフタイムで動く下平隆宏監督。
安部・笠柳→山田・松澤海へ2枚替えと、リーグ戦でも見られた交代策を早めに敢行する事となりました。

今一つ強引さが目立ったこの日の笠柳。
それに対し同ポジションで投入された松澤海は、積極的に仕掛けるのは変わらずも、サイド奥を取ったうえでの展開の色を強め。
これでポケットを使っての好機も膨らむ、そんな予感を孕ませる入りとなり。

しかしその中で、ビハインドとなったが故の焦りも感じられ。
後半3分にその松澤海がキープの最中真瀬のアタックを受けた事で反則となると、中盤近くの位置にも拘わらず(キッカー秋野が)放り込み。
そしてエリア内ながら遠目の位置でエジガルがヘディングシュートに持っていくも、威力に欠けてGK林がキャッチ。
とにかくフィニッシュに繋げたいという思惑に、折角の強力な駒も空回り気味となり。

そしてビルドアップも遮断される事で徐々に仙台ペースに。
迎えた8分、仙台が敵陣でボール保持の局面に入ると、中島から最終ラインへ戻したのち右サイドへ展開。
突入したパスワークを経て、戻し→(工藤蒼の)裏へミドルパス→郷家という定型の崩しでサイド奥を突くと、蓋をする米田に対し足を延ばして強引に繋ぐ郷家。
球際を制するというこの絵図が奏功し、拾った真瀬のグラウンダーでのクロスから、ニアで合わせたエロンのシュートがゴール右へと突き刺さります。
長崎が反撃の機運を高めたいという時間帯で、それを折るべくの貴重な追加点が齎され。

これで2点が必要と、苦しくなった長崎。
猛威を振るったジェズスの個の力も、それに負けないかつ組織力に長けた仙台ディフェンスを前にしては、稼働範囲は非常に狭く。
やはり彼を止められるだけのディフェンス力が無いクラブ(愛媛や鹿児島とか)が終盤の相手であったため、その評価は割り引かなければならなかったでしょうか。

ともかく苦境の長崎は、降りてくるエジガルへミドルパスを届けるという手法を多用するようになり。
そして15分にヴァウド→櫛引へ交代と、硬直感がありありなビルドアップの改善も図った(と思われる)最終ライン同士の交代。
直後の16分、秋野ミドルパス→エジガルポストプレイというその立ち回りから、受けた松澤が中央からエリア内を突いてシュート。
しかしこの決定機も、GK林が脚でセーブというビッグプレイに阻まれます。

一方の仙台、18分にギリェルメの前進を阻んでのカウンターで、中島の中央突破からエロンに再び好機が訪れ。
中島のラストパスをダイレクトでエリア外からシュートしたエロンでしたが、枠外に終わったのみならずそのまま足を痛めてしまい。
攣ったかどうかは不明(放送席では攣ったとの事だが時間が早い気が)で、今後に不安を残しながら担架で運ばれて交代となってしまいます。
オナイウを投入(郷家がFWに回る)し、同時に鎌田→松井へ交代と、2枚替えで勝利へと向けた進軍を崩さない体制維持を図る森山佳郎監督。

櫛引の投入で、CBも長い距離間を保って繋ぐ色が強まる長崎最終ライン。
それでも山田ないしは秋野が降りる3枚での繋ぎという基本形は変わらず、交代以降果敢に寄せてくる仙台ディフェンスに難色が高まります。
そして23分、左サイドで詰まらされてのフィードが工藤蒼にブロックされ、敵陣右サイドでの保持に持ち込んだ仙台がポケットを突いて(真瀬が)スルーパス。
カットに当たるもそのままスペースへこぼれたボールを、走り込んだオナイウがシュート。
GK若原がセーブするも、跳ね返りを眼前で拾った郷家の追撃のシュートには成す術無く、ゴール上部へと突き刺さります。
決定的な3点目に、歓声と悲鳴が鳴り響くピースタ。

それでも失意の姿を見せる訳にはいかない長崎、25分に再度ベンチが動き。
ギリェルメ・エジガル→中村・名倉へと2枚替え、ジェズスがセンターフォワードへと回ります。
(この日の)ギリェルメに足りなかった、フリーマン的な動きが中村によって齎されるという具合に、ベンチの狙いが明白であったこの交代策。

そして31分、降りて受けた中村を経由し左サイドへ展開されると、松澤海が奥へ切り込んでカットイン。
ポケットから仕掛けるという姿勢で戻しを選択すると、山田の横パスがエリア内中央でフリーとなっていたジェズスの下へと、意表を突くに十分なプレーに。
満を持して、といったジェズスのダイレクトでのシュートがゴール左へと突き刺さりました。
ようやく1点を返し、僅かな望みを繋ぐ長崎。

それもつかの間、仙台のキックオフから右サイド深めへと運ばれた事で、再度追加点の危惧が高まり。
ここから仙台のゲーゲンプレスで押し込まれた末に、(名倉が郷家に対し)反則を与えた事で仙台の右ワイドからのフリーキック。
キッカー中島のクロスが中央を抜けてファーの松井の足下に合いシュートが放たれ、GK若原が至近距離でこれをセーブと、際どい凌ぎを強いられる事で反撃の機運は萎んでいき。
その後真瀬が足を攣らせた事を受け、仙台は同ポジションで石尾を投入します。(39分)

それでも前掛かりになるしかない長崎。
しかしそれによりロングボールにおける脆弱ぶりは深刻となり、45分にはこぼれ球をラフにダイレクトで蹴った石尾のロビングがそのままエリア内右へ。
これをバウンドさせながら収めた相良がディフェンスを背負いながらシュート(枠外)と、築かれたレールは仙台の更なる得点に向けてとなったでしょうか。

その通りに、突入したATは目安+8分と2点奪うには十分?でしたが、仙台が決定機を量産する流れに。
中島のパスカットからのショートカウンターで、左ポケットに進入した郷家のシュートをGK若原がセーブ、その跳ね返りを追撃にいく相良。
このシュートも米田が何とかスライディングでブロックと、既に2点差を追い掛けるチームの絵図では無く。

そして最後は、石尾の自陣からのドリブルを止められないという、総員前掛かりの裏を突かれ。
中央へのラストパスが中島に渡ると、戻ってきた増山を冷静にいなして放たれたシュートがゴール左へと突き刺さります。
文字通りの止め、という表現が良く似合う4点目となりました。

その後は残っていた交代カードを使う(中島・相良→松下・中山)も、5バックの体勢は取らずに3ボランチの4-5-1というような布陣で守りきりを図る仙台。
長崎は櫛引を前線に上げてのパワープレイで打開せんとしますが、そんな最後の意地も形になる事は無く。
結局1-4で試合終了の時を迎え、仙台が決勝戦に進出。
相性の良さは、長いブレイクがあっても邪魔されないという格好で勝利に辿り着きました。

屈辱の一戦となってしまった長崎。
個人的に敗因を挙げるとすれば、エジガルの起用が拙かった感があり。
これで守備時はジェズスとの2トップとなりましたが、彼らが最終ラインにプレスを掛ける事で、出来た2列目のスペースで難なく仙台ボランチがボールを受ける場面が頻発してしまい。
つまりは連動性の欠如であり、彼を終盤戦の通りスーパーサブに留めておけば避けられたような弱点に映りました。
これも「普段のサッカー」からのズレを生み出す一因でしたが、敗戦という事実は変えられず。
天国も地獄も味わったピースタの下、来季一年間を戦う覚悟を作り出す事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3・JFL入れ替え戦第1戦 高知ユナイテッドSCvsY.S.C.C.横浜

2024-12-02 16:01:28 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 高知ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

入れ替え戦、それは下位カテゴリにとっては希望の一筋。
反対に上位カテゴリにとってはまさに崖っぷちであり、それが「Jリーグからの退会」を余儀なくされる場では尚更の事。

今季のJ3は岩手がぶっちぎりの最下位と、強烈なイメージを残してJFLへの降格が既に決定。
しかしそれはあくまで自動降格、それもJクラブとしてのアイデンティティを失いかけた者の末路的な転落劇。
もう一つの降格、即ち入れ替え戦への出場枠を巡っては激しい戦いが行われ、魔の手から逃れんという尻に火が付いた状態での争い。
一時的に19位以下を経験した宮崎・奈良が、その状態から這い上がり死線から回避に成功。
彼らの押し上げを受けた格好で、徐々に転落を強いられた長野も18位で踏み止まり。
長野を除いては集客力もリーグ下位に留まっており、もしJFL降格とあれば岩手のように成績のみでは浮上出来ない、別の戦いを強いられる事になったので残留決定の意味合いは大きく。

そんな中、その危機を回避できず19位が決定したのがYS横浜。
平均の観客動員数も下から3番目と、意地でも落ちたくない瀬戸際であり。
やっているサッカーとしては、ボール保持の追求というブレない理想があるものの、メンバーによってその精度は日によってまちまちといったのが今季の印象。(自分が観たのは2試合のみですが)
特に後半戦は2勝のみと、総合力で劣る保持型のクラブに対する、シーズンが進むにつれて襲い掛かる逆風を浴びる(J1では新潟か)典型例になってしまったでしょうか。
大量失点も多く、相手の強度が高ければ全く成り立たなくなる状態ですが、当然ながらこの試合の相手は下位カテゴリのクラブ。
立場的優位を意識しながら、冷静に試合を進める事が残留へのカギとなりそうです。

その下位カテゴリから出場するのは、JFL2位の高知。
前年の天皇杯(川崎戦、0-1)で拝見する機会があり、その頃に内部的に一悶着あった事で、逆に地元の熱が盛り上がりを見せたでしょうか。
今季ようやくJ3ライセンスの取得に成功、厳しい集客条件もクリアし、後は昇格へ向けたレールを走るのみとなり。
しかし終盤成績面で落ち込んでしまい、2位でシーズンを終えた事で入れ替え戦に回り。
そしてこの試合が文字通り最後の関門となりましたが、ホームスタジアム(春野総合運動公園陸上競技場)は予定で埋まっていて使用不可能との事で、急遽讃岐のホーム・Pikaraスタジアムを借用して臨みました。

ともに全力でのぶつかり合い、と見せかけYS横浜の方はスタメン選択で搦め手を混ぜ。
ウイングバックの立ち位置を左右逆にして、右に橋本・左に冨士田という逆脚での配置を敢行しました。

お互い慎重な入り、つまり浮き球の蹴り合いで時間が進んでいき。
中々やりたい事が発揮されないという立ち上がりななか、前半5分に中里のロングパスが東家にブロックされるも、こぼれ球を拾った事で前に運ぶ余地が生まれたYS横浜。
左→中央→右へとサイドを変えての前進を経て、奥を取った菊谷の戻しを受ける形から橋本陸がクロス。
これにより利き足で上げられたそのボールは、大外から入り込んだ冨士田の頭にドンピシャとなり、放たれたヘディングシュートがゴールを揺らします。
早速配置を弄った成果が、ものの見事に表れる格好で先制点に辿り着きました。

後が無い試合故に、オニエ・オゴチュクウやルクマン・ハキムといった「謎の助っ人」的な選手は揃ってメンバー外に。
確実に自分達のサッカーを体現できるメンバーを選択したという印象のYS横浜。
その通りに、リードを奪ってからは本来のボール保持の色を高め。
左WBの冨士田を前に押し出し、その間に選手が降りるというビルドアップの基本形を取り始めます。

一方高知はその体制に面食らったか、攻撃時でもポジションを上げられず。
前に出る相手の冨士田を見た影響か、対面である吉田の位置が非常に低く、とてもWBを前に押し出したうえでの前進が出来る雰囲気が生まれないといった立ち上がりの印象。
しかし次第にその吉田をサイドバックと見立てた、「上月を前に上げ、攻撃時は4バックでの繋ぎ」での形がスムーズにとれるようになると攻撃は良化。
前年の川崎戦でのカウンター一辺倒での戦いとは打って変わって、追い掛ける立場故にボール保持に活路を見出しながら反撃に掛かります。

序盤は、吉田に代わって右ワイドの位置を取る東家を中心とした運び。
ロングボールによる攻撃も、内田をターゲットとしつつシャドーが前に出るというのが基本線で、必然的にボールを触れる機会が多くなる東家。
それでも、クロスの跳ね返りを拾ってのミドルシュートというパターンに限定されるフィニッシュで、クオリティで劣るためさして有効打とは成り得ずに時間が経過。

流れを変える要因はYS横浜に対するハイプレスで、これにより立場的上位を発揮すべき局面での、ボール保持に乱れが生じるYS横浜。
26分にパスミスを誘発させ東家がボール回収、しかし宇田がコントロールを誤り好機とはいかず。
28分には、中里がコントロールミスした結果あろう事かエリア内で奪われる事態となり、奪った東家がグラウンダーでクロスを送るもフィニッシュは生まれず。
ペースを奪いに掛かった高知も、決定的なショートカウンターに結び付けられずとやきもきする流れに。

しかしここで襲い掛かったのが、前目に位置取る上月の突破力。
31分に最終ラインからロングパスを受けるとワイドからカットイン、ハーフレーンからゴールに向かうクロスを送った(跳ね返りを宇田がエリア内へ送り返すも撃てず)のが号砲となり。
続く33分には最終ラインでの保持の中、佐々木と入れ替わる形で前に上がる上月、そしてそこに小林大から送られる対角線のロングパス。
受けた上月は例によってのカットインを経て中央から仕掛け、ドリブルでは無く内田とのワンツーでエリア内へ切込むと、そのままディフェンスを受けながらシュートに持ち込み。
これが大嶋のブロックを掠めてゴールへと転がり、見事な主体的な崩しによる得点で同点に追い付きました。

これで試合としては面白くなりましたが、危機が膨らむYS横浜にとってはそうはいかず。
ひたすら可変する左サイド中心での保持を続け、隙を伺うと同時に、相手に攻撃権を渡さないといった思惑が浮かぶような立ち回りに。
奥村と萱沼がそれぞれ降りる事で安定性を高めるものの、ゴールへの意識は薄れるといった客観的印象にも映り。

結局前半はこれ以上のシュートシーンは生まれず、1-1で折り返し。
まだ2戦目が控えているという、緊迫感に包まれた戦いは後半も続く事となりました。

その後半、YS横浜は両WBを入れ替え、本来の冨士田=右・橋本陸=左という位置に。
その姿は、奇策を手仕舞うといった表現が相応しく映ったでしょうか。

前半よりも前線の積極性は高まりましたが、YS横浜の方は、それにより脇坂の反則が繰り返されるという具合にやや空回り。
一方の高知は後半3分、上月が降りて受けたのち裏へロングパスという役割変更的な攻撃。
意表を突かれた?YS横浜のクリアが小さくなった所を、すかさず内田がダイレクトでミドルシュートを放ちましたが枠を捉えられず。
今度は高知の方が、奇策とは言わないまでも意識を変えるような立ち回りを繰り広げた感があり。
それに伴い、下がり目だった吉田も徐々に基本位置が上がり攻めに加わるようになります。

YS横浜は両ワイドの選手を変えたものの、システム的には左WBが前に出るというのは変わらず。
その役が左利きの橋本陸となった影響もあり、前進がスムーズに行われ。
10分には中里ミドルパス→萱沼フリックという前進法から、人数を掛けて繋ぐ姿勢から奥村がカットインからポケットへパス。
脇坂のポストプレイを経てそのまま角度の小さい所からシュートを狙いましたが、GK大杉にセーブされ実りません。

しかしその中で、アンカーの小島が足を痛めてしまう事案が発生。
足を気にする仕草をしながら、気丈にプレーを続けたものの、17分に高知が左サイドでのパスワークからポケットを突く攻撃(佐々木がクロス)ののちとうとう限界に。
倒れ込むと交代措置が取られ、自力でピッチを後にしたのち土館が同ポジションで投入されました。

その後も左サイドで押し込むYS横浜ですが、瀬戸際の状況では中々流動性が生まれず。
フィニッシュも21分の脇坂のシュート(ゴール右へ外れる)のみに推移すると、今度は高知のターンに。
24分に中盤右サイドで吉田がボール奪取してから、速攻を仕掛けてスルーパスに走り込んだ東家がクロス。
これを内田がヘディングで合わせるも、同じく跳んだ冨士田のブロックに阻まれ、こちらも少ないフィニッシュをモノに出来ません。

いつの間にか、ボール保持を駆使して攻め上がるのは高知の方へと移り変わり、両WBも高い位置で攻撃に絡む状態に。
それ故に怖いのはカウンター……という所で、27分に田辺がトラップミスで奪われ、そのまま萱沼が中央を持ち運ぶ危機に。
ここは戻った田辺が反則気味に萱沼を止め(笛は鳴らず)、何とか自作自演的に防ぎます。
1ミスが致命傷になりかねない重大な一戦らしい……と書けば良い試合に映りますが、それにしては火力不足やパスのズレ、コントロールミスも時間が経つにつれて目立ち。

30分が過ぎた所で、両ベンチが同時に動き。(31分)
YS横浜は3枚替えと大きく動き、橋本陸・菊谷・脇坂→松村・藤島・ピーダーセン世隠へと交代。
一方最初の交代である高知は、東家→小林心へ交代の1人のみ。
この使い方からしても、YS横浜の方が上手くいっていない試合内容なのが頷けるものに。

冨士田がスタートの位置である左へと再度回り、相変わらずその左中心の攻めは止めないYS横浜。
藤島の推進力も加え、何とか勝ち越し点を狙いにいくも成果は上がらず。

一方の高知、34分に左→右へと対角線のパスが小林心に渡り、ポケット奥へ切り込んだ事で持ち込んだ右コーナーキック。
キッカー高野の中央に上げたクロスから、中田が放ったヘディングシュートは大嶋にブロックされるも、跳ね返りを宇田がボレーで合わせ追撃。
しかしGK後東のセーブに阻まれ、折角持ち込んだ連撃でも勝ち越し点を掴めず終わり。

38分に高知は内田→樋口へと交代。(小林心の1トップに)
高知サイドも疲労が隠せなくなってくる時間帯ですが、依然として優勢を保っている事で、YS横浜の方が深刻に。
可変しながらのパスワークでの攻撃、そこからのトランジションや被決定機を強いられた事で、目に見えてキツくなってくる終盤戦。
40分に自陣深めからのスローインという所で、スロワーを務めた中里が倒れ込む(原因は不明)など、何気無い場面でもダメージを隠せない状況となります。

その後、止む無く右サイドへの攻め、それもフレッシュな松村の推進に賭けるという体制へと切り替え。
44分に痛んだ中里も交代させる(藤原)など手を打ち。
しかし流れを変えるには至らず、もう一人フレッシュな攻め手のピーダーセンも機能したとはいえず。
ポジショニングが拙くオフサイドを取られる(アディショナルタイム、左スローイン→萱沼フリックで最初からオフサイドの位置に)など、途中出場の役割を果たせずに終わりました。

勢いを失った相手から、何とか1点取りたい高知。
43分にYS横浜のCKからカウンターに持ち込まんとした所で、吉田がドリブルを止めて保持へと切り替え。
そこからパスワークを経て、小林心が中央からミドルシュートと形にしたものの、GK後東がキャッチ。
YS横浜よりは効果的な攻めは貫けましたが、それでも相手の装甲を破るまでには至らず終わり。

そして試合終了の時を迎え、1-1で引き分けに。
第2戦はどちらとも1点が欲しい状況となりましたが、それでもこの日のような緊迫感が充満した雰囲気の中での試合になるのは疑いようは無く。
その中で、どう相手の守備を上回る事が出来るか。

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