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DAZN観戦 2025年J1リーグ第3節 横浜F・マリノスvs横浜FC

2025-02-28 18:10:41 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

マリノスベンチメンバー=飯倉(GK) 永戸 サンディ・ウォルシュ 木村卓斗 ジャン・クルード エウベル ヤン・マテウス 植中 宮市

横浜FCベンチメンバー=フェリペ・メギオラーノ(GK) 鈴木準弥 伊藤槙人 ユーリ・ララ 村田 ミシェル・リマ ジョアン・パウロ 小川 伊藤翔


血で血を洗う?ダービーマッチ。
特に「横浜ダービー」であるこのカードは、クラブの歴史(横浜フリューゲルス関連)からしても争いは避けられない。
そのためクラブ側も試合前にしてはや注意喚起が行われるなど、異様な雰囲気になるのはある意味当然であり。

横浜FCが現状「エレベータークラブ」と化しているため、その開催頻度は多くなく。
それでも一昔前はJ2にほぼ固定していたクラブ、こうして隔年ながらもJ1に籍を置けるにまで成長したというのも事実。
2年前のシーズン、初勝利は11節(新潟戦、1-0)という遅さで、その出遅れが1つしかない降格の枠に収まってしまう要因になり。
しかし今季は前節初勝利(岡山戦、1-0)と格段?の速さ、こうした点からも成長を感じ取れるものです。
編成面も、闇雲に選手をかき集めていた節があった2年前から一転。
四方田修平監督の人脈でもある、札幌に属していた選手を揃える事で陣容を固め。
それ故あの時とは一味違う戦う集団と化しつつある、といった印象でしょうか。

こうして迎えたマリノスとの一戦。
順位的にもまだ2戦ながら上に居る(10位、マリノスは15位)立場と、互角に渡り合う下地は整い。

前述の通り、場外でもバチバチとした雰囲気が避けられなくなる戦い。
ピッチ上でもそれに呑まれるかの如く、開始1分で早くもアクシデントに見舞われます。
天野がスルーパスを送った際足を捻ってしまい倒れ込み。
しかしそれを他所に、横浜FCサイドも鈴木武が何も無い所で足を痛めてしまったらしく、ピッチ外で治療を受け。
天野は無事だったものの、鈴木武は続行不可能となり、早々に無念の交代を強いられる事に。
ジョアン・パウロを投入と、はやカードを消費せざるを得なくなってしまいました。

そんな慌ただしさを醸し出す相手を他所に、ひたすらボール保持に努めたマリノス、というのが立ち上がり。
しかしハイプレスに出る事無く、統率の取れた5-4-1のブロックで構える横浜FCを崩す作業は困難を極め。
最終ラインからショートパスを繋いで前進を図るも、その度にサイドに展開→つまりかけて戻しを選択という具合に、一向に好機を作れず時間を浪費。
申し分程度に井上や鈴木冬がクロスを入れるのみと、ビルドアップに五月蠅い放送席の解説・林陵平氏の熱弁が止まらないマリノスサポーターの苛立ちが高まるのは必然といった展開を描きます。
前回取り上げた際(1節・新潟戦、1-1)と同じく中2日で迎えた一戦だけに、全体動きが重くなるのも仕方無いですが、こうした試合を繰り返すのみではヘイトを溜めてしまうのは避けられず。(マリノス・広島以外は中3日)

そうして10分過ぎが経過し、守備一辺倒という絵図の横浜FCも重い腰を上げ始め。
14分にンドカが右へ対角線のロングパス、受けた山根永がパウロとのパス交換を繰り返し、そのまま遠目からミドルシュート。(GK朴キャッチ)
意外にもファーストシュートは横浜FCとなった事で、「ボールを握っている方が劣勢」という印象が根付いた感がありました。

この一撃で肩の荷が下りたか、自身も最終ラインからの組み立てを図り始める横浜FC。
当初は、新たに得た槍である新保を高めに配置する左肩上がりでの繋ぎに見えた基本布陣。
しかしその後最終ラインは実に流動的となり、逆に山根永が高目を取る右肩上がりとなったり、ボランチが降りる事で両ウイングバックが前に出るなど多彩な位置取りを見せ。
それを司るのが福森という印象で、彼自身ワイドに開いたり、前に出てボランチの位置になったりと自発的に動く性質持ち。
それに合わせるように全体動く事で布陣を変えている感じで、マリノスの前線に的を絞らせずにボールを運んでいきます。

それでも全体としては、前年J2のアシスト王である彼の左足を活かすというよりは、新保の居る左サイドをいかに流動的にするかに苦心していた感があり。
同サイドには同じく推進力のある新井がワイドに張り出してくるため、福森自身がフィニッシュに絡む働きをするまで上がってくる事は稀である現状。
ここに来て働き場を得たという感じの新井、新保のサポートを後ろ盾としながら、実に警戒に左奥を得意のドリブルで切り裂き続け。(特に後半)
20分にはGK市川からのパスを受けた新保、福森とのワンツーでプレスを剥がしてからの前進で新井に託し、その新井がカットインの姿勢からクロスと左3人で作られた好機。
これを大外で跳び込んだのが山根永と、ワイドからワイドへという流れを描きましたが惜しくも合わずに終わります。
この両翼を活かすべくの、マリノスディフェンスを寄せたのちのサイドチェンジも多用し、崩しを図るシーンも膨らみ。

こうして、マリノスに比べ機会が少ないながらも、効果的に前進する下地を得れた横浜FC。
しかし堅守を誇ってきたチームが攻めの意識を強める事で、緩みが生まれるという危惧は健在であり。
33分には最終ラインに降りた小倉のパスがロペスに引っかかり、あろう事かエリア目前からのショートカウンターという危機が生まれかけましたが、ロペス→天野へのパスがズレて命拾い。
直後の34分、気を取り直して右から前進を図った所、山根永の1タッチでの縦パスが鈴木冬にカットされる(その後遠野が左奥に切り込んだ事でコーナーに)という具合に繋ぎの精度が乱れ。

そして37分、後方から山根永のスルーパスで一気に好機を作らんとするも、ズレた事で逆に渡邊泰の裏へのロングパス一本でマリノスの好機に。
低い弾道で最終ラインを突いたボールを入れ替わりで受けたロペス、そのまま素早くシュートに持っていきましたがGK市川がキャッチ。
ボール保持の局面から、一発でひっくり返されるリスクは横浜FCサイドも変わらない、という警告のようなフィニッシュ。

お互い好機に持ち込めない時間が多くなり、迎えた終盤。
アディショナルタイムの最中、もうすぐ終了という所で小倉が渡辺皓に倒されて反則。
これで左ワイドからのフリーキックを得た横浜FC、キッカー福森のクロスはファーで跳んだ櫻川に合わずも、クリアボールを拾って二次攻撃ならびに前半最後の攻撃。
右サイドでの攻防からパウロが強引に切り込み、右ポケット奥を突いてのグラウンダーのクロスが中央に入り。
クリアが小さくなった所を新保が拾い、ディフェンスに遭いこぼれたボールが櫻川の足下へ転がる、文字通り決定機が転がり込みます。
しかし櫻川のシュートはふかしてしまい枠外となり、これを逸してしまった横浜FC。
悔やまれる絵図の刹那、前半終了の笛が鳴り響きました。

ともにハーフタイムでの交代は無く。
次第に好機の数でも押され気味という嫌な流れのマリノスですが、この段階では動かず。

しかし動かざる事山の如く……とは意味合いが違いますが、その流れを変えられずに入りから横浜FCの押し込みを受け。
セットプレーを与えては、J2トップクラスの脅威と成り得た福森の左足から上げられるチャンスボールで脅かされるシーンの連続。

その福森ですが、後半4分のマリノスの攻撃の際、井上のスピードに振りきられた末に後追いの反則を犯してしまい警告を受け。
ストロングポイントと弱点(スピードの欠如)は紙一重という存在なのは変わらず、今季横浜FCが生き残るための課題となるのは避けられないでしょうか。

それでも相変わらず横浜FCペースは続き、敵陣深めでは山根永のロングスローも駆使しながらゴールに辿り着かんとし。
9分の左CKから、福森のクロスがファーで櫻川の足下に合わせるボールとなり、その直前でクリアに遭うもこぼれ球を新保がミドルシュート(GK朴キャッチ)と得意のセットプレーも冴え始め。

一向に好循環が巡ってこないマリノス。
横浜FCの決定機を凌ぎながらの攻撃を余儀なくされ、その内容も相変わらず井上や鈴木冬がアーリークロスを入れるという、手段の欠如に悩まされ続け。
そのクロスにロペスが跳び込むも合わずと、絵的には紙一重のシーンも生まれますが、それまでの過程という面では課題が山積みであり。
そして13分、たまらずベンチが動き遠野・天野→マテウス・植中へと2枚替えを敢行します。(マテウスが右サイドハーフに入り、井上が左SHに)

日程面で不利とはいえ、温存しているビッグネームが今後次々と投入される展開は相手にとって嫌であり。
対する横浜FC、この日は互角以上に渡り合っているとはいえ、J2上がりのチーム故にその圧力に屈する流れは避けられなかったでしょうか。
14分、マリノスの前進に対し必死のディフェンス、駒井が井上を倒してボール奪取するも反則無しとなった事で反転攻撃に。
山根永が右→左へのサイドチェンジを通し、受けた新井がカットインでポケットを突き、フェイントを絡めて鋭いクロスを中央へ送り。
これをGK朴が弾いた所にパウロが果敢に詰めにいくも、勢い余って鈴木冬をチャージする形になってしまい、これは流石に反則で終了。
16分に今度こそマリノスの攻撃、敵陣でのポゼッションを経て井上が左奥からカットインを見せると、山根永に反則を受けてFKに。
焦りからか、ここに来て反則が目立つ試合展開を強いられます。
直接狙っても良い位置(左ハーフレーン・エリアからすぐ手前)でしたが、キッカーマテウスはクロスを選択するもファーで跳んだロペスには合わず。

再び敵陣でのボール保持の時間を増やすマリノス。
植中がトップ下として動き回り、間を通す縦パスを受けにいく事で崩しを図るものの、フィニッシュには繋げられず。
再びスタンドの苛立ちが高まりかねない流れの中、25分に再度交代を敢行します。(井上・渡辺皓→エウベル・クルード)
同時に横浜FCも、小倉・山根永→ユーリ・鈴木準へと交代。

直後の26分、センター付近で横浜FCのパスミスが生まれると、エウベルがすかさずエリア内へのミドルパスで植中を走らせ。
跳ね返りを拾ったロペスが果敢にシュートしますが、山﨑が頭部でブロックと気合のディフェンスで防ぎ。
逆に28分、横浜FCの攻めが途切れた所、クリアボールを拾ったマテウスが新保の反則気味のアタックで奪われ。
そして倒れた所、反則と思い込んでボールを掴んでしまったのが仇となり、ハンドならびに警告を受ける始末。
おまけに直接FKの好機を与えるという具合に二重三重の被害と、「新基準のジャッジ」に襲われるという絵図も、緊迫の展開のなか脇に置かれる事となり。
当然蹴るのは福森でしたが、先程のマリノスのFKと似た位置(左ハーフレーン、エリアからはやや遠い)で直接狙える位置ながら、彼もクロスを選択するに留まり結局モノにならず。

その後マリノスがボール保持を続けるも崩しきれないという、前半立ち上がりの流れを踏襲する展開に入り。
防いで反撃に入らんとする横浜FCに対し敵陣で遮断し継続となっても、素早い横浜FCの戻りに対しどうにもスピードを高められず。
39分に山根陸のボール奪取で再攻撃するも、ショートカウンターは仕掛けられず、エリア手前での繋ぎを経て鈴木冬のクロス。
跳ね返りをマテウスがヘッドで繋ぎ、エリア内で収めたロペスがシュートするも山﨑がブロックと、最後の固さも立ちはだかる展開に。
その苛立ち故か、40分には横浜FCの右スローインを、あろう事か腕で直接妨害するという蛮行に出てしまったクルードが警告を受ける事態も生まれます。

41分に両軍最後の交代を敢行し、マリノスは鈴木冬→永戸。
横浜FCはパウロ・新井→小川・村田へと2枚替え。

その後横浜FCが、鈴木準のロングスローを駆使する形振り構わない姿勢を見せるもゴールは奪えず。
その流れを切ったマリノス、45分にエリア手前でサイドを動かしながらの繋ぎを経て、左ハーフレーンからエウベルがミドルシュートを選択。
しかし再びユーリが顔面でブロックと、気合いの守備を見せる横浜FC。
これでATに突入し、ユーリが治療→ピッチ外となっているうちに再度ゴールを狙うマリノスと、混沌とした状況に。
攻めが続いている最中にユーリが復帰するも、マリノスは右から松原がアーリークロスを送ると、手前でのロペスのフリックを経てクルードがヘディングシュートに持ち込みます。
しかし威力に欠けてGK市川にキャッチされ、どうしても破る事が出来ず。

その後最後までボール保持を続けたものの、結局ゴールに至らなかったマリノス。
スコアレスドローに終わり、両軍意地の張り合いというよりは、マリノスの不完全燃焼ぶりが勝る格好となってしまったでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J3リーグ第2節 高知ユナイテッドSCvsガイナーレ鳥取

2025-02-27 16:01:34 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

高知ベンチメンバー=黒川(GK) 小林大智 深川 鈴木 佐々木 杉山 岡澤 新谷 三好

鳥取ベンチメンバー=寺沢(GK) 田中 大嶋 丸山 常安 金浦 富樫 半田 ダッジィ


「四国のJクラブの空白を埋める存在」として、前年悲願のJ参入に辿り着いた高知。
この日晴れてホーム(高知県立春野総合運動公園陸上競技場)開幕戦と、結末はともかくとして未来の自身の光景を想像するには格好の舞台を迎えました。

しかし今オフの動きはかなり衝撃的で、悲願の昇格に導いた吉本岳史監督が退任の運びとなり。
J参入とともに「S級ライセンスの無い監督がその座を降りる」のは割と良くある光景ですが、吉本氏は既に所得済みなためその例では無く。(新潟・樹森大介監督のヘッドハンティングとの事)
そのため選択せざるを得なくなった新監督が秋田豊氏だった事で、「前途洋々なJリーグ生活」とは一線を成す事態に陥ってしまった感があり。(あくまで自分の印象です)

その秋田氏は前年まで、岩手の社長を務めていた立場。
しかしJ2復帰どころか奈落へ真っ逆さまというクラブの進軍を止められず、まさかのJFLへの転落を招いてしまい。
そしてその岩手と入れ替わるようにJ参入を果たしたクラブへ就任する(おまけに岩手のGMだった神野卓哉氏もコーチとして同伴)とは、義理堅さとは無縁と言うべきか、ないしは生き残り術を駆使した結果なのか。

こうして、ある意味喜劇的な人事で初のJ3に挑む事となった高知。
救いは、監督としては秋田氏はそれなりに実績があり、J2昇格という結果も持ち併せている人材であり。
沈みゆく船からいの一番で……という表現は言葉が悪い気がしますが、心機一転して高知で腕を振るってほしい所ですが果たして。

この日の相手は、ボール保持が持ち味の鳥取。
しかし岩手監督時代の秋田氏にとって、「中途半端なポゼッションを繰り広げるクラブ」は得意としているものであり、問題はそれと同じスタイルを落とし込めているかどうか。
前半3分に早速、鳥取の後方からの縦パスがズレた所を、福宮が縦パスを送り返す形でショートカウンターに。
受けた東家がエリア内へ切り込みシュート、二階堂にブロックされるも左コーナーキックと、早くもそのボールゲイン重視のスタイルを見せ付け。
手応えを得た高知、7分にも鳥取のパスミスを拾って素早く好機に持ち込み、右奥へのスルーパスを受けた東家が溜めを作ってバックパス。
すると上月がクロスのようにゴールに向かうシュートを放ち、GK高麗が辛うじてセーブ。
高知という異国?の地でも、秋田氏の理想のサッカーは健在といった立ち上がりに。

それにより数多得たCKでは、ゾーンで守る鳥取サイドに対し、GKを囲むように選手配置するなど様々な手でモノにする意思を貫き。
12分の左CKでは、キッカー上月がニアに狙ったクロスが、そのまま左ポストを直撃して跳ね返り。
そしてそのボールをダイレクトで再度クロスした上月ですが、「キッカーが連続してボールに触れる」反則に引っかかるという何ともレアなシーンで終わりました。

枠を叩くという絵図で、冷や汗を掻いた鳥取。
ここから目を覚ますかのように、あくまでボール保持に徹し秋田の前線の守備に対抗します。
秋田2トップの間に曽我が立ち、その背後の前線五角形の中を藤田が利用するというドイスボランチの立ち位置。
この2人のボールタッチで相手に中央を意識させ、前進の下地を作るという攻撃で高知の勢いを削ぎに掛かり。
迎えた16分、一転して最終ラインから左へ展開すると、そんな意識故に高知はウイングバック(上月)が食い付かざるを得ない状況に。
そして河村戻し→温井ロングパスでその背後並びに左ポケットを一気に突きましたが、走り込んだ河村の前で田辺がカバーして何とか防いだ高知。

高知の主体的な攻撃は、主に左サイドの水野を活かす手法。
前年の入れ替え戦(1戦目)で突破力を見せていた上月ですが、あの時はその左サイドに配置されており、「人により戦術も変わり……」では無い所にやや好感が持てるものだったでしょうか。
その上月の居る右サイドでは両シャドーのパスワークを絡めて奥を突きに掛かるという、左右非対称の体勢。
簡単なボールゲインが望めなくなった展開で、今後どれだけこうした攻めを深める事が出来るか。

試合の方は、24分に鳥取が右サイドへロングパス、相手の高知をインスパイアしたような小澤という槍を活かす手法に。
これがクリアされるもセカンドボールを拾って逆の左へ展開、普光院が上月に倒されるも藤田が拾ってアドバンテージとなり、河村から上がるクロス。
しかしヘッドで合わせた吉田伊はジャストミート出来ずと、折角のフィニッシュシーンを活かせません。
このシーンでクリアした水野が小澤との交錯で痛んだ(無事に続行)事により、やや停滞する試合展開。

それを動かしたのはやはり高知のボールゲイン。
しかし、35分に福宮が敵陣左寄りでカットしたものの、中央への須藤のパスがカットされてすぐさま鳥取のカウンターと逆に作用する破目に。
河村・温井を軸とした左サイドでの前進の末に、左ポケット奥を突いた温井のクロスが上がるもシュートは打てず。
38分にはまたも鳥取のカウンターが生まれる(河村がドリブルで左ポケットを突くも止められる)という具合に、高知のショートカウンター狙いが混沌ぶりを招く格好となります。

立ち上がりの劣勢ぶりは払拭するに至ったものの、ポゼッションスタイルの悲しき性かシュート数が膨らまない鳥取。
逆に44分、ゴールキックでロングフィードを選択すると、ターゲットの吉田伊を越えて棚田に収まるという幸運からの好機。
そして左ワイドでの(普光院の)ボールキープから再度持ってカットインする棚田、中央バイタルエリアから藤田のミドルシュートに繋げます。(枠外)
一転してアバウトな手法からのフィニッシュと、前半最後はややあべこべに映ったような好機で締められ。

スコアレスで前半を終えると、ハーフタイムで高知サイドが動き。
故障上がりの東家(放送席の談)を45分で交代させ、入れ替え戦(2戦目)のヒーロー・新谷を投入する運びとなりました。

始まった後半、先手を取ったのは鳥取。
後半3分に高知が仕掛けるも、水野のスルーパスをブロックして藤田が拾うと、高知のゲーゲンプレスをいなして前進に持ち込み。
そして例によって温井と河村のコンビで左サイドを推進し、左奥から温井がシュート気味のクロスでゴールを狙うもGK大杉がキャッチ。

しかし後半に入りギアを上げる高知に対し、どうプレスをいなすかが再び課題となる鳥取。
その間にあらゆる手で好機を量産する高知、5分に右から上月がロングスローを投げ込むと、セカンドボール確保ののち再度回ってきた上月。
そしてカットインからのクロスと見せかけて中央へ送り、受けた工藤のミドルシュートがグラウンダーで襲うも、GK高麗のセーブに阻まれ。
右CKで継続し、キッカー上月はニアに低いクロスを選択すると、新谷が足で合わせましたがサイドネット外に終わり。
HTに続き、11分にも高野→佐々木へ交代と、素早い采配で運動量ならびにペース確保に努める秋田監督。

それでも鳥取は、10分にも前述のようにゲーゲンプレスをかわしての好機に持ち込む(左から普光院のグラウンダーでのクロスが防がれる)など屈する姿勢は見せず。
すると13分、鳥取のパスワークでの前進に対し曽我にアフターチャージを犯してしまった須藤が反則・警告。
後追いディフェンスという形でリズムが悪くなると、直後の14分にはハイボールの競り合いで小林心が永野と頭部同士激突する形でこれも警告対象となる反則に。
これで得た鳥取のフリーキック、右サイド遠目からという位置でクロスの跳ね返りを拾って2次攻撃。
再び右から普光院のアーリークロスが上がると、誰も触れず中央でバウンドの末に、二階堂が足で合わせたもののミートしきれず枠外に。
ディフェンスの拙さが、失点に直結しかねない流れも生まれかけます。

それを払拭すべく17分にさらに動く高知ベンチ、工藤・須藤→岡澤・三好へと2枚替え。
依然として鳥取に好機を許す(19分には河村のドリブルを吉田知が反則気味に止める)流れから、自陣での右スローインで上月が裏を突いた事で綺麗に入れ替わり。
抜け出して受けた小林心のクロスで右CKを得ると、ここから怒涛のフィニッシュを浴びせます。
キッカーは(上月から)投入された岡澤に代わり、ニアに低いクロスを入れると三好の潰れでこぼれた所を新谷がシュート。
ブロック→クリアで防がれるも二次攻撃を仕掛け、またも岡澤が右からクロス、新谷のヘッドで浮き上がったボールをさらに追撃せんとするもGK高麗が掻き出し。
しかし跳ね返りを岡澤落とし→田辺レイオフとさらに繋ぎ、福宮のミドルシュートを炸裂させましたがこれもGK高麗のセーブに阻まれ2本目のCKに。
この左CKからも、ファーでの吉田知の折り返しを拾った岡澤が自ら左ポケットへ切り込んでクロスをグラウンダーで入れ、新谷が合わせた事でフィニッシュに繋げ。(河村がブロック)
尚もCKは続いて4本目、例に寄ってクロスの跳ね返りを吉田知折り返し→三好ヘディングシュートと繋げましたが、GK高麗が今度はキャッチしてようやく攻撃終了となりました。

鳥取が防ぎきりホッとしたのも束の間、直後の24分に決定機を迎える高知。
(ラフなロングボールを送ったのちの)敵陣右サイドでの三好のカットからといかにも高知らしい起点で、小林心のドリブルは鳥取ディフェンスに阻まれるも、上月が拾ってカットインからクロス気味にミドルシュート。
これをGK高麗がキャッチできず、眼前にこぼれた所を拾った小林心がシュートするもこれがオフサイドに引っかかり。
シュートはゴール寸前で永野がブロックし、さらに新谷が追撃してゴールに突き刺しただけに、無情のノーゴール(厳密には違う)と悔やまれる一幕となり。
救われた格好の鳥取、直後にベンチが動き河村・棚田→田中・半田へと2枚替え。(小澤が左WBに回る)

これで前線の3人(半田・普光院・吉田伊)は、いずれも前秋田という顔ぶれに。
パワーサッカーにはパワーサッカーで……といった思考があったかどうかは不明ですが、以降繋ぎが乱雑となる副作用も生まれ、全く冴え渡らないボール保持。
好機はいずれも、高知よろしくパスカットからの素早い運び、相手スローインをカットしてのものに終始します。
中々好循環を生み出せないまま、34分に藤田→丸山と再びカードを切り。

一方高知は35分に最後のカードを切り、水野→杉山へと交代。
これで上月が前年のポジションである左WBへと移り。
36分に吉田知ライナーでロングパス→杉山ポストプレイから右サイドで前進し、小林心が右ポケットからグラウンダーでクロス。
これを新谷がスルーした奥で上月が走り込む(ディフェンスに遭い撃てず)という具合に、弄った両翼を絡ませる攻撃。
しかし時間経過によるオープンな展開らしく、2トップ・2シャドーを活かした速攻のシーンがメインとなり。

鳥取も40分に曽我・吉田伊→常安・富樫へと2枚替え。
普光院が曽我の居たボランチに回った事で、前秋田勢は半田1人となった1トップ・2シャドー。
41分にロングパスの跳ね返りを普光院が拾っての好機、そのまま勢いをもっての前進の末に常安が左ポケットからカットインを経てシュート。(福宮がブロック)
このCKからは高知のカウンターに繋がり、クリアボールを落とした上月が自ら拾って前進に入るという具合にオープンぶりはさらに高まり。
上月から受けた小林心がエリア内へ切り込みシュートするもGK高麗がキャッチと、何度も撃つもののどうしても点が取れない高知。

するとアディショナルタイムも目前の45分、鳥取に決定機。
左での前進に入り小澤が突破ののちカットイン、そのまま入れられたグラウンダーでのクロスで、中央ややファー寄りにはフリーの常安が。
しかし半田がその手前で戻って受けて撃ちにいった事で、威力の無いフィニッシュになってしまい(入れ替わりに前に出た常安に当たる)決められません。
ストライカー故にどうしても「俺が俺が」という思考に陥るのは仕方ありませんが、視野と周囲の使い方を向上させなければ(秋田への)帰還は難しい、というようなワンシーンでした。

突入したATでは、既に運気の無い鳥取を尻目に、ひたすらゴールを目指す高知という展開に。
中盤で佐々木がパスカットし、そのままドリブルに入るというショートカウンターと、高知ならびに秋田氏らしさ全開で決定機を迎え。
左ポケットへ送られたパスに、走り込んだ新谷がシュートしましたがこれもGK高麗のセーブで防がれてしまい。
最後まで高麗の壁を破る事が出来ず、という展開を強いられました。

結局0-0のまま、試合終了の時を迎えて引き分け。
ともに勝ち点1、特に高知の方はJリーグ初の勝ち点を得たものの、内容が内容だけに勝利出来た試合(シュート数は16対3)でもあり。
念願と願望が混ぜ合わされた事で、さらなる向上が齎されるでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 水戸ホーリーホックvsモンテディオ山形

2025-02-26 16:00:40 | サッカー視聴記(J2)

<水戸スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 森村(阪南大)の加入が決定。スピードが特徴のMFという事でサイドアタッカーか。
  • 齋藤はU-20代表に参加のため離脱中。
  • 大崎の負傷が発表され、2/4に発生したとの事で全治は未発表。
  • 村田の負傷が発表され、2・5に発生(以下同文)
  • 来季加入内定の嵯峨(立教大)が特別指定選手となり、開幕節から登録される。
  • 開幕前の負傷者の発表は、芦部の1人。

<山形スタメン>

  • 川井は前年からの持越し(PO準決勝で暴力行為による退場)で3試合出場停止の2試合目。
  • 開幕前の負傷者の発表は、南(1/22、全治約8~10週間)の1人。

厳しい残留争いを制し、今季もJ2に生き残った水戸。
岡山がJ1昇格を果たした事で、唯一の「J2のみ経験のクラブ」とも化し。
その殆どがボトムハーフに終始しているという成績もあり、残留力を盾としながら浮上のチャンスを伺う立場。

前年途中に就任した森直樹監督が、開幕から指揮を執る今季。
システム変更も駆使しながらチームを建て直し、「監督交代は成功だった」と無事に大団円を迎えた昨季。
しかし降格した3クラブ(群馬・鹿児島・栃木)はいずれも監督交代を行ったクラブであり、そういった評論は単なる生存者バイアスな気がしないでも無く。
自分としても、前年ホームで観戦したクラブなだけに今後が気になる所ですが、今季は4-4-2の布陣で新たなスタートを切り。

前年は9人の新人のうち、スタメンは長尾1人。
その後2節からスタメン定着した牛澤をはじめ、徐々に序列を上げた選手が生き残りを果たしたという編成上の印象。(途中でレンタルされ、出戻った内田は例外)
そして今季は7人(開幕直前に森村が加わる)のうち、板倉・川上・山本の3名が開幕スタメン。(といっても山本は特別指定の前年で11試合出場)
着実にウェイトが上がっているその状況は、スカウト能力の向上か、あるいは排出スピードを上げないと上位カテゴリないしは海外の食指に掛かるが故の危機感か。
ともかく、早期に陣容を固める事で今季こそ成績面でも成功という結果を出したい所でしょう。

冬季のオフを経て、やや放牧的な状態に見受けられたケーズデンキスタジアム水戸のピッチ。
その影響か地上で繋ぐスタイルの山形に乱れが生じ(おまけに前半は向かい風)、前半2分に西村のGKへのバックパスが短くなった所に渡邉新太が走り込む絵図に。
前に出たGK長谷川が先んじて振れるも、こぼれ球を左奥で山本が拾い継続(その後中央への戻しがカットされる)と、いきなり冷や汗を掻く事となった山形。

逆に水戸は、これにより前向きとなり相手の弱みに突け込む姿勢を徹底。
次に標的としたのは、今季初スタメンとなった大ベテラン・山田だったでしょうか。
前年の快進撃を左サイドバックとして支えるも、プレーオフでは岡山の屈強なプレッシングと球際に屈する形で、ボールロストで弱点となっていた山田。
それをスカウティングしていたのか、彼と相対する津久井が果敢に仕掛ける事で山形ディフェンスの押し込みを図った全体となりました。

一方その形まで繋げるという段階ですが、山形はパスミスでのロストが目立ち、水戸がビルドアップを考えるまでも無く敵陣での攻撃スタートが多かった立ち上がり。
敵陣でのポゼッションは、左の山本が突破をチラつかせたうえでの半円でのパスワークで、山形ディフェンスを右へと寄せた末に津久井に届ける攻め手を徹底。
津久井への対応に難儀する山田とともに、全体劣勢と化する事となった山形。
その攻勢に入る前に、津久井自身も5分の右コーナーキックで(キッカー大森のクロスから)ヘディングシュートで決定機を作った(GK長谷川がセーブ)事により高揚感を得たのも幸いした感があり。

ビルドアップの失敗の連続により閉塞感に包まれる山形。
14分には最終ラインからの縦パスを川上が前に出てカットし、すかさずエリア内へスルーパスとショートカウンターを招き。(左ポケットで受けた山本がシュート、西村がブロック)
止むを得ずロングボール中心の配球に切り替えるも、水戸のプレッシングを避ける以上の効果は得られず。
それに伴い、水戸のボール保持の時間が長くなり。
山形は16分、敵陣左サイドでのパスカットからの戻しでようやく保持らしい保持の絵図を作りますが、ここも高江が1タッチでロングパスをラフに裏に送るというアバウトな前進。
しかしこれをイサカがエリア右角で受け、ボールキープからの戻しを経て後方から國分がミドルシュート。(板倉がブロック)

これを切欠に糸口を掴みたかったものの、以降水戸のビルドアップを阻めない事で萎んでいき。
最終ラインからのパスワークの最中、山本が降りて出口役を務めるという定番の前進法が主でしたが、立ち上がりに押し込まれた影響か連動性を欠くプレッシング。
それ故彼を掴まえる事はままならず、益々前述のような右に寄って左が開く状態を許してしまいます。

26分までに8本ものCKを獲得と、水戸優勢は明らかな流れ。
その後左から山本中心に前進の姿勢→戻しを経て対角線のパスを津久井に通す、という手法で止めが刺されます。
28分に板倉のロングパスを受けた津久井、そのまま右奥からカットインでポケットを取りグラウンダーでクロス。
クリアされるも再度拾って保持を続ける水戸、またも山﨑がミドルパスを津久井に通すと、今度は飯田とのワンツーで奥を取りに掛かり。
パスコースに山田が立ちふさがるも、反応良くその手前で触れる事で無効化した津久井、そのままカットインを経て果敢にシュート。
GK長谷川のセーブを弾き、強烈にゴールネットを揺らしました。
ものの見事に、当初の狙いを徹底した成果が齎された水戸。

一方殆ど流れを得られないまま、追う展開を余儀なくされた山形。
性根入れてポゼッションを高めに掛かりましたが、どうにも巧くいかないビルドアップ。
前節(大宮戦、1-2)から最終ラインの顔が変わり、かつ両ウイングの位置が入れ替わった影響は小さくなかったでしょうか。
山田のスタメンとイサカの右サイドへの転換により、左肩上がりの形へとシフトした事で、折角良い味を出していた野嶽が上がる機会が少なくなり。

水戸のプレッシングは、アンカーに位置する中村を2トップが切る布陣の下、その後方でドイスボランチが山形の縦パスを牽制する形。(ハイプレスはバックパスが選択された際に掛ける)
新加入の中村が動かない事が、逆に流動性の欠如に繋がってしまい。
他方片割れの高江が動き回り、ワイドで受けたり最終ラインに降りたりしたものの、改善には至りませんでした。
結局31~34分までの間、山形が保持するも好機には至らずという絵図が続き。

その後は水戸をインスパイアするかのように、左での繋ぎを経て対角線のロングパスを右のイサカに届けるという手法で何度かアタッキングサードを突き。
中心選手の土居も、ポジションチェンジを絡めて間でパスを受け続けるものの、コンパクトな水戸ディフェンスに風穴を開けるには至りません。
そのまま、ビハインドになって以降フィニッシュを放つ事無く前半を終えました。

山形にとって巻き返したい後半、選手交代は無いものの、前半からの調整は必須であり。
水戸のキックオフで始まり、山本が浮かせてからロビングという変わり種の初手を見せるも、直ぐに断ち切って反撃。
といってもこちらも高江のラフなロビング→ディサロフリックという手法で、そのまま勢いをもって前進して右奥でスルーパスを受けたイサカ。
これにより右CKを得ると、ショートコーナーから角度を付けた高江のクロスをファーサイドで山田が合わせ。(枠外)

立ち上がりはこうした、アバウトな攻撃の応酬という感じで推移。
山形は(野嶽の)ロングスローを使い始め、水戸は山形のパスのズレをダイレクトで前へ送り返すという縦に速い攻撃法が中心に。
その中で水戸は後半6分、右スローインから川上がポケットに推進する状況を作りクロス。
クリアされるも逆サイドで拾った大森、左ハーフレーンの位置からシュートとも取れるクロスをグラウンダーで送ると、中央で草野が合わせコースを変えたもののGK長谷川がキャッチし何とか防いだ山形。

そんな攻防が落ち着くと、追い掛ける山形が保持するという定番の局面に移り。
微調整の結果か、中村が広範囲に動くシーンが多くなり。
前半は中央の中村を通し、その周囲で動く高江を経由し前線に渡すという意図だった(想像)ものの、その逆のパターンで繋ぐ絵図を膨らませ。
しかし最後は、イサカに届けて右サイド奥を突かせるものでしか無く。
結局前半と同様、フィニッシュに繋げられない時間が続きます。

それでも、前半から守備での集中に事欠かなかった水戸の方が先に交代カードに手を付け。
19分に山﨑・草野→長尾・久保へと2枚替え、縦パスのコースを執拗に切る役割を担ったボランチ(山﨑)を交代させるという、消耗が伺える采配となり。

山形が攻めあぐねるなか、隙を見て追加点を狙う水戸。
22分、GK長谷川のフィードを牛澤がヘッドで跳ね返し、そのボールを浮き球のままダイレクトで前に運んでの好機。
渡邉新がスルーパスを左奥へ送り、走り込んだ山本のクロスがニアに上がると、入り込んだ久保がヘディングシュート。
GK長谷川が何とかセーブするも、これを機にカウンターともとれる水戸の鋭い攻めに手を焼く展開へ突入したでしょうか。

それを防ぐべくベンチも動き、24分に3枚替えを敢行した渡邉晋監督。
山田・土居・ディサロ→岡本・高橋・藤本へと交代し、開幕前は「山形史上最強」と噂された程の選手層を活かさんと采配を振るいます。

それでも、開幕戦に敗れ、この日もここまでビハインドという現実に襲われている状況。
無理矢理でも1点が欲しい所で、左サイドでも岡本のロングスローを活用と形振り構わない手段を取り。
そしてそれが事件を招き、その岡本が投げ入れたボールが跳ね返されると、深めで保持する水戸に対し左(水戸から見て右)へ追い込んだ末に安部が渡邉新から反則気味にボール奪取。
ここまでは「新基準だし……」で片づけられる絵図ですが、ここからパスを受けたイサカがカットインでエリア内へ切り込んだ所で、取り返さんとした渡邉新に引っかかる形で倒れてしまい。
しかし笛は鳴らず、両軍こぼれ球を確保せんとした所、今度は拾った安部が川上に倒される絵図が生まれましたがこれも反則無しに終わります。
すると山形サイドは反則ならびにPKを総出でアピールする事態になり、対する水戸サイドもGK松原が「最初の安部のチャージが反則」という意図の下いきり立ち。
かくして両軍から抗議を受ける状況となってしまった主審(山下良美氏)も大変だな……といった傍らからの感想ですが、今季から取り入れられた「新基準」をどうにかしなければ……という思いは今後も付き纏う事でしょう。
PKか否かの部分は従来通りの悩ましいジャッジですが、安部のボール奪取があった故に埋め合わせのように笛を吹かないという選択が採られた可能性が大きく。

双方ともヒートアップしたまま山形の左CKで再開するも、得点どころか水戸のカウンターを招くという具合に冷静さの欠如は明白となり。
そして水戸が敵陣深めでの左スローインを得る(30分)と、今度はこぼれ球を拾った山本がカットインでエリア内を突かんとする所を野嶽に倒され。
しかし反則の笛は鳴らず、逆に倒れてボールを抱え込む格好となった事でハンド、それによりまたも猛抗議を余儀なくされた水戸サイド。
納得出来ない心境は理解できるものの、逃げきる側故に落ち着きたい所であり、ベンチはすかさず交代カードを切って(山本・渡邉新→沖田・奥田、津久井が左サイドハーフに回る)それを果たさんとします。
一方山形も33分に2枚替えを敢行、両WGを揃って入れ替え(イサカ・國分→氣田・坂本)てカードを使い果たし。

ここからは冷静さを取り戻した側が勝つ、という判り易い展開となったでしょうか。
再び水戸の敵陣深めでの左スローインで再開し、久保の胸での落としを受けた津久井が左ポケットに入り込んでボールキープ。
ここは奪われるも、その後も山形の攻撃を跳ね返し続けたのち、深めへと持ち込んでスローイン攻勢と相手の時間と余裕を奪いに掛かり。
40分に自陣で沖田のボール奪取からカウンター気味に運び、津久井が左ハーフレーンを直進してミドルシュート。
ブロックされるもクリアボールを川上が拾うと、そのまま左コーナーまで持ち込んでボールキープと、逃げきりの意思を高めます。
直後に奮闘してきた津久井が足を攣らせた事で、最後のカードを使い。
鷹啄を投入し、彼を中央センターバックに配置した5バックシステム(3-4-2-1)へシフト。

これを境に、山形がひたすら攻勢を掛ける展開へと移りましたが、時間との勝負なのは明らかであり。
これまで貫いてきたポゼッションの意思も時にはかなぐり捨てる事が求められ、41分には高江が直接エリア内へのロングパスを送り、藤本を走らせた事でCKをゲット。

最大の好機は42分の右スローインからで、野嶽がロングスローと見せかけ短く入れ、リターンパスをフリーで受けたのちクロスを入れる絶好機に。
低い弾道で入ったこのボールを、キャッチにいったGK松原が弾いてしまい、すかさず中村が詰めてゴールを奪わんとします。
松原を掠めるもその後方で板倉が掻き出し、それをさらに右ポケットで野嶽折り返し→高橋シュートと繋ぎ。
完全に決まったというこのフィニッシュも、板倉のブロックで寸での所で防がれてしまいます。
方や大ピンチを凌いだ水戸、今季初勝利は目前という状態に。

アディショナルタイムに入ると、西村を前線に上げパワープレイに賭けるしか無くなる山形。(中村も前線に位置取り)
エリア内左へと上がった高江のロビングを、西村が競り合いこぼれた所を中村がヒールで前に送り、藤本がそのままダイレクトでシュート。
しかしこれも水戸ディフェンスの壁に阻まれ、万事休すとなりました。

1-0で試合終了となり、無事逃げきりを果たした水戸。
クラブの入れ替わりが激しくなった中、J2の大ベテランともいえる経験を活かし、早期に安全圏確保といくでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 ロアッソ熊本vs北海道コンサドーレ札幌

2025-02-25 16:00:45 | サッカー視聴記(J2)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 従来の3-3-1-3からマイナーチェンジ。イメージ的には、前年最終節の途中から見られた3-3-2-2(3-1-4-2)が判り易い。前節(長崎戦、2-3)から小長谷⇔渡邉のポジションチェンジで、トップ下システムを絡めた3-1-4-1-1と見る。
  • 負傷者と体調不良者の影響らしく、開幕から一貫してベンチメンバーは7名のみの登録。
  • 大西の負傷が発表され、2/8に発生して全治約4週間との事。
  • 開幕前の故障の発表は、松岡(1/8、全治約4週間)・袴田(1/12、全治約4週間)・黒木(1/24、全治約4週間)の3人。↓の通り、袴田と黒木は復帰済み。

<札幌スタメン>

  • 深井の負傷が発表され、2/15に発生したとの事で全治は未発表。

J2に復帰して4年目となる熊本、率いる大木武監督も今季で6年目。
主力の大幅な引き抜きに遭っても、依然として一定の地位を保っているのは見事の一言ですが、さらに上を目指すには新機軸が欲しい状況にも見え。

そんな訳で手を付けたのがフォーメーションで、前シーズンの最終盤でも取り入れられた形を本格導入。
つまりは、従来のウイングバックがインサイドハーフと化し、アンカー上村とのトライアングルを作り。
そしてウイングが下がり目となってワイドを埋め、トップ下の小長谷が上がり目となる事で、他クラブでも使われている3-3-2-2(3-1-4-2)の布陣がイメージされやすいものとなりました。
しかし今節は小長谷が左ウイングに回り、中央の渡邉によりトップ下の色が強くなるという具合にまたもマイナーチェンジ。

ちなみに前節は、長崎の個の力に対抗するためか、アンカー上村は殆どセンターバックの位置でプレイ。
守備時は4-4-2に近い布陣となり、5バック化する時はWGの片割れが降りるという具合に可変も極まれり。
この独特の「大木スタイル」がどう炸裂するのか、傍らから観ていても高揚感しかない今季の熊本ですが、まずは今節の札幌戦。

札幌のキックオフで始まるも、すぐに攻守交替したのち大﨑玲のクリアミスも絡んでいきなり好機。
渡邉・半代のポストプレイを立て続けに受けた小長谷がエリア内へ突撃してシュート(パクミンギュがブロック)と、開始30秒足らずでフィニッシュに辿り着き。
未だ視界不良な相手を他所に、早速鋭い槍で突き刺しに掛かります。

早くも後手に回り、相手のペースを断ち切りたい状況となった札幌。
6分に熊本のパスミスを拾った近藤から、敵陣で半円でのパスワークに入ったものの、中央から馬場→近藤へのパスを岩下にカットされて熊本のカウンターに。
渡邉とのワンツーを交えて左サイドを突き進んだ岩下、グラウンダーのクロスがGKとDFの間に送られ、半代が跳び込むも僅かに合わずとここでも鋭くゴール前を脅かし。
冷や汗を掻いた札幌、落ち着くためにもボール保持に勤しむのは必然となり。

前節(大分戦、0-2)では、前監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏のスタイルを継承したような形でのビルドアップの体勢を取っていた札幌最終ライン。
つまりは左右のCBがともに開いた所に、ドイスボランチの片割れ(ないしは両者とも)が降りてくるという、「ミシャ式」と呼ばれる形をそのまま採る絵図が目立ちました。
しかし同じ4バックへの可変としては、前回取り上げた大宮vs甲府のような、右肩上がりないしは左肩上がりの方策を採るクラブが多くなり。
即ち既に時代遅れとなりつつあり、かつCBがともに上がるというリスクの方が大きくなる「ミシャ式」とは、監督交代とともに決別すべきものと感じられ。
それが出来なかった以上敗戦は必然だった……という事で、流石に今節変えられる事となった基本形。
そしてスタメンを6人入れ替えたのは、既存の選手では対応できない(あるいはその転換に不満が噴出したか)という判断の下と邪推します。

こうして、武器である右WBの近藤を活かすような右肩上がりのシステムが採用されたこの試合の札幌。
しかしそれに伴い、サイドバック化するのは右CBで起用された西野。
彼は単なるSBに留まらず、ワイドを張る近藤の内側を駆け上がり時には最前線にまで行ってしまうというのが、「攻撃サッカー」の継承が色濃く出たものとなっていたでしょうか。
おかげで近藤も得意の切り込みを続けるというよりは、右奥を伺いながらのパスワークで、全体としてポケットを突く立ち回りに徹していた感があり。

そんな、ボールは握るものの今一つ流れに乗れない相手を尻目に、独自の攻撃を続ける熊本。
12分には再び岩下が持ち上がる事で左サイドを前進、小長谷→渡邉と経由しポケットを突いた末に渡邉から入れられるグラウンダーのクロス。
ニアに走り込んだ半代が合わせるも枠を捉えられず。

対する札幌も保持を軸としながら、18分にようやく近藤が右奥をドリブルで突く攻撃。
そして熊本よろしく入れられたグラウンダーのクロスを、ニアで田中克がスルーしたその奥で、1トップに選ばれた中島が合わせシュート。
しかしゴール右へと外れ、暗雲を吹き飛ばすべくの先制点は生まれません。
それでも時には中島狙いのアーリークロスを交えながら、何とかリードを奪わんとする札幌。

しかし確固たるスタイルが完成しつつある熊本、相手の攻めに晒されてもその進軍にブレは無く。
24分にGKからの保持で、右サイドで豊田がプレッシングを受け、札幌の3人に囲まれる状況になるもかわしきって前進する豊田。
そして例によって左サイドに渡ると、小長谷がカットインでポケットに切り込んでシュート、馬場のブロックで防がれたのちも苛烈な二次攻撃。
三島の戻しを経て、上村が放った強烈なミドルシュートがゴールバーを直撃と、絵図的にも決壊は間近という好機に。
そして28分、今度は上村がロングパスで一気にエリア内を突くという手法で前掛かりな札幌の裏を突き、渡邉が右ポケットからまたもグラウンダーでクロス。
跳ね返りを拾った阿部が奥へ切り込んでここもグラウンダーでクロスと、徹底して貫いた末に待っていたのは、ダイアゴナルに走り込んだ小長谷のスルーを経て合わせた半代のプロ初ゴールでした。
新たな布陣と、そのために組み込まれた新人(半代・渡邉)の力が交わった末に、リードを奪う事に成功します。

またも追い掛ける展開となった札幌。
キックオフからの攻めで右奥へと送った(西野の)ロングボールにより、得た右コーナーキック。
ここからキッカー田中克の、強烈なカーブを掛けたゴールに向かうクロスが脅威と成り得。
このCKでは、誰も合わせられずにバウンドしたボールが混戦を招き、両軍入り乱れるなかGK佐藤優が何とか抑え。
以降前半終了までに得た4本のCKで、ひたすら上がる田中克のクロスに対し、GK佐藤優が何とかパンチングで掻き出すなどあわやの場面を頻発させます。

リードされて以降、近藤の切り込みを使う頻度も増えました(そのため防がれてCKへと繋がり)が、開幕前から警戒されている武器な以上相手ディフェンスを上回らなければ結果を出すのは難しく。
そして彼をサポートするべくの西野が勝手気ままに(そう見える)動く以上、後押しを得れない状況では彼一人に期待するのは酷であり。
一度、44分に近藤の反則気味のボール奪取(この試合も例によって中々鳴らない反則の笛……)から、西野ポケットへのスルーパス→走り込んだ近藤がクロスという連携を見せましたがクリアされて実らず。

そんな右サイドに比べて左が弱いため、最終ラインからの展開も右一辺倒、ないしはボランチ経由で中央から無理矢理崩しを図るものが多くなり。
また西野の事例から組織立った右肩上がりの感が無いためか、パクミンギュと田中宏が分断されたかのように映るのも流れが悪く。
2人の間にボランチを位置させなければ左から前進出来ない(ないしはロングパスを通す)、といった状況で、一週間での変節の影響がそこかしこに見られました。
結局1-0のまま前半終了となり。

このままではいけない、という事でハーフタイムに動く札幌ベンチ。
上記のような事を岩政大樹監督も感じていたのか、パクミンギュを退かせて中村を同ポジション(前節は左WBでスタメン)で投入します。

迎えた後半、キックオフの利点を生かして押し込む熊本。
後半2分に得たCK、その二次攻撃で(半代の)シュートにまで繋げる(枠外)と、守備のターンでも積極性を増し。
GK菅野から地上でのビルドアップを図る札幌ですが、3分に半代が札幌最終ラインに対してパスカットに成功。
こぼれ球がゴールラインを割ってしまい途切れるも、直後のゴールキックで菅野がロングフィードに切り替えるなど、札幌サイドの頭を悩ませ続けます。

そして4分、今度は熊本の最終ラインに対し札幌がプレッシング。
しかし豊田がロングパスを裏へ送ると、跳ね返りを拾った中村に対し半代が奪い、こぼれ球を拾った渡邉がドリブルで右ポケットを突き一気に好機を迎え。
下がりながらの対峙を強いられた大﨑玲に対し、カットインを意識させながらの右足のシュートでその逆を破りゴールを奪います。
半代に続き渡邉のプロ初ゴールと、目出度さ最高潮といった追加点に。

ここから札幌は、ビハインド時の例に漏れない「敵陣で保持を続けるも、フィニッシュに繋がらない」時間が膨らむ事に。
苦境なのは明らかですが、逆に主審の判定に対し、度々倒されても笛が鳴らないという「被害」が多くなったのは熊本の方。
ベンチの異議・スタンドのブーイングが重なる事で、盤石とはいかなくなる熊本のホーム・えがお健康スタジアム。

不本意ながらも、利用できるものは利用したい状況な札幌。
13分に田中克→中島へのスルーパスがカットされるも、すかさずゲーゲンプレスで近藤が奪い返して好機継続。
右奥からのカットインは阻まれるも、敵陣で長らくパスワークを続け、エリア内への(馬場の)ミドルパスの跳ね返りを拾った中村がシュート。(阿部がブロック)
15分には右ワイドで近藤が持つと、入れられたクロスがアウトスイングでゴール左を襲うボールに。
GK佐藤優を越えるも惜しくも左へ外れ、「フィニッシュに繋がらない」状況を必死で塗り替えに掛かります。
投入された中村も、逆サイドの西野のように激しく前に出て好機に絡むものの、結局「ミシャ式」のような両CBが前掛かりになるリスクと付き合う格好となるのが何とももどかしく。
(15分に田中宏・田中克→青木・スパチョークへと2枚替え、長谷川が左WBに回る)

判定面の不満もあり、流れを変えたい熊本。
ようやく取られた敵陣での反則(17分)で、素早いリスタートを選択する事でそれを果たさんとします。(左から小長谷がクロスもブロック)
落ち着きを取り戻すと、19分には敵陣右サイドでのポゼッションの最中、阿部が戻りながらボールキープ。
これで札幌ディフェンスを喰い付かせたのち、素早く豊田→小長谷と繋いでその裏を取ると、三島→藤井とさらに細かく繋いだ末に藤井が右ポケットからシュート。(大﨑がブロック)
リードならびに相手のベクトルの向きも利用した立ち回りを見せる、一体どちらが前年までJ1クラブだったのかと言いたくなる試合展開に。

窮地の札幌、24分に中島→サンチェスへと交代。
相手が4人交代したのを見届けると(当然ながら準備していただろうが)、熊本サイドも25分に動き渡邉・小長谷→竹本・塩浜へと2枚替え。
当初は竹本が左ワイドでしたが、のちに塩浜と入れ替わってトップ下へ。

札幌は、ポジションチェンジした長谷川を軸に左サイドからパスワークで攻める色を強め。
29分に巧く左ポケットを取り、スルーパスを受けて切り返しからシュートを放った長谷川。
しかし袴田のブロックに阻まれ、閉塞感の解消には至りません。
31分に早くも最後の交代を敢行。
西野→出間へと代え、馬場が右CBへ・青木がボランチへと五月雨的に移動が絡みます。

手は尽くした札幌ですが、以降それを嘲笑うかのように熊本がサイド奥を突くシーンが膨らみ。
そして前半と同じく際どいクロスで脅かされる事で、精神面でも擦り減らされてしまったでしょうか。
37分には最終ラインからの繋ぎのミスで竹本がボールカット、拾った半代が抜け出さんとするも中村に倒され、反則の笛は鳴らず。
しかし続く38分にも三島のパスカットから攻め立てる熊本、左ワイドからパスワークで、逆の右ポケットを突いた末に藤井がシュート。(中村がブロック)
最終ラインからの保持がままならない状況に陥り、試合も終盤へ。
(熊本は41分に藤井→ベジョンミンに交代)

それを打開すべく、42分にはパスカットしたスパチョークがそのまま自ら左ポケットまで切り込み。
そして入れられたグラウンダーのクロスを中央で出間がポストプレイ、放たれた近藤のシュート。
満を持してというフィニッシュでしたが、これも袴田のブロックで防がれ。
アディショナルタイムに突入後、今度は出間のスルーパスで近藤が右ポケットを取ってのグラウンダーのクロス。
ブロックを掠めるも中央のサンチェスに渡り、キープからの横パスを経てシュートを放ったのはまたも近藤。
先程よりも増しての決定的なフィニッシュでしたが、ゴールバーを直撃(跳ね返りを中村がヘディングシュートもGK佐藤優がキャッチ)と無情にも実りません。

すると頽れるかのように、直後の熊本の好機。
ロングボールを右サイドで収めたベジョンミンから、浮き球パスで中村の裏を取って生まれた好機。
ドリブルで右ポケットへ進入した半代の横パスに、走り込んだ塩浜が放ったシュートが、左ポスト内側を叩いてゴールネットを揺らします。
札幌にとって無慈悲なダメ押し点という他無いですが、ホームチームならびにそのスタンドの熱狂を最高潮とさせるものでもあり。

そして3-0のまま、試合終了を告げる笛が鳴り響き。
今季初勝利を挙げたのは熊本の方で、それも戦術が定まらない相手を翻弄し続けたという絵図でのもの。
今後に向けて大きな物語性を得た形となりましたが、悲願の昇格にまで辿り着けるかどうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 RB大宮アルディージャvsヴァンフォーレ甲府

2025-02-24 16:01:33 | サッカー視聴記(J2)

<大宮スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 市原はU-20代表に参加のため離脱中。
  • 前節(山形戦、2-1)負傷交代したゴンザレスはベンチ外に。
  • 開幕前に負傷が発表された選手は、中野、安光、オリオラ・サンデーの3名。(いずれも治癒期間は未発表)

<甲府スタメン>

  • ヘナト・アウグストの負傷が発表され、2/12に発生して全治約10週間との事。
  • 開幕前に負傷が発表された選手は、村上(1/26、全治約3ヶ月)・遠藤(1/24に手術、全治約2ヶ月)、柏(負傷では無く病、約3ヶ月の療養)の3名。
  • 来季加入内定の米陀(日本体育大)が特別指定選手となり、開幕から登録される。

レッドブルという、新たな力を得てJ2に舞い戻ってきた大宮。
年々先細りを余儀なくされ、前年にとうとうどん底(J3)で藻掻く状況にまで追い込まれる格好となりましたが、颯爽と現れた救世主により華麗に再浮上。
何処かの漫画のような流れですが、ともかく再びJ1を視野に入れる権利を得たと言っていいでしょう。
かくして迎えた開幕戦を劇的勝利で飾り、その視野をさらに広げる事に勤しむホーム連戦。

その救世主であるレッドブル。
外資による多大な予算の投入も、こと選手編成の面では前年から大きくは変わらず。
現実的な路線かつ、目に見えにくい所を充実させる事でクラブ規模を上げるといった立ち回りでしょうか。(参照記事
同県に選手をかき集めるタイプの赤いクラブが居るが故の反面教師か

大宮・甲府共に、攻撃時は4バックへ可変する形をとるのが特徴であった開幕戦。
大宮は左の泉・甲府は右の宮崎の攻撃力を活かすべく、その後方でそれぞれ下口・土屋がサイドバック化するのが基本となっていたビルドアップの形。
サイドは違えど、お互い考える事は同じといったクラブが相対する一戦となりました。

しかし基本布陣は3-4-2-1同士で、ミラーゲーム故に地上で繋ぐ余地は殆ど無く。
例によって空中でボールが右往左往する絵図が膨らむ事となり。
そして、強風という環境面の影響が強く出る展開を強いられます。(前半は大宮が追い風)

これを踏まえ前述の見所に繋げると、泉がチャンスエリアを突く状況を先に得た大宮。(前半3分、中央から細かなパスワークによる混戦を制して左ポケットからカットイン→ディフェンスに遭いコーナーに)
それにより地上から繋ぐ事を試みるも、対する甲府の前線がボールゲインを連発。
6分には小出のパスカットから右へ展開し宮崎に渡る状況に。
しかし遠目から中央へシュート気味の縦パスを送った宮崎、これが繋がらずに終わり。
ここは自身がサイド奥ならびにポケットへの進入を図り、チームに好循環を齎すような立ち回りをしてほしかった所。

そんな理由から、立ち上がりは若干大宮が優勢といった印象を受け。
すると12分、甲府はハイプレスを嵌めてガブリエウにロングパスを蹴らせる事に成功。
しかし風の影響か、豊川に対しノーマークという状態で悠々収めを許してしまうと大宮の好機に繋がります。
杉本の持ち運びを経て送られた左ポケットへのスルーパスに泉が走り込み、そのままクロスと見分け辛いシュートを放ち。
GK河田がセーブするも(茂木のクロスが跳ね返されたのち)二次攻撃を仕掛ける大宮、下口を経由しまたも左から泉が仕掛けてクロスと、徹底してストロングポイントを押し出し。
するとニアでの杉本のヘディングシュート、井上に当たり尚もゴールへ向かうボールをGK河田が何とか防ぐも、すかさず藤井がねじ込み。
波状攻撃をキッチリと仕上げ、先制点に辿り着きました。

自身の長所を貫けるチームは強く。
尚も14分、今度は泉がスルーパスの出し手となり、走り込んだ小島がディフェンスに遭うも左CKに。
キッカー小島のクロスはGK河田が跳ね返すも、小さくなった所を濱田がダイレクトでボレーシュート。
これが右ポストを直撃し、さらに杉本が追撃のシュートを放ちましたが、ゴール左へと外れてしまい追加点はなりません。
ともにウイングバックを活かす色が強いクラブ故に、泉が優勢となればこの展開はある意味当然であり。
お互いサイドが違う故に、泉と宮崎がかち合う状態なのも大きかったでしょうか。
22分には泉が宮崎を剥がしてのドリブルで左奥に切り込む(そのままポケットへカットインしてグラウンダーのクロス)という、その通りの絵図も生まれます。

一方で守護神に頼らざるを得ない苦境の甲府。
追い掛ける展開故に主体的な攻撃に舵を切りたい所ですが、この日は前述の可変は中々見せず、基本布陣のままの繋ぎが多くなる最終ライン。
大宮があまりハイプレスを仕掛けて来ないのもあり、ボールを握れる下地はあったもののそこからの前進に難儀します。
サイドで優位を取れないため、中央で無理矢理どうにかするという攻めも目立ち、27分には1トップ・2シャドーでの細かなパスワークでこじ開けに掛かり。
そして鳥海がエリア内へ切り込む(ディフェンスに遭い右CKに)という具合に、何とか反撃の芽を作らんとします。

中々波に乗れない宮崎に好機が訪れたのが29分。
大宮の攻めを切ってボール確保ののち、倒れながら繋いだ林田により運ぶ余地が生まれ、右ハーフレーンを推進する宮崎。
そしてそのまま強烈なミドルシュートが放たれましたが、GK笠原のセーブに遭い決められず。

今季のJリーグ全体の特徴ならびに懸念である、「反則が取られない」ジャッジはこの試合でも健在。
それとは無関係ながら、30分に空中戦で(土屋との競り合いで)痛んだ豊川が鼻から出血し、長らく治療を受ける事を強いられたのがその幕開けだったでしょうか。
38分、大宮ディフェンスに倒されながらもキープしようとした鳥海ですが、その際手に当ててしまった事でハンドを取られ。
こうしたシーンが膨らむ事で、観る側にもしこりを残すとなれば、「アクチュアリープレイングタイムを増やす」どころの話では無くなると思います。

終盤、甲府は最後方の小出のフィードにより右サイド奥にボールを送るという攻撃の流れを作り。
守勢になった大宮ですが、それを冷静に防ぎ、かつカウンターチャンスを狙うという立ち回りに移行。
しかしともに精度を欠く事で、豊川の治療で長くなったアディショナルタイム(目安4分)もフィニッシュは生まれず。
1-0のまま前半終了となりました。

得点のためにはやはりフィニッシュが必要なのは明白で、甲府サイドは宮崎のミドルシュート1本のみという点を重く見たでしょうか。
ハーフタイムで動き、レイリア→三平へと交代。
「カテゴリが上がったら通用しなくなった」という懸念と戦う立場のレイリアですが、そのために早く欲しい結果はこの日も出ずとなりました。

その甲府、後半最初の好機はやはり小出のフィードからで(後半1分)、その跳ね返りを林田がダイレクトでエリア内へ送った事でCKをゲット。
そこから、クリアボールを宮崎がミドルシュート(枠外)とファーストシュートを掴み。
5分には再び小出が右サイドへ向けロングパス、跳ね返りを拾っての前進に成功して大島がグラウンダーでクロス。
クリアされるも、拾った平塚が右からのカットインを経てミドルシュート。
GK笠原のセーブに遭うも、後半追い風を得たという要素もあり、反撃に向け上々な滑り出しを見せ。

一方の大宮、前半の好循環は影を潜め。
特に前半負傷させられた豊川は、前所属の京都時代を彷彿とさせるような、球際で止まる事が出来ないプレーを度々見せてしまい。
その度に、前述の判定面での懸念も膨らむとあってはムードが高まらないのも納得であり。
それとは無関係ですが、甲府は9分に大宮CKでのゴール前の攻防の際、茂木と交錯した事で頭部にチャージを受けてしまった三平。
これによりピッチ外で脳震盪チェックを受けるも、無事であり何とか継続。

試合の方は、12分にCKから宮崎がミドルシュート、ブロックされるも尚も繋いで二次攻撃。
そして後方から平塚が先程と似た位置でミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、遠目からながらフィニッシュを重ねる甲府。
宮崎と平塚しか撃てていない状況でしたが、15分にベンチが動くとその両名を退かせる采配を選択。
田中・中山陸をともに同ポジションで投入します。
やや不可解な采配ですが、平塚が前職(福岡)で故障続きだった事を考慮しなければならないという苦悩も感じられ。(宮崎の方も、頭部を痛めているのかフェイスガード着用で臨んでいた)

かくして勢いを自ら削ぎ落す事を余儀なくされた甲府。
防戦一方の状況であった大宮も、甲府のボール保持に対し前に出る守備を選択し始め。
20分辺りから敵陣でボールゲインを連発し、相手に考える隙を与えない立ち回りを見せます。
22分にはシルバのボール奪取からの速攻で、右からの茂木のクロスに対しニアで合わせにいった豊川。
しかしGK河田が飛び出し、交錯しながらも撃たせず何とか防ぎ。

24分に再度動く甲府ベンチ、大島→熊倉へと交代。
これで4人目で、対する大宮がまだ交代ゼロという状態であり、この泰然自若ぶりを何とか崩したいのは言うに及ばず。

しかし25分、度々反則を犯していた豊川が(土屋への反則で)ついに警告を受けた大宮。
この隙を活かしたい甲府、続く26分に最終ライン右サイドから細かなパスワークで中央へ向かって前進。
そして三平のポストプレイを経て熊倉がエリア内へ切り込む好機が生まれましたが、放たれたシュートは下口のブロックに阻まれ。
決められれば、この試合ならびに今後にも(熊倉の一本立ちに)期待が膨らむものに成り得たでしょうが……。

そして大宮もベンチが動く段階に突入し、29分に豊川を退かせる選択を採り。
中山昴を投入しボランチに入れ、シルバが豊川の位置にシフトする弥縫策。
前への意識が強いシルバ故に納得の采配ですが、以降5-4-1ブロックの際に、右サイドを固めるシルバが甲府の上下動のパスワークに釣られて隙を作るなど穴も見られ。

しかし長所の方が勝ったでしょうか、29分に中盤でボール争いを制した大宮、そのままトランジションで勝り左奥への裏へのボールに走り込んだ杉本のクロス。
グラウンダーで入れられたボールをニアでシルバがスルー、その奥で藤井が合わせたもののミートしきれずゴール右へと外れ。
これで流れが反転したか、甲府は33分に大宮の攻めを切るも、最後方からの作り直しに対するゲーゲンプレスであわやという場面が。
バックパスを受けたGK河田が泉に詰められ、奪ったボールが直接河田に当たってゴールラインを割りCKに。
この時間帯で、反撃の基盤となる最終ラインが乱れる事は避けたい甲府ですが、その意識も虚しく以降攻勢を作り上げる事は出来ず。

大宮は再度泉の跳梁の時が訪れ、36分にシルバとのスイッチで抜け出した泉から、左サイドからパスワークでポケットを突く攻め。
小島のグラウンダーのクロスは跳ね返されるも、すかさず拾った泉がカットインを仕掛けエリア内中央からシュート。
井上がブロックした跳ね返りを杉本が追撃(ゴール右へ外れる)と、前半同様のリズムが甦ります。

最後の泉の見せ場は41分、甲府のCKからのカウンターで、左サイドを前進するなか縦パス→藤井からのスイッチで受け直しさらに推進。
そして横パスで中央へ送るも、中山昴のドリブルが大きくなってシュートでは終われず。
直後にお役御免となった泉(関口と交代)、同時に茂木・藤井→浦上・富山と計3枚替え。
浦上が最終ラインに入る(左センターバック)事で下口が泉の居た左WBに回るという具合に、逃げきりの色を強めに掛かった長澤徹監督。
システム的に最も上下動をしなければならない(ように見える)泉ですが、ここまでの働きはJ2の場でも盤石という感じに映りました。

何とか1点が欲しい甲府、それ以前の39分に最後のカードを使う(鳥海→内藤)も、然したる効果は生まれず時計の針は進んでいき。
最終盤の45分、敵陣でのポゼッションを経て右から土屋がアーリークロス、ファーの内藤の前でクリアされるも左CKに。
ショートコーナーの選択ののちクロスがファーに上がり、土屋が折り返したボールが三平に当たり乱戦が生まれます。
三平のキープをGK笠原が掻き出し、尚も土屋のクロスのこぼれから中央で小出にチャンスが訪れましたが、放たれたシュートはミートしきれずクリアされ。
その後も土屋のアーリークロスが目立ったその甲府の攻めは、ようやく本来の「土屋がSB化」の形が取れたと見るべきか、ないしは尻に火が付くという状況で表すべきか。

突入したAT、大宮は最後のカードを使いシルバ→石川へと交代。
甲府は当然諦める事無く、大宮の左スローインを前に出てカットした土屋が反則を受け、ここに来て奮闘する土屋によりFKという最後のチャンス。
キッカー荒木のクロスが中央に上がると、内藤がフリック気味に合わせたその奥で、足から跳び込んでそのボールに合わせる三平。
しかしシュートは無情にも大きく上に外れ、最後まで決める事が出来ず終わりました。

結局、序盤の得点を守りきるというスコア上の形で勝利に辿り着いた大宮。
ホーム2連戦、また同時にレッドブルスタッフの御前試合という話題性でも、連勝というこの上無い滑り出しで締められました。
正直出来過ぎの感もありますが、このV字型回復の行方は、果たして1年での昇格という高みにまで繋がるかどうか。

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