※前回の秋田の記事はこちら(33節・磐田戦、1-1)
※前回の町田の記事はこちら(37節・いわき戦、2-3)
<秋田スタメン> ※()内は前試合のスタメン
- ライセンス剥奪による降格か、と揺れた問題は来季もJ1ライセンスという判定でひとまず保留の形のように決着。
<町田スタメン>
- 太田が今季限りでの現役引退を発表。この試合で今季初スタメンに。
- デュークが例によって、オーストラリア代表に選出されたためチームを一時離脱。
- 藤尾・平河がU-22代表に参加のためチームを一時離脱。(藤尾はその後故障発生で代表から離脱したとの事)
- 前試合(38節・甲府戦、3-3)で変更した3-3-2-2(3-1-4-2)のフォーメーションを継続。
一悶着あった末に、この日に埋め込まれる事になった代替試合。
一刻も早く消化したかった秋田に対し、ミッドウィークを避けてペースを保ちたかったという町田の思惑がぶつかり合った結果でしょうか。(あくまで推測)
悲願の昇格まであと僅かになった町田ですが、その歩みは急にスローとなり。
数字的にはあと2勝なのですが、直近5試合で僅か1勝(2分2敗)という成績が、それさえもクリア出来ないのでは……と不安にさせてしまいがち。
おまけにこの日は代表ウィークで、オーストラリア代表のデュークのみならずアンダー代表で2人(藤尾・平河)がチームを離れ、ベストメンバーを組めない状況となり。
過密日程は避けられたものの、その代償も受ける事となりこの試合に臨みました。
開始1分で町田が、ラフな縦パス→ポストプレイを経て宇野が遠目からダイレクトでシュート。(枠外)
直後の2分には秋田が、ロングスローの跳ね返りを諸岡がダイレクトでシュート(枠外)と、双方らしさ全開といった入りに。
前節のフォーメーション変更で、過密日程のみならず(4-4-2の)ミラーゲームも避けた格好となった町田でしたが、結局はロングボール主体のアバウトな攻めばかりになりました。
しかし4分、秋田はラフな裏へのロングパスに齋藤が走り込むと、蓋をしたはずの松本大の後ろからつついてボールを確保する齋藤。
そしてドリブルで左ポケットを突く(池田のカバーで防ぐ)という具合に、一つの処理の誤りやミスから試合が動きそうな流れとなります。
そして11分の町田のコーナーキック。
キッカー鈴木はサインプレーを選択し、エリア手前中央へクロスを入れ、下田がボレーシュートにいきましたがジャストミート出来ず。
しかしエリア内へこぼれた所、諸岡のクリアが小柳に当たってしまうと、丁度荒木にシュートしてくださいという風に跳ね返り。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、やはりミス(偶発的なものでしたが)が絡んだ末に町田に先制点が齎されました。
秋田は荒木の位置がオフサイドである事を主張するも、味方に当たってのものなので当然ながら無く。
直後のキックオフ、戻しを受けた河野はライナーでロングパスを送ると、齋藤がスルーした所に走り込んだ吉田が受けるという変化を付けて奥まで運んだ秋田。
ここからロングスロー中心に攻め立て、ファイティングポーズを取り直します。
しかし19分町田のクリアボールに対し、拾いにいった安井が諸岡と交錯し、頭部を地面に叩きつける形で倒れてしまいます。
反則を取られた諸岡が警告を受けるも、一度は起き上がった安井が再度倒れ込み騒然となる雰囲気。
そのままピッチ内で治療を受け、何とか続行の運びとなり一安心といった所。(安井は一旦ピッチ外→復帰)
しかしパワーサッカーの交錯故に、危ないシーンが生まれるというのは、試合前から判っていたカードとはいえ思わず目を背けてしまうものであり。
その主要因となる、レイトタックルの趣が見られたのは秋田の方。
29分に中盤でバイロンのキープが飯尾に倒され反則になると、フリーキックからの放り込みによる二次攻撃で、クリアボールをヘッドで右奥で運んだ鈴木準が走り込んでクロス。
上がったクロスはGK圍が抑えるも、よりによってアフターチャージで鈴木準を倒してしまった藤山が反則・警告を受け、さらに町田のFKに。
結局このFK攻勢もフィニッシュには繋げられずとなりましたが、「球際に激しくいく」という意識が、間違った方面に傾いているような印象を残し。
気を取り直し、追加点を狙いにいく町田は再びセットプレー攻勢。
36分に鈴木準のロングスローの連続(2本目はフェイントで短く入れる)から右CKを得ると、キッカーは鈴木準から太田に代わり。
最初のクロスは跳ね返されるも、鈴木準のパスを受けた太田は奥から再びクロス、これもクリアされた所に下田がボレーシュートで追撃。
ゴール右へ外れたものの、これが後の伏線となったでしょうか。
しかしロングスロー攻勢はこっちのものだ、と言わんばかりにその後その体勢に入る秋田。
40分に才藤のロングスローフェイントから、パスワークの最中に藤山が宇野に倒されて反則。
これで左ワイドながらゴールからやや近い位置でのFKを得た秋田、キッカーの位置には畑。
直接シュートを匂わせながら入れられた低いクロスは、その通りゴールに向かうものであり、そこに才藤が脚から跳び込んで合わせます。
GK福井もシュートと思っていた節があり、コースを変えられたボールに反応できずゴール左へと突き刺さり。
セットプレーでやり返し、同点に追い付きます。
同点のまま突入したアディショナルタイムも、その流れは変わらず。
最初に秋田がロングスロー攻勢に入れば、その後町田のロングスロー攻勢という具合に、お互いぶつけ合う展開となり。
しかしそれをモノに出来たのは町田の方で、2本目のロングスロー(右)をニアで松本大がフリック、ゴールに向かったボールをGK圍が弾いてCKに。
ここからも2本続き、2本目の左CKからでした。(キッカーは鈴木)
ニアサイドへのクロスの跳ね返りを、先程と同様に下田がダイレクトでシュート。
利き足とは逆(右足)だったものの豪快にゴールネットを揺らし、勝ち越したと同時に前半終了を告げる笛が鳴り。
最高の形で2点目に辿り着いた町田。
そしてハーフタイムが挟まれ、秋田にとって追い風となり迎える後半。
反対に向かい風となった町田ですが、最初にやや遠目の位置で(左から)ロングスローを敢行とその姿勢にブレは無く。
これが跳ね返されて秋田のカウンターになりかけますが、齋藤→畑へのスルーパスをカットして何とか凌ぎます。
反撃に入る秋田。
後半4分にロングスロー(フェイント)からの二次攻撃で、ハーフレーンで縦パスを受けた諸岡がポケットを突く絶好機に。
しかしクロスを選択し、跳ね返りを才藤がボレーシュートにいったもののジャストミート出来ずに終わり。
続く5分にはロングパス→畑落としという秋田らしい繋ぎで敵陣に運びましたが、才藤のスルーパスが長すぎとなり齋藤に合わず。
前半の粗っぽさが、攻撃の流れでも顔を出し始めたかのようで流れを掴みきれません。
14分に敵陣で才藤が安井に反則を受けた際も、素早いリスタートを選択して右から高田のクロスが入るも、GK福井にダイレクトで抑えられ。
悪くは無い選択肢にも拘らず、焦りの方を感じたのはそうした粗っぽさからだったでしょうか。
15分に動く秋田ベンチ、畑・齋藤・吉田伊→中村・青木・梶谷と一挙3枚替え。
直後に右サイドから地上で繋いでいき、最後は梶谷のポケットへのスルーパスに高田が走り込む状況を作りましたが、鈴木準にクリアされて右CKに。
そのCKから、キッカー高田のクロスをファーサイドで小柳が合わせ、これがループの軌道でゴールを襲ったもののGK福井がセーブ。
粗いながらも秋田の圧力を受け続けた町田。
何とかそれを脱し、18分にバイロンが右奥へ切り込んでカットインを仕掛けた所、才藤に引っ掛けられて反則。
このタイミングでベンチが動き、安井→稲葉へと交代します。
古巣対決という要素からか13試合ぶりに投入した稲葉により、ドイスボランチとした3-4-2-1の布陣へとシフト。(1トップは沼田)
町田前半と比べ、バイロンのドリブル突破など個人技が光るシーンが目立ち。
しかし本質的にはセットプレーでのやり合いという展開は変わりません。
26分にはこの日初めてといっても良い、地上でのビルドアップを見せた町田。
双方ロングボール+セットプレーといった流れを、何処かで正したいという意識は少なからずあったのでしょう。
しかしこれも秋田のプレッシングの前に左サイドで詰まった末に、苦し紛れの太田のスルーパスが繋がらずに終わり。
結局試合の絵図は変わらず。
秋田は27分に再度高田がロングスローの体勢からフェイントと、変わらない攻めの末に諸岡のクロスを河野が合わせヘディングシュート。
GK福井のファインセーブで難を逃れる際どいフィニッシュとなりましたが、時間も進んできた中でどれだけこうした好機を生み出せるか、という展開に。
28分に再度ベンチが動き、才藤→三上へと交代。
町田は30分に松本大が足を痛めてしまい続行不可能に。
これで最終ラインの改変を強いられる事となり、松本大・鈴木準→藤原・奥山政へと2枚替え。
ともに3バックに入ったものの、これによりややバタバタとした感があり、再び秋田のペースとなります。
35分に左サイドを運んだのちの戻しを経て藤山がクロス、中村がヘディングシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。
そして37分、右スローインで高田がロングスローを放り込むと、ニアで跳んだ中村を越えて混戦となり。
クリアが小さくなった所を藤山ヘッド→青木フリックと尚も空中で運び、こぼれた所を反転した青木がシュート。
虚を突かれた形となりGK福井も動けずというフィニッシュでしたが、右ポストを直撃してしまい同点ならず。
痛すぎる逸機となってしまった秋田、以降も望みを捨てず攻め上がるも実る事は無く。
終盤を迎え、最後の交代をする町田。
代表参加選手が多く駒が少ない故にどういう采配を見せるかという所で、バイロン・沼田→翁長・中島への2枚替え。
ベテラン・太田を最後まで引っ張る選択を採りました。
その後は中島狙いのロングボールで、彼のポストワークを利用してボールキープを図りにいきます。
それを早めに防ぎたい秋田との間で問題のシーンが発生し(45分)、ロングパスを受けた中島がディフェンスに遭いこぼれた所、ライン際で高田が確保。
これによりラインアウトならびに町田ボールのスローインを主張して、プレーそっちのけで猛抗議するに至った中島ですが、それを見た高田は思わず「秋田ボールのスローイン」と勘違いしてボールを掴んでしまいます。
そして今度は一斉にハンドをアピールする町田ベンチと、二転三転する慌ただしい抗議シーンが生まれるに至り。
結局主審(岡部拓人氏)が副審と確認した結果ハンドの判定が下されるも、中島には異議で警告が与えられて決着します。
既に町田がシンプルなスタイルに移行したのもあり、秋田はそれに対してパワープレイしか出来る事は無く。
直ぐにボールを失い、逆に町田のボールキープが冴え渡るATとなります。
サイド奥でボールを確保し、奪い返さんとした秋田は反則を量産してしまい、FKでさらに時間を使われるという悪循環。
そして最後も中島が諸岡に反則を受け、左サイド奥からのFKを蹴り出した瞬間に試合終了の笛が鳴り響きました。
この勝利でとうとう、残り1勝で昇格決定という所までこぎ着けた町田。
苦難に塗れている近況を象徴するような、白兵戦という試合内容で得た勝ち点3は普段以上の重みが感じられたでしょうか。