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DAZN観戦 2024年J2昇格プレーオフ準決勝 カターレ富山vsFC大阪

2024-12-05 16:00:40 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

今季からJ3にも導入されたプレーオフ……というのは今更説明不要か。
ともあれ、ここからはまさに言葉は不要といえる戦いが始まり。

その出場クラブは多種多様というイメージ。
前年も3位で昇格争いの常連といえるが、J2に居たのは10年前である富山。
J1経験もありながら凋落激しく、POがまさに再度のチャンスという格好の松本。
特異な攻撃サッカーで、突如とした新興勢力として名を馳せた福島。
そしてJ参入から2年目と、文字通りの新興勢力ながら切符を掴まんとするFC大阪。
新旧のクラブがごちゃ混ぜといった感じななか、昇格を手にするのは何処になるのか。

この試合の会場は、2年連続の3位となった富山のホーム・富山県総合運動公園陸上競技場。
前年の3位はまさに紙一重で、2位で昇格した鹿児島とは勝ち点で同着。
しかし得失点差で涙を呑む事となり、そのドラマの舞台(つまりはホーム最終戦)となった場でもあり。
今年こそという思いと前年にもPOがあれば……という思い、どちらが強いかどうかは今のところ不明ですが、こうして昇格が現実的な可能性となった以上後者の念は脇に置いて戦うのみでしょう。

一方のFC大阪、スタイル的にはJ2で言えば秋田のそれに近く。
純正4-4-2をボールサイドに圧縮させ、ロングボール・ロングスローを駆使して相手と渡り合う姿は、秋田が昇格したJ2の軌跡をなぞる様であり。
かくして、2年目にして大舞台に立つ事が果たせた訳ですが、当然まだ上に行ける余地を全力で目指す事でしょう。

幕が開けた前半戦。
FC大阪に合わせるように、富山サイドもロングボール主体と、立ち上がりに相応しい慎重な立ち回り。
お互い前へ蹴り合う姿勢のぶつかり合いを経て、先制攻撃はFC大阪で前半4分、押し込んだ状態で左サイドで富山のクリア気味の縦パスをカットして二次攻撃に。
上げられた舘野のアーリークロスに古川が合わせヘディングシュート(枠外)と、スタイルに相応しいファーストシュートとなり。
対する富山も直後の5分に左サイドから前進、布施谷のスルーパスを受けたレイリアが左ポケットを取る好機。
美馬の反則気味のアタックでこぼれるも、拾った布施谷がそのまま奥へ切り込んでシュート気味にクロス、GK永井がこれをセーブしてコーナーキックに。
ここからの二次攻撃で、GKまで戻して田川が裏へとロングフィードを送ると、FC大阪のクリアが逆方向に流れて再度CKと押し込み続け。
攻撃もさる事ながら、守備もとにかく掻き出すというセーフティな意識が目立った一場面だったでしょうか。

当然ながら、ロングボールばかり送っていてはトランジションも激しくなり、肉弾戦も増える事で消耗する一方。
決してそんなスタイルでは無い富山の方が、10分を目途に最後方から地上でボールを繋ぐ姿勢へと入ります。
それでも基本は、サイドに開くレイリアへとボールを届ける事で、それは果たせてもそこからの展開が今一つ。

そうこうしているうちに、FC大阪の強度溢れるプレッシャーが襲い掛かり、21分には最終ラインから右サイドへ展開も詰まらされ自らラインアウト。
FC大阪が左スローインから繋いでの好機を迎える(左サイドで長いパスワーク、スルーパスでポケットを取りにいくも繋がらず)という具合に押され気味に。
そして24分のFC大阪、ここも左スローインから形を作り、戻しを経て上げられた舘野のクロスがファーに高く舞い上がり。
久保が落としたボールを古川がレイオフし、後方から走り込んだ美馬のシュートが放たれましたがGK田川がキャッチ。

その後富山も、ビルドアップが上手くいかない状態に追い込まれながらも、GK田川のフィードを軸に好機を作り。
24分・25分と、碓井が連続してミドルシュートでゴールを狙い。(前者は枠外、後者はブロックを掠めてCKに)
逆にFC大阪は、20分を過ぎるとボール保持での攻めを取り入れ始め。
パワーサッカー一辺倒では、化け物のようなフィジカルを全体持ち合わせていなければ厳しくなるのである意味当然の立ち回りであり。

お互い手の内を徐々に出していくなか、試合が動く機運を生み出したのは31分の富山のボール保持だったでしょうか。
通常の2センターバックでボールを持つ富山に対し、2トップでプレッシャーを掛けるFC大阪。
するとGKへ戻したのち、末木が降りたうえで2CBがワイドに開く姿勢を取り、そこに田川からパスを受けた左の神山が対角線を突くロングパス。
これでビルドアップ成功となり、受けた松岡が右ポケットを突く好機が生まれると、戻し→西矢クロス→中央で碓井が収めて戻し→末木ミドルシュート(水口がブロック)とフィニッシュに繋がり。
この際ブロックした水口が痛み、ピッチ外→復帰となるブレイクが挟まれた事もあり、その間に自信を得られたでしょうか。

そして36分、今度はゴールキックでロングフィード→碓井フリック→布施谷とダイレクトプレイで前進を果たすと、右に展開し再びボールを持つ松岡。
今度はハーフレーンからシュート気味のクロスをファーサイドへ送ると、碓井が足で跳び込んで折り返し、中央へ上がったボールをヘディングで合わせたのは布施谷。
ゴール上部に突き刺さり、自信を確信へと変えるような先制点を叩き出しました。

これで2点が必要となってしまったFC大阪ですが、あくまで気丈に相手へ立ち向かい。
果敢にサイドから前進してクロスを上げ、それを古川が合わせるという具合に普段のサッカーと変わらず立ち回ります。

そのため、守りきるにはまだまだ早いという富山。
アディショナルタイムを迎えてすぐ、左サイドを布施谷が突破する好機が生まれると、クロスは入れずに(レイリアとのパス交換を経て)ポケットを突いたのち戻し。
そして後方から安光がミドルシュートを放ちましたが、枠を大きく外してしまい追加点はなりません。

この攻めの姿勢と、リードを保って後半を迎えたい所でしたが、それは甘かったか。
目安2分を過ぎる頃、FC大阪は美馬ロングパス→古川フリックと、富山サイドでも先制点に結び付いたダイレクトなビルドアップを敢行。
そしてこの一手が、抜け出して受けた増田がエリア内へ進入という決定機に繋がる事となり。
その勢いのまま右ポケットから放たれたシュートが、GK田川の左を破り左サイドネットへ突き刺さります。
これで試合を振り出しに戻したFC大阪、尚も残り時間で攻め続けた末に前半を終わらせます。

そして迎えた後半開始。(ともにハーフタイムでの交代は無し)
前半ATでの勢いをそのまま持って臨んだFC大阪、早速の後半1分にフリーキック(左ワイドから)の好機。
キッカー舘野のクロスにファーで秋山が合わせにいくその手前でGK田川がパンチングで掻き出すも、その跳ね返りを美馬がミドルシュート(枠外)と先制攻撃に成功。

ここから怒涛の攻勢に入り、3分には敵陣でのボール奪取から増田が左ワイドからカットインでポケットを取り。
そこからの展開を経てCKに繋げましたが、この場面然り増田がサイドアタッカーとしてプレーする際には芳賀が中央に入りターゲットとなるなど、荒々しい攻めの中でも整然としたポジションチェンジが印象に残りました。
そしてこの右CK、またもキッカー舘野のクロスをGK田川がパンチングするも、今度は小さくなりエリア内へこぼれ。
すかさず禹がダイレクトでシュートし、ゴール左へ逸れる所を水口が脚で跳び込みコースを変えましたが、枠内を突くには至らず。

尚も富山ゴールを襲うFC大阪、6分には右サイドでのクロス攻勢を経て、クリアボールを芳賀落とし→古川レイオフと繋いだ末に禹がシュート。
これもGK田川がセーブと、ひたすら押し込まれて守護神頼みの守備を強いられる富山。
その後も久保のロングスローを中心に、FC大阪のペースは続きます。

何とか断ち切り、ゴールキックで例によってGK田川のロングフィードで脱出したのが9分。
直後の右スローインから、パスワークを経て西矢が奥まで持ち運ぶ局面を作ると、エリア内に入るかどうかという所で芳賀に倒されて反則・警告。
惜しくもPKならず(それにより富山サイドから異議も生まれ)となりましたが、この右サイド最奥という位置でのFKを活かさない手は無く。
FC大阪サイドがゴールを固める守備体系を取るなか、キッカー末木の選択はグラウンダーでマイナスのクロスをレイリアに合わせるというもの。
しかしディフェンスに阻まれ、その後のCKも実らずと、試合を楽にする2点目は奪えませんでした。

お互いゴールに近い位置でのプレーを見せたのち、試合序盤での危惧の通り、消耗も激しくなってきたでしょうか。
ともにベンチが動いたのが14分で、FC大阪は水口・芳賀→坂本・田中へと2枚替え。
対する富山も松岡・レイリア→高橋・松本へと2枚替え。

しかしこの交代策で、燃料を担保したかのようにFC大阪が再び攻勢に入り。
決定機は20分で、富山のロングパスの跳ね返りを増田フリック→古川→田中と繋ぎ、その田中のスルーパスで左サイド奥からの展開に。
溜めを作っての武井のクロスはクリアされるも、逆サイドで拾い美馬のクロスが上がると、田中の落としでファーに流れた所を舘野がシュート。
ノーマークで放たれたフィニッシュでしたが、ボールは惜しくも左サイドネット外に突き刺さる格好となり決まりません。

一方富山は、松本の投入でダブルターゲットとなった以上の成果は挙げられず。
直後の21分にゴールキックでロングフィード→松本フリックで前線に運んだもののフィニッシュには繋がらず。
そしてこの場面が、最初の交代~35分で唯一の好機になってしまう事となり。
つまりはFC大阪の攻勢が尚も続く展開に。
しかしそのFC大阪も、フィニッシュという面では富山のディフェンスもあり、またそれによりラインアウト→スローイン(ロングスロー)が中心になったのも影響してか次第に減衰し。

そんな中、23分に増田が足を攣らせて倒れ込むなど、走力・フィジカル重視故のダメージが露わになり。
このタイミングで大嶽直人監督は動き、増田→島田への交代のみならず、3-4-2-1へとフォーメーション変更に打って出ます。
といっても自分が気付いたのは、その後流れの中で美馬が左に、田中が右へと位置が変わっているのを見てからですが。
放送席でもその節があり(解説=渡邉一平氏)、それだけFC大阪=4-4-2のイメージが強いという事でしょう。
ともかく、舘野が3バックの左となった事でウイングバックは前述の通り田中=右・美馬=左。
シャドーに久保・島田、1トップに古川という布陣で変化を付けに掛かりました。

これで左サイドから美馬・舘野の二段構えでの攻勢という矛を突きつけながら、後方から送られる舘野の対角線のロングパスも脅威となり。
それを受けた富山サイドの動きも早く、29分にこちらも交代とともに、3-4-2-1へと布陣変更を敢行した小田切道治監督。
布施谷・瀬良→鍋田・坪川へと2枚替えし、鍋田が右CBへと入る3バックに。
松本の1トップに高橋・碓井の2シャドーという布陣になり、ミラーゲームで対応します。

時間が経つとともに、相変わらずフィニッシュを放てないFC大阪の勢いは次第に萎み。
35分、その中弛みというべき相手の隙を突くように、富山は空中戦でボール確保ののち碓井のスルーパスで左ポケットへ走り込む松本。
そして放たれるシュートと、苦難の山を乗り越えた末の追加点か……と思わされた刹那、松本のフィニッシュは右へと大きく逸れて終わってしまい。

結局その後も、時折カウンターを見せながら凌ぐという塹壕戦を余儀なくされる富山。
それでもレギュレーション故に、時間が経てば経つ程優位になる立場。
開き直って守備を固め、かつ時計の針を進める立ち回りへ移行。
アタッキングサードに進入しても、コーナー付近でのキープに切り替える、通称「鹿島る」姿勢を早い時間帯(39分)で見せ始めます。

こうして終盤を迎えるに辺り、FC大阪は最後の交代を敢行。(39分)
武井・美馬→望月・夏川へと2枚替えし、望月が左WBに入る事で久保が右WBに、夏川がシャドーに入る事で田中がボランチにとそれぞれポジションチェンジ。
手段は尽くしたものの、その後も富山の立ち回りの前に、その装甲を打ち破るべくのフィニッシュを撃てないままとうとうATへと突入します。

守る側にとって逃げきりの現実性が高まるものの、それが綻びとなる可能性もゼロではないという時間帯。(前年のJ1昇格PO決勝然り)
そして守るだけという意識からか、空中戦の際に(望月に)強く当たってしまった末木が反則を取られ、FKを得たFC大阪。
位置は右ハーフレーンからで、直接にはやや遠いという距離から、キッカー舘野はファーへのクロスを選択。
これもGK田川が前に出て弾きにいくも味方と交錯して小さくなり、エリア内へこぼれた所を秋山がシュートを放ちますが、すかさず体勢を立て直した田川が身体でセーブしてCKに逃れ。
ここに来て再びゴールを脅かす流れを復活させたものの、既に残り時間は少なく。

このCKは決定機に繋がらずも、尚も久保のロングスローという体勢で続くFC大阪の攻勢。
その姿勢から、短く入れたのち舘野のリターンパスをフリーで受けるという具合に、プレッシャー故に富山の対応も拙いものとなり。
まさに最後の攻防という局面で、ここから持ち込んだ右CKではGK永井も前線に加わり。
クリアされるも尚もエリア内へボールを入れ続ける、必死の攻防を経てボールが右ワイドに転がると、拾いにいった舘野を倒してしまう碓井。
あと少しでタイムアップという焦りが見え見えだった反則ですが、これで目安時間(4分)を回る、文字通りラストチャンスというFK。
右ワイドという直接狙う可能性は低い位置で、キッカー舘野はファーにクロスを上げると、これが最後と言わんばかりにまたもGK田川が飛び出してパンチング。
しかしエリア外中央へ出たボールを、久保が追撃してミドルシュートに繋げ。
そのボールの行方は、無情にもゴール上へ外れとなった所で、試合終了を告げる笛が鳴り響きました。

結局1-1の引き分けで、レギュレーションのため上位の富山が決勝進出。
無念となったFC大阪、その内容もシュート数で倍以上の差がついており、怒涛の攻勢をモノに出来なかったのが全てと評されるべく試合に。
しかしまだJ2年目であり、この地位を固めながら、今季のように訪れるチャンスを全力で挑む事に努めていくでしょう。

一方、前年と違い有利な立場で後一つを迎えた富山。
この日もデイフェンスならびに采配に表れた、その執念で何としてもモノにしたい決勝戦となりましたが、その結末は如何に。

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