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TV観戦 天皇杯 第103回全日本サッカー選手権大会3回戦 鹿島アントラーズvsヴァンフォーレ甲府

2023-07-14 16:51:14 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 公式では鹿島vs甲府の順でタイトルはそれに従うが、スタジアムは甲府のホーム(JITリサイクルインクスタジアム)なのでそれに準じて表記。

今年も無事に2回戦(長崎戦、1-0)を勝ち上がった甲府。
前年の覇者という事で、その勝負強さは否が応でもマークされる存在となり。TV中継でも高知やV大分を差し置いてBS1で放送されるぐらいのマンマーク

そして3回戦は、前年のリベンジマッチで燃えるであろう鹿島が相手。
それなりにメンバーを落としてきたものの、ピトゥカ・植田・安西といったレギュラーがスタメンに加わり、その他のメンバーも荒木遼・GK沖を除き二桁試合出場とガチ度は中々のものでした。
一方の甲府は、関口以外の10人を入れ替えと、25節から中2日の影響は避けて通れないメンバー。

前半1分に早くも、甲府のキックオフからの組み立てで最終ラインからのロングボールを名古がブロックし、セカンドボールを拾って鹿島の攻撃。
クロスや横パスなどで何度もエリア内を突いた末に、左ポケットで荒木遼ポストプレイ→名古シュート(枠外)と、ファーストシュートに辿り着き。

その後強度の高さを活かして攻め上がる鹿島。
コーナーキックを量産する立ち上がりとなり、12分の左CKではキッカー荒木遼のクロスがファーに上がると、植田がヘディングシュートを放つもGK渋谷がセーブ。
引き続き右CKとなり、再びの荒木遼のファーへのクロスを植田がシュート気味に落とし、GKの眼前で名古が拾うも渋谷が腕を伸ばして何とか防ぎます。
直後にはGK渋谷のフィードに対しプレッシャーを掛けた垣田がブロック、ボールはゴールへ向かいあわや……という場面も。(ゴール上へ外れ)
前年の俺らとは一味違うという意気込みを見せ付けた……はずでした。

しかし16分にパスミスを宮崎に拾われ、そのまま放たれたミドルシュートがゴール左へと際どく外れ。
これを境に色を失う鹿島、以降甲府がリーグ戦よろしく、長短のパスを巧く使い好機を作る流れへ突入します。

それを防ぐ鹿島ですが、マイボールの際にもどうにもビルドアップが詰まり気味で攻撃権を支配出来ず。
特にベテラン・昌子の出来が芳しくないといった感じで、ボールを持った所・パスを受ける所を狙われて奪われるシーンを頻発させてしまいます。そりゃガンバでポゼッションサッカーに適応できず放出される訳で
植田・昌子のセンターバックコンビを見るや、懐かしさとともに「サッカーの最前線から5年ほど遅れているのでは」とも思ってしまうものであり。
リーグ戦でレギュラーの植田の方は杞憂でしょうが、11人の何処かに弱点を抱えていては、それを突かれるのがサッカーというスポーツ。

27分の宮崎のボール奪取はじめ、そんな状態の昌子を徹底的に突く甲府。
当然右サイドが主戦場となり、28分には右スローインで投げ込まれたボールを、松本孝が入れ替わりで昌子を置き去りにして奥へ進入。
そしてマイナスのクロスが送られ、中央で武富が合わせたものの、放たれたシュートは広瀬がブロックして何とか防ぎ。

下位カテゴリに苦戦の色を見せる鹿島。(前年の時は負けたとはいえ、これほど押されていた訳では無かった)
29分に垣田を走らせる右サイド裏へのロングパスを送ると、クリアに入ったマンシャに当たってゴールラインを割るラッキーな形でCKをゲット。
その後も垣田とマッチアップするマンシャは苦戦気味といった様相で、ここから再び流れを掴まんとします。

36分に広瀬の縦パスを受けた荒木遼、長距離のドリブルを経てエリア手前からシュート。
ブロックされるもCKをゲットと、あまり良くない流れななか、CKは量産していく鹿島。
このCKを境に、甲府はサイドハーフ同士が入れ替わり武富が右・宮崎が左の位置を取り。
これにより再度攻勢を掛ける甲府、38分に宮崎が左サイドをドリブルで推進、左ポケット奥を取ってマイナスのクロス。
ハーフレーンを上がっていた小林がこれをニアサイドで合わせにいきますが、シュートはジャストミート出来ずミスとなってしまい先制はなりません。
40分にも宮崎のドリブルから、エリア内中央で横パスを受けた武富がシュート。(GK沖キャッチ)
それを受ける格好となった鹿島は、こちらもこの後SHを入れ替えて名古が右・藤井が左となります。

その後上位カテゴリらしく、普段あまり行っていないパスサッカーでポゼッションを高めての攻撃を試みる鹿島。
泣き所となっていた昌子も、プレッシャーがかかる前に縦パスを間へ通す事で何とかそれに貢献する形を採る事に成功します。
しかしここからはフィニッシュは生まれず、結局甲府に圧され気味という印象を覆すには至らずに前半を終えました。

ハーフタイムで鹿島が動き、早くも鈴木を投入(荒木遼と交代)して悪循環を断ち切りに掛かり。
一方の甲府は、途中で入れ替えたSHを元の位置に戻し、武富=左・宮崎=右として後半頭から臨みました。(鹿島のSHは入れ替えたまま)

垣田がポストワークに努めなければいけなかった前半から、何処にでも降りる動きをする鈴木が加わった事で、甲府サイドは非常に掴まえ辛くなったという印象の後半。
ペースを掴んだ鹿島、後半3分には鈴木が左ワイドからポケットへと切り込むも、関口の反則気味のディフェンスで倒されシュートは撃てず。(反則無し)

そんな鹿島の変化に難儀した甲府ですが、5分に大ベテラン・山本がボールを確保したのち左へ展開、小林が手前からクロス。
跳ね返されるもセカンドボールを確保し、敵陣でパスワークを続けた末に右サイドで飯島が(藤井に)反則を受けてフリーキックに。
このサイドからのFK、キッカー小林はグラウンダーでクロスを入れるという変化を付け、ニアサイドで安西のカットが入るもこぼれ球を叩き込んだのは野澤。
ボレーシュートがゴールに突き刺さり、前年同様先制点に辿り着いたのは甲府となりました。

リードを奪った甲府ですが、鹿島もそこからリバウンドメンタリティを発揮……というよりは、動じない精神と言った方が正しいでしょうか。
前年はリードを奪われて以降、ひたすらボールを握らされる展開を強いられて結局無得点に終わりましたが、この日は先制されても動揺を見せず。
交代により好循環を得ていたのは確かなので、それを貫く姿勢を見せて攻め続けます。

それを後押しすべく、ベンチも早めに動き11分に藤井・名古→仲間・樋口へと2枚替え。
これ以降、樋口がハーフレーンに張り気味となり、空いたスペースに広瀬が上がるというパターンを増やしていきます。
14分にはGK沖ロングフィード→垣田落としからの攻めで、佐野のエリア内へのパスを仲間がヒールでポストプレイ、そして鈴木がダイレクトでシュート。
野澤のブロックに阻まれるも右CKとなり、キッカー樋口のクロスから再び植田がヘディングシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。

そして17分、最終ラインから植田が高い位置の広瀬へと縦パス、受けてすかさずクロスが送られ。
これを中央で合わせにいった垣田、競り合いで野澤を腕で外した末のヘディングシュートがゴールに突き刺さります。
最後は鹿島らしいマリーシアも加わり、同点に追い付きました。

追い付かれてしまった甲府、しかしファイティングポーズは崩さず。
直後のキックオフからの攻撃で、左サイドを前進していき小林がクロスを入れた事でCKをゲット。
未だ衰えずといった様相を見せると、鹿島もGK沖が躍動し、キャッチしたのちのすかさずのフィードで裏を突きカウンターに持ち込み。(鈴木がエリア内へ走り込むもGK渋谷が抑えて撃てず)
22分の甲府、再び小林が左からのクロス、跳ね返りを拾った関口のミドルシュートが襲うもGK沖がセーブし防ぎます。
この直後に甲府ベンチも動き、エースのピーター・ウタカ投入に踏みきり(松本孝と交代)、同時に山本・飯島→品田・長谷川に交代と一挙3枚替え。
レギュラーメンバーの一斉投入で勝負を託します。

しかしその後は鹿島が押し返し、垣田へのロングボールで強度を盾にする展開で押し込み。
それを防がんとするマンシャが、倒されて垣田に対しヒートアップを見せたのもこの時間帯(26分)で、一歩間違えれば失点の危機に陥っていた感があった甲府。
27分には右サイドでスルーパスを受けて深さを取った垣田から、戻しを経て中央へ渡り、ピトゥカがコントロール重視のミドルシュートを放ちますが惜しくも左へと外れ。

対策を図る甲府、30分に再びレギュラーの蓮川を投入。
アタッカーの武富との交代で、これにより3-4-2-1へとシフト(3バックは右から蓮川・野澤・マンシャ)し、5バックの体勢で鹿島の跳梁を防ぎに掛かりました。

自陣で5-4-1の布陣で守る甲府に対し鹿島がどう崩すかという、前年の対戦の絵図に似た様相となり。
こうなると鹿島は能動的な崩しはままならず、強引にポケットを狙うパス(主に浮き球)を送る事が目立つようになります。
甲府は40分に最後の交代を使用し、関口→須貝。

それでも43分、敵陣で安西の左→右へのサイドチェンジで、受けにいった広瀬がワントラップにより奥へ切り込んでクロス。
ブロックされてCKと、苦しい時のセットプレーという好機は依然として多いですが、ここで防がれて甲府のカウンターが発動。
ショートパスの連続で抜け出した須貝がドリブルからスルーパス、そして走り込むウタカに渡る絶好機に。
しかし左ポケットから放ったウタカのシュートも、当たっているGK沖が止めて凌いだ鹿島。

乾坤一擲のカウンターはモノにならなかった甲府。
鹿島もその後攻め続けたもののゴールは割れず、アディショナルタイムはあっという間に過ぎ去り。
そして1-1のまま笛が鳴り、後半終了となったものの延長戦へ。

エンドは前半時へと戻り、甲府のキックオフで始められた延長前半。
いきなりマンシャのウタカへのロングパスから、セカンドボールを拾った宮崎がシュート(ゴール右へと外れる)と甲府がフィニッシュで終わらせ。
その後鹿島の攻勢を浴びるも、延前4分には須貝のミドルパスがエリア内のウタカに収まる好機。
そして放たれたシュートは植田がブロックした末GK沖がキャッチと、一刺しの強烈さでは甲府が上回る流れとなります。

ここが勝負所と見るや、7分にベンチが動き追加された交代枠を使用、ジェトゥリオを投入します。(宮崎と交代)
一方交代機会を温存していた鹿島は2度交代が出来る状況でしたが、6分に垣田が頭部へダメージを受けたらしく倒れ込み。
これにより9分に垣田→土居へと交代し、前線はパワーダウンといった印象となり。

投入されたジェトゥリオは早速、8分にウタカのラストパスを受けてシュート。(昌子がブロック)
これで得た左CK、キッカー品田のニアへのクロスがクリアされて2本目となると、今度はファーに高いクロスを上げる品田。
これが直接ゴールを襲うボールとなり、右ポストを直撃して跳ね返り。
狙ったかどうかは不明ですが、とにかく偶発的でも何でも決めた方の勝ち、という延長戦の戦い。Vゴールでは無いぞ

それを甲府は前年の戦いで痛いほど理解したでしょうか。
散々フィニッシュを放った末に、迎えた15分マンシャ縦パス→小林前方へポストプレイ→長谷川ドリブルで素早く持ち込み、ミドルシュートを放った長谷川。
これをGK沖が正面でキャッチにいき、弾いてしまうもすかさず詰めたジェトゥリオのシュートもブロックして防いだ沖。
その後の須貝のシュートも植田がブロックと、鹿島も「20冠」のクラブの意地を見せて勝ち越しは許しませんでした。

そして延長後半へと突入、既に体力も限界な両クラブ。
鹿島は圧され気味な延長前半を過ごした事で、攻撃はすっかり衰えてしまったでしょうか。
崩しを選択せず、サイド手前からのクロスへと傾倒する形となりましたが、肉体的にも精神的にもエンプティな状況では仕方無く。
たまに放たれるピトゥカのミドルシュート(延前・延後ともに1本ずつ)がどうか、という攻めに終始します。

それを突きたい甲府、あくまでサイドでは奥を取る姿勢を崩さず。
右サイドでは蓮川も高い位置で絡み、攻撃的な3-4-2-1と見間違うような攻めも何度か見られ。
しかし入れられるクロスは、GK沖の好判断のパンチングもありシュートには繋げられません。

そして延後10分、鹿島も最後の交代で佐野・広瀬→松村・関川へと2枚替え。(樋口がボランチに回る)
フレッシュとなった右サイドから攻め上がらんとする鹿島ですが、フィニッシュには届かず。
突入したATでは、鹿島のカウンター→甲府のカウンターというせわしない絵図も生まれますが、そのカウンターも精度を欠き。
既にプレーするだけで精一杯、というような疲労度合いだったでしょうか。

そして1-1からスコアが動かぬまま、とうとう延後終了を迎え。
決着の舞台はPK戦へと移りました。

鹿島1人目のピトゥカ・甲府1人目の須貝が、ともにGKが同方向に飛ぶも届かないシュートを決めての幕開けとなったPK戦。
しかし2本目、鹿島は樋口が右へとシュートするも、GK渋谷がセーブ。
これで優位に立ったはずの甲府でしたが、ジェトゥリオも右へのシュートをGK沖がセーブと防がれ。

3本目、鹿島は土居がようやくGKの逆を突くシュートを決め。
これで一息つくかと思われましたが、甲府は長谷川が中央へのシュートを選択。
グラウンダーのボールを、右へ跳んだ(キッカーから見ると左)GK沖が残した足で触れますが跳ね返せずゴール。
何とか成功させた甲府。

4本目で関川が成功した鹿島、それに対し甲府はウタカを選択。
大ベテランらしい、ワンテンポ置いたキックでGK沖を釣り出して逆を突く技巧で成功します。

いよいよプレッシャーのかかる5本目ですが、鹿島は鈴木では無く仲間。
鈴木はリーグ戦で17節・湘南戦(1-0)での2連続失敗(一度止められ、蹴り直しも止められる)という事象があり、この局面でそれを考慮したものの結果的に拙かったか。
仲間の左へのシュートはコースが甘く、同方向へ飛んだ渋谷に身体であっさり止められてしまいます。
これで絶体絶命の鹿島ですが、甲府5本目を務めたマンシャに対し、GK沖はここで左右に動くスタイルを採り揺さぶりに掛かり。
そしてそれが奏功したか、左に放たれたシュートを見事セーブした沖。

これでサドンデスに持ち込まれ。
6本目から、安西・松村・植田・昌子が成功させるも、依然としてキッカーに出て来ない鈴木。
一方の甲府も6本目以降、野澤・品田・蓮川・松本凪が成功。

迎えた10本目も鈴木は蹴らず、GK沖がキッカーに。
これを物怖じせずゴール左へ強烈に突き刺した沖。
これで自身が止めれば……という所でしたが、(水分補給したため)遅延行為で警告を受けてしまいミソを付け。
それでも効果はあったようで、小林の左へのシュートを弾いた沖。
しかし威力を殺す事は出来ずゴールに吸い込まれ成功となり、とうとう11本目に。

止むにやまれず、という感じで出て来た鈴木。
ゴール中央へのシュートを選択して成功と、悪夢を振り払い。
一方の甲府は残っていたGK渋谷が務め、これも沖同様に強烈なキックをゴール左へ突き刺し。

とうとう一巡してしまい、二巡目も順番は同一なため12本目はピトゥカと須貝。
ピトゥカはGK渋谷も反応できない程のシュートを右へと突き刺し。
そして須貝も決め、この攻防はどこまでエスカレートするのかと思いを巡らせる外野の自分。

迎えた13本目、お互い一度目を失敗している両者のキック。
鹿島は樋口で、今度はGKが届かない所へ……という意識が強かったでしょうか。
ゴール左へ放ったものの、上を狙いすぎてしまったかゴール上へと逸れて失敗。
これで決めるのみとなった甲府、ジェトゥリオが放ったシュートはゴール右へ。
強烈なシュートはGK沖が反応できずネットを揺らし、決着が付きました。

キックオフから3時間に迫るという激戦を制したのは甲府。
再び鹿島を下し、今季も優勝を狙うクラブへと名乗りを上げました。
しかし勝ち進むとACLも加わっての超過密日程が……

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第25節 藤枝MYFCvsヴァンフォーレ甲府

2023-07-13 16:12:17 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の藤枝の記事はこちら(22節・秋田戦、3-1)
※前回の甲府の記事はこちら(21節・磐田戦、1-1)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 2人出場停止の影響か、微妙にマイナーチェンジした3-3-2-2(3-1-4-2)の布陣。しかし横山が頻繁に降りて来るので視覚的な印象としては3-1-5-1か。
  • 山原が前節(岡山戦、3-2)退場となったため出場停止。
  • 水野泰が累積警告のため出場停止。

<甲府スタメン>

  • 土肥の移籍が決定。レンタル終了(レンタル元はJ1・広島)という形で退団し、J3・今治へ再度レンタル移籍。(登録抹消は7/21以降)
  • 三浦の負傷が発表され、22節(岡山戦、0-0)で発生して全治6週間との事。
  • 荒木の負傷が発表され、21節の試合前に発生して全治4週間との事。
  • 飯島がプロA契約を締結。

一時期の「勝つ時はウノゼロ」病から脱却したと思ったら、今度は大量点差での勝利ばかりとなっている甲府。
18節(大宮戦、5-1)の勝利を境に情景が変わった一方、そんな展開に持ち込まなければ勝てないという状態に陥ってしまい。
果たしてどちらが良かったのか考えものですが、連戦の最中で深く考察する暇も無く。
点の取り合い上等という雰囲気ですが、この日の相手は計ったように、同じような信条の藤枝が相手。
アウェイながら地理的に近い事もあり、(藤枝総合運動公園サッカー場の)ゴール裏では完全にホームチームを凌駕するサポーター数を集めました。

入りの様子見の時間を逆手に取り、前半1分に早くも関口が遠目からシュートを狙う(枠外)など仕掛けにいく甲府。
ポゼッションスタイルの藤枝は軌道に乗るのにどうしても時間が掛かり、それを利用した節がある立ち上がり。
5分に甲府のパスミスから攻め上がる藤枝、左から榎本のカットインで抉ったのち、左ポケットを取った横山からシュート気味のクロス。
久保が走り込むも惜しくも合わずに、GK河田がキャッチすると素早くスローしてカウンターに持ち込み。
長谷川の持ち運びで始まり、ジェトゥリオのスルーパスを右サイドで受けた関口からクロスが上がり、ニアサイドで鳥海がヘディングシュート。(ゴール上へ外れる)
攻撃力はある藤枝ですが、意外にも逆転勝利が少ない(例外が11節・仙台戦、この時も先にリードはしている)チームなので、先にリードを奪う事でペースを握るというのが甲府の目論見だったでしょうか。

その思考が強く表れるかのように、10分には蓮川が最終ラインからドリブルを仕掛け、左サイドで一気に敵陣中ほどまで運びます。
しかし奪われて逆に藤枝がカウンターを仕掛けた(久保がドリブルからクロスもシュートには繋がらず)事で、これを機に藤枝がボール支配するという戦前の予想通りの絵図に移行。
甲府は12分に中盤からラフなロングパス一本で一気にエリア内のウタカに渡り、そのままシュート(枠外)という好機を作るも、殆どが藤枝の攻撃に対応を強いられる時間となります。

ボランチ(この日は河上のアンカー)へのパスコースを切る事が第一という甲府の前線の姿勢。
それでも新井や横山が河上の脇に降りて受けるので、それに対して甲府のボランチも前に出て、相手に前を向かせない事に重点を置きます。
そのため久保・榎本が中心となるサイドでの横暴はある程度仕方ない、といった意識での守備。
彼らにアタッキングサードまで運ばれても、自陣でしっかりとゾーンで固める事で対応。
前線の高さで劣る藤枝は素直なクロスは上げ辛いので、結局は戻して作り直しに、というシーンも多くなります。

そんな体勢で攻撃を凌ぎ続け、隙を窺う甲府。
25分にゴールキックからの攻撃で、ロングフィードの跳ね返りを拾って攻め上がり。
佐藤の右へのスルーパスに走り込むウタカ、ヒールパスでクロス気味のボールを送るという心憎いプレーを見せると、中央で走り込む鳥海が河上の後ろから足を伸ばしてのシュート。
これをGK上田が前に出てセーブと際どい凌ぎとなり、やはり攻撃権を支配していても、ウタカの技術をはじめ甲府の一刺しが恐怖となる展開を強いられる事に。

気を取り直す藤枝、26分に小笠原がロングパスを通した事で中央から攻め込み。
平尾→渡邉へのエリア内へのパスがカットされるも、拾った横山がミドルシュート(枠外)と速攻気味のフィニッシュに。
続く27分には久保の右サイドアタックから、久富のクロスに渡邊が合わせヘディングシュート。(枠外)
29分には空中戦から平尾のフリックでマイボールとし、横山が右からカットインを仕掛けてポケットからクロス気味にシュート(ゴール左へ外れる)と、多種多様の攻めでゴールを狙います。

26分のシーンは、GK上田を含めての繋ぎで甲府のプレッシングを呼び込んでのロングパス。
こうした立ち回りで、甲府の守備ブロックが整う前にフィニッシュに持ち込みたかったでしょうか。
40分にも同様の流れで、小笠原が今度は低いロングパスを右サイド裏へ送りますが、久保はこれを惜しくも受けられず。
当然ながらそのチャンスは多くは訪れないので、こうした僅かなズレが大きく響いてしまったでしょうか。

すると42分、甲府は浮き球を拾いにいった鳥海が川島にチャージされ、反則を受けた事で中央遠目からのフリーキックに。
距離があるなかどういったキックを選択するか注目が集まりましたが、キッカー品田は思い切って直接シュート。
手前でバウンドさせたこのボールを、GK上田はキャッチできず弾いてしまい、すかさず詰めた須貝がゴールに流し込み。
じっくり守った末に、隙を突いての先制点を挙げました。

結局そのまま前半を終え、藤枝は再び苦手な追う展開を強いられる事に。
ハーフタイムで平尾→岩渕へと交代し、巻き返しを図ります。

いくらポゼッションを高めてアタッキングサードに持ち込んでも、甲府の守備ブロックが整っていれば得点は難しい。
それを前提として思考を巡らせたのか、後半の藤枝は守備ブロックが整う前に仕掛ける事に舵を切り。
甲府の攻撃を切った直後や、中盤のボール争いを制した所を狙う攻めを重視します。
後半5分、榎本のボールキープがディフェンスに遭うも、こぼれ球をダイレクトで川島が縦パスを送る事で一気に前線へ。
新井のポストプレイを挟み、横山が持ち運んだもののエリア手前で関口の反則気味にディフェンスに阻まれ。
こうした攻撃は運も絡む(こぼれ球が何処に転がるか等)ので、普段のボールポゼッションに比べると安定性は落ちるのですが、ビハインドを跳ね返すためには仕方ないとも言えました。

そして10分の攻撃も、川島のフィードがウタカにブロックされるも、前に転がった事で渡邉が拾って好機に繋がり。
横山が中央突破を仕掛け、ディフェンスに遭いエリア内へこぼれた所を渡邉がシュートしましたがGK河田が前に出てセーブ。
こぼれ球を横山・榎本が狙うも撃ちきれず、左へ流れた所を渡邉が拾いましたがオフサイドとなり、決定機をモノに出来ず。

するとその安定性の欠如から次第に甲府に圧され始め。
12分に鳥海の敵陣でのボール奪取から、長谷川が右ポケットでシュートに持ち込み、ブロックされて右コーナーキックに。
するとサインプレーを選択し、キッカー品田のグラウンダーのクロスをニアで長谷川がシュート、意表を突くもゴール前で渡邉がブロック。
その後ジェトゥリオの折り返しも渡邉がクリアと、何とか凌ぎます。
15分にはカウンターで、ウタカがスルーパスを送ると、オフサイドの位置に居た長谷川がスルーしたためウタカ自ら走ってクロスを入れ。
この「一人スルーパス」の格好で右サイドから入れられたグラウンダーのボールを、ジェトゥリオが合わせましたがこれも久保がブロックと寸での所で防ぐ藤枝。

そして17分、自陣でのパスミスを拾われ、品田のミドルシュートはブロックするもこれにより左CKに。
キッカー品田はニアに低いクロスを送ると、ウタカが巧にGK上田の前へ入り込んで合わせゴールネットを揺らします。
多彩なフィニッシュで揺さぶり、得点に辿り着いたのは甲府の方となりました。

このままでは「超攻撃的」の名倒れとなってしまう藤枝。
直後に久富→鈴木へと交代(小笠原が右センターバックに回る)し、何とか打開を図り。
しかし守備を固める甲府の前に、エリア内に進入してもシュートを放てないという攻めを繰り返し。
既に甲府の陣形の乱れを突ける状況では無く、光明が見えません。
逆に22分に須貝の左からのクロスを収めたウタカがシュート、ゴール右へ惜しくも外れと、ゴールに近いのは甲府の側。

そんななか迎えた25分。
左スローインから細かく繋ぐ藤枝、榎本が強引にカットインし、被った横山とスイッチのような格好となり右へとこぼれるボール。
これを拾った久保がペナルティアークからシュートすると、甲府ディフェンスの間を縫ってゴール左へと突き刺さります。
GK河田も反応できずと、まさに細い所を通しての得点で1点を返しました。

そしてキックオフの前に両者交代。(甲府は鳥海が足を痛めた?ためアクシデント絡み)
藤枝は川島・新井→山田・矢村、甲府はジェトゥリオ・鳥海→武富・宮崎といずれも2枚替え。
どちらが次のゴールを得るかが勝負の分かれ目といった展開で、それを齎したのはストライカーの個人能力でした。

29分GK河田のロングフィードからの攻撃で、長谷川の縦パスをエリア手前で受けたウタカ。
藤枝のディフェンスは人数は居たものの、それに寄せられる前に小さい脚の振りで果敢にミドルシュートを放つと、ボールはゴール右へと突き刺さり。
まさに経験豊富なストライカーの成せるシュートといった得点で、再び2点差とした甲府。

反対に見えかけていた希望の芽が摘まれる格好となった藤枝、それでもとにかく攻めるしか無いのは変わらず。
32分には左CKから、クロスをGK河田がパンチングした所、久保がダイレクトでミドルシュートを放つもゴール左へと外れ。
何とか少ないシュートチャンスをモノにしたい所でしたが、それはやはり難度の高いものでした。
一方の甲府は連戦に備えてか、この日2ゴールのウタカを36分に退かせます。(松本孝と交代、同時に佐藤→山本へと交代)

万策尽きたという格好で、山田を最前線に上げてパワープレイ体制を取る終盤の藤枝。
ターゲットを作った事で、多少強引なクロスでも形になり。
44分に榎本の左からのクロスをファーで山田が折り返し、クリアされるも尚も繋いで横山のシュートに持っていき。
しかしこれもゴール左へ外れてしまい、甲府の背中が遠いまま、アディショナルタイムに突入します。

何とか山田狙いのロングボールから、好機に繋がんとする藤枝。
しかしATも4分が過ぎもうすぐ目安時間(5分)という所で、GK河田のロングフィード一本で、(ターゲットの松本孝に釣られて)受けた宮崎が抜け出すという決定機を得た甲府。
そして悠々と右ポケットへ進入してのシュートで、GK上田の左を抜いてゴールを挙げた宮崎。
止めを刺したという表現がピッタリの得点で、これにて試合も終着する事となりました。

藤枝のキックオフからの攻撃が途切れた所で、鳴り響く試合終了のホイッスル。
甲府はこの勝利で4位に浮上を果たし、昇格争いの立場をキープするものの、同時に保つべくの戦いが3日後に控え。
それは天皇杯3回戦で、憚らずもディフェンディングチャンピオンとなった甲府が対戦するのは鹿島。
前年準決勝で破った相手であり、まさにリベンジマッチという熱い戦いが待ち受けている格好で、果たしてその結末は。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第17節 愛媛FCvsカターレ富山

2023-07-12 16:46:44 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

1位vs2位の首位攻防戦と、非常に重要な一戦となった愛媛のホーム・ニンジニアスタジアム。
ふとその昇格先のJ2を見ると、同じ日にこちらも町田vsヴェルディの首位攻防戦が組まれ。
そしてその上のJ1でも名古屋vsマリノス(こちらは前日の土曜に開催)と、偶然の一致という言葉では片づけられないような今週の各リーグ。(それでも偶然だと思いますが)

愛媛は前回触れた通り、1点差勝利の際どい試合をモノにし続ける傾向は以降も変わらず。
そして前回観たYS横浜戦(2-3)は、福田という強烈な得点源にその勝利パターンを崩された格好となっての敗戦であり。
昇格に向けて同じ轍を踏まないのは当然ながら、自軍にあっても誰かそういった個の力で覆せる人材が欲しい所。

直前まで雨模様だったピッチ上で試合が始まり、いきなり愛媛のパスワークの際に水しぶきが上がるなど、その影響が懸念されるシーンが生まれ。
そして前半7分の愛媛の攻撃で、左ハーフレーンをドリブルで切り込んだ山口がエリア内へ斜めの縦パスを送ったものの、水により失速するボール。
慌てて佐々木匠が戻って拾い再度エリア内へ送り、曽根田がダイレクトでシュートするも枠を捉えられず。
ここではフィニッシュに繋げられたものの、その後9分には右サイド奥を取った愛媛ですが、バックパスが水で止まってしまいカットされる事態が発生。
純粋なパスサッカーを行うには分が悪い環境となりました。

一方の富山はロングパス・ミドルパスを中心に組み立て、クロスは早めに入れる等そんな条件を考慮したようなサッカー。
いかにも首位チームらしく、勝負に徹するといった姿勢であり。

それに相対する愛媛は、GKからショートパスで繋いでビルドアップvsプレッシングの勝負に持ち込みあくまで徹底抗戦するスタイル。
それでも15分にはゴールキックから短く繋ぎ、プレスをかわしきるとロングパスを送るという具合に、富山陣内でボールが止まる現象が多発した事を考えての立ち回りを取り。
結局ここでの攻撃は、そのロングパスを受けた茂木が左からグラウンダーでクロスを送り、深堀が合わせにいきましたがオフサイドに。
しかし直後の16分にはプレスを嵌められ、ボールキープする小川が左サイドに追いやられてタッチを割るなど攻防の優劣はつけ難く。

富山のプレッシングは一重にシルバの前への意識の旺盛さを利用するといった感じで、2トップ+シルバ+サイドハーフ1人といった前線を組んで再度に追い込んで阻みにいき。
前述の通りそれなりに効果を出し、一方の攻撃でもシルバが前に出てゴールを狙う場面が多々。
19分には左サイド手前からの安光のクロスを、ニアサイドで屈んでのフリックで合わせるヘディングシュートを放ったシルバ、これがゴール右へ外れる惜しいフィニッシュとなります。

雨中の試合といえば思い出させるのが2年前のこの試合(J2・愛媛vs磐田、0-0)でしたが、あの時ほど露骨な水たまりは可視されていないピッチコンディションであり、そのため適応も早かったでしょうか。
水分に苦しむシーンは以降見られなかった両チーム。
こうなると後は愛媛のビルドアップvs富山のプレッシングで、どちらが上回るかといった見所。

そして上回ったのは富山。
27分敵陣で椎名がボール奪取し、ショートカウンター気味に運んだ吉平がエリア内へスルーパス。
左ポケットで受けた安光が中央へ横パスを送り、受けた佐々木陽のシュートこそブロックされるも、尚もワイドで拾った安光。
最初のクロスがブロックされると、拾い直して再度クロス、これをファーサイドのターゲットである柳下が折り返し。
これがゴールへ向かうボールとなり、GK辻を越えて落ちる所を大野がヘディングで押し込み。
文字通り身体ごとゴールに投げうって、という先制点を挙げました。

尚も富山の好循環は止まらず、29分に再びボールカットからの好機。
右サイドでパスカットした柳下がサイドチェンジ、これで密集を打開したうえでその後吉平ドリブル→安光スルーパス→吉平で左ポケットを素早く突き。
そしてダイレクトで入れられた低いクロスを、これまた大野が身体を投げうってダイビングヘッドで合わせます。
山口のディフェンスと交錯しつつのシュート(それどころか頭部を蹴られる格好となっていた)で、ジャストミートこそしなかったものの、執念が勝りボールはゴール内へ転がり。
電光石火のように2点リードを奪った富山。

3分間で2得点と、その得点力を発揮した大野は言わずもなが、右サイドバックの柳下も前年観た通りの良い働きといった印象。
1点目のアシスト、2点目に繋がる良いボールカットと、要所で顔を出すその姿はやはり今季も上位進出の原動力でしょうか。

一方厳しい立場となった愛媛。
34分に曽根田のドリブルが(シルバに)反則で止められ、右サイドからフリーキックの好機。
キッカー茂木のクロスを森下が合わせ、叩き付けるヘディングシュートがゴールを襲ったものの、バウンドしたボールはゴールバーを掠める僅かに枠外となり。

仕留め損なった愛媛、その後富山のプレッシングをかわすべく、最終ラインは富山2トップの間を通すパスを使い始め。
そしてサイドでは詰まらないために、スルーパス中心に縦に運ぶ攻撃へとシフトした感がありましたが、効果的とはいかず。
その後も、縦パスをカットされた末にスルーパスを大野に繋げられて富山の好機となり(41分)、エリア内で佐々木陽とシルバが立て続けにシュート。(前者はブロック、後者はGK辻キャッチ)
45分には再び柳下にパスカットされると、彼のドリブルを反則で止めた佐々木匠が警告と、良い流れを得れないまま前半終了を迎えました。

流れを変えるべくハーフタームで交代は必至といった愛媛。
あまり目立てていなかった三原を代え、疋田を同ポジションで投入します。
それとは別に、SH同士を左右入れ替えて茂木が右・曽根田が左という立ち位置に。

そしてピッチ上でも流れを変えるべく、キックオフの位置に立った森脇はバックパスと見せかけて逆向きのままヒールパス。
これでセンターサークルからの前進を選択したものの、あっさり奪われて逆に富山の攻撃となり、シルバのドリブルを矢田が倒してしまい反則。
中盤近くでのFKながら放り込みの姿勢を取った富山ですが、意表を突いて右への縦パスを選択し、奥を突いた椎名がシルバのポストプレイを挟んでクロス。
これがゴールへ向かう軌道となりGK辻が辛うじてセーブと、トリックプレイでも富山に劣るという難儀な入りを強いられます。

しかし富山の攻撃を切ると、投入された疋田が自陣からのスローインというプレーで流れを呼び込み。
深堀をターゲットにした長い飛距離を連続で投げ入れ、その2本目(後半4分)が好機に繋がり、右ポケットからの茂木の低いクロスをニアで曽根田が合わせシュート。(GK田川セーブ)

この影響もあり5分に中盤からの右スローインになると、富山サイドが警戒して引いた所を疋田は前では無く横へと投げ入れ、受けた矢田が逆サイドへ展開して好機に。
山口がドリブルで椎名を剥がすと、クロスでは無く横パスを選択し、その流れのまま曽根田→矢田と経由して中央へ。
そして後方から走り込んだ疋田が果敢にミドルシュートを放つと、ボールは地を這ってゴール左へと突き刺さり。
自身が変えた流れを、自身でモノにしたという疋田のゴールとなりました。

これで1点差となった愛媛。
続く好機は8分で、左→右へのサイドチェンジを経て右からクロス、跳ね返りを拾って左から攻めとサイドが激しく移り変わり。
一度は山口のドリブルがシルバに奪われるも、そのシルバの持ち運びを曽根田が阻んで継続、拾った山口が低いクロス。
そして深堀がニアサイドで合わせ、ゴール左へと突き刺します。
富山と同じくの立て続けの連続ゴールで、あっという間に同点となった試合。

同点に追い付き一安心といった愛媛、再び最終ラインからのビルドアップを重視する姿勢に落ち着き。
それを富山は阻みにいき、前半のようにサイドに追い込むも、動揺からかそこから奪う事が出来ず。
10分には右サイド(富山から見て左サイド)に追い込むも、バックパスに対しプレスが曖昧となった(最終ラインへの戻しに対し2トップのどちらが行くべきか迷った感じ)隙を突かれて森下のミドルパスで剥がされ、さらに中央経由からの森脇のロングパスで左奥を突かれ。
そこから先程のように山口のクロスをニアサイドで深堀が合わせにいく(大畑が辛うじてクリア)という具合に、土台がグラつき始めている感じでした。

何とか引き締めんと、11分にベンチが動き佐々木陽→末木へと交代。
ボランチに入る末木により、シルバがトップ下へと上がり4-2-3-1or4-4-1-1という布陣となります。
前掛かりな傾向のシルバ、2失点目のシーンを受けてその守備面の綻びを防ぎにいったという策でしょうか。

これで愛媛の流れを堰き止め、改めて3点目を狙いにいく富山ですがその攻撃に中々パワーは見られず。
14分に安光のドリブルから攻撃開始するも、結局は右サイド手前からのクロスに留まり、大野が跳び込んで合わせるも放たれたヘディングシュートはGK辻がキャッチ。
同じ大野の頭でのフィニッシュでも、前半とはえらく違うという印象を残すのみに終わり。

そんな事を敏感に感じ取ったのか、17分に今度は3枚替えと大きく動いてきた小田切道治監督。
椎名・シルバ・大野の3名に代え、松岡にトップスコアラーの高橋駿太、そして助っ人マテウス・レイリアを投入してきました。
これにより高橋駿・レイリアの2トップとなった事で、再び4-4-2へシフト。

しかしそのベンチの思いも空しく、一向に好循環は巡って来ない富山。
時間が経過し20分台となり、愛媛サイドはこのタイミングで個の力が発揮されます。
それはトップ下の佐々木匠で、かつて讃岐でドリブラーとして名を馳せた(?)男がその能力を解禁したように躍動し。
23分に自ら中盤でボール奪取し、拾った森脇の縦パスを受けてそのままドリブル、エリア内の深堀へとラストパスを送るもこれは繋がらず。
しかしその直後にも敵陣で自らボール奪取し、曽根田の戻しを受け取り再度ドリブル突破で左ポケットへ。
大畑に倒され、反則無しに終わったものの、守備陣を散々に切り裂いた効果は直ぐに出る事に。

続く24分、右からのスローインをエリア右脇で受けに入る佐々木匠、ポストプレイで深堀に託し。
するとその勢いのままカットインでポケットに切り込む深堀、今瀬が対応するも足を出して引っ掛けてしまい、深堀が倒れると反則を告げる笛が鳴り響きます。
当然ながらPKが齎され、キッカー深堀がゴール左へと突き刺し、とうとう2点差をまくった愛媛。

追う立場となった富山、同時に最終ラインからの能動的な崩しも強いられ。
攻撃的な柳下を前へ押し出す、所謂右肩上がりの布陣でのビルドアップに賭ける事となります。
そして逆サイドでは、安光が偽SBの如く、ハーフレーンを駆け上がる体勢に。
主に左サイドからの前進で、長いパスで高い位置の柳下に託すという攻撃で、同点を狙いにいき。
柳下は3本クロスを入れ、30分に入れたマイナスのクロスから高橋駿がフリックした(その後繋がらず)のが最も惜しいシーンとなり。

富山が追い付けないまま、35分に動く愛媛ベンチ、森脇・佐々木匠→深澤・石浦へと交代。(こう並べると深澤も前ヴェルディと思いがちだが別人、念のため)
するとその直後の36分、右サイドでのボール奪取から深澤→石浦と経由し、中央で深堀が溜めを作って曽根田のドリブルに繋げ。
そしてエリア内へのスルーパスを受けた深堀、すかさずシュートしゴールに突き刺し。
これでハットトリックを達成した深堀、松田の出場停止を見事に救った形となりました。

これで今季最多の4得点となった愛媛、それでも勝負にストイックな姿勢は変わらず。
富山は39分にコーナーキックから、安光がヘディングシュートを放ったもののGK辻がセーブ。
この後の40分に、愛媛ベンチは茂木→平岡へと交代し、5バックシステム(3-4-2-1、平岡は3バックの中央)へと移行します。
(富山は39分に吉平→安藤へと交代)

追い詰められた富山、柳下は既に中央でターゲットの姿勢を取り始め。
安光→安藤の2人掛かりでひたすら左サイドの前進を仕掛けるも、厳しい状況は変わらず。

しかし45分、安藤が右サイドへとロングパスを送り、受けた松岡が右ポケット奥へと切り込んでクロス。
これを柳下が森下との競り合いを制してヘディングシュート、ゴールネットを揺らして1点を返します。
再三の左サイドアタックの逆を突いた格好の得点となったものの、未だ愛媛のリードは変わらず。

アディショナルタイムに突入し、富山はロングボール攻勢に活路を見出す他無く。
そしてフィニッシュに繋がる事無く、そのまま試合終了の時が訪れました。

大量得点を果たした愛媛ですが、結局1点差ゲームとなった辺りこれはもはや逃れ得ない運命なのか。
首位に立ち価値のある1勝となったものの、それを活かすも殺すも今後次第、といった所でしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第25節 いわきFCvs水戸ホーリーホック

2023-07-11 16:00:25 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回のいわきの記事はこちら(21節・千葉戦、0-0)
※前回の水戸の記事はこちら(23節・岡山戦、0-1)

<いわきスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 岩渕が前年の故障離脱から復帰、22節(大宮戦、5-1)から毎試合途中出場し、ゴールも毎試合挙げる。

<水戸スタメン>

  • 戦列復帰したGK山口瑠が前節からスタメンにも復帰。

今季から新たにJ2へと加わったいわきですが、単なる同一カテゴリの一チームに留まらない関係となったのが水戸。
地理的に、水戸~仙台のラインに立ち塞がる様に現れた新興勢力という位置付けとなり。
そして両者の対戦は、密接する鉄道の名称にちなみ「常磐線ダービー」と名付けられるに至りました。
前回対戦時は点の取り合いの末に引き分け(2節、2-2)、今度こそ決着をつけるという意気込みの下、いわきグリーンフィールドは熱気に包まれ。

その間にいわきサイドは敗戦が込み順位も降格圏に後退、そして監督交代と汚泥に塗れるような歩みを強いられ。
再び就任した田村雄三監督の下、4戦無敗(2勝2分)と浮上の兆しを見出してこの日を迎えました。
これまでとはフォーメーションをマイナーチェンジしたうえで、蔑ろにしていたポゼッションもある程度取り入れるなど新たなサッカーを模索。
従来のサッカーを維持しつつのそのスタイルに、文字通り一段上へとクラブを変貌させる目論見が窺えますが、現状はまだ道すがらといった所でしょうか。

その発展途上の状態を突かれるように、立ち上がりは水戸のハイテンションぶりに押されっぱなしの展開となり。
1トップの寺沼の迫力にたじろぎ、前半1分に早くも小原のシュート(ゴール上へ外れる)に繋げられたのがその幕開け。
いわきはとてもボールを繋ぐ余裕を見出せず、寺沼に対する(家泉の)反則もあり攻撃権の確保はままならず。

そして5分の水戸の攻撃、長いパスで頻繁にサイドを変えていわきディフェンスを揺さぶり、右サイドで溜めを作った末に中央でラストパスを受けた小原がエリア内を突き。
そして右ポケットへ流れつつ、寺沼のケアも頭にあったいわきディフェンスをかわしながら放ったシュートがゴール左へ突き刺さり、早々に先制点を奪います。

その後も攻撃の道筋を見出せずといったいわきですが、9分に審判団の間でトラブルが発生。
無線機の異常が起きたらしく、1分程ブレイクが設けられ、これで何とか落ち着きが取り戻せたでしょうか。
最終ラインから繋ぐ姿勢を取り始めると、水戸サイドもそれに無理にプレッシャーを掛ける事は行わず。
きっちり5-4-1の陣形を保つのを重点に置いていたようで、いわきもそれに伴いポゼッションを確保します。
最前線が1トップから動かないので、いわきも2センターバックを保つ意味はあまり無く、それに伴いボールサイドに片側のCBが張り出してパスを繋ぐシーンが数多。
これによりサイドに人数を掛ける体勢は出来上がったものの、当然ながら水戸の守備陣形の硬さをどう崩すかというのに難儀。
そして攻めあぐねた末に水戸の逆襲を受ける、お決まりともいえる展開に突入します。

水戸はサイドに開く梅田にミドルパス・ロングパスを裏へと送り、彼の落としを繋ぐという組み立てが中心。
前回とは違い、武田の存在で展開力が増したような恰好でしょうか。
圧力を持った寺沼が中央に張る事もあり、それに意識を割く事はままならないいわきディフェンス。
そんな対応の難儀が攻撃にも影響したか、21分には縦パスを出した所を楠本が敵陣に出て奪い水戸のショートカウンター。
そして武田のミドルシュートが放たれ、家泉のブロックに当たってゴール右へ際どく外れ。
直後のコーナーキックからも寺沼がヘディングシュートを放つ(枠外)など、ひとしきりフィニッシュに繋げていたのは水戸の方となりました。

しかし徐々に様になっていくいわきのポゼッションからの攻撃、サイドを運んだのちに戻しを経てサイドチェンジ、逆からポケットを突くという姿勢が見え始めたのが20分台。
そして28分もその流れで、左サイドから戻して中央→右へと渡り、石田のポケットへのスルーパスに有田が走り込んでクロス。
このグラウンダーのボールをニアサイドで楠本がクリアに入りますが、逆向きで合わせる形となりゴールに突き刺してしまい。
綺麗なオウンゴールといった絵図で、同点となります。

これがブーストとなり、以降は攻撃権を独占するいわき。
やはり水戸はプレッシングを掛けないのが災いしたか、波に乗るいわきを前に立ち上がりとは逆に押されっぱなしに。
こうなると幸運も絡み、34分には水戸のロングボールを跳ね返すとそのままエリア内で近藤が収める好機に繋がり。
そして左へ流れたのちパスワークで溜めを作り、宮本ポケットへのスルーパス→近藤ポストプレイ→河村シュートと流れるようにフィニッシュ。
ブロックに防がれるも尚も繋ぎ、下田の後方からのミドルシュートがゴールを襲いますがGK山口瑠のセーブに阻まれます。

いわきの独壇場といった展開が10分以上続きますが、42分に再び縦パスを自陣でカットされて(その後水戸は小原→寺沼へのパスが繋がらず)その流れは途切れ。
45分の水戸の攻撃では、逆に右からの鵜木のグラウンダーのクロスに対し、下田のクリアがゴールに向かうというあわやオウンゴールという場面も作ってしまいます。
これはGK鹿野が防ぐも、引き続きCKと水戸の好機。
キッカー武田のファーサイドへのクロスを寺沼が綺麗に合わせ、ヘディングシュートがゴールネットを揺らし。
劣勢を凌いだ末に、勝ち越し点を挙げた水戸。

その後いわきもやり返し、宮本のヘディングシュートが放たれるも再び立ちはだかるGK山口瑠のセーブ。
1-2のまま前半を終え、ホームの観衆の前で後半に賭ける事となったいわき。
ハーフタイムで早速2枚替えを敢行(永井・近藤→谷村・吉澤)し、その姿勢を露わにします。
一方の水戸も梅田→草野へと交代。

しかし迎えた後半の入り、前半同様にいきなり水戸の好機。
石井の左手前からのアーリークロスを経て、寺沼のフリック気味に合わせたヘディングシュートがゴール右を襲い。(際どく外れる)
さらに水戸は前半抑制していたプレッシングも解禁(恐らく連戦を考慮しての温存策だったのだろう)し、後半からは寺沼・草野の2トップによる3-3-2-2(3-1-4-2)へとマイナーチェンジ。
サイドに出された際にはウイングバックが前に出ていわきの前進を阻みます。

圧力に押されるいわき、後半5分には石田がスリップし家泉のパスを受けられず、小原が拾った事でいわきのカウンターに。
そして草野がドリブルで左ポケットを突いてグラウンダーでクロスを送り、ニアサイドに寺沼が走り込むも僅かに合わずと、これまた際どい好機。
これが決定打となった訳では無いでしょうが、いわきベンチは6分に石田→岩渕に交代・宮本が右サイドバックにシフトと素早く動きます。

戦列復帰してから、点取り屋の資質を見せている(3試合で3得点)岩渕の投入に勇気づけられるいわき。
7分には左スローインからの攻めで、ワイドからポケットを突いた谷村のヒールパスで意表を突き、河村がシュートを放つも松田佳がブロック。
人数を掛けた重厚な攻撃にキレが戻り始めます。

一方の水戸は13分に寺沼→安藤へと交代。
前半体を張っていた寺沼・梅田が2人とも退いたものの、その後彼らがいわきディフェンスに与えていたダメージが響く絵図が描かれます。
14分GK山口瑠のロングフィードを家泉がクリアミスし、拾った小原が左ワイドを駆け上がってカットイン。
左ポケットを突く好機となるものの、宮本が反則気味のディフェンスで止めて凌ぎます。
しかしその直後にも、空中戦の末にクリアにいった谷村がハンドを犯し、水戸に直接FKを与える事態に。
相手の綻びを突きたい水戸は、この中央やや左からのFKを鵜木が直接シュート。
これがゴールバー下に当たってゴール内に落ち、綺麗に決めてモノにします。

2点差として勝利に前進した水戸。
18分にはいわきのクロス攻勢をGK山口瑠がパンチングで跳ね返し続け、奪ってカウンターに持ち込み。
溜めを作ったのち左から上がった石井のクロスを、ファーサイドで安藤が合わせましたが枠を捉えられず。
今思えばここから、いわきの攻撃を凌ぎつつカウンターという意識を強めるべきだったでしょうか。

20分、最終ラインから左へと展開するいわきに対し鵜木が前に出て阻みにいく水戸。
しかしそれを逆手に取り、河村の中央へのパスを下田がダイレクトで縦パスを送ると、村田と楠本の間のハーフレーンを見事に突いて(吉澤のスルーを挟んで)ポケットを取る岩渕。
そしてカットインをチラつかせながら、GK山口瑠と正対してのシュートをゴール右へと突き刺します。

1点差となり、意気上がるいわきを前に水戸は混乱状態になってしまった感があり。
22分に宮本の反則気味のボール奪取からいわきが攻め込むと、人数を掛けての前進を寸断出来ない水戸。
岩渕のミドルシュートは松田佳がブロックするも、松田佳が痛むのを尻目に跳ね返りを下田が落として尚も継続、右から宮本のスルーパスでポケットを突き。
そして走り込む有田ヒールパス→吉澤ダイレクトでクロス→谷村シュートという流れるような攻撃を防げず、揺れるゴールネット。
人数が揃っていた水戸ディフェンスをも崩す形で、僅か3分間で2点差を追いついたいわき。

同点となり、再び攻めなければいけなくなった水戸。
26分に武田が退いた(杉浦と交代、同時に小原→井上へと交代)事もあり、以降は鵜木が高目の位置を取って右サイドから攻め、村田との2段構えでの前進が中心となります。
いわきサイドも、前線がプレスを掛けるもスリップして繋がれてしまう場面を作る等、熱戦における体力面の問題はフィジカル軍団にも容赦なく襲い掛かり。

3-3のまま、(24分の有田のシュート以降)お互い攻め上がるもののフィニッシュに繋がらないという時間帯が続いた末に、35分に双方選手交代。
いわきは下田→加瀬へと交代し、山下がアンカーに回り。
水戸は石井→永長へと交代し、井上が左WBへシフトして永長が右・杉浦が左というシャドーの並びに。

均衡を破ったのは投入された永長の方で、37分に右サイドをドリブルし、右ポケットからカットインを経てシュートするも遠藤がブロック。
これで遠藤が痛んで倒れ込むも何故かプレーは止まらず(いわき3点目のシーンとの帳尻か?)、さらに永長が右から仕掛けた所河村に倒されて反則でようやく途切れ。
いわき・田村監督の抗議が生まれるも、終盤も間近になり熱戦の雰囲気は止む事無くといった状況故に、判断ミスも致し方ない所でしょうか。(遠藤は無事に続行)
ここからFK→CKとなった末に、水戸はクロスを合わせにいった草野が家泉にアフターチャージで反則・警告と、そのテンションの高まりは歯止めは利かず。

しかし最後はそれが仇となった感があり。
42分に草野を狙ったロングボールでの攻撃から右CKを獲得した水戸、キッカー鵜木のクロスの跳ね返りを尚も繋がんとします。
しかしいわきのプレッシャーの前でそれは逆効果だったか、杉浦の(永長への)ダイレクトパスがミスとなり、岩渕が拾った事で一気にカウンターに持ち込むいわき。
それはドリブルで抜け出した宮本と並走する岩渕がGKと2対1という絶望的なものとなり、横パスを合わせた岩渕がキッチリとゴールへ蹴り込み完遂。
パスを読んでいたGK山口瑠の反応も届かず、熱狂の終止符となるべき4点目はいわきが挙げる事となりました。

諦めずに攻めの姿勢を見せる水戸に対し、アディショナルタイムに最後の交代カードを切るいわき。(河村→江川)
以降も後方での繋ぎを経てのロングパスと、あくまで形作ったうえでの供給の姿勢を見せる水戸ですが、フィニッシュには辿り着けず。
いわきのプレッシングを呼び込んでの裏へのロングパスにも、GK鹿野が良く対応して好機を作らせません。

そして試合終了の笛が鳴り響き、胸すく大逆転劇でこの試合ならびに今季のダービーを制したいわき。
総得点25のうちの11を後半の4試合で挙げるという爆発ぶりが、改めてJ2への挑戦状となるでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第20節 アビスパ福岡vs北海道コンサドーレ札幌

2023-07-10 16:01:34 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

先週の神戸戦で、Jリーグからの移籍を表明していたアンドレス・イニエスタの送り出しを務める事となった札幌。
その試合の感想としては、前年同カードを観た際とほぼ変わらぬものであり。
札幌が誇る(?)「オールコートマンツーマン」のサッカーに対し、素早い寄せに難儀するイニエスタが機能する場面はあまり無く推移する、といった印象でした。

今季はその神戸も、激しいプレッシング・素早いトランジションを重視したサッカーに舵を切るという具合に、J1を戦うには避けては通れないのが近年のJリーグの事情。
そんな変化、そしてイニエスタの居場所も無くなっていくのは必然という流れは誰にも止められず。
個人的には神戸の「バルサ化」への取り組みは好きにはなれなかったですが、こうした結末となってしまうのは寂しい限りであり。
もう少し何とかならなかったのか……という思いと、そうした流れが(神戸が)現在上位に居る要因なのだから仕方ない、という割り切りが交錯するこの夏となりました。

札幌に話を戻すと、「リーグ屈指の攻撃力」と「あっさり失点する脆さ」が同居するという、そのチームの特色が色濃く表れている今季。
得点・失点の出入りが激しすぎるその姿は、先週のようにイニエスタの持ち味を消す程の日本サッカーのスタイルをある意味象徴する、とは言い過ぎか。
しかし2巡目となり相手の研究も進んだのか、3戦未勝利と再び衰退気配が漂っている現状。再びの小柏の故障離脱という要素が最も大きい気がする
そんな中で、相手の良さを消す戦いを繰り広げる福岡との一戦となりました。

1巡目で自分も現地で観戦したカードなので、その福岡の対策ぶりに注視する事となり。
立ち上がりの様子見の時間から、その変化を実感させられます。
札幌はストロングポイントである金子にボールが回る事は稀であり、これまでの「良い形でロングパスを金子に供給する」というサッカーを敢行する事は出来ず。
そのため、早い時間帯で2点リードを奪った前回対戦時の再現は全く成り立たなくなりました。

4-4-2のオーソドックスな布陣により、前線では要所でのハイプレスをチラつかせながら、しっかりとゾーンを固めて相手のロングパスを抑制する福岡の守備。
その姿勢に札幌は綺麗に出鼻を挫かれる事となった、という印象でした。
安易に金子にボールを託せず、かといってショートパスによる中央からの突破も難しい。
仕方無く、金子とは逆のサイドに居るルーカスへのロングパスへの供給が中心となり。
ルーカスの突破に対し、福岡もサイドバック・サイドハーフの2枚で対応して防ぎ。
攻撃の中心を期待される事となったルーカスですが、前半13分のミドルシュート(ブロック)ぐらいが見せ場となり、過度の期待による重圧の方が目立ってしまっていたでしょうか。

それでも徐々にボールポゼッションを高め、攻撃権を支配する札幌。
そんな中でルーカスは、サイドチェンジで何度か金子へとボールを託さんとするものの、福岡サイドもそのケアは欠かさず悉くカットされ。
攻められてはいるものの流れは決して良くなく、困っていた風でもあり。
それ故に焦ってダイレクトパスの連続で前進を図るも、それが繋がらないという具合に、「イニエスタの送別試合で何を学んだのか」と言いたくなる(言い過ぎか)ような絵図を描く事となります。

その打開は、中央への縦パスを通す事だったでしょうか。
29分、札幌は中盤~敵陣でのパスワークによりプレスを誘い、井手口を釣り出したうえでそのスペースへ宮澤が縦パスを通す攻撃。
受けたスパチョークが右へ展開する事で、(その後福岡のカット→再奪取を挟み)ようやく金子に良い形でボールが渡る好機となります。(右ポケット奥へ切り込むもシュートは撃てず)
これで不穏な流れが融解出来た感があり、続く30分にも岡村の縦パスが通ったのち、中央をワンツーで突破した荒野がシュートに繋げ。(ブロック)

そして続く31分でした。
ここも田中駿→スパチョークへと縦パスを送り、エリア内で受けた所をクリアされるも繋いで継続し、中村桐が左奥へと切り込んでカットインからグラウンダーでクロス。
井手口がブロックするも跳ね返せず、流れた所をニアサイドで受けたスパチョーク、すかさずシュートしてゴールネットを揺らします。
福岡の対策を上回るように、先制点に辿り着きました。

一方またもリードされてしまった福岡。
立ち上がりから続けていたロングパス・ミドルパス攻勢は変わらず、何とか得点を狙いにいき。
福岡のターゲット狙いに対し、札幌サイドも完全対応が期待できるのは岡村のみという状況故に、割と有効となっていたその立ち回り。

そして36分そのロングパスによる攻撃で、セカンドボールを繋いで山岸に渡った所、荒野に反則を受けた事でフリーキックの好機に。
右ハーフレーンから直接シュートも狙えるという位置で、それを窺わせつつ、キッカー金森は指示を出している体勢から意表を突いてヒールで蹴り出し。
後方から前がシュートを放ち、グラウンダーでブロックをすり抜けた末にGK菅野がセーブ、その跳ね返りを詰めたグローリがネットを揺らします。
しかし飛び出しがオフサイドを取られてしまい、(VARチェックを経て)無念のノーゴールとなり。

その後札幌もリードを奪った事で余裕が出来たでしょうか、ないしは激しくなる雨脚故の無理攻めの自重か。
ボールを受けたスパチョークが、ゆっくりとしたボールキープを挟んでチームに落ち着きを齎す立ち回りを演じる(41分)等、イニエスタが伝えたかったであろう(しつこいって)「パウサ」の要素も取り入れ。
しかしその流れも田中駿のハンドを切欠に途切れ、アディショナルタイムに福岡が猛攻を仕掛けるも実らず。
前半は0-1で折り返す事となりました。

前回対戦時とは違い善戦はしているという流れの福岡、巻き返しを図りたいのと、バランスを崩したくないという思惑が交錯するハーフタイムだったでしょうか。
結局動かない事を選択した長谷部茂利監督。

しかし後半は入りから札幌の猛攻が始まり、その始まりはやはり右サイドで金子がボールを持つ事で、クロスとカットインの二択に晒される攻撃。(後半2分・クロスを選択もフィニッシュには繋がらず)
流れを掴んだ札幌、直後に中村桐のロングパスで福岡のクリアミスも絡み、スパチョークがエリア内に切り込む決定機が生まれます。
放たれたシュートは奈良がブロックして辛うじて防ぐも、ここからコーナーキック攻勢も受ける事となり。(2分間で3本)

こうなると「何とか防がんとするも付いていけず、アフターチャージを頻発させる」という、お決まりのラフプレーへの傾倒を強いられる福岡。
流れを変えようと、9分に小田→湯澤へと交代させるもののそれは果たせず。
11分にスパチョーク、ルーカスが相次いでアフターチャージで倒れ込み、札幌サイドにもフラストレーションを生みかねない流れとなる試合絵図。

そして13分、右からのスローインでの攻めで、サイドチェンジを挟んでルーカスから攻め込む展開に。
一旦遮断されるも縦パスをルーカスがカットして継続し、スパチョークの中央へのパスが急所を突き、エリア内中央で駒井がボールキープ。
たまらず福岡はグローリが防がんとし、倒してしまうも反則の笛は鳴らず。
しかし2分後にプレーが途切れると速攻でOFRに持ち込まれ、VARに委ねられる事となります。
そして判定が覆り、際どいながらもエリア内での反則という事でPKを得た札幌。

前回の福岡のPKシーンを彷彿とさせる流れが、今度は札幌に齎される事となりましたが、喜ぶのはまだ早かったか。
チーム得点王の金子(8点・浅野と同着)がキッカーを務め、細かい助走を経てゴール左へとシュート。
しかしGKの逆は付いたものの、ゴールポストを直撃してしまい跳ね返り。
追加点はスルリと手中から逃げてしまいました。
一方九死に一生を得た福岡は、直後に佐藤→ウェリントンへと交代します。(19分・山岸が右SHへシフト)

その後も20分にロングパスを金子が折り返し、浅野のキープを経て再度金子にボールが渡り、右ポケット奥へ切り込んでクロス。(ニアで田中駿が合わせるもゴールならず)
金子にボールが渡る回数も増え、札幌の流れは変わらないという印象を抱かせるも、やはりPK失敗という結果による不穏ぶりは防げなかったでしょうか。

21分、駒井のスルーパスがカットされると、そこから前向きのベクトルを突かれ一気にロングカウンターを受ける札幌。
グローリのスルーパス一本で(宮澤がカット出来ずに)裏を取ったルキアン、右ハーフレーンを持ち上がってそのままポケットへ進入した末にグラウンダーでクロス。
札幌サイドが防ぐ術を持てないまま、ファーサイドで走り込むウェリントンが合わせてゴールネットを揺らします。
リードしている側が絶望的なカウンターを受けるという、やってはならない失点を演じてしまう札幌。

同点に追い付いた福岡、尚も虎視眈々と相手のベクトルの逆を突かんとする姿勢は変わらず。
そしてその時は早く訪れ、24分に札幌のロングボールをグローリが跳ね返した事であっさりとそれが齎され。
拾った山岸が右へとスルーパス、受けたルキアンがまたも右ポケットを突くという先程の再現のようなシーンとなると、今度は札幌ディフェンスの戻りを見た事で短いマイナスのクロスを選択するルキアン。
そして後方から走り込んだ湯澤がシュートを放つと、地を這いゴール左へと突き刺さるボール。
短期間であっという間に逆転を果たしました。

一気に追う立場へと切り替わってしまった札幌、直後にルーカス・宮澤→菅・福森へと2枚替え。(25分)
福岡は前から圧力を強めにいくも、勢い余ってルキアンが2連続でのアフターチャージを演じてしまい、警告を受ける事に。
しかしそれにより札幌もヘイトが溜まってしまったか、27分には福岡が左サイドアタックを仕掛けた所、スリップしてボールロストした金森が奪わんとして仕掛けたスライディングが荒野を倒してしまい反則。
これにより両者縺れ合い、ヒートアップして手を出した金森に対し荒野も応戦する、という具合に不穏な空気が爆発。
雨が依然として激しく降り注ぐなか、反撃の機運を高められない札幌。

何とか流れを変えるべく、33分に駒井→小林へと交代。
するとその直後、中央~右ハーフレーンをパスワークによる前進で、小林のエリア内へのスルーパスに浅野が抜け出してシュート。
ゴールに突き刺すものの、オフサイドを取られて無情にも同点はなりません。
直後の36分に福岡も、CKからウェリントンがフリーになってヘディングシュートを放つもゴール右へと外れ。
お互い決定機が交錯するも得点は生まれず。

最後の交代は、札幌は37分にスパチョーク→キムゴンヒ。
福岡はそれに対するように39分、山岸→井上とともに、井上を右センターバックに入れる3-4-2-1へとシフト。
つまりは5バックシステムと、逃げ切り狙いが明白な体勢となります。

押し込むものの、要所でかつての同僚・奈良のナイスディフェンスもありその守備を崩せない札幌。
こうなると頼みは飛び道具と言わんばかりに、CKを獲得した際のキッカー福森の才知に全てを託すといった状況に。
それでも崩すのは容易では無く、42分のCKではセカンドボールを拾ったのち、敵陣でパスを繋ぎ続けて何とか隙を窺わんとする体勢に。
そして金子が右ポケット奥を突くも、入れたクロスはGK村上の正面と実りません。
そして岡村を前線に上げ、パワープレイへと舵を切り。

執念が実ったか、45分にエリアからすぐ手前でキムゴンヒが(井上に)反則を受け、絶好の直接FKのチャンス。
当然蹴りにいく福森でしたが、放たれた直接シュートは壁を直撃とモノに出来ず。
その後福岡も敵陣で反則を受けた事で、左コーナーでボールキープの時間を作るも、何とか断ち切り最後の攻撃に入る札幌。
例によって金子がボールを持つも、既に時間は無く仕掛けずに手前からクロスを入れると、ニアサイドに走り込んだ田中駿が足で合わせ。
しかし乾坤一擲というこのシュートも、GK村上のセーブに阻まれてしまい万事休すとなった札幌。
その後のCKでの攻めが途切れた所で、福岡に勝ち点3を齎す試合終了の笛が鳴り響きました。

これで4戦未勝利、いずれも得点は1のみと、ストロングポイントを消されかけているような札幌の近況。
「たまに攻撃陣爆発の期間が出来るも、長続きせず結局2桁順位に」という近年の札幌のパターンも定番化しつつあり、その流れは今後覆せるかどうか。

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