※前回の山形の記事はこちら(19節・大分戦、0-0)
※前回のいわきの記事はこちら(20節・甲府戦、1-1)
※前回の両クラブの対戦はこちら(6節・いわき 0-0 山形)
<山形スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 天皇杯3回戦(札幌戦、3-6)からの継続スタメンは無し。途中出場も坂本亘1人のみ。
- ディサロがJ1・湘南から完全移籍で加入(再加入)し、今節から登録され即スタメン出場。
- 熊本の負傷が発表され、6/11に手術実施して全治約5ヶ月との事。
- GK長谷川の負傷が発表され、6/7に発生して6/11に手術実施、全治約4~5ヶ月との事。
<いわきスタメン>
- この日の布陣は、守備時に4バック・攻撃時に石田が最終ラインに残っての3バックという可変システムを採用。(yahooスポーツナビでは、山口がボランチに降りての4-2-3-1)
- 天皇杯3回戦(広島戦、0-4)からの継続スタメンは、生駒・加瀬・山口・谷村の4人。山下・有馬が途中出場。
- 堂鼻がJ3・福島から完全移籍で加入し、今節から登録され即スタメン出場。
- 照山が長崎へ完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
- 嵯峨が岡山へ完全移籍となり、(以下同文)
- 速水の負傷が発表され、6/21に発生して全治約3ヶ月との事。
- 加藤悠馬の負傷が発表され、7/2に手術実施して全治約3ヶ月との事。
- 特別指定選手の五十嵐が、7/12にプロ契約を締結。
移籍選手が出場可能となった今節。
山形はディサロ、いわきは堂鼻が早々にスタメンとなり、補強した戦力を早速チーム力に還元しようと何処も躍起になるのは必至。
しかし今季は、この試合の後に中断期間が挟まれるという日程。
そのため本格的なフィットは再開後、と見られても可笑しくは無いですが、実際に戦う立場では目の前の試合を全力でやるのみでしょう。
山形は移籍ウィンドウが開いてから早い時期に、ディサロの加入を決定させ。
言わずと知れた2年前にFWとして活躍した選手であり、(チーム成績が芳しくないのも相成って)その期待感は膨らむばかりといった状態に。
そして待ちわびたと言わんばかりに、早速スタメンで出場の運びとなり。
しかし相手は2年(実質は1年半か)前にはJ2の舞台に居なかったいわき。
フィジカルを前面に押し出す特異なチームとの対戦で、ブランクによる浦島太郎状態を強いられた感がありました。
入りの攻防で、1分の経過とともに早速敵陣でセットプレー攻勢に入るいわき。
五十嵐のロングスローと、そこから生まれるコーナーキックを繰り返して相手に守勢を強いるという立ち回りでプレッシャーを与え続け。
その数は、前半10分までにロングスロー3度・CK5度にも昇り、最後は五十嵐のミドルシュート(9分、枠外)とフィニッシュで締められたこの流れ。
当然山形は攻め上がる隙が無く、期待のディサロもストーン役としてのクリアで目立つ格好となり。
失点せずに凌いだ山形、10分過ぎから、持ち味のGK後藤雅からの組み立てによる攻撃に入り。
アンカーの山下以外の前線5人による、いわきの果敢なハイプレスの間を通しながら、前掛かりとなる裏を突かんと立ち回ります。
しかしいわきのプレッシャーを受けながらのロングパスは精度が今一つで、裏抜けを敢行してもボールが長くなりGK立川に抑えられるの繰り返し。
また2年前と同様にディサロのポストワークを利用しようとすると、そのディサロに対する(主に堂鼻の)強烈な寄せで機能せず終わるという具合に、好機を齎せません。
14分敵陣でパスカットした山下のミドルシュート(西村がブロック)を機に、再びセットプレー攻勢に入ったいわき。
ロングスロー2度→CKという流れから、左から石田のクロスが上がるも合わずに右奥へと流れ。
追った高江が棚田を牽制しながらラインアウトを選択するも、ボールはコーナーフラッグに当たり止まった事で、蓋をしてのボール確保を余儀なくされた高江。
棚田との競り合いを何とか制すも、いわきと同じ土俵(フィジカル勝負)を強いられるその流れに精神が削られるという感じだったでしょうか。
25分いわきのパスミスで矢印を反転させる山形、左サイドで吉田がスルーパスを出してパス&ゴー、坂本亘から受け直して左奥からカットインに入り。
そして左ポケットからシュートするもGK立川のセーブに阻まれます。
いわきの守備網を掻い潜って放ったフィニッシュにより、ここからペースを奪いに掛かり。
前述の通りのプレッシャーを呼び込んでの裏狙いや、陣形が乱れた所を安部がドリブルで運ぶなど、後方でのビルドアップの流れは組み立てられつつあり。
しかし前線は、肝心のディサロが抑えられ機能不全となったため、サイドから何とかするしかない状況を強いられます。
二の矢を放てないまま、39分に加瀬の右サイドの突破によりセットプレー攻勢の流れへ再び持ち込んだいわき。
右CK→スローインと続き、ニアに投げ込まれる五十嵐のロングスロー。
これを堂鼻がポジション取りを制した末に完璧に合わせ、ヘディングシュートをゴールに突き刺します。
先制に成功したいわきを尻目に、山形サイドは堂鼻のプッシングを猛アピールする(当然判定は覆らず)という具合に、フィジカル勝負故の苛立ちを露わにする結果となり。
何とかやり返したい山形。
次の好機はアディショナルタイムでまたも左サイドからの突破、坂本亘が吉田とのワンツーで奥を突いてマイナスのクロス。
そして中央で収めた國分のポストプレイを経て高江が後方からミドルシュートと、流れるように繋げたもののゴール右へと外れてしまい同点ならず。
結局0-1と、いわきのリードで折り返しとなり。
ホームの山形は巻き返しを図りたいのと、このままディサロを機能不全のまま終わらせられないという板挟みとなっていたでしょうか、ハーフタイムでは動かず。
そして始まった後半、早速山形は敵陣深めで右スローインとなると、岡本がロングスローという相手をインスパイアするような攻めの流れ。(岡本のロングスロー自体は前半から使用していた)
これをニアで安部がフリックするもディフェンスに当たってラインアウトし、CKで継続かと思ったその刹那、安部が石田に後ろから倒されたのをまたも猛アピールする山形サイド。
國分が異議により警告を受ける程の権幕に、そのフラストレーションぶりが窺い知れましたが、ここで冷静さを欠いてしまっては勝負にならないのは明白であり。
何とか気を取り直し右CKで再開すると、キッカー小西のニアへのクロスを西村がフリック気味に合わせ。
ゴールに向かいフィニッシュとなるも、棚田が同じくヘッドでブロックして跳ね返し。
続く後半4分にはGK後藤雅からの組み立て、一旦戻してプレッシャーを引き込み、安部のドリブルで前進。
そしてサイドチェンジを通した末にイサカのグラウンダーでのクロスが入るも、中央で合わせた國分のシュートはゴール左へ外れと、いわきの守備網を破るには至りません。
そのいわきの守備ですが、HTを経て微調整を敢行し、本来の3バックへシフト。
石田が左センターバック・堂鼻が右CBとなり、ウイングバックを右=加瀬・左=五十嵐とした3-3-2-2(3-1-4-2)の布陣に落ち着き。
相変わらずボールに絡めないディサロは、6分に縦パスを送った堂鼻に対しアフターチャージで反則を犯してしまい、警告を受ける始末。
10分にもこぼれ球の確保で激しく加瀬と交錯して反則となるなど、そのボールに向かう姿勢が空回りという結果に終わり。
そしてこれによるフリーキック(右ワイド・中盤から)でいわきは、キッカー山下が丁度ペナルティアーク付近へ送ったロビングを山口が落とした事で、エリア内で混戦に持ち込み。
そして左ポケット奥でこぼれ球を拾った谷村、切り返しで小西を剥がしてからのシュートでゴールゲット。
またもセットプレーからの得点で、リードを広げます。
苦しくなった山形は、直後に國分・坂本亘→後藤優・氣田へと2枚替え。
ここから両ウイングは、裏抜け狙いから突破力を押し出す立ち回りを重視するに至ったでしょうか。
一方いわきサイドも、16分に加瀬・棚田→大森・西川へと2枚替え。(石田が左WBに回り、五十嵐が右WBに)
いわきはWBも果敢に前に出る、ハイプレスの姿勢は崩さず。
しかしその走力を活かした撤退も早いので、山形は隙を突かんとしても実らない局面が多く。
それ故に交代を経ても中々流れを掴めない時間が続き、迎えた24分西村→岡本→イサカと、最終ラインから直に右ワイドに繋げるパスワークを経てイサカの突破に持ち込み。
そして石田の腕でのチャージを振り払い奥からカットインと、そのフィジカルを剥がす絵図を見せ付け。
クロスがニアでクリアされCKとなり、安部のヘディングシュートがGK立川にキャッチされ結局不発に終わったものの、その推進力でいわきの守備網を破る期待が高まり。
続く25分には同サイドでのパスワークから、裏へのミドルパスに抜け出したイサカがグラウンダーでのアーリークロス。
これにニアにディサロが走り込むも僅かに合わず、GK立川がキャッチ。
結局ディサロの見せ場はこれぐらいで、27分に退く事となりました。
ここで同時に3枚替えを敢行(ディサロ・吉田・イサカ→高橋・川井・横山)し、一気に交代枠を使いきり。
ここから、ウイングに縦突破という状況を作るべく、ビルドアップはサイドチェンジで大きく揺さぶる手法を多くする山形。
逆サイドを薄くした所に届け、前進を図りにいき。
しかしいわきの中央の堅さを警戒してか、クロスは低いものしか上げられず。
相手としてもワイドが薄くなるのを承知でマイナスのクロスだけは入れさせないという守備対応で、中々ポケット奥への突破を許しては貰えません。
36分左からの後藤優のサイドチェンジを、ワイドでは無くハーフレーンで受けた横山、ワントラップでポケットを突ける状態に。
そしてエリア内へ入り込み、カットインからシュートを選択しましたがゴール右へと外れ。
こうして相手の攻撃を凌ぎながら、カウンターで脅かすという立ち回りへと変節していくいわき。(32分に谷村→下田へと交代)
しかし37分に敵陣浅めで反則を受けた所、キッカーの位置に着いた山下は放り込みかショートパスか迷った末に、遅延行為を取られて警告を受け。
止むを得ず右奥へラフに放り込み(有馬が受けるもオフサイド)と、ボールを捨てる事を余儀なくされた結果、山形の攻勢が幕を開けます。
仕方ない状況とはいえ、弱気な姿勢を見せてしまってはこうなるのは必然であり。
40分に右スローインからクロス攻勢に入る山形(FKからの流れでCBは上がったまま)、左からの氣田のマイナスのクロスが中央で混戦を呼び込み。
そしてこぼれ球を拾った西村のパスを右ポケットで受けた横山、再びカットインからシュートを放ちましたが、右ゴールポストを直撃してしまい跳ね返り。
詰めにいった高橋も足に当てるだけとなり、この決定機も決められずとなります。
その後もセットプレーの流れから立て続けにシュートを放った横山、ジョーカーの役割を果たさんとしますがゴールは奪えません。
いわきサイドも一息つく時間は無く、スコア上のリードが頼みという状態に。
セカンドボールを拾われ、たまに拾ってもその後の縦パスがカットされるなど自陣から脱出できない状況が続きます。
そもそも、ボール保持して時間経過という選択肢を取れていない(全体この日は、再び縦に速い攻めの一辺倒に陥っていた節があった)ので、相手の攻撃を遮断する手段が無ければこうなるのは必然でもあり。
布陣的にも山下・下田がドイスボランチとして位置取る事で、5-4-1での撤退戦を強いられ。(43分に有馬→近藤へと交代)
しかし時間はATに突入し、大きな間違いを続けなければ勝利は堅いという展開。
敵陣で外回りのパスを強いられる山形ですが、後方に戻してから安部の斜めの縦パスで素早いくサイドを移し、左から氣田のクロスが上がり。
今度はハイボールで、これを高橋がヘディングシュートに持ち込みゴールネットを揺らします。
最終盤故の強度の緩み(GK立川が跳び出すも触れず)か、ようやくこじ開けて1点差に詰め寄り。
いわきのキックオフで再開も、またすぐに攻撃権を奪い返し攻め上がる山形。
流れの中で西村が最前線へと上がるも、そこには放り込まずあくまで地上から組み立てんとします。
そして1点目のシーン同様、安部の斜めの縦パスが氣田に渡ると、今度はカットインで切り込んでのシュートを選択する氣田。
これを五十嵐が頭部でブロックし、脳震盪の疑いが過る絵図(一瞬手で頭を抑える)もありましたが直ぐに山形のCKで継続。
GK後藤雅も前線に加わる最後の攻撃で、キッカー高江はその後藤雅に合わせるボールをニアに送りましたが、跳ね返されて万事休す。
試合終了の笛が鳴り、中断直前で貴重な勝ち点3を得るに至ったのはいわき。
順位的には昇格も夢では無いという立ち位置(8位、勝ち点34)で、パワーサッカーの全盛を象徴する存在となり得るでしょうか。
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