五輪メーンスタジアム「鳥の巣」、建築物としても注目の的
2008年08月08日 18:18
中国・北京(Beijing)のオリンピック公園(Olympic Park)にある、「鳥の巣(Bird's Nest)」の愛称を持つ北京五輪のメーンスタジアム、国家体育場(National Stadium、2008年8月2日撮影)。(c)AFP/TEH Eng Koon
【8月8日 AFP】北京五輪のメーンスタジアム、国家体育場(National Stadium)。8日に五輪開会式が行われるこのスタジアムは、建築物の傑作としても称賛を受けており、華やかな開会式では世界中が注目するとみられる。
鋼鉄が編み込まれたような、その印象的なデザインから、このスタジアムは「鳥の巣(Bird's Nest)」の愛称を持つ。収容人数は9万1000人で、全長36キロ・重量4万5000トンの鋼鉄が使用されている。
設計を担当したのは、ロンドン(London)の美術館「テート・モダン(Tate Modern)」や2006年サッカーW杯会場のミュンヘン「アリアンツ・アレーナ(Allianz Arena)」などで国際的に有名なスイスの建築家ヘルツォーク・アンド・ド・ムーロン(Herzog and de Meuron)氏だ。
グレーシルバーの色調と組まれた梁(はり)のすき間によって、遠くからは軽量の構造に見えるが、近づくと頑丈で、中国のシンボルカラーの赤を基調とする内部構造も見える。
内部の観客席は、トラックサイドから上方に向け緩やかな傾斜で配置されており、建物の巨大さと相反して親しみやすい雰囲気となっている。
■中国の野心を示す象徴的建物
建設は2003年11月に着工した。この型破りな象徴的建物は、五輪開催で世界中から注目され新しい大国と認められようとする中国の野心を示すものともなった。
中国の神話から、円形のスタジアムは太陽、向かいに立つ正方形の水泳センターは月が示されている。夜間にスタジアムが赤に、水泳センターが青くライトアップされると、その効果が増す。この2つの施設は、それぞれ中国で男性と女性を示すシンボルがかたどられてもおり、北京(Beijing)市を南北に真っすぐ走る道路の両脇に建てられた。
■予算削減で規模縮小、突貫工事で死者も
建設工程は常に順調だったわけではない。2004年には数か月間、作業が一時中断。可動式屋根付きとなるはずだったが、予算削減で屋根を断念。当初は10万人だった収容人員も9千人減となった。
04年後半には建設が再開され、スタジアム完成に向けて地方から出稼ぎ労働者も多数雇われた。英紙によると、五輪開催までに完成させるために急ピッチで進められていた工事で、2007年に少なくとも10人が死亡したという。中国政府は繰り返しこれを否定していたが、後に2006年と2007年に1人ずつ出稼ぎ労働者が作業中に死亡したことを認めた。
また、大半が芸術性を高めるためだけに鋼鉄が大量使用されたことも、環境に優しい「緑の五輪」にするとの中国政府の公約と相反し、一部で物議を醸した。
■28競技が37施設で開催
北京五輪で使用される競技施設は全部で37か所、24日まで28競技が行われる。うち31か所が北京市内にあり、この半数以上が市内北部のオリンピック公園(Olympic Park)内に集中している。
ほかに4都市でサッカーの予選が行われ、山東(Shandong)省青島(Qingdao)の黄海沿岸でセーリングが、香港(Hong Kong)で馬術競技の各種目が行われる。(c)AFP/Charles Whelan
http://www.afpbb.com/article/beijing2008/beijing2008-news/2502902/3180430