ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「注文の多い注文書」 小川 洋子 ・  クラフト・エヴィング商會

2014-09-18 11:09:17 | 
 「注文の多い注文書」  小川洋子  ・  クラフト・エヴィング商會

       


case1~5まであり、それぞれ、注文書、納品書、受領書が書かれている。
とある町の一角に「クラフト・エヴィン商會」がある。
創業は明治で、看板には「舶来の品および古今東西より仕入れた不思議な品 販売。 ないもの、あります」
お店に入ると、店主が「どんなものでもお取り寄せしますよ、ないものでもあります。」から始まる。
以前読んだ「夜市」でも、なんでも手に入らないものはなかった。
秘密めいてみんなは何を手に入れたいのか? 発想が面白い。


 「人体欠視症治療薬」   「たんぽぽ」 川端康成

若い娘さんが注文に訪れる。
付き合い始めた恋人に触れると、触れたところが順番に消えていく、触らないように気を付けていても、とうとう彼は見えなくなってしまった。
薬を注文すると、取り寄せ可能と説明書と写真が添付されてくる。これがまた、それらしく怪しい写真で面白い。
どのように症状が治まったかは、読んでのお楽しみ。

 「バナナフィッシュの耳石」   「バナナフィッシュにうってつけの日」  J.D.サリンジャー

「J.D.サリンジャー読書クラブ」三代目会長からの注文。
彼曰く、「世の中には神様から選ばれた芸術家がいて、水中生物の耳石に神様の声がしみ込んでいるのを聞くことで作品が生まれる。
サリンジャー が書けなくなったのは、耳石が手に入らなくなったからに違いない」と、
さて、見つかってサリンジャーは新作をかけるのか?

『若いころ、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んだが、そうだったんだ  
息子が、村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を買ってきているので、再読してみよう』

 「貧乏な叔母さん」    「貧乏な叔母さんの話」  村上春樹

彼、夏木純一郎さんの家族は早逝で、4歳から19年間、祖父が郵便配達をして育ててくれた。その祖父に先立たれ、悲しみに沈んでいると背中におばさんが取りついた。
何ともおかしな話だが、彼女はほとんど小言だが彼を励ましてくれ、祖父の読んでいた本を読むように勧める。
すっかり叔母さんに慣れたころ、彼女は静かに背中から去っていった。
注文は「彼女を探してほしい」というもの。
クラフト・エヴィング商會に届いた封筒の消印は25年も前のもの。
それは先代の社長が作った「時間差郵便」の切手と封筒で、郵便配達員だったおじいさんの時代に接点があったのかも。
ようやく連絡がとれた夏木さんは、49歳になっていた。
そこから彼が語る25年間の不思議な話。

過去や未来の自分に手紙をかけたら、私は何を書くだろう?
過去や未来は変えられないけれど、どんな人だったのか、何を考えていたのか、私に何を望んでいたのか、母親と話がしてみたい。
できるなら、本当は電話で声を聞いてみたい。

  「肺に咲く睡蓮」   「うたかたの日々」  ポリス・ヴィアン

人間の体を住みかとする植物を採集して扱う標本商の弟子丸さんが亡くなった。
彼の標本箱の一つ空いているところに入る予定だった、「肺に咲く睡蓮」を探して欲しいと、彼の友人の指圧師と古本屋さんが注文に訪れる。
それは、思いもよらないところから見つかった。


  「冥途の落丁」    「冥途」 内田百聞

夫が、昔エヴィング商會で小間使いをしていたという男から手に入れた「冥途」の本。
ページが打ってなく落丁している。その本を手に入れてから起こった出来事。
妻はこの本を引き取ってほしいと注文する。  その本の秘密は、、、?

クラフト・エヴィング商會は吉田浩美さんと吉田篤弘さんによる制作ユニット。
初めてお名前を拝見しました。
「注文書」「受領書」は小川さん、「納品書」は吉田さん二人の作品です。
本書の源泉となった五つの作品と吉田さんの作品は、まだ未読なので、機会があれば読んでみたいです。
 



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2 コメント

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たくさん読まれたんですね~。 (もと)
2014-09-18 15:26:19
なかなか本に手が届きません

どうしても仕事と家事と見たいテレビで時間が奪われていますね~。

「肺に咲く睡蓮」 って映画になっていませんでしたか~?

たしか「クロエ」だったかな?聞いたことがあります。
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さすが、もとさん (ウエスティー)
2014-09-18 21:20:19
映画になってるそうです。
いつも拝見している本のブログを参考に、本を選んでるんですが、
その方がこの本を読む前に、映画を観たと書いてありました。
ユニークな映像と書いているので観てみたいです。

読みたい本がどんどん溜まって、なかなか減りませんが、後どれだけ読めることやら。

これからは、映画館にも足を運ぼうと思っています。
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