J-CAST会社ウォッチ / 2022年11月4日 8時15分
ヘンリー王子「暴露本」が話題に…なりそう(写真はイメージ)
エリザベス女王の崩御を受けて発売が延期されていたヘンリー王子の「tell-all memoir」(暴露本)が、2023年1月10日に発売されることが発表されました。
出版社のペンギン・ランダムハウスが「生々しい内容」だとお墨付きを与えたこともあり、発売前から論争が巻き起こっています。
とりわけ話題になっているのが、「SPARE(スペア)」というタイトル。
ウイリアム皇太子の「スペア的立場」だったことへのあてつけか、との憶測が広がっています。
16か国語に翻訳されての世界同時発売。世界的ベストセラー作家の座を目前にしたヘンリー王子ですが、世の中そんなに甘くはないようです。
「理想の仲良し兄弟」のはずが、ずっと「スペア」が不満だった?
報道によると、ヘンリー王子はペンギン・ランダムハウスと4冊の本を出版する契約を交わしていて、契約金は数十億円にのぼるとされています。
第1冊目となる自叙伝は、当初2022年末の発売が予定されていましたが、エリザベス女王の崩御を受けて、ヘンリー王子が「大幅な修正」を希望したことから、「発売が遅れている」と話題になっていました。
一時は「お蔵入り」のウワサも流れましたが、巨額の契約金を支払っている出版社が、そう簡単に「打ち出の小槌」を手放すわけはありません。
さんざん引っ張って話題を集めたところで、衝撃的なタイトルと共に発売が発表されました。
Prince Harry's memoir is due in January. How explosive will it be?
explosive:議論が紛糾する、論争を巻き起こす
(ヘンリー王子の自叙伝が1月に発売される。どれだけ論争を巻き起こすだろうか?:米ニューヨークタイムズ紙)
米高級紙ニューヨークタイムズは「explosive」(論争を巻き起こすだろう)と予測していますが、発売を前にすでに論争を通り越して「嵐」が吹き荒れています。
とりわけ英国メディアの興奮ぶりが目立ちますが、「英王室への挑戦状だ」とセンセーショナルに受け止められているのが「SPARE(スペア)」というタイトルです。
出所になっているのは、「The heir and the spare」(継承者と予備の人)という、昔から使われているフレーズ。王室や貴族階級では通常、長男が「The heir」として称号を継承しますが、万が一に備えて「the spare」(予備の人)の次男を産んでおく、とされてきたことをどうやら表しているそうです。
家系を維持することが命綱である特権階級ならではの「考え方」ですが、「SPARE(スペア)」というタイトルから、ヘンリー王子が「兄のスペア」としての人生に不満を持っていたこと、王室への批判が赤裸々に語られていることが推測されるため、英王室メンバーは戦々恐々としている(英メディア)と報じられています。
たしかに、次男であるヘンリー王子がずっと兄の「スペア」であったことは間違いありません。
それでも多くの人が違和感を抱いてしまうのは、自由奔放な性格のヘンリー王子は、小さいころから「スペア」の立場を謳歌しているように見えたことではないでしょうか。
二人はずっと仲良し兄弟で知られていました。やんちゃな弟の面倒を見るしっかり者のウイリアム王子と、「頼れる兄貴」を慕うヘンリー王子のほほえましいツーショットに、理想の兄弟像を投影していた人も多かったはずです。
むしろ、故ダイアナ妃のいたましい事故死のあと、王室バッシングが高まるなかで、「The heir」(王位継承者)の重荷を背負って、必死で「理想の王子像」を具現化していたウイリアム王子の方に、同情が集まっていたくらいです。
出版社はヘンリー王子の暴露本を「raw」(生々しい内容)だと「確約」しているとか。
兄が大好きで、いつもべったりとそばを離れなかったヘンリー王子。生々しい出版ビジネスの餌食にならないことを願います。
ニューヨークタイムズ紙、「ヘンリー王子はビビっている!」
報道によると、父チャールズ国王や兄のウイリアム皇太子には、「SPARE(スペア)」というタイトルは事前に報告がなかったそうです。
ヘンリー王子の自叙伝が世に出ることで、王室との関係修復はさらに困難になると予想されていますが、ヘンリー王子は家族関係よりも高額の契約金と、ベストセラー作家としての栄光を選んだのでしょうか。
そんななか、「世の中そんなに甘くない」と警笛を鳴らしているのが米高級紙ニューヨークタイムズです。
ヘンリー王子とメーガン妃といえば、そのスキャンダルな内容で世界中を震撼とさせた2021年の米テレビインタビューを思い浮かべます。
セレブインタビュアーのオプラ・ウィンフリーによる独占インタビューで、英王室での差別など爆弾発言を繰り替えしたメーガン妃とヘンリー王子。
米国だけで1700万人が視聴したとされていますが、ニューヨークタイムズ紙は、「Much has changed since」(当時とは状況が違う)と断言しています。
同紙は、エリザベス女王崩御の悲しみが広がっている中での暴露ネタは、読者に「unseemly」(見苦しい)と受け止められるだけだと批判。
実際、ヘンリー王子自身が、暴露本がもたらす影響に「Prince Harry has gotten cold feet」(ビビッている、おじけづいている)という、関係者のコメントも伝えています。
さらに、英国民が経済や政治の混乱に苦しんでいるタイミングでの暴露本発売は、国民の感情を逆なでしたり、王室不要論を掻き立てたりして、ヘンリー王子を致命的な状況に追い込むと指摘。
それでも「truth-telling prince.(真実を語る王子)のイメージを守りたいヘンリー王子は、出版に踏み切ったとしています。
416ページにわたる「暴露本」の全内容が判明するまで数週間。ヘンリー王子にとって吉と出るか凶と出るか、世論の動きに注目です。
それでは、「今週のニュースな英語」は「get cold feet」(ビビる、おじけづく)を使った表現を取り上げます。いざという時におじけづいてしまうといった時に使います。
She is getting cold feet before her wedding.
(彼女は結婚式の前になっておじけづいてきた)
I was going to try bungee jumping, but I got cold feet.
(バンジージャンプに挑戦しようとしたが、直前にビビッてしまった)
これまで数多くの「セレブ自叙伝」を手掛けた専門家によると、友好な家族関係と名声の二つを手に入れるのは難しいとのこと。
「tell-all」(すべてを語る)自叙伝の発売で、ヘンリー王子は何を手にするのでしょうか。リスキーな挑戦の幕開けです。
(井津川倫子)
2022.11.4
にしぐち 瑞穂
先月9日にエリザベス女王が逝去。その後、国葬に至るまでの英国王室の儀式や伝統に世界中が注目し、改めて荘厳さを感じた方が多かったようですね。その中で、意外なロイヤルメンバーが実は注目されていたことにも驚いた次第。それがアン王女。エリザベス女王の第二子で唯一の娘、兄・チャールズ国王と2歳差の現在72歳です。
実は私、アン王女とご夫妻揃って目の前でお会いしたことがあり、しかも現夫ティモシー・ローレンス卿に至っては軽い会話も……。ご夫妻から、凛とした気品と品格を肌で実感し、緊張したことを今でも覚えています。
アン王女が誕生時、君主はジョージ6世。国王の孫という立場で、かつ女児の場合には、本来プリンセスや妃殿下の称号は与えられませんが、既にエリザベス王女が女王となることが確実であったため、特旨措置により、生まれながらにして、プリンセス、そして妃殿下の称号を得ていました。それは、君主の子女として、英国軍を率いる存在を意味しており、それゆえに国葬での、あのファッションへと繋がるのです。
意外と知らなかったアン王女の事実を6つのキーで解説します。まずは、普通にビックリ&感心した?! こちらです。
エリザベス女王の葬儀では、棺の後ろをひたすらきれいに並列行進!
2022年9月14日、エリザベス女王の棺を公開安置のため。バッキンガム宮殿から議事堂へ。写真:代表撮影/ロイター/アフロ
私の中ではもはや当たり前に見慣れていた光景でしたが、「意外!」と言われて気づいたのは、王室の高位メンバーの方々が公道を行進するということ。しかも距離として、バッキンガムパレスから、遺体の公開安置が行われるウェストミンスター・ホールまでは約1.8km、時間にすれば約40分。棺の後ろを、背筋を伸ばし、足並みや歩幅も揃え、きれいに並列して歩くお姿は見事でした。
1997年のダイアナ元妃の国葬の際もでしたが、棺の後ろをロイヤルメンバーが並列することは伝統的なこと。とはいえ、基本的にその場合のメンバーは男性です。カミラ王妃やキャサリン妃など、王妃、皇太子妃といった高位メンバーのご夫人は、お車で列の最後から棺をおくられていました。
チャールズ国王を筆頭に、英国軍を率いる男性高位メンバーや近親の王族の方々がともに行進。軍人ならばそりゃあ行進にも慣れている……ともいえますが、そうでない方々も一緒。しかも新国王チャールズ3世に至っては、御歳73歳!
私はかつて英国にも住んだことがあり、そして日々王室の皆様を追っていて感じますが、とにかくよく歩く英国人、そして王室の皆様も!!! チャールズ国王付きのフォトグラファーも以前、インタビューした際に「皇太子(当時)はものすごく早歩きでスタスタ行かれるので、ついていくのがやっとなんです(笑)」と仰っていたほど。
エリザベス女王も生前、お仕事の合間に愛犬の散歩をされていましたが、自然に溢れた広大な敷地に住むということ自体、日ごろから歩行で足腰が鍛えられる環境なのだろうと思うのであります。
アン王女はなぜ男性と同じユニフォーム姿?
2022年9月19日 ウェストミンスター寺院で国葬。写真:代表撮影/ロイター/アフロ
こちらは5日後に行われた、エリザベス女王の国葬時のチャールズ国王とアン王女兄妹です。この時も同様に、お2人は喪に際した軍服をお召しになっています。初めにお伝えしたように、女王の直系の娘で誕生と同時にプリンセス、妃殿下の称号を授けられたアン王女は、他のご兄弟同様に英国軍に所属。
1974年から1993年に英国軍として統合されるまで、王立婦人海軍司令官として従事。2012年からは海軍将官として、さらに2020年の70歳の記念年には空・陸軍の将官として昇格。れっきとした英国軍人なのです。
それゆえに、国葬など英国の重要行事でアン王女がユニフォーム姿であるのは必然です。そしてあくまでも、現役で公務を行う王室メンバーのみ。ハリー王子とアンドリュー王子が、ユニフォームではなくモーニング姿、また敬礼ではなく、頭を下げるだけのお辞儀であったことは、その理由からでした。
ちなみに、アン王女の胸には、エリザベス女王から、功績が認められた女性王族に与えられるロイヤルヴィクトリア勲章勲一等(GCVO)、ガーター勲章(LG)、シッスル勲章(LT)の記章がつけられています。
男女が揃う王室行事では、男性王族より下位のお立場となるアン王女ですが、女性のみの行事においては、生前女王の次席。ということで、現在はトップということに。1987年に女王から、“プリンセス・ロイヤル”という称号を授与されたアン王女。“ロイヤル”の名を配された想いが示すように、今後、兄である国王をそばで支えつつ、女王の想いを引き継がれていくことは間違いありません。
王室初のオリンピック出場! アン王女は乗馬のエキスパート
1976年7月、英国チーム・メンバーとして、モントリオール五輪に出場のアン王女。写真:山田真市/アフロ
アン王女といえば、母・エリザベス女王と同様、大変な馬好き。というだけでなく、なんと1976年7月にはモントリオール五輪に、英国チームメンバーとして愛馬グッドウィルと3日間に及ぶ馬術競技に出場されたほどの腕! いわば乗馬のエキスパートなんです。その際にはエリザベス女王も、3人の息子達と一緒にカナダまで応援に。愛犬家で馬をこよなく愛されていた女王のDNAを受け継ぎ、王室初のオリンピック参加を果たされたことを、どれほどお喜びになったかが伺えます。
更に、その血は次世代へ引き継がれ、アン王女の一人娘、ザラ・ティンダルさんは2012年のロンドン五輪に出場。見事英国チームは銀メダルを獲得! という快挙。その際にメダル授与をされたのも、母アン王女でした。いうまでもなく、女王を含め皆様が感無量の瞬間だったことでしょう。
公務を通じてもスポーツに対する熱心な支援は続き、英国オリンピック委員会のプレジデント、そして国際オリンピック委員会のメンバーとして、現在まで活動をされています。
倹約家としてもNo.1! ロイヤル・エレガンスのお手本ファッション
2022年6月3日、プラチナ・ジュビリー・ウィークの礼拝に出席。写真:代表撮影/ロイター/アフロ
生まれながらのプリンセス、そして母は女王、となれば当然のごとくロイヤルスタイルは百もご承知。上品カラーに上質素材のビスポークで、流行り廃りとは無縁の永遠のコンサバスタイルを貫くアン王女。ドレスコードに迷ったらこの方をお手本にと言えるほど、安定感のある完全ロイヤルスタイルです。
英国らしさを象徴するように着回しもお得意で、なんと40年以上も愛用されているお洋服もあるほど。ロイヤルのマスト小物、グローブは勿論、ブローチやスカーフの使い方など、常に工夫をされうまくアレンジをして着回しをされるお姿も注目され続けています。まさに筋金入りの着回し上手。そして、シニア世代のモデルスタイルといえるでしょう。
加えて、ファッションともリンクしますが、アン王女スタイルで最も注目すべきところは、ヘアスタイル!
上流階級レディの基本は、ポンパ風バングスのふっくらヘア
2016年2月22日、ハートフォードシャー州トリングの“ザ・セイブ・ザ・チルドレン”のショップを訪問。写真:Mark Stewart/Camera Press/アフロ
伝統的なロイヤルファッションに加え、アン王女のスタイルで印象的なのが、ヘアスタイル。前髪をポンバドールのようにバックサイドにふんわり流し、サイドも同様にボリュームをもたせて、 後ろはナチュラルにアップにされたスタイル。面長の王女のお顔に、トップとサイドをふっくらさせたヘアスタイルが、バランスよくゴージャス&エレガントに。
エリザベス女王然りですが、前髪は逆毛を立てるように後ろへ。知性がうかがえる額を出し、全体的に頭を大きくボリューム感を出すのが、英国の上流階級の貴婦人たちのスタイルです。
公務の最中も決して髪がバラつくことや、ましてや邪魔になるなんてことはあり得ない。きちんと感と華のあるスタイル、それがシニア・ロイヤルにとってのヘア・スタイルの条件と言えるでしょう。
顔の形や髪質に合わせて、ボリュームの出し方を自分流に考えながら、アン王女のような雰囲気のあるアップスタイルを真似したいですね。きっと、毎晩カーラーで巻いて癖づけていらっしゃるに違いない! と予測しています(笑)。
構成/高橋香奈子