理想国家日本の条件 さんより転載です。
幸福実現党
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時事問題の中から気になるテーマを取り上げながら、本音の議論を進めます。
2022年10月7日収録
≪今回のポイント≫ ・北朝鮮ミサイル発射の狙いとは?
・中露北を接近させた外交の誤り
・北朝鮮の7回目の核実験の時期はいつか?
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北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。(釈量子)【言論チャンネル】幸福実現党党首 釈量子
◆北朝鮮のミサイル発射
9月下旬から10月上旬にかけて北朝鮮が次々にミサイルを発射しています。
特に10月4日に発射された弾道ミサイルは、青森県の上空を飛び超えて太平洋に落下しました。
日本の上空を通過したのは2017年9月以来、5年ぶりで、飛行距離は4600キロに達し、過去最長です。
これは北鮮から約3400キロの距離にあるグアムが射程圏内に入ったということであり、「いつでもグアムに撃てる」というアメリカに対する強烈なメッセージと言えます。
さらに、この2日後の10月6日にも、午前6時過ぎに弾道ミサイル2発が発射され、北朝鮮東岸付近と日本海に落下しました。(その後、北朝鮮は、9日未明に2発、14日未明に1発のミサイルを発射)
いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下したとのことですが、日本にとって脅威が高まっていることは間違いありません。
◆北朝鮮ミサイル発射の背景
ここで強調しておきたいのは、日本の安全保障にとっての脅威は、北朝鮮のミサイル発射という単体の問題だけではないということです。
もはや北朝鮮のミサイルに対する対処だけを考えているのでは、問題の本質は見えません。
つまり、繰り返しミサイルを発射する北朝鮮の背後に、中国とロシアがいて、3つの核保有国が連携するかのような動きを取っています。
これにより、日本は中露北の、
」@―えいわゆる「三正面」を強いられる形になりつつあります。
日本は、台湾・沖縄の危機が目前だということで、中国の脅威には備えようとしてきました。
しかし、今年2月にウクライナで戦争がはじまり、日本はロシアと北朝鮮も同時に相手にしなければならなくなりました。
ところが、日本の政府もマスコミも「見たくない現実」をみない雰囲気になっています。
9月26日~30日まで、アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が参加する米韓合同軍事演習が行われ、30日には日本も加わりました。
これは北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の対応などを想定した演習で、アメリカの空母が参加する演習は2017年以来、5年ぶりでした。
そして北朝鮮は、この軍事演習のタイミングに合わせて、25日、28日、29日にミサイルを発射しました。
◆北朝鮮が強気になれる理由
これまでも軍事演習に対するけん制とみられるミサイル発射はありましたが、演習の前後に少し日にちを外して行われてきました。
ところが今回、米韓軍事演習の真っただ中の29日、アメリカのハリス副大統領が韓国を訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談で北朝鮮を非難し、さらに南北の軍事境界線を挟む非武装地帯も視察もするタイミングにぶつけてミサイルを発射しました。
以前には考えられないことで、アメリカがどれほど舐められているかが分かります。
そして、10月4日はグアムを射程圏内に入れていることをアピールするかのように、弾道ミサイルを通常軌道で発射しています。
北朝鮮がアメリカに対して、かつてないほど挑発的な態度に出ています。これは中国とロシアと示し合わせて行っている恐れがあります。
象徴的だったのは、5日の日本上空を飛び越えた中距離弾の発射に対して、国連安全保障理事会(15カ国)が緊急会合を開き、北朝鮮に対する「報道声明」を出そうとした動きに対して、中国とロシアが強く反対しています。
ちなみに、中国の外務省は北朝鮮のミサイルについて、米韓合同軍事演習などを行ったアメリカを非難するコメントを出しています。
◆北朝鮮ミサイル発射のロシアの利点
ロシアは9月30日、ウクライナ東・南部の4州の併合を宣言し、これに対してアメリカのバイデン政権は、ロシアへの経済制裁を拡大したところです。
この時期に、北朝鮮がアメリカへの強い牽制を含んだミサイル発射を繰り返したことについて、アメリカのシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)は、次のように指摘しています。
「ロシアのプーチン、中国の習近平の問題で手いっぱいのバイデン政権にさらなる負荷をかけることに利点を見出している」
実際、ロシアにとって北朝鮮のミサイル発射は、アメリカの関心を北朝鮮に向けさせるメリットがあるわけです。
アメリカは、韓国の装備品を買い上げて、ウクライナに送る計画を進めています。北朝鮮にミサイルを発射してもらうことで、ロシアは、この動きを封じようとしているのかもしれません。
特に北朝鮮ミサイルが急速に技術を向上させている背景にロシアの力があるとされます。
9月25日に発射されたミサイルは、「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれ、尾翼を動かして上下に軌道を変化させられるロシアのミサイル「イスカンデル」を改良したと指摘されています。
変則軌道は迎撃が難しいわけです。
◆北朝鮮の核実験の兆候
今後、さらに懸念されるのは7度目となる核実験です。
今年の3月ごろから、衛星画像による分析などで、北朝鮮が「18年に完全に廃棄した」としていた豊渓里(プンゲリ)の核実験場で、坑道を掘削するなど、核実験再開の準備がなされ、指導者の決断があればいつでもできる状態だとされてきました。
既に北朝鮮は今までの核実験で、大きなロケットに核弾頭を積める程度に小型化することに成功しています。
もう一段の小型化を目指し、核ミサイルの精度を高めるために7回目の核実験を行うことは十分に考えられます。
CSISは、実験が行われるタイミングとして、10月16日に開幕する中国の共産党大会から、アメリカの中間選挙が行われる11月8日の間だろうと予想していますが、中国やアメリカが国内問題で手いっぱいのタイミングで行うかもしれません。
◆日本としてどんな手を打つか
度重なるミサイル発射について、日本政府は「北朝鮮に抗議し、最も強い言葉で非難した」とお決まりのセリフを繰り返すばかりです。
ミサイル発射が繰り返されているのは、中国、ロシアとの連携があってのことであり、西側諸国がロシアを追い込み続けた場合、3つの核保有国が今後、想定外の事態を起こしかねず、もはや一刻の猶予も残されていません。
具体的な施策としては、核装備への着手です。
中露北の3つの核保有国に対峙するには、日本も「いざとなったら核を使える」という状況をつくらなくては、核の使用を思いとどまらせることはできないのです。
同盟国であるアメリカも北朝鮮のみならず中国やロシアから報復を受けるリスクを負いながら日本に核の傘を提供してくれる保障はありません。
もう一つは、外交の鉄則である「敵を減らす外交」を展開すること。具体的には中国や北朝鮮の背後に位置するロシアとの友好の道を残しておくことです。
日本はアメリカに追随してロシアを非難し、ロシアを中国側に追い込んでいます。
しかし、アメリカは中国とロシアを同時に敵に回す余裕などありません。中国、ロシア、北朝鮮を同時に敵に回してしまう恐ろしさに気付くべきです。
トランプ政権時代のアメリカは北朝鮮と直接交渉し、中国と北朝鮮の関係を引き離すと共に、ロシアのプーチン大統領と友好関係を結び、中国を孤立させようとしました。
バイデン政権はこの真逆の政策を取り、北朝鮮との交渉を断ち、ロシアを挑発して西側と対立させ、中国、ロシア、北朝鮮を結び付けることになりました。
こうして、世界大戦の構図ができてしまい、最悪のシナリオで進んでいます。
アメリカは今後も、ロシア制裁をさらに強めていくでしょうが、日本は大局的視点に立ち、最大の脅威である唯物論国家の中国を包囲しつつ、中国、ロシア、北朝鮮の仲を分断する外交を展開していかないといけないはずです。
繰り返しますが、日本を守るため、もはや猶予はあまり残されていません。生き延びようとする意欲のない国は、滅びていきます。
政府は、言葉による非難だけではなく、現状の危機を正しく認識し、国民を守るための具体的な一手を打つべきだと思います。
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。(釈量子)【言論チャンネル】