2011.12.30 転載
□幸福実現党党首
今月19日に突然発表された北朝鮮の金正日総書記の死去は、
我が国はもとより世界各国を驚かせ、目下のところ金総書記の
三男・正恩氏への権力継承の成り行きが関心の的となっています。
野田佳彦首相が25、26日に中国を訪問し、温家宝首相と
胡錦濤国家主席のそれぞれと会談した折にも、朝鮮半島情勢の
安定化が主要な議題に上ったことは皆様ご承知の通りです。
◆金正恩体制下の北朝鮮の行動は?
金正日総書記が1970年代に後継指名を受けてから、父親
の金日成主席の死後、朝鮮労働党の総書記に就任して権力を
掌握するまでに20年以上を費やしたのに比べ、正恩氏は後継者
として、昨年9月末の朝鮮労働党代表者会で表舞台に出てから
一年余りに過ぎません。政治手腕は未知数で年齢もいまだ
20代後半と若く、部下の人心を収攬できるのか等、様々な点で
権力継承が疑問視されています。
しかし、足元の状況を見れば、中長期的にはともかく短期的
には体制維持を果たしつつあるようです。その徴候の一つとして、
金総書記死去の発表直前の19日午前に日本海に向けて
弾道ミサイルを発射していることが挙げられます。
近隣諸国を刺激するミサイル発射を金総書記が不在 でも実行できる
ことを誇示しており、正恩氏の指示ないし承認の下に行われている
ものと推測されます。
もう一つには、北朝鮮メディアが金総書記に使われていた
「最高司令官」「将軍」といった呼称を、早くも24日に正恩氏に
使い始めており、軍などのトップ職位への正式就任を待たずに
権力継承を既成事実化しています。
かくして正恩氏が己の権力を確立した後に、北朝鮮が国際社会の中で
どのような行動に出るのかが注目されます。
停電が常態化し、食糧難で餓死者が続出している北朝鮮で、まず
必要なのは国内経済の立て直しですが、残念ながら正恩氏には
それを行うだけの手腕は期待できないでしょう。
一昨年の秋に北朝鮮は正恩氏主導と言われる「デノミネーション」
(通貨単位の切り下げ)を行いましたが、これによって人々は
わずかばかりの蓄えを失い、商店や自営業者は運転資金を奪われ、
経済は大混乱に陥りました。
したがって、軍事が専門で経済音痴の正恩氏が富を獲得する方法
として考えつくのは、軍隊を使って他国から奪い取ることだろうと
推察されます。過去2回の核実験や昨年11月の延坪島砲撃事件の
ような挑発を行い、そうした行為を停止する見返りに物資や資金
を得るという従来からの「瀬戸際政策」が基本戦略となりそうです。
とは言え、正恩氏の場合、若さと経験の浅さから来るところの
蛮勇によって、単なる挑発にとどまらずに南北間の本格的な武力紛争
に発展させかねない怖さがあります。韓国の首都ソウルは
38度線からわずか40~50kmに位置し、万が一にも有事となれば
極度のパニック状態に陥ることは避けられません。
◆独立主権国家の体を成さない日本
我が国としては、そのような朝鮮半島有事を想定し、約3万人と
される在韓邦人の保護に向けての準備を最優先で取り組まなくては
なりません。現行の自衛隊法(第84条の3)では、輸送の安全
が確保されなければ自衛隊機等を現地に送れないことになっています。
つまり半島で有事が起きても、拉致被害者を含む邦人の救出に
自衛隊が向かうことは事実上できないのです。政府の極秘の半島
危機対応マニュアルでも、邦人救出は全面的に米軍に頼るものと
されているようです。
国民の生命、安全、及び財産を守ることは政府として最優先の
仕事ですが、在外邦人に関してはほとんど他国任せとなっており、
独立主権国家としての体を全く成していません。隣国にいる同胞
すら救いに行けないようでは、何のために自衛隊は存在している
のでしょうか。
北朝鮮による延坪島砲撃事件を受け、ちょうど1年ほど前に
当時の菅直人首相が珍しくも正鵠を射て、半島有事の際の自衛隊に
よる邦人救出の必要性に言及しましたが、その後、法改正の準備や
関係諸国との調整など、何も進んでいないと思われます。
国民を守る仕事を放擲(ほうてき)して、国を衰えさせる増税に
うつつを抜かしている野田政権には、もはや退陣してもらう以外に
ありません。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111230/mcb1112300501001-n1.htm
□幸福実現党党首
今月19日に突然発表された北朝鮮の金正日総書記の死去は、
我が国はもとより世界各国を驚かせ、目下のところ金総書記の
三男・正恩氏への権力継承の成り行きが関心の的となっています。
野田佳彦首相が25、26日に中国を訪問し、温家宝首相と
胡錦濤国家主席のそれぞれと会談した折にも、朝鮮半島情勢の
安定化が主要な議題に上ったことは皆様ご承知の通りです。
◆金正恩体制下の北朝鮮の行動は?
金正日総書記が1970年代に後継指名を受けてから、父親
の金日成主席の死後、朝鮮労働党の総書記に就任して権力を
掌握するまでに20年以上を費やしたのに比べ、正恩氏は後継者
として、昨年9月末の朝鮮労働党代表者会で表舞台に出てから
一年余りに過ぎません。政治手腕は未知数で年齢もいまだ
20代後半と若く、部下の人心を収攬できるのか等、様々な点で
権力継承が疑問視されています。
しかし、足元の状況を見れば、中長期的にはともかく短期的
には体制維持を果たしつつあるようです。その徴候の一つとして、
金総書記死去の発表直前の19日午前に日本海に向けて
弾道ミサイルを発射していることが挙げられます。
近隣諸国を刺激するミサイル発射を金総書記が不在 でも実行できる
ことを誇示しており、正恩氏の指示ないし承認の下に行われている
ものと推測されます。
もう一つには、北朝鮮メディアが金総書記に使われていた
「最高司令官」「将軍」といった呼称を、早くも24日に正恩氏に
使い始めており、軍などのトップ職位への正式就任を待たずに
権力継承を既成事実化しています。
かくして正恩氏が己の権力を確立した後に、北朝鮮が国際社会の中で
どのような行動に出るのかが注目されます。
停電が常態化し、食糧難で餓死者が続出している北朝鮮で、まず
必要なのは国内経済の立て直しですが、残念ながら正恩氏には
それを行うだけの手腕は期待できないでしょう。
一昨年の秋に北朝鮮は正恩氏主導と言われる「デノミネーション」
(通貨単位の切り下げ)を行いましたが、これによって人々は
わずかばかりの蓄えを失い、商店や自営業者は運転資金を奪われ、
経済は大混乱に陥りました。
したがって、軍事が専門で経済音痴の正恩氏が富を獲得する方法
として考えつくのは、軍隊を使って他国から奪い取ることだろうと
推察されます。過去2回の核実験や昨年11月の延坪島砲撃事件の
ような挑発を行い、そうした行為を停止する見返りに物資や資金
を得るという従来からの「瀬戸際政策」が基本戦略となりそうです。
とは言え、正恩氏の場合、若さと経験の浅さから来るところの
蛮勇によって、単なる挑発にとどまらずに南北間の本格的な武力紛争
に発展させかねない怖さがあります。韓国の首都ソウルは
38度線からわずか40~50kmに位置し、万が一にも有事となれば
極度のパニック状態に陥ることは避けられません。
◆独立主権国家の体を成さない日本
我が国としては、そのような朝鮮半島有事を想定し、約3万人と
される在韓邦人の保護に向けての準備を最優先で取り組まなくては
なりません。現行の自衛隊法(第84条の3)では、輸送の安全
が確保されなければ自衛隊機等を現地に送れないことになっています。
つまり半島で有事が起きても、拉致被害者を含む邦人の救出に
自衛隊が向かうことは事実上できないのです。政府の極秘の半島
危機対応マニュアルでも、邦人救出は全面的に米軍に頼るものと
されているようです。
国民の生命、安全、及び財産を守ることは政府として最優先の
仕事ですが、在外邦人に関してはほとんど他国任せとなっており、
独立主権国家としての体を全く成していません。隣国にいる同胞
すら救いに行けないようでは、何のために自衛隊は存在している
のでしょうか。
北朝鮮による延坪島砲撃事件を受け、ちょうど1年ほど前に
当時の菅直人首相が珍しくも正鵠を射て、半島有事の際の自衛隊に
よる邦人救出の必要性に言及しましたが、その後、法改正の準備や
関係諸国との調整など、何も進んでいないと思われます。
国民を守る仕事を放擲(ほうてき)して、国を衰えさせる増税に
うつつを抜かしている野田政権には、もはや退陣してもらう以外に
ありません。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111230/mcb1112300501001-n1.htm