190214 瞬きの効用 <まばたき、一瞬の秘密>を読みながら
昨夕の毎日記事<科学の森まばたき、一瞬の秘密 目を守るだけじゃなかった>を読みながら、あれこれ夢想してしまいました。
昔、そう半世紀近い、私の青年時代、ターナーに魅了された時期がありました。イギリスのロマン主義(私には印象派としか記憶にないのですが)の画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーです。そのころの記憶ですのでいい加減きわまりないのですが、魅了されるたくさんの絵画を描いた天才の幼いころの話として、師匠だったか父親だったか、その指示で風景を一瞬見て描きなさいと言われ、実際やってのけたといったうろおぼえの記憶です。
その頃、そんなことできるのかしらと思いつつ、超天才なので、普通人の秤では判断できないと思いつつも、なんとなく記憶に残っていました。その頃でしたか、ナショナル・ミュージアムかどこかも覚えていませんが、ターナーの風景画が一枚、広い部屋の壁一杯に圧倒する形で見た記憶があります。どんな絵だったかも記憶の彼方ですが。ゆっくりと一人で味わえた程、来館者も多くなかったように思います。
一瞬で風景を活写することができるか、その後も時折、頭の中の不思議として残っていたように思います。あるときずっと風景をみているとき、瞬きすると脳の中に特定の画像イメージが残っていることに気づきました。私の場合素人ですので、そのイメージの再現はうまくできませんが、天才画家であれば、修練もあるでしょうけど天賦の才としてもカメラの画像の様に明確に取り込むことができるのではと思ったのです。いい方を変えれば、瞬きはシャッターのように、変化してやまない自然の一瞬を停止させ画像イメージとして網膜の中に取り込んで、脳内で画像イメージが固定できるのではと思うのです。これはそのころ(いつだったか覚えていませんが)思いつきいまも検証できませんがそう思っています。
他の画家もずっとにらめっこばかりしているのではなく、瞬きをして画像イメージを固定化していないか、それは画家に聞かないとわかりませんが、そうではないかと思うのです。以前知り合いに画家が何人かいましたが、その後連絡を途絶えていますので、お聞きするチャンスがないですが。
ついでにターナーのことをウィキペディアで調べたら、1775年生まれで1851年死亡です。この年代を見てほとんど北斎と重なるなと驚きました。北斎は1760年生まれで1849年死亡ですから、まさに同時代の天才画家と天才絵師ですね。
私が北斎に関心を持ち出したのは北斎漫画などを見たのが契機で30年くらい前ですから、ターナーに比べずいぶん後ですが、最近では北斎の方に関心が強くなっていて、ターナーのこともこの記事を見るまで忘れていたほどです。
さて記事の紹介に入りたいと思います。
<成人は1分間に約20回、1日に約1万5000回もまばたきをすると言われる。その度に涙が目を潤し、強い光やごみから角膜が守られる。>
一分間に20回の瞬きとは驚きです。しかも1日で1.5万回となると呼吸をする以上の頻回ですね。それを呼吸ほど意識しないのですから不思議です。
この記事を見て映画『マイ・インターン』を思い出しました。定年退職して暇をもてあそぶ老人役のロバート・デ・ニーロが、起業して1年未満くらいで急成長し若者だけの女性服のネット販売会社の社会貢献的なプロジェクト・年齢制限のない試験的採用・インターンに応募し、その20歳過ぎ?の魅力的な女性社長のアン・ハサウェイの担当となり、最初の面会場面が面白いのです。ハサウェイは会っているとき瞬きしない人を嫌うという性質であることを秘書から聞いたデ・ニーロが、高齢者を苦手とするハサウェイに目障り扱いされつつも、無理矢理瞬きをするのです。するとハサウェイも仕方なく?彼を一応、受け入れるのです。これがとても愉快でしたが、記事で指摘する瞬き例は誰にでも通用するのかしらとも思うのです。
気がつかないうちにやっているのでしょうか。この記事を見た後も、それほどやっているという自覚はありません。さて他の方はどうでしょう。
とはいえ記事は瞬きの意外な能力・役割を紹介しています。
<最近の研究で、脳のリセットやコミュニケーションにも関わっている可能性が分かってきた。一瞬の動作に隠された秘密に迫る。【松本光樹】>
どうやら瞬きの回数が認知機能と関係するようです。
<怒った時や緊張した時、まばたきはさらに頻度を増す。>そうかもしれません。
<中野珠実・大阪大准教授(認知神経学)は・・・まばたきの前後で被験者の脳活動がどう変化したかを機能的磁気共鳴画像化装置(fMRI)で測定。すると、注意力を発揮する時に活性化する脳領域がまばたきの瞬間、沈静化。反対に、リラックス時に働く脳領域は血流が増えて活発化していた。中野准教授は「次にくる情報に備え、脳をリセットしている可能性がある」と考える。>
脳のリセットはありうるでしょうね。でも意図的でないようにも思えますので、自然な体内装置でしょうかね。
瞬きの回数によって相手が受ける印象が違うという隠れたコミュニケーション装置みたいところがあるようです。
<大森慈子(やすこ)・仁愛大教授(生理心理学)によると、まばたきが多いほど相手に「親しみにくさ」「不信感」「神経質」といった印象を与えがちだという。一方で、大森教授の実験によると、まばたきが少ないほど信頼感は増すが、少なすぎると今度は親しみにくい印象を与えてしまう。「1分間に12回前後」が最も好印象だという。>
たしかにまったくしないと思われるような人もどうかと思いますが(映画のハサウェイの性格はその意味で合理的でしょうか)、多すぎるのも困りますね。一応妥当するような常識かもしれません。でも瞬きだけで人を判断することはないでしょうね。
瞬きの同時性となると、自然に合致するとしても意図的に合わすのは難しいというか、かえってそうすると嫌みでしょうね。まあAIならいいかもしれませんが。
瞬きの記事を読んでいて、今朝の毎日記事<クローズアップ2019 千葉女児死亡、父再逮捕へ 虐待対応、踏み込めず 威圧された児相、市教委>で、死亡した女児の父の対応が書かれていますが、娘に対するしつけと称する一方的な仕打ち、児童相談所や市教委に対する<口調は丁寧ながら圧迫感がある>態度を見ていますと、きっと瞬きの仕方にも異常さが現れていたのではないかと思ってしまいます。余裕のない生き方をしてきたのかなとも思うのです。そのために犠牲になった女児はほんとうに気の毒です。沖縄時代から周囲で父親の異変に気づくことができなかったか残念です。
今日はこのへんでおしまい。また明日。