たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

190220 枯山水の秘技 <NHKおはよう日本 日本庭園驚異の技術>を見て+<産廃不法投棄><京都市が適法>

2019-02-20 | ものの見方・考え方

190220 枯山水の秘技 <NHKおはよう日本 日本庭園驚異の技術>を見て+<産廃不法投棄><京都市が適法>

 

京都を訪れたのは何年前でしょうか、もう20年以上は行ったことがないような記憶です。まあ京都に滞在しあちこちと散策していたのは40年前ですので、どのお寺塔頭を訪れたかも記憶が曖昧です。

 

今朝のNHHKおはよう日本では、日本庭園・秘められた技術ということで、相国寺と真如寺が紹介されました。いずれも訪れたことがあるようなないような曖昧さですが、なんとなくなつかしく感じながら見ました。枯山水の庭園です。人が大勢訪れる時期や時間帯を避け、のんびりと佇む機会をねらってあちこちの寺社仏閣を訪れたものです。その中に枯山水に魅了された一人でした。

 

ところが、NHKが取り上げたのはその枯山水の禅的な風情というか神髄とは少し次元の異なる隠された高度な技術でした。

 

枯山水ですから、雨の日に行っても、水が貯まっているといったことほぼ見ることがないでしょう。でも豪雨のときは?たいていの人は外出も避けますね。ましてやお寺を見学するような人は希というかほとんどいないでしょう。そこに隠れた秘密がかくされていたのですね。

 

相国寺の場合は枯山水の庭全体で大雨が降っても累積で850mmまで排水能力があるとのことだったと思います。他の用事をしながら見ていましたので、排水構造も説明していたと思うのですが聞き逃しました。たしか鴨川の砂礫を下部に敷き詰めているとか、そういった透水性に配慮した構造にしているとかの話だったと思います。

 

もう一つ、真如寺の場合、小さな溝が帯のように庭の一部になっていますが、大雨になるとそこが川水のように貯められ、小さなダム機能をもたすようになっているそうです。

 

前者の排水構造と、後者の堰止め湖構造とは、両立するものではないかと思います。いずれも二つの構造・機能をもっているのではと思うのです。

 

枯山水の神髄が禅的世界を示すと行ったことだけでなく、京都の地形の脆弱性を補う現実的な貯水・排水機能をも考えた高度な土木技術の成果であったとは驚きであるとともに、当然かなとも思うのです。

 

鴨川の氾濫は平安時代から頻繁に起こっていたわけですから、その氾濫源ともいうべき場所に境内をつくる以上、洪水対策をしっかり念頭において設計施工されたのでしょうね。

 

相国寺は夢窓疎石、真如寺は無学祖元が開山で、当時の最高レベルの臨済宗僧でしょうから、中国の最高レベルの土木技術をももっていたのでしょう。いずれも京都だけでなく当時の中心地・鎌倉の寺でも大きな足跡を残していますね。

 

枯山水という表面的な?景観だけを見て理解した気分でいると、当時の本当の技術の妙を見落とすことになることを示唆する報道でした。それは新たな開発をするときに肝に銘じておかなければならない風土の故事来歴を知り、それを踏まえることと言う基本を教えてくれているようにも思うのです。

 

話は飛びますが、いまちょうど澤田瞳子著『若冲』を読んでいて、若冲がいろんな煩悩をかかえつつも、「動植綵絵(サイエ)30幅などを<相国寺>に寄進するところにさしかかったところでした。若冲人気が高まっていますが、私自身その精緻な筆さばきに驚きつつも、その趣が理解できているわけではないので、この書を読みながら少しは近づけるかと期待しているところです。

 

若冲が相国寺枯山水にどういう思いをもったかは分かりませんが(どうも彼の画風とは相容れない?ような気がするのは皮相な見方でしょうけど)、いずれにしても枯山水にかけた禅僧の高い精神性と真摯な技術力には驚かされます。

 

再び飛躍する話ですが、隠れた技術といってもこれはいけません。今朝の毎日記事<廃棄物処理法違反 産廃、宅地造成流用疑い 埋め立て用販売 京都の業者逮捕>では、<建設現場や解体現場の廃棄物にはプラスチック類やがれき類、金属、ガラス、紙のくずなどが混在する。今回、不法投棄が疑われるのは、この選別処理過程で「ふるい」にかけられた後に残る「ふるい下残渣」。・・・ 逮捕容疑は同社の汚泥処理施設で2016年9月~18年4月、許可されていないふるい下残渣473トンを混ぜて固化処理し、その残渣と汚泥の混合処理物162トンを滋賀県内の2カ所に捨てたとしている。>

 

産廃を「再資源化」した資材として有価物として販売して不法投棄していたようです。

<府警によると、平山容疑者は土地造成の埋め立て資材として取引業者に10トン車1台あたり500円で購入させていた。府警は正規の処分に必要な700万円以上の費用を免れたとみている。>

 

産廃の適正な監視システムがなかなか確立しないことで、こういった不法投棄がなくならないのも困ったことです。枯山水のような高い精神性をもって事に当たってもらいたいものです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。

 

補足

 

帰宅して夕刊を見たら、毎日記事<「残渣」不法産廃 京都市「適法」 逮捕の業者廃棄物「再生砂」>とありました。京都府警が不法とした行為について、京都市は適法と表明しているようです。

 

記事は<産業廃棄物とされる「残渣(ざんさ)」について、同市は「産廃ではない」として、投棄につながる再利用を認めていた。>として、次のように京都市の見解を示しています。

 

<京都市は同社が汚泥に混ぜたのは「ふるい下残渣」でなく、選別処理し有価物となった「再生砂」だとする。粒子の大きさは5ミリ以下の基準を設け、がれきや木くずなどの割合も5%以下だったとの見解だ。>

 

これに対し、府警の方は<残渣は粒子が細かく土砂に見えるが、府警は埋設物を掘り起こし、がれき類や陶磁器くず、木くずなどが混じっているのを確認した。同社が固化処理したものを土地造成の埋め立て資材として売っていたとみており、捜査関係者は「廃棄物を有価物に偽装するマジックだ。>

 

選別基準や割合比率が産廃かどうかの判断として妥当なものかが問われるのでしょうか。

 

他方で、京都市が府警に疑問を投げかけるのは、<市廃棄物指導課は「週2回の立ち会い検査を実施し、専門機関のサンプル調査でも問題なかった。>としっかりした検査実態をふまえたもののようです。

 

たしかに京都市の対応はそれなりに合理性がうかがえそうです。とはいうものの、週2回も立会検査を実施と聞くと、なぜそんなにするのということと、それ当然抜き打ちではないでしょうねと思うのです。しかもその立会検査がその日の営業時間のすべてとか、作業すべてを検査しているというのは考えにくいでしょうね。当然、事前通知して立ち会うのかなと予想できるのですが(実際は確認しないといけませんが)、そうだとするとその立会に合わせてサンプルを用意することは可能ですね。

 

京都市としては、現場の対応を鵜呑みにすることなく、改めて検査の実態をつぶさにチェックすることが肝要ではないでしょうか。大阪市水道局の事例は同じではありませんが、行政としては他山の石として、これまでの行政検査を見直すくらいの検討はしてもらいたいものです。