170710 流木の由来(3) <NHKスペシャル 九州北部 記録的豪雨はなぜ>を見逃して別の観点を考える
昨日は終日、荒れ模様の天候でした。豪雨が突然やってきたかと思うと、カラリと晴れを期待させつつ、何度も豪雨が繰り返されました。おかげで今朝の庭の土を見ると貧相ながら、十分水分を含んでいることがわかります。そんなわけで久しぶりに全面、水やり中止です。というのは、わが家の庭は、便宜上、5区画に区分しています。
一つは我流の枯山水ですので、当然、水はいりません。そのほかは、雨が直接降り注ぐ、2区画があります。残り2区画は無風状態のように垂直に落ちてくるような雨だと、軒下部分なので、水やりが必要です。というわけで、昨日のような全方向から殴りつけるような豪雨だと、しっかり雨水の配給を受けることができるのです。
昨日の降雨量は調べていませんが、北九州の降雨量と比較すると、比較にならない程度でしょうけど、それでも相当な激しさです。私は降水量に関する事件があると、事件現場に近い観測所のデータを調べます。時間雨量だけでなく、たしか10分感覚まであったと思います。すると、1時間の降雨量と言っても、1時間内でも相当ばらつきがあります。ですから、実際感じる激しさは、時間雨量だけでは必ずしも現実の感覚と一致するわけではないですね。
ま、ともかく気象庁のデータは、十分とはいえないですが、それでも結構参考になります。地形など、観測所からの距離なども勘案しながら、検討する必要がありますけど。
で、見出しの流木の話、実は昨夜、<NHKスペシャル九州北部 記録的豪雨はなぜ>を途中で面白そうと見始めたのですが、すぐに寝入ってしまい、目覚めると終わっていました。最近、好んで飲んでいる泡盛が少し効きすぎたのでしょうかね。というわけで、どういう内容だったかはウェブ情報で概要がわかりました。
それによると<九州大学・矢野教授は被害拡大の原因を調査している。矢野教授が注目したのは市内のあちこちに残された流木。これらの流木が河川の氾濫を引き起こす原因になったと見ている。森林のメカニズムの研究をしている久保田教授は、植樹した杉などが短時間で降った雨に耐えられなかったと見ている。「本来森林は斜面を守る力があるが、1度崩れてしまうと下流に被害が及ぶということは矛盾しているようだが起こる」と説明した。>とのこと。
私が最初に注目したことは、防災に関心がある人なら誰でも気づくと思います。で、わざわざ今日も3回目として取り上げるのは、われながら驚いていますが、心の中ではやはり30年近くは森に関心を持ち続けてきたことと関係するのかなと思っています。
余談がここまで続いてしまいました。私が流木によるリスクを問題にしたことに関連して、もう一言付け加える必要を感じたのです。というのは、日田市はご承知のとおり林業の盛んなまちです。当然、ほかの森林地に比べて、間伐・枝打ちも割合やられているところではないかと思っていました。ですので、一昨日でしたか、こういった適切な森林管理が行われていなかった可能性も検討する必要があるといった趣旨の指摘をした記憶があります。
そこで改めて九州豪雨の写真で掲載されている、樹木ごと斜面崩壊を起こしている現場を確認しているのですが、どうも作業道らしい形跡が見当たらないのです。どういうことかといいますと、間伐や枝打ちを効率的に、事業的に実施する場合、作業道を森林内に相当開設しておく必要があります。いわゆる林道といった10トントラックなど大型車での搬送ができる舗装幹線道路と異なり、作業道は幅員3~4mの簡易な砂利道ですので、森林環境にもさほど重大な影響を与えない規模・構造です。
しかし、そういった作業道が作られていると行った雰囲気は、あのあちらこちらで起こった斜面崩壊(地滑りかどうかはさらに調査が必要でしょう)の周辺の森林の状況からは窺えませんでした。枝打ちも崩壊した周辺の樹木の様子からは窺えませんでした。
ま、このことも今後の調査をまたないといけない、早まった先入主は避けるべきでしょうが、注目する事項ではあると思っています。ただ、林業盛んな日田林業も、結構バイオエネルギーとして活用されているようなウェブ情報もあり、この種の材質は間伐や枝打ちをしていないもので十分ですので、そうなると日田林業全体のあり方も検討対象かなと思ったりします。
で、ここまでが、これまでの延長戦ですが、ここからが本日の主題?です。見出しのNHKの番組だったか、ニュース番組だったか、たぶん後者の放送で見たと思うのですが、河川の洪水情報(水位情報)です。
従来、大きな洪水被害は、大河川が氾濫することで発生することが一般だったと思います。ところが今回、筑後川は水位が危険水位に至らず安定していたのです。氾濫したのは網の目のように走っている支流で起こっています。
ではこのことをどう見るべきかです。気象庁が主要河川の水位はもちろん、その支流も主要なものは水位情報を定期的にデータをウェブ情報で流しています。TV放映で見た画像では、網の目のように走っている支流のほとんどがもっとも危険な水位となっていたのです。
で、私自身、この画像を分析していませんが、国交省河川局が提供している支流河川は、当然、河川局管理の河ですね。他方で、農水省の管理とどういう棲み分けがあるか、私も個別に確認したことがないのですが、むろん灌漑用の用排水路は、外観上河でもありますが、農水省が管理しているのだと思います。こういった河川はそういた水位情報は見たことがありません。河川局管理の河川で、水位情報が提供されているのが、その一部だと思うのです。自分の身近の大河川から支流がどの程度アップされているか確認するとよくわかります。
さてここまでは、伏線でして、ここからが本番。河川局にとって、やはり最も洪水水害を防ぐ必要があるのは大河川ですね(通常は一級河川)。そのための治水対策はいろいろありますが、まさに直接的かつ効果的なのが樋門です。大河川の流量が増大して氾濫の危険、堤防破壊の危険がある場合、樋門を締め切るのです。するとどうなるか。支流というのは、集水域から集まってくる水量を大河川に押し出して、水位の安定を図るわけですね。
それが樋門を締め切れば、当然、支流の水量は支流内に閉じ込められるので、いっぺんに水位が上がり、断面積の小さいのが支流ですから、すぐに氾濫してしまいます。それで、支流の中で、大河川の樋門付近はよく洪水被害を受けるハザード地域です。元々が氾濫原に堤防を作り、安全になったと言って平坦な土地に分譲地がどんどん建てることを認めますが、そのリスクの説明はありませんね。
そして大河川の水位管理は、大規模ダムなど多数のダムの放流量の調整も含め、洪水被害を回避するため、相当細やかなガイドラインなりマニュアルがあって、流量管理が慎重に行われていると思います。しかし、その水量データは限られていますね。それに今回のような異常な豪雨を予想して支流管理をするシステムができあがっているところはないように思うのですが、どうでしょうか。
これからもいつどこで起こるかわからない、異常豪雨の発生、それにどう対応するか、現在の行政システムでは万全を期することは不可能でしょう。その意味で、少なくとも情報の不足を明らかにして、住民自身がどこにリスク・ハザードがあるかが事前にわかるようなシステムの必要も感じています。
森林・河川のリスク管理、今後も随時、取り上げていきたいと思っています。今日は昼の休みを利用してちょっと書くつもりが少し長くなりました。
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