たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

勝敗と生き方 <葉桜>を見ながら、<国連の「幸福度」><WTO逆転敗訴>などを読んで

2019-04-13 | 災害と事前・事後

190413 勝敗と生き方 <葉桜>を見ながら、<国連の「幸福度」><WTO逆転敗訴>などを読んで

 

満開の桜が春爛漫を謳歌しているかのようだったのは、たしか数日前のこと。さっと多くの花弁が落ち桜の小道ができています。そしていつの間にか若葉の新芽が顔を出しています。そこで一枚パチリ。実はがく片だけになった桜もなかなか清楚で、なんどかパッシャッとシャッターを切ったのですがピンぼけばかりでした。

 

桜の花言葉は<花言葉辞典>では<「優れた美人」「純潔」「精神美」「淡泊」>とのこと。葉桜に魅了される人も多いと思うのですが「花」ではないためか花言葉はなさそうですね。

 

子規の

葉桜に人千人のさわぎかな

葉桜や昔の人と立咄

十日早くばと思ふ葉桜の道もあり

など、多くの俳人が題材にしていますね。

 

葉桜は夏の季語ですか、わが家から見える桜木は満開を過ぎると葉桜のスタートですよと頼もしいです。そういえば当地の小高い丘というか谷間というか、あちこちが若葉の新緑がまぶしくなりました。冬枯れの木々で埋まっていたのがとても軽やかな気分にさせてくれます。

 

桜の花言葉の中で「優れた美人」というのは有名な桜の木なんかはそうかなと思いますが、一般的には「精神美」がいいですね。

 

ところで、毎日の昨夕記事<特集ワイド日本58位、国連の「幸福度」って何? 生き方考えるたたき台>では、<国連が3月に発表した「世界幸福度報告書2019年版」で日本は156カ国・地域中58位(前年54位)と過去最低だった。>という結果を踏まえて、日本人にとって(というか一人ひとりの人間として)幸福って何を石塚孝志記者は問うています。欧米と日本との尺度の違いを指摘する学者や、国連が尺度にしている個別の指標に疑義を述べる学者などが紹介されています。

 

石塚記者が最後にあげた<京都大こころの未来研究センター教授の内田由紀子さん>のことばが割合腑に落ちました。

<「幸福とは個人のものなのか、社会で考えるべきことなのかがずっと問われてきましたが、その両方を大事にしながら、人々との関わりの中で、どう自分の生きる意味を見いだしていくのかというように移り変わっています。幸福の研究とは人々が求めていることを正しく知り、議論するためのたたき台みたいなもの。私たちが次の世代に、どういう国を残そうとするのかにもつながる大切なことなのです」。>

 

幸福って主観的なようで、周りとか、社会とかの見方と相互に触れ合いながら形作られていくのかも知れません。葉桜というものに感じる私の感覚なんかも、先達や他の人、社会の見方に影響されつつ形成されてきたのかも知れません。

 

話変わって、今朝の毎日記事<東日本大震災福島第1原発事故 日本敗訴、水産輸出に逆風 韓国に協議要請 WTO>はなにか落ち着かない気分にさせられました。

 

原発事故による福島県産の水産物は国内で水揚げできない状況(正確ではないですが)が続いているということはある程度分かっていますが、福島県以外の宮城県など日本産水産物が多くの国で現在も輸入規制されているということも漠然とした認識しかなったのです。韓国については話題になっていたのでちょっと知っている程度でしたが、大変な事態が続いているのですね。

 

それにしてもWTOの紛争解決制度について理解できていないので、記事を読む限り、その判断に一定の合理性を認めつつも、政治性も感じさせる印象をもちました。

 

事実経過は、<韓国は2013年、東電の汚染水流出問題をきっかけに規制を強化。青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の8県産の水産物の禁輸対象を一部から全てに拡大した。>のが始まりです。この韓国の措置に対して、<日本は「科学的根拠がない」と15年にWTOに提訴。>

 

<1審の紛争処理小委員会(パネル)は昨年2月、韓国による輸入規制は「差別的」かつ「必要以上に貿易制限的」でWTOルールに違反するとした日本の主張をおおむね認め、韓国に是正を勧告した。>

 

この一審の判断については、もう一つの記事<クローズアップWTO逆転敗訴 政府誤算、復興に打撃>では、<原子力の専門家らも審議に加わっており、水産庁と外務省の担当者は10日、「専門家が検討した1審の事実認定が覆ることはほとんどない」と楽観的だった。>とされています。

 

ところで、二審の判断で覆った理由について2つ指摘されています。まず、<上級委は「パネルは製品サンプル中の(放射性物質の)実測値のみで安全性を調査しており、潜在的な汚染の可能性を説明できていない」と指摘。>これに対し<日本は放射性物質のモニタリング調査などデータを示し安全性を説明してきたが、上級委は放射性物質の影響が将来、顕在化するかもしれない潜在的リスクを考慮しなかった1審の判断を問題視した。>となっています。

 

サンプル実測値とモニタリングで安全性を科学的に証明したとする日本側の主張に対し、二審では、潜在的リスクが考慮されていない判断したのです。原発被爆によるリスク一般については、国内でも潜在的リスクが問題になっており、ただ、医学的知見なり科学的知見の多数は否定してきたのではないかと思います。

 

私のように高齢者になると、世の中一般に潜在的リスクがあるので(一緒にはできませんが)、できれば福島産のものを食べたいと思うのですが、身近にはないですね。それも困ったものです。他方で、潜在的リスクに不安を感じる人たちの気持ちは大事にしたいと思うのです。

 

他方で、二審の判断が合理的であったかというと、疑念が残ります。記事によれば、第一の争点について、<韓国は、放射性物質のレベルが今は低くても将来、影響が現れる潜在的リスクを訴えてきた。上級委は、1審はこの潜在的リスクについて検討が不十分だったと指摘。>というのです。第二の争点については<韓国の措置が貿易制限に当たるかどうかについても、1審は韓国と日本の地理的な事情などを十分考慮していなかったとした。>というのですが、この論理は理解に苦しみます。

 

福島県産については一定程度、合理性があるかもしれません。でもそれ以外の7県についてはどういうデータの基に、地理的関係を考慮して、潜在的リスクを持ち出したのでしょう。

 

また、一審が考慮していないと指摘する<韓国と日本の地理的な事情>って何でしょう。むろん実際の報告書には具体的な記述があってより説得的なのでしょうね。不思議な根拠です。

 

で、有識者の見解として、法律論で覆ったとか、人員不足で十分審議されたか疑問と言った指摘がありますが、どこが法律論なんでしょうね。

 

他方で、<「日本産食品は科学的に安全で、韓国の安全基準を十分クリアするとの1審の事実認定は維持されている」(菅義偉官房長官)>ということですが、潜在的リスクという科学的でもあり曖昧さも残る問題をしっかりとらえていないと、今後も問題の解消につながらないおそれが高いと思うのです。

 

また、記事では宮城や福島の漁業関係者の不安を訴える声を掲載しつつ、<岩手県の達増拓也知事は「WTOの判断は残念だが、むしろ漁獲量の減少が大きな問題」と水産業が抱える構造的な課題も指摘する。「きちんと検査をしていて、我々も韓国からの旅行者もおいしくいただいていることをアピールしていけば、悪いことにはならないと思う」と訴えた。【百武信幸、柿沼秀行、小鍜冶孝志】>と多くの韓国旅行者が口にすることで(実際そのようですね)自然に理解が深まることを地道に、また広報を通じてやっていく熱意を示しており、期待したいと思うのです。

 

葉桜の心は、桜の花弁を見て純潔さにのみ心ひかれていると、その散り落ち次の段階に進む移ろいに自然の妙がある、あるいは本質があるということを見失うおそれを気づかせてくれているようにも思うのです。

 

そんなことを思いながら葉桜の季節を堪能しようかとも思うのです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。

 

 


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