180921 自然災害と保険 <大阪北部地震 保険金の支払額><住宅被災、保険で補償される?>などを読みながら
自然災害が頻発しその被災状況が甚大化しつつあるような印象をうけます。今朝の毎日記事で小さな紙面ですが<大阪北部地震保険金の支払額 阪神超え866億円>が掲載されていました。
<日本損害保険協会は20日、今年6月の大阪北部地震と7月の西日本豪雨の保険金の支払額がこれまでに計2523億円になったと発表した。>この後、北海道地震や台風21号などの被災がありますので、その保険金はかなりの金額になることが想定できます。まだ9月下旬という時期であるにもかかわらず。
その保険金支払額に注目したいと思います。<大阪北部地震は阪神大震災の783億円を上回る866億円で、地震保険の支払額では過去3番目の規模に膨らんだ。>なぜでしょう。被災による被害金額はむろん後者の方が甚大ですね。理由は<地震保険の加入率が増えたことなどから、保険金の支払額が増加した。>ということです。
この自然災害に対する備えとしての保険金に依拠する姿勢は庶民、企業、公共団体いずれもさらに増大すると思われます。気候変動の影響は深刻化することは明らかで、今後も異常気象による暴風雨やスーパー台風などの災害はもちろん、地震・津波の頻発は避けられないのではないかと思うのです。
いま損保会社も企業方針として自然災害保険を種類や金額、さらに迅速な保険金支払のための調査法方法(ドローン活用など)を競って、保険契約の増大強化を、国内はもとより海外に市場を拡大しているようです。
その結果として、毎年の決算期には自然災害の増減の影響がもろに出ています。17年の決算では<損保大手3グループ過去最高益 自然災害大幅減などで>と、保険加入している海外市場を含めて自然災害が少なかった結果、過去最高益を得て、ほくほくだったのですね。
ところが<損保大手3社2社減益 米ハリケーン影響 18年3月期>によれば、18年の決算は逆に大手3社のうち1社のみ増益が確保できたものの、2社はハリケーンの被害による保険金増大で大幅減益となっています。
損保会社の収益構造を規定するほど、自然災害発生の頻度や程度が問題になってくるわけです。
では、被災の可能性のある人・団体はどうしたらいいのでしょう。通常、自然災害は不可抗力として被害は自己責任となりますので、災害による公的補助を受ける限度で一部救済されますが、むろんそれでは元の姿には戻れませんね。それで保険でカバーすることが現在の対応として求められているのでしょう。
保険は災害の種類、被災可能性のある物件によって、さまざまな種類がありますし、損保会社によって商品がことなるわけですから、それを費用対効果も考えて選択する必要があるでしょう。
たとえば毎日記事<質問なるほドリ住宅被災、保険で補償される? 災害の種類次第 契約内容の確認を>などはその心構えをしめしてくれています。
またこれはある保険会社のウェブサイトですが、<火災保険の自然災害ガイド>で、台風、竜巻、洪水、集中豪雨、土砂崩れなどに応じた保険の種類を解説しています。
ところで、損保会社は、自然災害保険の拡大を狙っているようですが、どうも商品化に当たって、適切なリスク対応商品を生み出せていないように思うのです。
たとえば、6月16日付け毎日記事<火災保険料設定、基礎引き上げへ 平均5.5%>では、上記の18年3月期決算で自然災害保険金の支払いが増大したことを受けて対応したのが、単に<火災保険の保険料を設定する際の基礎となる「参考純率」を平均5・5%引き上げる>というものです。
これでは自然災害の地域的な頻度や程度予測をまったく行っていない、ある種無責任な対応のように思えるのです。なるほどたしかにいくらAIが気象予報や、危険箇所の発見に一定の効果を及ぼすようになったとはいえ、リスク管理に直ちに利活用できるまでに至っていないのは現実でしょう。
しかし、自動車の保険料率でも、事故の発生率を年齢や性別、いくつかの要素を過去のデータから割り出して、詳細な差別化を図ってきたと思うのです。とするなら、自然災害においても、災害に応じたハザードマップや物件毎の被災程度をビッグデータを活用して、より個別的な差別化の識別基準を生み出すことができるように思うのです。
ま、いえば、損保会社が競って、データ解析で、地域的な安全度の差別化を図るとかすることで、リスクの高い場所は保険料も高くなるといったことはいずれ可能になると思うのですが、それは安直な発想でしょうか。ちょっとした思いつきでした。
もう一つ書こうと思いましたが、少し疲れましたので、古代をテーマにしたものですので、別の機会とします。今日はおしまい。また明日。
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