たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

関空は災害対応大丈夫? <空港孤立「旅行台無し」=眠れぬ一夜>などを読みながら

2018-09-05 | 災害と事前・事後

180905 関空は災害対応大丈夫? <空港孤立「旅行台無し」=眠れぬ一夜>などを読みながら

 

台風21号は気象庁の早めの予測通り猛烈でした。その上陸後のフルスピード、その驚異的な暴風雨の強さは見事に想定したとおりでした。津波の強さや高さは想定外だったのでしょうかね。

 

時事通信社の記事<空港孤立「旅行台無し」=眠れぬ一夜、船で脱出-利用客、関空から神戸に>は、関空が台風21号の影響でダウンした状況の一端を報じています。最後に、<被害状況や復旧見通しなどに関する空港側からの説明はほぼなし。停電や通信状況悪化で自由に情報収集することもできなかったといい「不安解消のため、責任者が出てくるべきだ」と憤った。>という被災に遭った乗客の声を取り上げていますが、それは当然でしょう。

 

関空のホームページを見ても、まったく被災状況が分かりません。信じがたいですね。説明責任をまったく果たしていませんね。これだけで、この責任者の姿勢を疑いたくなります。私もなんどか関空を利用してきましたが、このような対応だと、内外から強い批判を受けても当然と思います。

 

空港に取り残された人たちは、エアコンが聞かない、情報伝達・受信もできない、寝るところもない、ないないづくしで、旅行はむろん台無しですから、不満のはけ口がないですね。空港の対応や、今回の台風被害を見ながら、少し事実を確認しようかと思いました。

 

少し古いですが、<最終段階に入った関西国際空港二期工事  水没する運命の関空は撤去以外にない!讃岐田 訓(神戸大学)>といった指摘もありました。

 

海上の空港、関空は計画時から地盤沈下という人工地盤そのものの問題に加えて、地震や台風などによる津波高潮や豪雨という問題に対応できるか懸念されていたそうですね。ま、素人が考えても不安になります。

 

今回の台風被災では、浸水被害とタンカー衝突による連絡橋の破損の2つが大きく報じられ、前者はすでにかなり排水できていますが、後者の復旧の見通しはたたないようです。

 

タンカー衝突の原因については、今後の調査をまって議論した方がよいかと思います。ただ、すでに報じられたところでは、当該タンカーは給油オイルを空港に下ろした後、台風の来襲に備えて停泊していたところ、流されて衝突したとのことですね。第一ターミナルにはオイルタンカーバースがありますが、そこから離れた位置に停泊したのはそこで安全と判断したのでしょうか。台風による高波や暴風は想定外だったのでしょうか。疑問は残りますが、今後の調査を待ちたいと思います。

 

本日のテーマは空港の高潮対策が適切であったかという点です。

 

いくつか情報を入手しました。

一つは<関西空港 集中豪雨対策

今回の広範囲の冠水・浸水(両者に一応の違いがありますが、空港の場合あまり峻別しなくてもよいと思うのです)を見て、私は排水がどうなっているのかが気になりました。すると、排水対策として、巨大排水ポンプを設置しているとのことです。たしかに排水ポンプは有効ですが、雨、とりわけ海水が浸入したら、福島第一原発事故のときのように、アウトですね。今回はそうではなかったようですが、その位置や浸水対策は十二分に講じられているのか不安になります。

 

排水ポンプで気になるのは能力ですね。明らかに今回は能力を超えていたといえるでしょう。上記記事では<雨水用の排水管の海への出口付近にポンプを設置し、雨水をスムーズに海に流す方式に順次切り替えてきました。ポンプは、10年に一度の大雨(1時間で55mm)が降っても排水できる能力を備えています。>時間55mmなんて、いまどき時間100mmであってもどこにでも発生する可能性があるのですから、明らか十分とはいえませんね。

 

とりわけ産経記事の141015日では産経<台風19号で関空第2ターミナルビル「開港初」の広範囲浸水>とあり、<台風19号による豪雨の影響で、関空第2ターミナルビルが13日の夜から広範囲にわたって浸水したと発表した。>のですが、そのときの雨量は<1時間あたり75ミリの豪雨>で、結構な被害を受けたわけです。このとき会社側は<中庭の雨水の排水能力について「1時間55ミリ程度」としており、「今回の豪雨は想定の範囲を超えていた。今後対策を考えたい」と話している。>ということでしたが、ほんとに対策を講じてきたのでしょうかね。

 

そもそも排水ポンプでほんとに排水できるのかも気になります。上記のポンチ絵では排水できることになっていますが、地震津波や台風高潮で海水が増大し、空港周辺の大阪湾は袋小路状態で海水の逃げ場がないので、海側の圧力に負けてしまわないか心配です。

 

それに加えて大きな問題はどこから浸水したかですが、まだはっきりしていないようですね。

 

毎日写真記事<滑走路が浸水した関西国際空港=2018年9月4日午後5時55分>を見る限り、第1ターミナルの滑走路が全体にわたって水浸しです。どこから浸水したのか、堤防を越水したのか、判断しかねるところです。

 

毎日写真記事<台風21号で崩れた関西国際空港島の護岸(左手前)。中央は高潮で浸水し、まだ水が残る誘導路=2018年9月5日午前8時15分>だと、第1ターミナルの護岸で突き出たところの一部が崩れているようです。ただ、上記の9月4日午後5時55分段階の写真を見る限り、この箇所から浸水して広がったものとまでいえないように思われます。

 

この浸水原因もまた調査を待たないといけないでしょうね。

 

そこで、これまで関空は津波高潮対策を講じてこなかったのか、あるいはどのような対策をしてきたのかを調べてみました。

 

関空の記事では<高波対策 ~護岸のかさ上げ~>があります。

04年に巨大台風があり、関空にも被害があったそうです。

それで高波対策として護岸の嵩上げを行い、<かさ上げでは、大阪湾で記録が残っている最高の潮位(第2室戸台風を想定)の際に、50年に一度に相当する高波が来襲しても、護岸を越える波が抑えられるような高さまで護岸のコンクリートを継ぎ足しました。>ということで、3.2mの高波の高さまで大丈夫にしたという図解もあります。

 

今回の高波は第2室戸台風を超える規模だったようですので、この護岸対応は甘かったと言えるのでしょうね。

 

ところで、より科学的な考察をしたと思われる、資料があります。<大阪府津波浸水想定>があり、この関空の箇所を見ると、第1ターミナルのみ、浸水箇所が想定されています。

 

で、<津波浸水想定について(解説)>では代表地点における最大津波水位予測が示されていて、関空では第2ターミナルの南西角で2.6mとなっています(12頁)。これは南海トラフ地震津波を想定していますので、今回のような台風による暴風雨と高潮とは異なりますので、この想定をしていなかったということでしょうかね。

 

ともかくこの津波想定を前提に、13年から17年までかけて防潮堤を築造しています。それを<関西国際空港における南海トラフ地震津波への対策-防潮壁の築造->で解説しています。

 

興味深いのは、第1ターミナルが浸水するとの想定で、しかも第1ターミナルと第2ターミナルの間にある内水面からの浸水被害を想定し、第1ターミナルの内水面側の一部について、防潮壁築造と止水壁嵩上げなどを行っていますが、滑走路のある反対側の護岸対策はしていません。

 

今日の午後少し時間をかけて調べてみたのですが、どうもしっかりした台風豪雨・高潮対策を講じてきたとは思えないのです。むろん、ざっと見ただけですし、関空のホームページにはなかなかそういった情報が掲載されていないので、はっきりしたことはいえませんが、被災者である乗客への対応を見ても、責任ある姿勢は見受けられません。本来の安全対応も、予想される危険をしっかり把握して、前向きに対処してきたか、今後の調査できちんと明らかにしてもらいたいものです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


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