180904 外来種と差別化 <外来種 アライグマ、分布域10年で3倍 生息なし3県のみ>などを読みながら
今朝の雲行きは不思議な光景でした。高野をはじめ紀ノ川南岸の連峰上には、刻々と雲の様子が変わっていくのです。一時は全体が薄い雲に覆われているかと思いきや、その後は天変地異がいつ起きるかもしれないような変化に富んだものでした。山稜付近には小さな入道雲のような力強い白色をした雲、その上には次々と変わる様々な形と色の雲の群れが自由闊達に踊っているようにも見えました。
強力な台風21号の予兆でしょうか。雲の大いなる変化と異なり、地上付近では風もなく平穏な朝が過ぎていきました。
しかし、案の定、昼前頃から久しぶりに聞くような轟音で周囲を蹴散らすような暴風雨が事務所の玄関ドアや窓を揺るがすかのようにたたきつけはじめました。やはり猛烈台風でした。思うに、戦前の建物でしたら、吹き飛ばされるか、そうでなくても屋根が飛ばされてしまうのではないかと思うほどでした。昔の人たちはこういう艱難辛苦をもたらす自然の脅威に耐えてきたのですね。現代の私たちは、事前に予想し、急に暴雨風雨がやってきても驚くこともなく、吹き飛ばされる心配もほとんどしなくてもよく、ま、安穏といってもよいのでしょう。むろん全国には災害脆弱箇所がいくつもありますから、そこは不安でしょうけど、昔に比べれば、安全性が高まったことは確かでしょう(土地利用制度の不備や自然の脅威などで災害危険は残っていますが)。
ところで、いまは夕方で、台風一過といったところでしょうか。ふと毎日記事を見ると<外来種アライグマ、分布域10年で3倍 生息なし3県のみ>とあり、アライグマの写真が大きく写っていました。
わたしが最初にアライグマを見たのは、20年あまり前、鎌倉に住んでいた頃でした。夜遅く自宅に帰る途中、人通りの絶えた道の先の方に、なにか動く姿が見えました。靄がかかっていて、はっきりしませんでしたが、タヌキかなと思って、近づくとアライグマでした。かわいい表情でしたが、逃げていってしまいました。それからなんどか見かけるようになりましたが、その頃は台湾リスの方がたくさんいて、家の周りというか、屋根に上がったり、自由奔放に動き回っていました。
隣家がリスにエサをやっていたこともあるのでしょう。ほんとにリスは多かったですね。アライグマも餌付けをしていたと思います。当時まだ、有害性とかそれほど話題になっていなかったと思います。鎌倉の住民の中では・・・の限定付きですが。
その後横浜弁護士会の公害環境委員会で、外来種による農業被害と駆除の問題について調査することになり、三浦半島一帯の市町村を担当を決めて調査することになりました。私は他のメンバーとたしか逗子市だったと思いますが、市役所を訪れました。すると駆除担当(農林振興課?)で罠用の網を見せてくれ、実情を説明してくれました。
農家の人は、アライグマの侵入で農作物の被害が深刻な状態になっているとのことでした。データも提供いただきましたが、内容はもう失念しました。それで対応策の罠ですが、これらがすごく頑丈なのです。まるでイノシシ対応みたいな頑丈な鉄製網の大きな箱でした。
あのかわいい感じのアライグマにこんな物騒なものが必要なのか不思議に思いましたが、担当者いわく、とてもどう猛で、普通の網だと壊してしまうとのことでした。そしてアライグマが怒ったときの顔写真を見せてもらいましたが、これは凶暴な面相になっていました。かわいい様子は微塵もありません。
20年ほど前野話ですが、台湾リスも、アライグマも、当時はまだ一部地域にとどまっていた記憶です。
ところが、記事によると、<環境省は全国を5キロ四方の区画に分けて、全ての市区町村に2010~17年にアライグマが確認されたかどうか尋ねて分布を調べた。その結果、20%の場所で生息情報があった。同様の方法で調べた05~06年の前回調査では7%ほどだった。
都道府県別で見ると、生息が確認されなかったのは前回調査時に12県あったが、今回は秋田、高知、沖縄の3県だけになり、急速に分布を広げていることを示した。>
それが<約10年前と比べ全国で3倍近くに広がったとの調査結果>の具体的な内容ですね。
<以前はほとんど見られなかった福島県の沿岸部でも広い範囲で確認された。>
これはNHKの帰宅困難地区での野生動物の生息状況を放映した番組でも、アライグマの家族がしっかり映っていたのを見ました。
<アライグマは北米原産で、ニホンザリガニなど絶滅危惧種を捕食するほか、農作物被害や感染症を引き起こす恐れがあるとして、環境省は飼育規制が必要な「特定外来生物」に指定。>
そのため、ウィキペディア<アライグマ>では、<2005年に 外来生物法が施行されると同時に、特定外来生物に一次指定され、防除に向けた活動が本格化した。>
<外来生物法に基づいた箱わなによる有害駆除の捕獲が主となっている[2][5]。近年は、錯誤捕獲を防ぐためにエッグトラップという新しい罠も開発されている[37]。>
<外来生物法による防除や有害駆除を含めたアライグマの捕獲数は2008年には14000頭を超えた(捕獲数が特に多いのは北海道と兵庫県で合わせて6000頭)[5]。>
90年代まではかわいいなんてことで、ペットとしても飼われた時代があったわけですし、動物愛護団体から駆除に対しては抗議活動が続いているようです。
外来種だからすべて差別化して、駆除処理するということではないですが、農業被害や生態系への深刻な影響があるような場合は特定外来種として駆除されていますね。昔この法律も調べたことがありますが、いまは記憶で書いていますので曖昧です。
さて人間についても、日本人と外国人、とくに移民や在日外国人など、異なる取扱が行われています。それが場合によっては差別的取扱いとして合理性を疑わざるを得ない場合もあるでしょう。ましてやヘイトスピーチを容認するような国や地方自治体であってよいはずがないでしょう。
この問題と同列に扱えませんが、生物についても、外来種ということで、また、農林業被害を与えるということで、駆除を容認することがどこまで合理性があるのか、検討されて良いと思うのです。
アライグマの増大は、ある種人間がもたらしたともいえるわけでしょうから、また、どう猛になるのも生命の危機にさらされれば当然でしょうから、それだけで対応を強化するのがどこまで許されるのか、考えておきたい問題です。
と考えたのが20年くらい前ですが、一歩も進歩していない自分を省みています。
そうそう動物愛護と言えば、犬公方と蔑称された?綱吉ですが、彼は基本的には生命の尊さを、虐げられた子供や女性から、あらゆる動物・生物に考えを徹底させただけで、その思想や政策の合理性についてはある程度見直されているようですね。だいたい、綱吉から「𠮷」をいただいた吉宗将軍は、かなりの部分で綱吉がやろうとした政策を実施したとも言われていますので(これもだいぶ以前に読んで中身が曖昧です)、綱吉と吉宗、まったく異なるようで、共通する部分を考えても面白いかなと思うのです。
脱線が続いたところで、今日はこれにておしまい。外は静かになりました。台風が過ぎ去った後の静寂さの中、のんびり帰れそうです。また明日。
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