180712 災害対策を考える <治水計画 国交省が見直し着手>などを読みながら
今日は夕方から会議があるので、早めにブログを書くことにしました。それも簡潔に。と思いながら、この問題は課題が多く、情報も拡散しており、そう簡単にいかないことを承知しつつ、今日のニュースのつまみ食いみたいな感じで、できれば整理できるといいのですが。
今回の西日本豪雨については、新たに様々な問題が指摘されています。それをすべて取り上げることも意味はありますが、とりあえず今日のニュースで気になった点を優先順位とか関係なく触れることができればと思います。
まず、毎日記事<治水計画国交省が見直し着手 記録的豪雨の急増に対処>では、<国土交通省は、地球温暖化による豪雨の増加などを想定した治水計画の見直しを始めた。気候変動に対応する「適応策」として、河川の堤防整備などハード面を含めて検討するのは同省としては初めてだという。>気候変動問題については、これまでさまざまな対策が講じられてきたように思いますが、<豪雨の増加などを想定した治水計画の見直し>は画期的な取り組みと思うのです。こういった方向は望ましいと思うのです。
具体的には<8月にもまとめる検討会の中間報告書には、河川の治水計画を見直す場合に将来の豪雨の増加分を見込み、堤防の高さやダムのかさ上げなどをするよう盛り込む。河川の最大流量や浸水想定区域も再検討するよう求める。国交省は中間報告書を今後、全国の河川整備計画に反映する方針だ。【斎藤有香】>とのこと。
ただ、この具体論となると、もう少し検討を要するのではないかと思うのです。むろんハード面の強化を図ることは重要な施策と思いますが、それにはもう少し国民の意見集約があっても良いのではと思うのです。早急すぎないでしょうか。仮に治水対策をハード面で強化を図るというのであれば、たとえば急傾斜崩壊危険地区のように、土地所有者にも一定の負担を課すこと、あるいはそこまでいかなくともなんらかの所有制限を伴う対策も検討してもいいのではないかと思うのです。この地区指定があれば、公共負担で擁壁工事など安全対策が講じられますが、当該土地はほとんど無価値に近いものとなります。そもそも安全対策を講じないと土地利用ができないような地形条件をもっているからです。
むろん気候変動による治水計画の見直しは、以前から危険であった地域の土地とまでいえないかもしれません。しかし、場所によっては氾濫原に無理に土地利用を認めたところもあるかもしれません。その点、これまでの土地利用計画では、後追い行政で、どんどん住宅や工場などが建った後、治水対策などを講じてきたところもあったかと思います。国民の公平な分担やあるべき土地利用を考慮して、検討してもらいたいと思うのです。
上記は河川の治水対策ですが、今度はため池です。毎日記事<ため池「決壊の恐れ」 2次被害に注意>は中国地方に多いため池の整備不十分さが問題になっています。
<西日本豪雨の2次災害が発生する危険性が増している。広島県内では11日、6カ所のため池で決壊の恐れが高まったほか、同県府中町の河川では10日に氾濫があった。雨水がため池の堤体に浸透した影響や、土砂などで河川がせき止められてできた「天然ダム」が決壊した可能性が高く、専門家は「雨が降っていなくても、新たな水害が起こると考えて警戒を続けてほしい」と呼びかけている。>と。
ため池は全国に膨大な数があり、行政で把握されていないものも相当数あり、多くは構造計算や堤体の地盤の安全性を専門家によってチェックされていないものだと思われます。古くは奈良時代の行基以前、古墳時代にはあったとされていますので、その後繰り返し決壊・修復を繰り返してきたと思いますが、現在の状態は管理も十分にされているとはいえず、危険性は否定できないでしょう。
以前は毎年水抜きして、堆積した土壌やヘドロを取り出し、その中に鯉や鮒など多くの副産物で作業後を祝ったようですが、そういったことは最近多くのため池では行われていないと思います。中には減反政策の影響もあり、ため池自体の水が使われなくなり、完全に放置されたものもあります。
こういったため池の安全性については、以前から行政で少しずつ調査を始めていますが、多すぎて間に合わない状況でしょう。ハザードマップについてもため池決壊を前提としてその浸水シミュレーションが行われていますが、これも集落などがあるところに限られているのではと思います。しかし、今回の西日本豪雨のようにかなり人里離れたところのため池では対処がまったくできないでしょう。また豪雨や土砂崩れなどで生まれる、意図しない堰でたまった・ため池まがいのものも危険きわまりないですね。
西日本豪雨では、山頂付近も相当亀裂が入って、山崩れが各所で起こっているようです。それは山林管理が適切かどうかというより、地質の問題と異常豪雨の問題で、中国山地としては避けがたい問題かもしれません。こんなことを書いたのは、先ほど国交省が治水計画の見直しということでしたが、それは河川だけでなく、ため池、山林、今回の災害で起こった全体像をしっかり把握して検討してもらいたいために言及したのです。むろん国交省だけで解決するものではなく、農水省など省庁間で連携してもらいたいと思うのです。
ちょっと違った側面では別の記事<災害ごみ巨大な山 衛生面も問題 倉敷市真備>も、いつも災害の後思うのですが、災害を前提として、どこまでゴミ処理を事前に対策できるかまで念頭に置くのは難しいとは思いつつ、厚労省も視野に入れてもらいたいと思った次第です。
より生命に関わる重要な情報としては産経ウェブ記事<【西日本豪雨】「救助側にも命の危険」岡山の被災地派遣の和歌山県警援助隊が帰還>がなかなかいい取材だと思ったのです。
これは和歌山県県警が派遣した部隊の報告です。<広域緊急援助隊を指揮した楠本副隊長は広範囲が泥水に覆われていた状況について、「今まで見たことのない現場だ」と被害の深刻さを強調。これまで東日本大震災や紀伊半島豪雨の現場も経験したというが、「今回は浸水規模も水量もひどかった。家屋が水没するほどたくさんの水が残っているのは今まで見たことがない。救助する側にも落水すれば命の危険があった」と振り返った。
さらに今回の救助活動をふまえ、「救助が必要な人を見逃さないよう、徹底的に捜索することが重要。その上で各関係機関が現場の避難状況などをこまめに共有して、より効果的な捜索方法を考えないといけない」と力を込めた。>
驚きました。<東日本大震災や紀伊半島豪雨の現場>よりも<「今回は浸水規模も水量もひどかった。>というのですね。たしかに前者は史上例のない大津波ですが、引きも早いですから、救援に向かったときは浸水しているところはすくなかったでしょう。また紀伊半島とのときは現場としては平坦な箇所があまりないので、やはり今回の被害程度の方がひどかったのでしょう。救援者も危険な状態となるといったことは、情報の共有としても重要でしょう。
また産経記事<【西日本豪雨】トイレの水がない 9100世帯断水の愛媛・大洲市、猛暑で不衛生心配>も、災害ではいつも問題になりますが、災害対応のトイレ対策は早急に考える必要があるでしょう。さまざまな情報が出回っているようですが、災害を意識した私たちの心の意識改革も必要かもしれません。
そろそろ時間となりました。結局尻切れトンボとなりましたが、またいつに日か、整理できればと思うのです。また明日。
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