170527 弁護士のこれから <弁護士業務改革シンポ>の記事を見て
今朝は少しひんやりしたそよ風が部屋の中に入ってきて、いまはほんとにいい季節だなと思わず感じました。日中はたしかに暑くなりますが、家の方位・建て方によっては冷ややかな空気の流れを作り出し、気持ちのよい日中を家で過ごすことができます。伝統的な和風建築はこの観点から建てられてきたのではないかと思います。江戸時代の武家屋敷なども下級武士でも配置も含め風の流れを意識して建てられています。風のながれというものが昔はとても意識されていたのではないかと思うのです。
今日仕事でお客さんの家を訪ね、リビングで話をしたのですが、とてもきもちのよい風が入ってきて、気持ちよく過ごすことができました。施主と大工さんが日本の湿気が多く暑さに対応するため、配慮した作り方をしたのだと思います。
朝一番は、シジュウカラが、その後ヤマガラが、それぞれ美しくさえずり、それも気持ちを和らげてくれる出足でした。しかし、庭木の剪定や、片付け、庭石や花の苗の買い入れなど、いろいろ作業をしているとあっという間に時間がたち、午後の打ち合わせも順調に進んだのですが、地籍図の境界標の確認などを終えて、事務所で簡単な仕事を済ますと、もう5時です。
今日のお題はとウェブ情報を見てシャープの買収後1年でのV字回復を図る景気のいい報道には少し首をかしげてしまい、一年前に不安視された買収劇のその後を調べようとしたのですが、簡単には情報が見つからず、今回は断念しました。
それで、久しぶりに弁護士ネタでも取り上げようと、日弁連委員会ニュース今月号のトップに掲載されていた見出しのテーマについて、少し触れて見ようかと思います。つい最近まで、顰蹙を買うかもしれませんが、この種の弁護士会からの情報はほとんど読んでいませんでした。昔東弁の広報委員をしていた頃はむろんよく読んでいましたが、その後環境問題にシフトして、それ以外のテーマにはほとんど関心を持たず、当地に移ってきても、ただ積んでおくということでした。
昔議論をした仲間の名前がでていたりして、多少は関心がありますし、広報委員当時はこの種の議論をよくしたものでした。
で、日弁連のホームページでどのように扱われているかとみたところ、<20回弁護士業務改革シンポジウムのご案内>という見出しで、詳細が載っていました。でもこのウェブページに簡単にたどり着いたわけではありません。ホームページの構成に工夫があってもよいように思いますね。
さてシンポは9つの分科会に分かれて、それぞれが個別のテーマで議論するようですので、一時間以内で扱えられる範囲で取り上げたいと思います。
まず、<第1分科会 企業経営とジェネラルカウンセルの役割>となっています。
内容は<欧米では、上場企業に弁護士資格を有し高度な専門家責任を負う者が、自らも経営陣の一員として経営に参加しつつ法務部門を統括し、企業内での強い権限や発言力を有する、「ジェネラルカウンセル(GC)」が設置される例が一般的ですが、日本企業での設置例は、未だ少数に留まっています。
当分科会では、国内外の現状を紹介しつつ、複雑化する企業経営環境下において、GCが経営責任の遂行のために果たし得る役割を議論し、日本においてGC制度を根付かせるための諸課題を検討します。>とのこと。
たしかにGCといっても、ほとんどの人が知らないでしょうね。たしか日本IBMで最初にそれに相当する人がいた記憶があります。もう30年以上前の話ですが。当時でもわずかということで、単なる企業内弁護士ではない、経営に参画してトータルに法務を見るといった人は他にいなかったのではとの記憶です。それが現在もさほど増えていないようですね。
それは最近のニュースで取り上げられる大企業の不祥事を見ればそうかなと思います。とはいえ、90年後半くらいからでしょうか、監査役、さらには社外取締役に弁護士がなるというのが相当増えてきている訳ですが、GCに相当するような人はあまり聞こえてきませんね。
では弁護士がいれば大丈夫か。たしかに不祥事・不正処理事件などが発生すると、第三者委員会が発足し、それによる調査・報告・提言などが行われ、コンプライアンスやリスク管理の施行実態が追求される訳ですから、これは事後的ですが、事前にそのような指導・管理が行われれば、問題が少なくなることが理解されるようにも思うのです。
ただ、多くの第三者委員会の調査においても、依頼者である企業の依頼内容によっては相当限定的な調査しか行われていない、公正さが担保されていないものであったり、公表が不十分であったり、と問題のある調査報告もこれまで指摘されています。
すると、企業内に入った場合に、さらに支配従属関係になるのか、委任関係になるのか、違いはありますが、やはり企業の影響を受けるおそれは否定できないでしょう。
このGCの業務内容について、その適正さを保つガイドラインをどう構築するか、あるいはその信頼性をどう高めていき、第三者が見て理解できるものにできるか、いろいろ課題があると思います。さて、シンポではどのような議論が行われ、海外で活躍しているという?GCがわが国でも活用されるようになるのか、期待したいところです。
アメリカのGCが取り上げられていますが、私は今なお、リーマン・ショックにおいてウォール街の金融証券業者らによる厚顔無恥な不正がおこなわれたと思っていますので、GCが一体どんな役割を果たしたかも検証してもらいと思っています。
次に<第2分科会 スポーツ新時代に求められる弁護士の使命と役割>というテーマです。
それによると、<スポーツ界では、2012年にIOCが“SUSTAINABILITY THROUGH SPORT”を発行する等、ビジネスの分野と同様、持続的な発展のために何をすべきか、を考えなければならない時代にあります。
イベント主催者や競技団体だけでなく、スポンサーやサプライヤー等イベントに関わる企業も含め、国際的な人権感覚を共有することが求められています。弁護士は、関連するサステナビリティに関するガイドライン等を理解した上での正しい人権感覚に基づいた正確な判断が求められます。
当分科会では、持続可能なスポーツイベントを実現するために必要な弁護士の役割を論じるとともに、スポーツ界に求められる国際的な人権感覚とは何か、について考えます。>
これこそ新しい活動の舞台でしょうね。私の友人の同僚だった人がこの分野の先駆け的な存在ではないかと思うのですが、最近は広範囲に弁護士が登場しますね。スポーツ界においても各選手に代理人として、アメリカのエージェント的な人以外に、その人権的側面に配慮する契約交渉などでは弁護士が十分活躍できるでしょうね。ここで<関連するサステナビリティに関するガイドライン等>というのが具体的にどのようなものを考えているのかピントきませんが、単に事業の持続性ということではなく、リオ・サミットで宣言された意味での地球全体、そして地域や人種・民族・性差・障がいなどの違いを超えた意味で、サステナビリティの具体的な実現を担うことを弁護士に求めているのもしれません。
東京オリンピック・パラリンピックを前に考えるという副題もついていますので、いま小池都知事が登場して大きな話題となっていますが、はたしてサステナビリティの視点がどのように検討されたのか、はなはだ疑わしく感じている私としては、十分に議論してもらいたいです。
<第3分科会 近未来の法律事務所 ~e裁判による後見・破産、電子契約等~>というのは「近未来」というものに、副題からみれば、ネット活用を見ているように思えます。
ではその内容はというと、<当分科会では、電子裁判手続の導入のメリットを分かりやすくビジュアル化します。即ち、多数の債権者が関わり手続が煩瑣な破産手続や、手続が長期化しがちであり、関連書類が堆積する成年後見手続を題材に、実際に裁判所の事件管理に用いることを念頭に置いたシステムを準備しています。当日は、このシステムを用いたデモンストレーションを通じて、電子裁判手続による手続事務の省力化、費用節約の効果を具体的に明らかにし、わが国での電子裁判手続の導入を提言します。
また、各種電子機器やサービス、ITインフラについて紹介し、その活用が弁護士の日常業務の効率化やサービスの向上にどのように寄与し得るかを探ります。>
<電子裁判手続き>ということですか、わかったようなわからないような印象ですが、ま、期待したいと思います。登記手続きや税務申告などもどんどん電子手続きになっていますね。でも裁判まで電子手続きになると、裁判官、弁護士、検察官もいらなくなるということではもちろんないですね。でも究極はそれに近い状態になるのが、近未来から遠い将来には達成可能になるのでしょうかね。AIのディープランニングはすでに囲碁の世界一の棋士の能力を凌駕しました。いまウェブ上に掲載されているような情報はすべて無価値になるのはそれほど遠い先とは思えません。
法の正義とか裁判は、より高度の内容が関係者に求められるようになるのではないかと思うのですが、私はそちらの方に興味をそそられます。
ここまで書いてきて、少々疲れたのと、すでに一時間が過ぎ、後は別の機会にしたいと思います。もう取り上げないかもしれませんが、気が向いたらそういう機会があるかもしれません。 今日はこの辺で終わりにします。
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