たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

自立と共同のあり方 <余録 年間消費電力の半分近くを風力でまかなう国がある…>を読みながら

2018-01-28 | 原子力・エネルギー・地球環境

180128 自立と共同のあり方 <余録年間消費電力の半分近くを風力でまかなう国がある…>を読みながら

 

NHKで世界の里山紀行を10年前に特集したようで、最近、そのプレミア特集ということで、放送していたのを録画して、寝る少し前、そして横になってからも、ときおりみています。そんな見方ですから、まともに全部を見通すことはありませんが、なんとも気持ちの良い睡眠促進剤?となっています。

 

昨日はフィンランドの森がテーマになっていました。ノルウェー、スウェーデンといった北欧の国々は立派な森を育てていますね。むろんフィンランドもです。これらの国の魅力的な制度として、Allemansrätten(アッレマンスレッテン)という、わが国で言えば日弁連が提唱した自然享受権のようなものが自然法として定着しているようです。

 

とりわけ自然の森への立入は自由で、そこにある林産物、植物の採取も許されているとされています。まったく無制限かは、以前法制度について調べたことがありますが、忘れてしまいました。でもわが国の入会権的なもの以上に、自由性があったと記憶しています。

 

わが国の入会権は、居住人口が多いこともあり、地域特性がとても異なっていて、その内容は千差万別ですね。遅くとも鎌倉期くらいから入会をめぐる紛争が裁許なりの裁判書類で残っているくらいですから、おおらかとは言えないものですね。イギリスのコモンズとも相当違う印象です。

 

その入会林野も明治政府の西欧化の強力なムチでもある程度は残存していたのが、戦後、入谷林野制度を解消していく立法措置で、壊滅的になったのではないかと思うのです。その結果の一つが、森林の荒廃に影響しているとの見方はすこし飛躍があるでしょうか。

 

さてフィンランドの森の話しを前口上で簡単にするつもりが、脱線の連鎖となってしまいました。

 

NHKの番組ではとてもすてきな、整備されたような林から、ほとんど手入れがされていない原生林風の林まで当然さまざまな森が紹介されていました。とくに後者では、それは苔むした幻想的な雰囲気の中で、一人の木こり?が斧で木を伐採するのですが、その儀式は荘厳です。木の周りをなんどか回って祈りを捧げ、その木の魂に許しを得ようとしているのでしょうか。木との交わりを真摯に感じさせてくれます。

 

むろんフィンランドをはじめ北欧の森林では、日本にはないような高性能林業機械により、AIIT装備で、しかもキャビンの中は冷暖房も完備した、快適空間で、日本の林業の生産性の何倍とか、何十倍とかの勢いで伐採しているところも少なくないと思います。

 

でもアッレマンスレッテンの制度が息づいている森では、近隣の人々が自由に森の中に入り、さまざまなキノコや木の実などを採取したりして、森の生活を静かに、そこの生き物たちとともにあるのでしょう。といっても北欧の寒さは、わが国の激寒なんてものと比べるべくもなく、場合によっては生死を身近に感じるものかもしれません。

 

その点、暖房への配慮は完璧ですね。外断熱は、わが国の住宅でも少しずつ取り入れられていると思いますが、しっかりしている北欧では家の中は暖かくなっていますね。サウナも多くの家庭であるようですね。

 

そろそろ前口上を終わりにして、見出しのデンマークの話しに移りたいと思います。デンマークの風力発電のすごさは、コペンハーゲンの空港そばにある海上施設が、とりわけあっと驚かせる物ですね。

 

余録では、<年間消費電力の半分近くを風力でまかなう国がある。2050年に化石燃料からの脱却をうたう北欧のデンマークだ。先日の発表によると、昨年は43%の電力を風がもたらした>と、その自然エネルギーへの転換が見事に数字で証明されています。

 

続いて今日のメインワードが登場です。<自然の恵みなど身近なものを大切にする価値観は「ヒュッゲ」という言葉に象徴される。>

 

この言葉は初めて聞きましたが、デンマーク人らしいというか、北欧の人々の印象を象徴するような言葉かなと思って、つい、前口上になったのです。

 

<「人と人とのふれ合いから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気と言えばいいでしょうか」。>

これはデンマーク人がもつ人との触れあいを大事にする気持ちや姿勢が良く現れているように思うのです。別に私がデンマーク人をよく知っているわけではありません。

 

たまたまカナダで知り合ったデンマーク人を見てそういう印象をもちました。出発点はホームステイした親子がデンマーク出身でした。デンマークは長く経済的には厳しい環境にあり、多くの人が仕事を求めてカナダ、アメリカに移住しています。そういう中で、家族同士の連帯はすごく強いのです。ホームステイした家庭は母親が当時で80代くらいで、その弟や妹など、カナダ中に住んでいる家族が年に一度くらい集まるそうです。

 

異国の地でいかに努力して現在の仕事に就き、頑張ってきたかがわかります。一人は教師を定年退職して田舎でたしか何エーカーかとっても広大な森の中で、自分で作業所をつくって、そこで木を切り出し、大きな自宅を建てたのです。全部手作りです。20mくらいしたに大きな川が流れていて、そこまでの階段も作ったりして楽しんでいます。む、これが移民の国カナダ人だと思ってしまいます。

 

ホテルを経営している家族の方ともお会いしました。その後そのホテルに泊まらせてもらいました。楽しい思い出を作ってくれたのはかれらの気さくさでしょうか。

 

<暖炉がちろちろと燃える部屋で家族とお茶を飲む時。会社の休憩室で同僚と休日にあったことを語り合う時。彼らは「ああ、ヒュッゲだね」「そうね」などと口にする>というのは<パン製造販売を手がけ、この言葉を店内にも掲げるアンデルセングループ(広島市)の大内真理子さん>の言葉でしょうか、そういう感じはデンマークの人に感じますね。

 

決して経済的には豊かとまではいえない。倹約家ですね。無駄遣いをせず、豪勢な遊びもしないそういう印象を持ちました。それでいて自立心がとても強いのです。それは異国に住んでいるからと思うかもしれませんが、そうではないと思うのです。

 

私が日弁連調査の一環で、デンマークを訪問した際、この国の介護福祉の一端を見せてもらいましたが、とても家族的で歩いてそれぞれの自宅を訪問して介護サービスを提供するという、効率的なシステムを用意していました。それは介護福祉のあり方を市民の声を反映する民主的手法が相当充実しているからだと思ったのです。

 

また、主たる調査目的であった都市計画については驚くことばかりでした。欧米の都市計画は一般に、地方自治体が決定しますが、その詳細な内容について、選挙民の判断に委ねられているのです。新たに選出された議員によって従前の都市計画が見直されるのです。生国だからできるという見方もありますが、「ヒュッゲ」を大切に考える国民だからこそ、そのまちづくりや高齢者・障がい者の介護も福祉も大事にするのではないかと思うのです。

 

幸福度という尺度がどの程度有効かは一つの考え方でしょうけど、民主的な手法が徹底している、自分の意見が政治・政策に反映しているという点では、見習うべき国ではないかと思うのです。

 

そろそろ一時間となります。今日はこれにておしまい。また明日。


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