たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

一字不説 <共謀罪 テロ等準備罪新設へ 論点整理Q&A>などを読みながら

2017-06-15 | 政治 経済

170615 一字不説 <共謀罪 テロ等準備罪新設へ 論点整理Q&A>などを読みながら

 

今朝も黎明に気配を感じ、しばらくして一時間あまり読書にふけりました。今日は有馬頼底著「よろこびの禅」をぱらぱらと適当に読みふけりました。有馬頼底氏といってもこの本で初めて名前を知った程度で、臨済宗相国寺派管長という偉い僧侶です。あの古都税で京都仏教会をリードした人というのもこの本で知りました。

 

有馬氏の解説は興味深いですが、腑に落ちるものもあれば、そうでないものもある、それは当然ですが、禅語の魅力はいろいろな読み方、解説の多様性にもあるかと思います。その中で、いくつか気に入ったのを紹介します。

 

「あいののしることは汝にゆるす 水を注げ」という公案の一つ。その中で、有馬氏は、3人の子どもがいる女性が夫の暴力に耐えかねて家出をしてきて、どうしたらいいでしょうかという相談に対し、「家に帰りなさい」と諭したというのです。

 

こんな回答を聞いたら、いまDVで苦しみ続けている人、ようやく支援者の協力で自立の道を歩もうとしている人、あるいは弁護士に依頼して夫に訴訟で責任追及している人などは、とんでもないというのではないかと思います。

 

むろん、有馬氏にもご本人が歩んできた体験なり修行の結果として、深い悟りをもって諭したのだと思います。有馬氏の言説の一つ、「精神は何者にも侵されることはないのだというしっかりしたものが納得できたら、すべて解決する。言葉で何を言われても、傷つかないという精神を強く持つこと。」というのです。

 

また、「人間は誰でも皆、孤独です。お釈迦様が『天上天下唯我独尊』と言ったのはそのことです。だれでも一人なのだと。裸で生まれてきて、裸で死んでいく。その生と死の間を、『泡のごとく、露のごとし』と言っているというのです。

 

それで、有馬氏はわざわざ最後に「私は殴られる女性に、殴らせなさいと言いました。」というのです。

 

聖徳太子の第17条憲法の中にもむろん、似たような文言があり、私がいつも自戒の念を抱かせる言葉、

 

「十に曰わく、忿(こころのいかり)を絶ち瞋(おもてのいかり)を棄()て、人の違(たが)うを怒らざれ。人みな心あり、心おのおの執()るところあり。・・・」

そして「十五に曰わく、私に背(そむ)きて公(おおやけ)に向うは、これ臣の道なり。およそ人、私あれば必ず恨(うらみ)あり、憾(うらみ)あれば必ず同(ととのお)らず。同らざれば則ち私をもって公を妨ぐ。憾(うらみ)起こるときは則ち制に違(たが)い法を害(そこな)う。故に、初めの章に云()わく、上下和諧(わかい)せよ。それまたこの情(こころ)なるか。」

 

怒りを捨て、恨みを捨て、和解するようにという基本は、なかなかむずかしいことですが、有馬氏の「自分の精神の鍛え」ることの重要性を指摘している点は、頷けるところがあります。

 

それで救われない人はどうするか、鍛えられない人はどうするか。法然さんのように浄土の世界を提供するのでしょうか。現代の法制度に則り、法的手段などで相手の責任を追及することが望まれるのでしょうか。これは難問です。私は職業上は、むろん法的手段を優先します。しかし、個人として、「唯我独尊」、「夢幻泡影」に対峙したとき、悩みは深くなります。

 

さて、今日の本題に移ろうかと思います。毎日新聞は全面に近い分量で、共謀罪法案の成立を報じ、批判的論調を展開しています。ここでは聖徳太子の「忿(こころのいかり)を絶ち瞋(おもてのいかり)を棄()て」はどこかに追いやってしまっているのかもしれません。それだけの危機感を感じているのかもしれません。

 

たしかに委員会採決に変えて、中間報告という方式で、本会議での成立を目指す与党の手法は、日本の国政を二分する議論が高まる中で、抗議の渦もやむを得ないでしょう。

 

その中で、<共謀罪テロ等準備罪新設へ 論点整理Q&A>は割合、わかりやすく問題点を整理しているかと思います。批判的な視点で整理していますが、私自身は最もだと思うのです。

 

で、もう一つの記事、<加計学園めぐる文書なぜ文科省だけ? 内閣府も調査必要>は、安倍政権の中で、かなり明確に権力中枢が力を隠然と発揮していることをうかがわせる内容ではないかと思ってしまいます。

 

権力に都合の悪い情報は、「文書」があってもない、とされ、「忖度」で恣意的な行政運営が行われているおそれがあっても、それを検証する方法が閉ざしています。他方で、共謀罪法案の成立によって、多方面で現政権に不都合な動きを監視することが許容される道が開かれてしまった疑いを抱かざるを得ないと思っています。

 

今日は打合せがあるため、本日のテーマ自体について議論する時間がとれません。この程度でおしまいとします。


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