週刊金曜日の2020年1月10日号、内田樹先生インタビューがおもしろい。特に、23ページの、教育の市場原理化を批判し、中高一貫教育で12歳から18歳まで同じ仲間と過ごすことの問題点を指摘した後の以下のくだり(一部略)には深く納得。
日本は集団主義で、「同質化圧」が強いと言われていますけれど、それ以上に「自己同一化圧」のほうが強いと思う。
「自分探しの旅」とか、「自分らしく生きる」とか、「ベストワンよりオンリーワン」とか言う言葉はどれも「自己同一性を早く決めて、決めたらそこから一歩も出るな」というメッセージを言外に発している。(略)でも、「自分らしさを貫け」というのは、「成熟するな」ということと実は同義なのです。
「成熟する」というのは、変化し、複雑化することです。(略)でも、子どもたちが昨日と別人になること、「よりわかりにくくなる」ことをあらゆる機会に阻止しようとしているのが、日本社会です。自然な成長を構造的に阻害している。日本人が幼稚化した理由はこの「自己同一化圧」にあると僕は思っています。「自分らしさ」なんてどうだっていいじゃないですか。大事なことは成熟し、複雑化することです。
私がふだん漠然とアヤシイと感じていたことを、見事に言語化してくださったここのところを読むだけでも、この号を読む意味がありました。週刊金曜日では久しぶりの(失礼)ヒットと思いました。