チュウヒを狙って蕪栗沼に行ったことはないのだが,行くたびに出てくるので,来るものは拒まず,という感じで撮影してきた。
撮影データをひっくり返して,今季出会った個体を整理して,日付順に並べてみる。
今回は,オス・メス,成・幼の識別,さらに,個体識別にも挑戦してみるが,識別には全く自信がないことを,あらかじめ言い訳しておく。
2023/12/02
この日の2羽は,1月29日の記事「冷凍怪獣ギガス」にも,掲載していた個体。
上半身のアイボリーと,下半身の赤褐色の配色が,ウルトラマンに出ていた冷凍怪獣ギガスと同じだったので,「ギガス型」と呼んでいた個体だ。
ギガス1号
飛翔ハンドブック(文一総合出版,山形則男著)によると,このように上半身が淡色の特徴は,メス幼鳥に合致する。
上の個体は,淡色ベースの上半身に褐色の班が目立つ。
下の個体は,褐色の斑が少ない。特に下大雨覆の褐色斑が全く違う。
ぱっと見で,同じ個体と思ったが,よく見ると別個体だった。
ここでは,仮に,上の個体をギガス1号,下の個体をギガス2号としておく。
ギガス2号
頭から胸,下雨覆(翼の付け根側の前の方の羽根)まで,広い範囲でクリーム色だ。
2023/12/23
蕪栗沼の方を飛んでいた個体。
背中側は,全体に褐色で,大雨覆の羽縁が白く目立つ。
風切は,全体に墨色で,初列の先と次列の色が濃くなっている。
初列から次列にかけ,また,尾羽に暗色の横班がある。
腰に白い部分があるが,小さい。
お腹側は,全体に赤みがある褐色。
淡色の斑が下雨覆や腹側全体にあり,特に胸上部に多い。
翼は,初列風切(翼の先っぽから10枚の羽根)が淡色で,次列風切(初列に続く内側の羽根)が薄墨色。
翼全体に斑が見えるが,初列風切の一番外側(P10)に薄い斑がふたつあるのが特徴的。
瞳孔は黄色。
この個体は,メス成鳥で良かったかな。
この個体は,仮に,非ギガス1号と命名しておく。
2023/12/29
白鳥地区内の北側の木に止まっていた個体。
尾羽に暗色の斑が見られ,腰(尾の付け根)に白い斑がある。
翼上面は,風切全体と初列雨覆が墨色っぽいく,褐色とのツートーンに見える。
初列には暗色の横斑がある。
翼の裏側を見ると,初列風切P10に薄い斑がふたつある。
天候や光の塩梅で印象が違って見えるが,ひとつひとつの特徴が合致するので,12月23日に撮影した非ギガス1号と同一個体と思われる。
2024/01/06
この個体は全体に茶褐色。
翼の裏側は,下大雨覆(前の方)が褐色,初列風切(先の方半分)が淡色,次列風切(初列より体に近い方)が墨色,と,おおざっぱに言うと,3色に分かれている。
初列風切の先っぽ5枚(P6~P10)の先っぽがベタッと黒く,斑が見えない。
全体は,非ギガス1号と似ているが,別個体と思われる。
体も,赤褐色であることは同じだが,淡色斑の出方も,非ギガス1号とは異なっている。
よく見ると,左翼の初列風切の外側から5枚目(P6)に切れ目が入っている。
ずっとは使えないが,換羽するまでの当分の間,個別識別に使えそう。
翼上部のパターンも日,非ギガス1号によく似ている。
とすると,こちらの個体もメス成鳥で良いのかな?
こちらの個体は,非ギガス2号としておく。
次は,この日,出会った別個体。
上面は,非ギガス1号,2号とほぼ同じパターン。
腰にはわずかに淡色斑がある。
この個体の特徴的なのは,大雨覆と中雨覆の境目辺りの体に近い方に目立つ白斑があること。
肩の付近や後頭部にも白斑がある。
翼下面では,下雨覆の体側に上面より目立つ淡色斑がある。
これは,個体識別に使える。
逆光だったので,色が微妙だが,初列風切が淡色,次列がそれより濃い色,下雨覆が褐色,と,翼下面は非ギガス1号,2号と似たパターンになっている。
風切や尾羽に斑は見られない。
この画像では判然としないが,虹彩は黄色ではなく,暗褐色か。
下は,同じ個体の別ショットだが,翼下面の真ん中にある淡色斑がよく目立っている。
この個体もメス成鳥か?
この個体は,非ギガス3号としておく。
この日は,次のような個体も撮影していた。
後ろ姿しか撮影していなかったが,12/2に出会っていたギガス1号と思われる。
2024/03/10
直近の撮影データ。ようやくラスト。
これまで個別識別してきて,ギガス型は1~2号,非ギガス型は1~3号,計5羽(すべてメス)のチュウヒを確認してきたが,この日は追加がなく,初列風切P6に切れ目が入っている非ギガス2号を観察したのみだった。
順光側で,かつ,近かったので,きれいに見えた。
しかし,この後,どんどん高度を上げて,東の方に飛んでいってしまった。
いつもヨシ原の中に降りるのに,どうしたのだろう?
さて,私の識別が正しければ,撮影した5羽は全部メス。
うち,2羽が幼鳥,3羽が成鳥だった。
遠くって撮影しなかった個体は結構あるし,行ったときに出てこなかった個体もあると思うが,少なくとも5羽のチュウヒがここで越冬していたと思われる。
ここには,それだけ,餌になる生き物が棲息している,ということ。
素晴らしい。
最後に,チュウヒの象徴ともいえるV字飛行を掲載して,この記事を締めよう。
非ギガス2号
いぇ~い! v(^^)v
(2023/12~2024/3 チュウヒ)
気軽に楽しんでいただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。