曹源公の旅は十二日には、やっと、箱根に至ります。
“十二日箱根を越える比、雨激しく降る。雲路をうづみ、行かたおぼろげにて、たどりけるに、木々の紅葉散す、あとの山々は、懸るしら雲、霜の色にひとしくしらみあへるけしき、うつす絵にもかくわあらじ覚て
玉連 はこねの山の うつろひて 霜にいろそう 峯のしら雲
峠にのぼりて、是やつばさもなくて、飛鳥とともに雲路にかよひぬ心ちして
けふこそは 雲ゆく鳥と 諸ともに くもまにわけて かよふ箱根路
暮かかるころ、峯々谷々に雲の入るけしき、筆にも及ばじと見ゆ。
筆にしも 絵やは写さじ 白雲の 夕入山の 冬のけしきを
“絵筆で持って絵に写すことが出来ようか箱根の山の冬の夕暮れを”と言うぐらいの意味でしょうか。再三申し上げている通り十九歳の綱政侯の文学的才能がいかんなく発揮されています。
「どうして」と言う四文字がど、うも気になっていた仕方ありません。
“十二日箱根を越える比、雨激しく降る。雲路をうづみ、行かたおぼろげにて、たどりけるに、木々の紅葉散す、あとの山々は、懸るしら雲、霜の色にひとしくしらみあへるけしき、うつす絵にもかくわあらじ覚て
玉連 はこねの山の うつろひて 霜にいろそう 峯のしら雲
峠にのぼりて、是やつばさもなくて、飛鳥とともに雲路にかよひぬ心ちして
けふこそは 雲ゆく鳥と 諸ともに くもまにわけて かよふ箱根路
暮かかるころ、峯々谷々に雲の入るけしき、筆にも及ばじと見ゆ。
筆にしも 絵やは写さじ 白雲の 夕入山の 冬のけしきを
“絵筆で持って絵に写すことが出来ようか箱根の山の冬の夕暮れを”と言うぐらいの意味でしょうか。再三申し上げている通り十九歳の綱政侯の文学的才能がいかんなく発揮されています。
「どうして」と言う四文字がど、うも気になっていた仕方ありません。