糖尿病運動療法には「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」には週に3-5回、20-60分ずつ、「糖尿病治療ガイド」には週に3日以上、歩行運動では1日2回15-30分ずつ(一日歩行量約1万歩)となっていますが余り具体的ではありません。
それなのに投薬前には“(食事療法・運動療法をしても)2~4ヵ月後血糖コントロールが目標に達しない場合薬物投与開始(優先順位指定なし)”と書いてあります。
さて管理栄養士による食事療法が徹底されていない現状は深刻な問題ですが、それは今日は置いときます。何故なら管理栄養士による食事指導というのは確立されているが問題は医師がその認識に欠けているだけなので、やろうと思えばやれる筈なんです。
ところが運動療法はそうではない。日本人エビデンスも少ない(ように思います)。
なので食事・運動を指導してその後に投薬を開始した、という学会でのお決まり文句は相当眉に唾を付けて聞かなくちゃあなりません。具体的に何をどう指導したか?ということを質問しても良いでしょう。
もちろん自分が出来ていなくとも、後学のために質問されるのは一向に構わないでしょう。
さてさて運動療法に戻ります。
いまや活動量計(アクティビティ・トラッカー)が花盛り。その中でもセイコー・エプソン、ADIDAS、mioなど各社が運動中の心拍数を測定できる腕時計型心拍数計を出しています。
残念ながらワタシはPolar、Wahoo、エプソンのチェスト・ストラップ式心拍数計しか使用したことがなく、現在使用中のApple watchと比較しようがありませんが、心拍数を測定できるのとそうでないものとの差は非常に大きいと思います。
日米のガイドラインの違いや、実際のやり方はお馴染みの
糖尿病ネットワークさんを参照してください。
表題に戻ります。Appleの何が怖るべきなのか。
これは薄々気づいている方も多いと思います。
iOS8になった時、当初「ヘルスケア」アプリは大して気にしていませんでした。
ところがよくよくアプリ内の「ヘルスケアデータ」を見ると、信じられないような莫大な項目があります。
例えば「栄養」。なんでこんな多くの項目が必要なんでしょう。
例えば「検査結果」。呼吸器疾患、血糖、挙げ句の果てには倒れた回数などという項目もあります。
どういうことなんでしょう?
現状でこれを埋めるような方法はありません。
血糖も通院の時の血糖だけ入力するだけではないでしょう。
血糖で言えば、まずはSMGBが考えられます。IT系SMBGと言えばなんといってもアークレイ社の
グルコカードG Black。
まずはこれが近日中にWatchOSに参入ですね。
次の段階はCGMでしょう。メドトロニック社の牙城は崩れるのではないでしょうか。アボット社あたりが何か仕掛けてしそうな。
穴はやはりデクスコム社ですね。既にwatchOSに米国では対応していますし、電波法などの問題さえクリア出来れば日本国内でも手軽に使えそうです。
でも本当の野望は血糖だけではない筈。
恐らくあらゆるApple watchユーザーの身体データをヘルスケアに集中してプラットホーム化しようとするのでしょう(情報の一元化)。
2020年を目指して電子カルテとIDカードなどと言っている日本政府はヘルスケアの方向性から(着想を含めればおそらく)10年以上遅れている。
これは大胆な予想ですが、そう遠くない未来、非侵襲型の血糖モニターをApple watchに組み込む可能性が考えられます。
こんなのどうですか?ナノテクの進歩は凄まじいですね。一概に“ない”とは言い切れないでしょう。
え?血糖のことばかりですって?
そりゃそうですよ。今や世界の糖尿病人口は3億8,670万人(2014年:IDF)、2035年には5億9,190万人の予想。
とてつもないマーケットです。
そうなった時、メドトロニックなどはどうなるのでしょう。もちろん長期的な対応策はぬかりないと思いますが。
Apple watchのインプレッションをWebで見ると、使い勝手がどうの、デザインがどうのとかいう話ばかりで、心拍数系を組み込んだ本質的な問題にはあまり触れていない(気付いていない?)ように思います。
心拍数などおそらく序の口。
注目すべきは心拍数計ではなく、ヘルスケアに託された目も眩むような壮大な計画ではないでしょうか。
既に
ResearchKitがその一部として動き始めています。