今年は画期的な年でした。
インクレチン関連薬であるDPP-4阻害剤(経口剤)とGLP-1作動薬(注射)の登場が私たちの分野で驚くべき成果を上げたからです。
おさらいです。
今までのインスリン分泌促進薬(主にSU剤)はKチャネルを常に強制的に閉鎖して、電位依存性Caチャネルを開放。それによりインスリンを放出させていました。
なので血糖が高くとも低くともインスリン分泌を促進し、常にβ細胞を刺激している状態だったわけです。
これにはふたつのデメリットがあります。
※β細胞が常に刺激されるために疲弊すること=将来インスリン注射が必要になる可能性が上昇
※低血糖がおこりやすいこと=低血糖による臓器障害
それに対して上記2剤は、β細胞内でカルシウムチャネルの時点でしか働きかけないので血糖が上昇しない限りインスリンの放出をさせない。
このような『高いときには働き、低いときには働かない』というオンデマンドな薬剤は、実はあらゆる分野で今までなかったのです。
また面白いことにこれらの薬剤は、従来のインスリン分泌剤の効果が落ちている場合(二次無効)に、その低下した効果を取り戻させるようなのです(増幅経路)。
なので経口血糖降下剤を用いてもコントロールが不良の場合、DPP-4阻害剤をオンすることで飛躍的に改善することが多いです。
低血糖に注意しなければなりませんが、米国での報告に比べて明らかに日本人では効果が良いのです。日本人は元々インスリン分泌は少ないが感受性が良いのでそうなるのでしょうね。
いっぽう注射薬のGLP-1作動薬はより一層の福音を肥満の2型糖尿病の方に与えてくれます。
胃排出時間の遅延により食欲を抑制し、結果減量を可能とします。もちろん単剤で低血糖の心配はメカニズム上ありません。
インスリン注射と異なり注射する時間もルーズで構わないし、ある意味夢に一歩近づいた薬です。
現在は導入がやや難しいので糖尿病専門医しか使わないように勧告されています。この間に私たちがエビデンスを蓄積して、近いうち他内科の先生方に安心して使ってもらえるようになると思います。
他にはメトホルミンやピオグリタゾンの効果の見直しなどもありました。なかでも糖尿病予防効果が特筆すべきものです。耐糖能異常程度から使い始めることにより糖尿病への移行を防ぎ、長い目で見れば将来的に医療費も減るでしょう。
高血圧の薬であるARB、特にバルサルタンは『Kyoto Heart Study』によって大幅に心血管イベントの抑制させ、また糖尿病の発症を抑えることも示されました。
他にスタチンの話題もありますが、やはり今年の白眉はインクレチン製剤に尽きます。
今後これにより合併症の大幅な減少が望める可能性が出てきました。
30日は競輪グランプリですね!一億円は誰の手に?
本年おそるべき躍進を遂げた近畿勢に期待しますが強豪揃いで激しいレースになりそうです。
地上波でも放映がありますので、是非ご覧になって競輪競争の面白さを知って頂きたいと思います。
それでは12月30日~1月3日に白馬でお会いしましょう!よいお年を。
インクレチン関連薬であるDPP-4阻害剤(経口剤)とGLP-1作動薬(注射)の登場が私たちの分野で驚くべき成果を上げたからです。
おさらいです。
今までのインスリン分泌促進薬(主にSU剤)はKチャネルを常に強制的に閉鎖して、電位依存性Caチャネルを開放。それによりインスリンを放出させていました。
なので血糖が高くとも低くともインスリン分泌を促進し、常にβ細胞を刺激している状態だったわけです。
これにはふたつのデメリットがあります。
※β細胞が常に刺激されるために疲弊すること=将来インスリン注射が必要になる可能性が上昇
※低血糖がおこりやすいこと=低血糖による臓器障害
それに対して上記2剤は、β細胞内でカルシウムチャネルの時点でしか働きかけないので血糖が上昇しない限りインスリンの放出をさせない。
このような『高いときには働き、低いときには働かない』というオンデマンドな薬剤は、実はあらゆる分野で今までなかったのです。
また面白いことにこれらの薬剤は、従来のインスリン分泌剤の効果が落ちている場合(二次無効)に、その低下した効果を取り戻させるようなのです(増幅経路)。
なので経口血糖降下剤を用いてもコントロールが不良の場合、DPP-4阻害剤をオンすることで飛躍的に改善することが多いです。
低血糖に注意しなければなりませんが、米国での報告に比べて明らかに日本人では効果が良いのです。日本人は元々インスリン分泌は少ないが感受性が良いのでそうなるのでしょうね。
いっぽう注射薬のGLP-1作動薬はより一層の福音を肥満の2型糖尿病の方に与えてくれます。
胃排出時間の遅延により食欲を抑制し、結果減量を可能とします。もちろん単剤で低血糖の心配はメカニズム上ありません。
インスリン注射と異なり注射する時間もルーズで構わないし、ある意味夢に一歩近づいた薬です。
現在は導入がやや難しいので糖尿病専門医しか使わないように勧告されています。この間に私たちがエビデンスを蓄積して、近いうち他内科の先生方に安心して使ってもらえるようになると思います。
他にはメトホルミンやピオグリタゾンの効果の見直しなどもありました。なかでも糖尿病予防効果が特筆すべきものです。耐糖能異常程度から使い始めることにより糖尿病への移行を防ぎ、長い目で見れば将来的に医療費も減るでしょう。
高血圧の薬であるARB、特にバルサルタンは『Kyoto Heart Study』によって大幅に心血管イベントの抑制させ、また糖尿病の発症を抑えることも示されました。
他にスタチンの話題もありますが、やはり今年の白眉はインクレチン製剤に尽きます。
今後これにより合併症の大幅な減少が望める可能性が出てきました。
30日は競輪グランプリですね!一億円は誰の手に?
本年おそるべき躍進を遂げた近畿勢に期待しますが強豪揃いで激しいレースになりそうです。
地上波でも放映がありますので、是非ご覧になって競輪競争の面白さを知って頂きたいと思います。
それでは12月30日~1月3日に白馬でお会いしましょう!よいお年を。