真夜中の2分前

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愚者のるつぼ――情報統制はここまできている

2015-07-03 18:09:47 | 政治・経済
 「文化芸術懇話会」問題で更迭された木原氏について、また別の問題発言があきらかになった。
 それは、沖縄の戦没者追悼式でのヤジについて、「明らかに動員されていた」というものである。6月23日に行われた沖縄の戦没者追悼式では安倍総理に「戦争屋」「帰れ」などとヤジが飛んだが、そのことについて、沖縄側が動員して発言させた――と主張するのだ。これは、あの勉強会以前にインターネット動画用に収録されていた発言であるが、あらためて「文化芸術懇話会」なる組織がこういう陰謀史観レベルのことを平然と口にする愚者のるつぼであることを教えてくれるものといえよう。
 これは単に愚かだというだけでなく、ここにはまた以前このブログで紹介したフォールス・コンセンサスの構図もみられる。フォールス・コンセンサスとは、「自分と同じように他人も考えている」という思い込みのことだが、木原氏の発言はそこからくるものではないかと思える。
 自民党はかつて各地でタウンミーティングを行い、そこで「動員」した参加者に一般市民を装って発言させ、それが「やらせタウンミーティング」として問題になった。これは小泉政権時代の話だが、安倍総理もその当時の官房長官としてタウンミーティングでのやらせ質疑に関与していたといわれている。その安倍総理に近い木原氏のような人物にとっては、集会に自分の息のかかった人間を動員して潜入させ、自分に都合のいいような発言をさせるのは当たり前のことなのだろう。だから、ほかの人たちもきっとそうしていると思い込んでいるわけだ。まったく愚かな錯誤といわざるをえない。木原氏の発言が示しているのは、「大衆とは、俺たちが動員し、操作するもの」といういかれた国家主義である。

 こんな木原氏らの言動に対してはさすがに自民党内でも批判の声もあがっている。しかし、よくよく聞いてみると発言自体を批判しているわけではないものがほとんどだ。「法案審議に差しさわりが起きるようなことは、首相応援団のつもりだろうけど、足を引っ張る結果になった」(麻生副総理)とか「自分の考えは正論と思ったとしても、TPOを守らなければいけない。『沈黙は金』という言葉をかみしめる時だ」(山東昭子・山東派会長)など、まるで「こんなタイミングで本音を出しちゃうなよ」とでもいいたげなのである。特に、山東氏の発言は、「いってることはそのとおりだけど口に出しちゃだめよ」といっているように聞こえる。言論弾圧体制が完成するまでは一般国民に気づかれないようにいしろ、ということなのだろうか。

 とにかく、いまの自民党は情報のコントロールには異常なまでに神経をとがらせている。なにせやらせタウンミーティングをやっていたような連中だから、マスコミを自分に都合のいいように操作しようという発想も当然出てくるわけだ。こういう人たちが権力を握っているという恐怖をわれわれは胸にとどめ、来夏の参院選でしっかりと制裁を下さなければならない。


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