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北朝鮮がミサイル発射――安保関連法に抑止効果などないことが証明された

2016-02-07 21:07:27 | 政治・経済
 北朝鮮が、またしてもミサイル発射に踏み切った。
 先月の核実験に続く暴挙である。中国による制止も振り切り、事前に通告していた期間を早めての強行だった。

 私は、昨年の砲撃事件や、今年の核実験を、抑止力というものが存在しないことの証拠だと主張してきた。米軍と韓国軍が軍事演習などをやって威嚇しているにもかかわらず、こうしたことが起きているからだ。
 去年の砲撃事件についての記事でこのことを書いたときには、「にらみをきかせているからこの程度で済んでいるといえるのではないか」というコメントがよせられたが、それについて私は太陽政策時代との比較を根拠にして反論した。かつて韓国は、圧力よりも融和を重視する“太陽政策”と呼ばれる対北外交方針をとっていたことがあり、そのときのほうが北朝鮮はずっとおとなしかった。韓国に対する砲撃や、哨戒艦に対する攻撃といった“武力衝突”は、すべて太陽政策をやめた後に起きている。実態はむしろ、「にらみをきかせているにもかかわらず」ではなく、「にらみをきかせているから」こそ北朝鮮は行動をエスカレートさせているとさえいえる。
 そして、今回の核実験・ミサイル発射もその延長線上にある。
 特に今回のケースは、核実験を受けて米軍が核兵器も搭載可能な戦略爆撃機B52を韓国に派遣するなど、圧力を強めている中でミサイル発射が強行された。まさに、彼らの主張する“抑止力”がまったく機能していないということが如実に示されているのである。
 そして、それはまた、安倍政権が“抑止力”と言い張る安保関連法についてもいえる。安倍政権が強引に通した安保関連法もまた、この北朝鮮の一連の行動で、抑止力としての効果などないことが露呈した。
 今回の件を受けて、推進派は「そらみろ、だから安保法が必要なんだ」というのかもしれないが、私にいわせればまったく逆である。これはむしろ、安保法に北朝鮮の行動を抑止する効果などないということの証拠なのだ。
 安保関連法ができたことによって北朝鮮がピタリと挑発行為をやめたというのなら、なるほど安保法が抑止力として機能しているといえるのかもしれない。だが、北朝鮮は核実験を強行し、ミサイルも発射した。安保法ができる前とできた後で、北朝鮮の行動はなんの変化もしていないのである。つまり、安保関連法に抑止力としての効果など期待できないわけだ。このブログではずっと書いてきたように、はじめからそれはわかっていることではあったのだが、それがますますはっきりしたことになる。

 もう少しいうと、これはなにも、北朝鮮だけについていえることではない。北朝鮮についで厄介な隣人である中国に関しても、事情は変わらない。
 依然として、中国の公船は尖閣周辺をうろついている。日本が集団的自衛権の行使を容認し、その関連法を整備しても、その行動はいっこうにおさまる気配がない。どころか、むしろ前はやらなかったようなことまでやるようになっている。
  たとえば、先月31日に、中国軍のY9情報収集機とY8早期警戒機が、東シナ海から日本海中部まで飛行した。防衛省の発表によれば、中国軍機が日本海まで飛行するのを確認したのは、初めてのことだという。このように、中国もまた、まったく挑発的な行動をやめる気配を見せてはいないのだ。

 こういうと、安保法はまだ施行されていないからだ、という人がいるかもしれないが、それは苦しい言い訳というものである。仮に安保法が施行されても、それで北朝鮮や中国の行動が変わるとはとうてい思えない。
 繰り返しになるが、アメリカと韓国は、北朝鮮にこれでもかというほどプレッシャーをかけ続けている。もちろん、集団的自衛権の行使をはっきりと視野に入れている。そのなかで、北朝鮮は砲撃事件やら核実験やらミサイル発射やらをやっているわけで、いまさら日本で安保関連法が施行されたといったところで、そこになんら変化をもたらしはしないだろう。つまるところ、“抑止力”などというものは幻想にすぎないのである。


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