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宜野湾市長選について

2016-01-31 21:11:19 | 沖縄
 もう先週の話になるが、沖縄の宜野湾市長選で政権側の推す候補が当選した。
 これを受けて、政権側は勢いづいているようだが、しかし、本当にこの選挙結果によって政府の進める辺野古移設が支持されたといえるかどうかは疑問である。ほうぼうでそう指摘されているのは、一つには、報道機関の出口調査などがある。たとえば朝日新聞の出口調査では、普天間基地問題を最重要に掲げた人の大半は翁長知事が支援する志村候補に投票したという。この結果を紹介する記事では、「どうせ辺野古になると決まっているなら」ということで政権側の佐喜真候補に投票したという有権者の声も紹介されている。どうせ辺野古移設がもう動かないのなら、へたに政府と対立するよりも政権寄りの候補が勝ったほうが後々のためにいい――ということだろう。理不尽な二者択一をせまられて、条件闘争に追い込まれ、不本意な選択をさせられる。終始“られる”“させられる”という使役・受身形の意思決定。安倍政権の沖縄に対する卑劣な“植民地”政策が功を奏してしまっているのである。
 辺野古の県外移設を主張して国との対立が長引けば、そのぶん普天間基地の返還は遅れる。そこで、宜野湾の住民は、先の見えない国との全面対決を続けていくか、それとも辺野古移設をもう決定事項として受け入れるかという選択をせまられる。その状況で、後者を選ぶ心理を部外者が責めることはできない。このような極限状態で強制的に受容を強いる安倍政権の卑劣なやり口こそが問題なのだ。

 政権側は今回の市長選において「辺野古移設に反対するなら普天間基地は固定化しますよ」という無言の重圧をかけ、その一方で「政権寄りの候補を当選させればその後は悪いようにはしませんよ」というアメをちらつかせることで、辺野古移設の是非を争点からはずす――という汚いやり方で勝ったにすぎない。
 にもかかわらず、それで政権側の候補が一回勝ったからといって、ここまでの連戦連敗などなかったかのように「オール沖縄は実態とかけ離れている」(菅官房長官)とか「サイレント・マジョリティを感じた」(島尻・沖縄担当相)などと、政府の側ははしゃぎまわっている。じつに醜くあさましい姿である。
 選挙で自分たちに都合の悪い結果が出ると無視し、都合のいい結果が出るとそれを前面に押し出す――恥ずかしげもなくこういうことをやる連中の醜悪さには、反吐が出る。


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