ちかさんは読むの速いから二冊ね、と珈琲文明マスターに貸していただいたビジネス書。来月のイベント打ち合わせでのこと。イベントタイトルは「珈琲文明を創った本たち」。マスターはビジネス書ジャンキーなのだ。これまでに読んだ本たちのなかから、手放してもよいとおもうものを120冊ほど店内に並べ、簡単な紹介のあとに好きな本を譲ってあげるよという企画。お代は医療従事者への募金にするそうだ。そんなわけでイベント前にちら見させてもらったんだけど、読んだあと初版年を見て驚愕。2001年って、20年前じゃないか。どうりで、「書籍通販のアマゾンドットコムは顧客リストをつかってCDなど売り始め」とか書いてあるわけだ。今や、密林で手に入らないものはないもんね。
マスターのドッグイヤーやレッドラインも興味深いけどなにしろいちばんウケたのは「成功者にその秘訣を聞くとたいてい、『真面目に頑張った』といいますけどそれは建前なので真に受けないように」ってやつ。MR.Nの台詞そのものじゃん。真に受けちゃったよ。
それから面白かったのはとある床屋の話。店主も客も格闘技マニアで、観戦はもとより自ら技を鍛えるべく合宿とかしちゃうらしい。そして予約がなかなかとれない店なのでそのあいだに伸びた髪はよそで切り、予約の日は格闘技談義メインなんだって。
ふと、弘明寺のピザ屋を思い出す。何十年も続けてた飲酒をぴたっとやめて、かわいいウクレレ二台に夢中。客にも勧めまくってて、休みの日は店でウクレレ大会をやってる。もしかしてあれ、固定客と口コミを増やすための戦略だったんじゃないか。すっかりだまされたぞ。「いやいやまさかそんなことできる人じゃなさそうだよ」と夫は言うが、そこまでわかる付き合いでもないからわからないよね。
はっ。ということは阿佐ヶ谷のペンギンカフェのAIBOもそういうことか?もっと純粋な愛を感じていたが。
だってさ。これだけたくさんの飲食店があって、10年存続する店は1割だっていうくらい生存競争激しいのに、いや、なんかたまたまウクレレと目があっちゃって、そしたらなんかお客が増えて、とかいうほうがむしろレアなんじゃないか。
ということで、ビジネスマンは穿った目で見ることにしたわたしです。なんちゃって。
ふと、昨年お空にいってしまった鬼のようなコンサルじいちゃんを思い出した。嫌う人は蛇蝎のごとく嫌ってて事務所に呼びもしなかったが、うちには数回来てもらったな。よくわかんないが言われたことを実践してくうちに不思議なくらい結果がでるってひとだった。なくなられたあと、狂信者が彼の語録カレンダーをつくって全社員に配った。わたしにも来たけど開けてもいない。QR読み込むと彼の叱咤激励が実際の音声で再生されるらしい。気色悪い。そんなんしなくても、あたまのどっかになんかが残ってて、必要なとき確認できればいいんだし。
珈琲文明のマスターのあたまんなかには、読んだ本のなかのエッセンスが夥しい量残ってるんだろうな。イベントの日に質量としてそれが見られるのを楽しみにしてる。