今生今世~KENNYasia

ミニシアター系映画、お店周りの雑感、アジア旅雑記など

ロング デイズ ジャーニー

2020-04-07 23:20:39 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
コロナ自粛前に、最後に見た作品。

真昼なのに薄暗い。
遊技場なのに陰影つよい。
争っているのに怒りでなく哀しみが漂う。
さまよい、探しているのは愛しいひとか、あるいは過去の郷愁か。

林檎、唄などモチーフをからめながら、丘上から下界への60分間ワンショットがゆっくりと永遠のようにつながっていく。ざらざら色調、浮遊感、どちらも靄の禍につつまれたストーリーにふさわしかった。
3D上映は東京の一部映画館だったが、できれば前半2Dからの途中3Ⅾでもう一度見たい。
 #ロングデイズジャーニー
原題: #地球最後的夜晩 /LONG DAY'S JOURNEY INTO NIGHT
監督・脚本:ビー・ガン 中国/2018
タン・ウェイ/湯唯 ホアン・ジエ/黄覚 シルヴィア・チャン


ミッドサマー

2020-03-17 08:40:02 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
まったく闇がない。清らかで、お花が咲き誇り、夜はこない。
まぶしく輝く白日の世界がこんなにも怖いなんて。


スウェーデンの夏至祭を訪れる5人の若者たち。ダニーは家族を失ったばかりで情緒不安定、BFのクリスチャンはなんでも弱腰の優柔不断、マークはsexとdrugしか興味がない自己チュー男、ジョシュは学士論文にとにかく必死、そして招待したペレは裏に何かを隠している…。 
車の宙ぶらりんから、幻想空間へのプロローグだ。祝祭や民族衣装、花飾り、伝統行事、館の壁絵、そのどれもが美しすぎて、まぶしすぎるのだった。最後に、ピュアな世界を守るためにダニーが選ぶのは?

監督・脚本:Ari Aster  アメリカ/スウェーデン

おまけ😉 あの時に生コーラス、なんて恍惚感最上級に違いない。
壁絵のアートを全部じっくり眺めてみたい。↑ webデザインも素敵だ。
この映画は後のち多くの人が何度も見たくなる作品になるだろう、間違いない。

夕霧花園

2020-03-13 12:00:00 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
舞台は鮮やか緑の紅茶畑が美しいキャメロン高原。台湾のトム・リン監督、第二次大戦直後のマレーシアにて、ミステリアスな庭師を阿部寛(日本)、妹への贖罪のため日本庭園を造ろうとする姉を李心潔(マレーシア)が扮する。 #oaff

ちょうど2020年マレーシア政変と被り、日本統治時代、イギリス領時代、そしてマラヤ連邦独立へ、と時代に翻弄されながらもたくましく生き抜く女性を李心潔:リーシンチェが好演。高原の別荘地ではアフタヌーンティーが開かれ、英国人が優雅に暮らす前半。何度も写される緑の丘陵...一説には日本の茶畑を真似て紅茶畑を設計したとか...数十年後の高原では、老いた英国人もマレーシア人も珈琲を飲み、良き時代が去ったことを告げていた。そして終盤、夕霧庭園にこだわりつづけた庭師の意図が解かされるのだった。
慰安婦の描写については許せない人もいるだろうが、個人的には生々しくなく幻想的であり必要なシーンと思う。

夕霧花園: the Garden
2020年 マレーシア/イギリス


花椒の味、フォーの味。

2020-03-10 10:47:37 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
食いしん坊の私、選んだ二本「〜の味」をつづけて鑑賞。 #大阪アジアン映画祭2020 

文化とは、言葉とごはんに集約されるものだ。

ベトナム出身の父と娘の、シングルファーザー物語。勤勉かつ娘想いだが、望郷断ちがたい父と、母不在の寂しさを父に抗う少女。故郷から守り続けてきたフォーの味...どこにいてもどんな境遇でも自分は自分...と父は淡々とその所作で静かに語らせる、いい話だった。


シビレる香辛料・花椒、その辛味と旨味に惹かれる様に、母違いの三姉妹がお互いに魅かれあい助け合い、家族関係を見つめ直す物語。父秘伝「火鍋」のレシピの隠し味は? 一年後の中秋節に再会し、レストラン継続は? 答えは三者三様のこころに有った。
 俳優陣はAndy Law、Richie Renほか歌の上手い芸達者ばかりだ。花椒みたいにお腹がじんわり温かくな一本だった。


ふたりのJTリロイ

2020-02-25 08:04:07 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
友人に誘われてJTリロイを観た,ダイアン・クルーガー出演と実話がベース程度の予備知識だけで。それにしても邦題ポスターとタイトルが野暮ったい。”ベストセラー作家の裏の裏” ”操り人形の目覚め”だって。ハリウッドをだました衝撃的な実話ならほかにもっとできたと思うが…

オリジナル版ではJTリロイがすでに有名なためか余計な説明なくシンプルだ。

ローラのキャラ立ちが凄すぎるうえ内容ももっと深くできたはず,と消化不良のままだったが,作家側(ローラ)の視点から描いたドキュメンタリーが先に公開されてた、と知る。邦題サブの”裏の裏”というコピーは先に”元・裏”ありきだったのか。本歌に対する返歌的なもの。しかも本作は操られ側サヴァンナの自伝が原作脚本だった。だからラストシーンの二人の再会はにおわせてたのか、なるほどね。 

参考「作家、本当のJTリロイ」 
前作予告編動画→ https://youtu.be/d9__ftWpaIg