クロムの備忘録的ダイアリー

定年後の日々の楽しみや関心事、具体的には写真、カメラ、観る将あるいは投資の話題などを綴っていきます。

王位戦記念扇子が到着

2020年09月15日 18時54分57秒 | 将棋

第61期王位戦七番勝負王位戦は4連勝に藤井棋聖のタイトル奪取となりました。
対局時はNETで観戦しておりましたが、紙一重の勝負が多かったように思います。
第4局終了後しばらく経ちますが、先日申し込んでいた記念扇子が届きました。
棋士の扇子を買うのは久しぶりです。これまではほとんど買ったことはありませんが今回は記念に買ってみました。これからは藤井2冠もこういった書を書く機会が増えるでしょうね。


ついでに机の奥から年代物の扇子が出てきたので、それも写真に撮ってみました。
一つは「3月のライオン」の将棋監修者の先崎九段が30年前にNHK杯で優勝した時の記念扇子です。
まだ段位が五段ですね。


最後は学生の時に連盟で買った加藤九段の物です。おそらく40年程前の物です。その頃は加藤九段はまだバリバリのA級棋士で将来ひふみんなどという愛称で呼ばれるお茶の間に人気者になるとは予想もできませんでした。


棋聖戦5番勝負第2局

2020年06月29日 17時21分40秒 | 将棋

久しぶりの将棋ネタです。
最近の藤井7段の活躍は凄まじいものがあります。
棋士の強さを示すレーティングは既に1位を示していますが、ここのところの活躍はそれを如実に示していると言えそうです。
さてそんな藤井7段ですが、昨日(6/28)行われた棋聖戦第2局は異次元の強さを示しました。
対局相手の渡辺三冠は豊島名人竜王とともに現役最強の一角なのですが、敗局後の当人のブロクにも
「いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした。」と書かれています。プロのこのクラスの人が敗着不明というのはめったに無いことなのは間違い有りません。

さてNETの将棋界隈の各所で以下の2つの局面が取り上げられています。
一つは上記42手目の金の上に出る54金。この手は指しづらい手ですが研究手なのは間違いないでしょう。
とはいえこの手で有利になったわけではなく互角の形勢です。

次が問題の58手目31銀。
この手について渡辺三冠は「受け一方の手なので、他の手が上手くいかないから選んだ手なんだろうというのが第一感でした。」と感じたようです。しかしさらに読みを進めると形勢は悪そう、という結論になったそうです。
また解説や立ち会いの複数プロ棋士にも読みになく当初は評判も良いとは言えなかったようです。
また現在最強の将棋ソフト水匠でも6億手読んで初めて最善と判定されるそうです。読みが4億手では候補にも現れないそうです。
そんなことがあるのかと思い急遽水匠2をインストールし、検証したところ確かにそのとおりでした。
ただしその後30億手まで読ませたのですが、31銀は次善手でした。最善は32金です。
32金寄りは藤井7段自身は読んでおり、激しい戦いになり自信が持てなかったそうです。

実戦のその後の経過は、先手79玉と早逃げした手に対し、藤井7段が一方的に攻める展開になり、そのまま寄せ切ってしまいました。渡辺三冠の悪いながらも持ち時間の切迫を考慮すると、早逃げしてひと勝負という目論見は実現しませんでした。ちょっと信じられないような結末です。

NET TVで藤井7段の感想戦を見ていると殆どの場合相手より多くの局面を深く読んでいます。
おそらくその読みの速度が強さの源泉なのでしょう。
人間はすべての局面を読むのは不可能なので大局観で有望そうな手を選んで比較検討します。
藤井7段も基本は同じなのでしょうが、読みの速度が圧倒的に速い(齋藤八段によると3倍)そうなので、
他の棋士が捨てた手からも最善手を導き出せることになります。
もしも本当に読みの速度が3倍も早いのであれば本質的な差なので他の棋士は対抗するのがなかなか困難かと思います。

7/1から王位戦7番勝負が始まります。王位戦は二日制で持ち時間が8時間と長いのが特徴です。
羽生九段は王座戦のようにどちらかというと持ち時間の短い棋戦が滅法強い反面、一説によると持ち時間が増えても強さが変わらないと言われていました。
藤井7段は2日制のタイトル戦でどのような戦いを見せてくれるでしょうか。非常に楽しみな一戦がもうすぐ始まります。


竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局

2019年08月24日 10時44分47秒 | 将棋
現在豊島名人・王位と木村九段の間で通称10番勝負が行われています。
10番勝負というのは同時並行で行われている王位戦7番勝負と竜王戦挑戦者決定3番勝負を合わせたものです。
つい先日行われた王位戦第4局は木村九段が勝ち2-2のタイになりました。

木村九段というのは将棋に興味のない人は知らないでしょうが、解説などでの話術が巧みでファンでの間では人気が高いです。年齢は46で羽生九段より若干若いです。これまでタイトル戦には今回の王位戦を含め7回も登場しているのですが、奪取したことはなく不運の棋士と言えるかもしれません。
棋士は40代後半になると棋力が衰えると言われており、木村九段はその意味でタイトル挑戦の最後のチャンスになるかもしれず、気合が入っているのは間違いないところです。
この対局は私もNET中継で観戦していました。序盤は例によって豊島名人が事前研究の範囲は超特急で飛ばしていき、微差ですがリードを奪ったようでした。その後も着実にリードを広げ、解説の棋士なども豊島勝勢という判断を下すようになりました。


劣勢の木村九段は玉が不安定ながら勝負手を放ち、角を切って7九飛車と王手を掛けた場面が問題の画面でした。解説の棋士は6九金または4八玉で先手勝勢ということでしたが、豊島名人は6九角と受けました。
しかしどうもこの手が悪手だったようで、ソフト評価値も突然後手に振れて以後20手ばかりで木村九段の逆転勝ちとなりました。
これで王位戦に続き、挑戦者決定戦もタイになり10番勝負は6局消化し3-3の好勝負となっています。
個人的にはまだ若い豊島名人はまだまだチャンスが大いにあると思うので、木村九段にはこのへんでタイトルを奪取してほしいと思います。

王位戦NET観戦

2019年08月21日 16時56分38秒 | 将棋
将棋ファンにとって今は非常に良い時代になったと実感しています。
今日も王位戦第4局をネット観戦していますが、数年前までは主催新聞の記事、または月刊誌の記事を待たねばならなかった。もちろん雑誌で取り上げられる対局は少ないのでほとんどの対局内容は知ることはできませんでした。
それがこうして多くの対局をプロ棋士の解説付きで生で見られるのは非常にありがたい。
さらに現在は将棋ソフトでかなり正確な形勢判断も出来るので形勢の傾いた手も瞬時に分かるという素晴らしい時代になったと思う。
最近は「観る将」という観戦のみのファンも大勢いるそうです。実は私自身も実戦はもう10年以上指していないので観る将の一人と言えそうである。
ところで観る将にとっての懸案は、今の将棋ブームがいつまで続くか?ということである。
これまでも将棋ブームというのは何回かあったのですが、あまり長続きはしませんでした。人気が下火になればNET中継も行われなくなるでしょう。とはいえいずれはそうなるにしても藤井七段人気が続くうちは大丈夫でしょうから、あと数年は心配なさそうです。
さらに将棋連盟も新聞社以外のスポンサーも開拓しているので、私の心配も杞憂に終わるのかもしれませんね。

銀捨ての妙手

2019年03月29日 17時01分02秒 | 将棋
先日の竜王戦第4組ランキング戦の中田浩樹八段対藤井聡太七段戦での藤井七段の
62銀のただ捨てが大妙手だと話題になっています。私もNET中継でずっと見ていたのですが、
解説者がこの銀を取るのは怖いので24金と打ちたいと言っていました。
比較的発見しやすい24金で詰めろが続くなら62銀の意味はあまりないわけです。
ところが中田八段は62銀を取ってしまったので詰まされてしまいました。

この流れだと62銀はそれほどの妙手だとは思えなかったのですが、その後さらに情報を
集めると、24金は45銀で負けになるようです。従って中田八段は24金に気づいたけど
それだと負けになるし、他に勝ち手順が見つけられなかったので仕方なしに62銀を取った
わけです。ここでの唯一の正解はかなり見つけにくい34桂だそうです。34桂に対しては
35角と攻防に打つのが有力で1分将棋では正解を続けるのは困難だったでしょう。
というわけで62銀は当初思っていたよりずっと複雑な変化を含んでいた勝負手で、1分将棋
で変化を読み切っていた藤井七段は見事だったと言えるでしょう。
なお62銀、同龍以下の17手の詰手順は68龍から入る駒が一枚も余らず余詰もないという
実戦型詰将棋としては見事なものです。

さてこの銀捨ての妙手というの歴史上いくつかあって有名なものではNHK杯で羽生五段(当時)が
加藤九段に指した52銀があげられます。これはTVで生で観戦していて解説の米長九段の
「おぉ、いったー」との叫びを良く覚えています。
NHKの影響は大きいので銀捨ての妙手だと将棋ファンの間では一番に候補に上がりそうです。

内容の見事さでは中原-米長の名人戦で中原の指された57銀が白眉でしょう。通称中原の
5七銀として歴代妙手ランキングがあればチャンピオン候補でしょう。
これは名人戦という舞台で指された寄せを遅らせる手筋ですが、舞台、難解さ、意外性と
揃った大妙手ですね。私はこの手はもちろん生で見ることはなかったのですが、雑誌の解説
記事で知った時は将棋の奥深さに感動したものです。

藤井七段の今年度の妙手は77龍というのもありました。今後歴史に残ると妙手ということ
ではもっと大きな舞台で見たいものだと思います。なかなか相手もあることなので難しい
ことですが、そう遠くない将来に実現しそうな気もしています。