クロムの備忘録的ダイアリー

定年後の日々の楽しみや関心事、具体的には写真、カメラ、観る将あるいは投資の話題などを綴っていきます。

朝日杯決勝

2019年02月17日 19時25分29秒 | 将棋
将棋の朝日杯は藤井七段の優勝、去年に引き続いての連覇で幕を閉じました。
私もNET中継を見ていたのですが、準決勝、決勝と後手番ながら危なげなく勝ったように見えました。
特に決勝の相手、渡辺棋王は今年度絶好調で現時点で最強の棋士と言っても差し支えないでしょう。
どのくらい好調かというと今年度勝率8割超え、15連勝達成、同時並行のタイトル戦も棋王戦は2連勝、王将戦は3連勝と相手をカド番に追い込んでいます。レーティングもトップです。
渡辺棋王は先手番では精緻な事前研究で有利に立つことがほとんどで、実際本人のブログを見ると決勝では藤井七段を想定してかなりの準備をしていたことが伺えます。
二人の得意戦法は角換わりですが決勝では先手番の渡辺棋王が雁木に誘導しました。多分藤井七段は雁木を想定していなかったので事前研究はなかったはずですが、スキを見せず互角の立ち上がりから小さなミスを咎めて有利に立ちました。
その後は厳密にいうと一手スキがあったようですが、渡辺棋王はその手に気づかず完勝でした。最後も冒頭の図のように龍捨ての華麗な決め手を放ち寄せきりました。
前述のブロクですが、事前研究の差で先手が有利に立てるはずがそうならなかった、というのは棋王にとってもかなりの驚きだったようです。
藤井七段はこれで今年度38勝7敗、年間最高勝率更新に望みを繋ぎました。
今後は屋敷九段の最年少タイトルの更新に注目が集まるかと思いますが、個人的にはタイトルは順位戦のクラスがA級またはB1になってからでも良いと思います。
いずれにしても今後もますます期待が高まる棋士であるのは間違いないですね。


AlphaZeroは将棋の戦型を狭めてしまうのか?

2019年01月07日 21時06分34秒 | 将棋
最近はAIソフトウェアの急速な発達がプロ棋士にも大きな影響を与えています。
御存知の通り将棋の戦型には大別して相居飛車、居飛車対振飛車対抗型、相振り飛車とあります。
アマチュアや女流棋士は対抗型が多いですが、男性プロ棋士は相居飛車がほとんどです。
コンピュータ将棋もほとんだ相居飛車です。何故かと言うと飛車を振るとそれだけで形勢を示す数値が200点位下がってしまうので振飛車を選ぶことはほとんどありません。
前置きはこのくらいにして去年googleが突然発表した将棋ソフトAlphaZeroは当時の最強ソフトelmoに90-10と実に勝率9割を達成したことで将棋ソフト開発コミュニティーを中心に震撼が走りました。それから1年、先月100局の棋譜が公開されました。それによると初手と戦型は次のとおりです。
AlphaZero 対 elmo
先手AlphaZero (全50局)
 初手 2六歩 33局、7八金 17局
 戦型 相掛り 33局、横歩取り 17局

 横歩取りに関しては後手3三角、先手5八玉の青野流です(勇気流はゼロ)

先手elmo (全50局)
 初手 7六歩 50局
 戦型 角換り 46局、雁木 2局、矢倉 1局、その他 1局

elmoが勝ったのは10局。先手番では9勝41敗(角換りで9勝)。後手番では横歩取りで1勝のみ。

特徴的なのはAlphaZeroは先手番の時2六歩と7八金しか指しません。逆にいうと7六歩は選ばないということです。ニコニコ生放送で千田六段の解説によると学習の初期には選んでいたそうですが、段々と自己対戦での勝率が悪いことが分かってきて指さなくなってきたそうです。
将棋の初手2大選択肢の一つ7六歩を選ばないというのは不思議ですが、2六歩から歩を交換するのが大きいと判断しているのではないか、というのが千田六段の解説でした。

と、ここまでのところをまとめるとAlphaZeroは非常に強い、初手の選択肢や戦型の幅はかなり狭いということが言えるかと思います。AlphaZeroが正しいとすると将棋の最善手順というのは意外と選択肢が狭いのかもしれませんね。なお棋譜が公開されてことで、既にプロ棋士の指し手に影響が現れているそうです。

追伸
 コンピュータ将棋の進歩はまだまだ衰えておらず、最近の最強ソフトはelmoに9割近く勝てるそうです。
つまりAlphaZeroに追いついた可能性が出てきたそうです。そうなると現時点の最強ソフトとAlphaZeroの対戦も見てみたいものです。


藤井七段とAMD

2018年12月02日 14時38分59秒 | 将棋
昨日は藤井七段の解説者デビューでした。
対局は叡王戦本戦の羽生竜王対菅井七段戦、解説は山崎八段、藤井七段、聞き手は貞升女流でした。
藤井七段は解説は無難にこなし、指し手予想も結構当たていました。
個人的に注目したのはパソコンの件で、確かデビューしたての頃は家族と共用のパソコンを使用していたと思いますが、専用パソコンを買ったようでそのCPUがAMDのRyzen 1800Xだそうです。
Ryzenは久しぶりにAMDがintelに真っ向勝負が狙えるCPUとして出したものです。特にマルチスレッド性能が優れていますので、将棋ソフトには向いているのかもしれません。
このRyzen 1800Xも高性能なCPUですが、藤井七段からはさらに高性能なRyzen Threadripperにしておきたかったとの発言があり、来年買うならThreadripperまたは次世代のZen2を購入したいそうです。これらのことから藤井七段はかなりマニアックなPCファンのようです。
(注:Ryzen Threadripperは12~32というコア数を誇る怪物COUです)
これを聞いてAMDは藤井七段のパソコンサポートをしたらどうかな、と思いました。かなりのCM効果が見込めそうに思います。


竜王戦第4局

2018年11月25日 20時38分05秒 | 将棋
羽生竜王にとってタイトル獲得100期がかかった今期竜王戦です。序盤から局面をリード、拡大してかなり勝ちやすい局面まで持っていったのですが、寄せで間違えて逆転負けでした。


ちょっとソフトで検討させてみたのですが図の局面、先手56歩に対しては28飛車と分かりやすい手順で行くのが良かったように思います。実戦の62金と角を取るのも悪手ではないようですが、その後86桂から玉を上部に追っていく寄せ方は時間のない中では勝ちにくい指し方ではなかったでしょうか。その後は悪手を連発し逆転されてしまいましたから。
羽生竜王も48歳で年齢的に終盤が衰えているようです。昔中原16世名人が「45歳くらいから頭の中の将棋盤が暗くなった」と言った現象が起きているように感じます。
なんとか100期は達成してほしいですが、簡単にはいかせてもらえないようです。広瀬八段は終盤最強の棋士の一人で現在絶好調ですからね。





C1順位戦、増田6段-藤井7段戦

2018年11月20日 20時35分15秒 | 将棋

今日は将棋順位戦C級1組、増田6段対藤井7段戦が行われました。結果は藤井7段の勝ち。
対局は若手の実力者同士ということで注目していましたが先手の増田6段が棋士になって初めて振飛車を指しました。対局は将棋ソフトで解析してみるとずっと互角だったのですが、図の一手前に指された62歩の垂らしがやや疑問で、直後の藤井7段の65桂が好手で形勢が傾いたようです。62歩に代えて52歩ならば互角のままだったようです。最後は増田6段の見落としを咎めて飛車のただ捨てで鮮やかに決めました。これで今期もここまでは全勝をキープしました。このあとは次の次の近藤誠也五段戦が昇級の山場になるかと思います。藤井7段は順位が下なので1敗すると頭ハネで昇級を逃すことも考えられるので今後も頑張って欲しいものです。


将棋界の仕組みをご存知ない方に簡単に説明すると、将棋棋士は上からA、B1、B2、C1、C2の5クラスに所属し、1年かけて順位戦を戦い、各クラスの成績上位者2、3名が上のクラスに昇級する。最上位のA級の優勝者は名人位の挑戦者になる。順位戦が重要なのは名人への挑戦を争うだけでなく、サラリーマンの基本給に相当する部分が決まるからです。大雑把に対局料や年収などもA級を1とするとすぐ下のB1は0.7、B2はB1の0.7倍になるそうです。そんなわけですのが順位戦は棋士に取って重要な棋戦です。