クロムの備忘録的ダイアリー

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棋聖戦5番勝負第2局

2020年06月29日 17時21分40秒 | 将棋

久しぶりの将棋ネタです。
最近の藤井7段の活躍は凄まじいものがあります。
棋士の強さを示すレーティングは既に1位を示していますが、ここのところの活躍はそれを如実に示していると言えそうです。
さてそんな藤井7段ですが、昨日(6/28)行われた棋聖戦第2局は異次元の強さを示しました。
対局相手の渡辺三冠は豊島名人竜王とともに現役最強の一角なのですが、敗局後の当人のブロクにも
「いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした。」と書かれています。プロのこのクラスの人が敗着不明というのはめったに無いことなのは間違い有りません。

さてNETの将棋界隈の各所で以下の2つの局面が取り上げられています。
一つは上記42手目の金の上に出る54金。この手は指しづらい手ですが研究手なのは間違いないでしょう。
とはいえこの手で有利になったわけではなく互角の形勢です。

次が問題の58手目31銀。
この手について渡辺三冠は「受け一方の手なので、他の手が上手くいかないから選んだ手なんだろうというのが第一感でした。」と感じたようです。しかしさらに読みを進めると形勢は悪そう、という結論になったそうです。
また解説や立ち会いの複数プロ棋士にも読みになく当初は評判も良いとは言えなかったようです。
また現在最強の将棋ソフト水匠でも6億手読んで初めて最善と判定されるそうです。読みが4億手では候補にも現れないそうです。
そんなことがあるのかと思い急遽水匠2をインストールし、検証したところ確かにそのとおりでした。
ただしその後30億手まで読ませたのですが、31銀は次善手でした。最善は32金です。
32金寄りは藤井7段自身は読んでおり、激しい戦いになり自信が持てなかったそうです。

実戦のその後の経過は、先手79玉と早逃げした手に対し、藤井7段が一方的に攻める展開になり、そのまま寄せ切ってしまいました。渡辺三冠の悪いながらも持ち時間の切迫を考慮すると、早逃げしてひと勝負という目論見は実現しませんでした。ちょっと信じられないような結末です。

NET TVで藤井7段の感想戦を見ていると殆どの場合相手より多くの局面を深く読んでいます。
おそらくその読みの速度が強さの源泉なのでしょう。
人間はすべての局面を読むのは不可能なので大局観で有望そうな手を選んで比較検討します。
藤井7段も基本は同じなのでしょうが、読みの速度が圧倒的に速い(齋藤八段によると3倍)そうなので、
他の棋士が捨てた手からも最善手を導き出せることになります。
もしも本当に読みの速度が3倍も早いのであれば本質的な差なので他の棋士は対抗するのがなかなか困難かと思います。

7/1から王位戦7番勝負が始まります。王位戦は二日制で持ち時間が8時間と長いのが特徴です。
羽生九段は王座戦のようにどちらかというと持ち時間の短い棋戦が滅法強い反面、一説によると持ち時間が増えても強さが変わらないと言われていました。
藤井7段は2日制のタイトル戦でどのような戦いを見せてくれるでしょうか。非常に楽しみな一戦がもうすぐ始まります。


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