「これまでで最も変異しやすい変異株」南アで確認、アジアなどに拡散
南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認され、調査が進められている。
現時点では南アフリカでも感染例のごく一部にとどまっているものの、研究者らはこの変異株の変異しやすさに懸念を示している。 南アフリカ国立伝染病研究所(NICD)とクワズールー・ナタール研究イノベーション・シーケンシング・プラットフォーム(KRISP)が8月に発表した査読前の論文によると、「C.1.2」と呼ばれるこの変異株は、南アフリカで昨年5月半ばに起きた感染拡大の第1波で大半を占めた「C.1」から派生し、北東部のムプマランガ州とハウテン州で今年5月に検出された。 以後、C.1.2は南アフリカの大半の州のほか、アフリカや欧州、アジア、オセアニアの一部の国にも広がっている。
南アフリカの感染例に占める割合は6月に1%、7月に3%にとどまっているが、割合は高まってきている。 研究チームがこの変異株について懸念している点は、変異の急速さだ。
C.1.2は武漢で見つかったウイルスから44~59回の変異を繰り返しており、これまでに世界保健機関(WHO)が「注目すべき変異株(VOI)」や「懸念すべき変異株(VOC)」に挙げているどの変異株よりも頻繁に変異している。
今のところC.1.2はVOIにもVOCにも認定されていない。 研究チームによると、C.1.2の変異には、ほかの変異株で感染力を高めたり、抗体が効きにくくなったりする性質に関係している変異も多く含まれているという。
論文の執筆者のひとりである感染症の専門家、リチャード・レッセルズはロイター通信の取材に、C.1.2はデルタ株よりも免疫回避力が高い可能性があると指摘している。
ただ、現時点ではまだ詳しく調べている段階だとも述べている。 レッセルズはC.1.2について、ワクチンに対する反応なども不明なほか、今後、より変異しやすい変異株が出現することも予想されるとして、過度に心配する必要はないとも言及している。
変異株のなかには新たな感染拡大をもたらしたものがあり、米国などでは感染力が強いデルタ株によって感染者数や入院者数、死者数が急増している。
南アフリカでは、ペルーで最初に確認されたラムダ株が急速に広まりつつある。ラムダ株にはワクチンの中和抗体が効きにくくなる変異があり、懸念を招いている。
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