アスパラにはオスメスがある 性転換もできるかも…北大が発見
今の季節に旬を迎えるアスパラガス。輸入ものが出回っているので昔と比べると通年で見かけるが、やはり最も美味しくいただけるのは、春から初夏にかけて露地栽培されたもの。国内で流通しているアスパラガスは、4〜5月は本州産、6月に入ると北海道産が増えるが、一番出回るのは、まさにこれから。
ビタミン類が多く、名前の由来となったアスパラギン酸というアミノ酸には疲労回復や利尿作用が期待されることから、積極的に摂取したいが、アスパラガスにはオスとメスの区別があることはあまり知られていない。
とはいえ、市場に出回っているもののほとんどは、収穫本数が多いオスなので、メスのアスパラガスを食べたことがある人は農家くらい。その見分け方は、オスは茎が細くて小さいのに比べて、メスは収穫本数が少ないぶん、茎が太くて栄養に富むと言われている。
見た目だけで判断するのは難しく、最終的には遺伝子レベルの解析が頼りだ。国内では東北大学や茨城大学などが判別技術を開発しているものの、アスパラガスの雌雄を決める遺伝子の実体は謎だった。
そうしたなか、北海道大学大学院の津釜大侑(つがまだいすけ)助教らのグループは、オスにだけ存在する性を決定する遺伝子の候補を発見した。
研究グループによると、アスパラガスは開花までに1年以上かかり、受粉すると雌花には種子ができて、雄花は退化する。食用アスパラガスとして収穫されるのは、3年以上育てられた親株から発生した若い茎なので、種子ができるのは歓迎されず、このため、必然的にオスばかり作られることになるのだ。
今回発見された遺伝子「AoMY35」は、雄しべの成長に欠かせない遺伝子で、雌花の雄しべが退化しているのは、この遺伝子が存在しないからだという。今回の発見で、遺伝子解析が進むと、人工的に遺伝子を操作することで、アスパラガスの性を転換する栽培技術につながると期待されている。