東京都の舛添要一知事(67)が、完全に居直っている。3日午後、4度目の釈明会見に臨んだが、個別の疑惑には答えず、「今後は疑義を呈しないようにしたい」と繰り返したのだ。都民も都議会も「舛添ノー」では一致しているが、問題知事が続いただけに、後任の人選は難航必至だ。こうしたなか、今月中の退任が決まった総務省の桜井俊事務次官(62)に期待する声が浮上した。桜井氏は、人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔の父としても知られる。

 「知名度だけのタレント知事はこりごりだ。2020年東京五輪を見据えて、能力と安定感のあるリーダーを迎えるべきだ。キャリア官僚として頂点を極めた桜井氏なら適任ではないか」

 都庁関係者はこう語る。都議会関係者も「その人選はすごい。首都のために決断してほしい」とうなった。

 桜井氏は、東京大学法学部を卒業後、1977年に旧郵政省入省。総務省総合通信基盤局長や情報通信国際戦略局長などを歴任し、情報通信分野で辣腕(らつわん)をふるってきた。昨年7月、事務次官に就任した。

 その人柄について、「政策提案型の官僚で、バランス感覚に優れている。自分には厳しいが、他人とは柔軟に接する。上司に信頼され、部下の人望も厚い」(総務省関係者)という。

 政府は3日、桜井氏を退任させ、後任に佐藤文俊総務審議官を充てる人事を固めたが、絶妙のタイミングといえる。

 「政治とカネ」の疑惑を抱え、世論調査で約8割が「辞職すべき」と見放された舛添氏だが、3日の会見では汗ひとつかかず、1時間15分の記者会見をこなすなど、強心臓ぶりを披露している。

 背景には「ポスト舛添」の不在がある。閣僚経験者や女性キャスター、元県知事など、さまざまな名前が取り沙汰されているが「帯に短しタスキに長し」なのだ。

 こうしたなか、「桜井氏待望論」が噴出した。現実的にどうなのか。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「タレント候補ではなく、能力と安定感があり、後始末ができる人物がいい。桜井氏が出馬したら『櫻井君のパパ』というだけで当選しそうだ。事務次官は『政府寄り』のイメージがあるが、『都民のため』という意識で働いてくれればいい」と語る。

 政治評論家の小林吉弥氏も「面白い人選だ。かつて内務官僚や官房副長官を経て都知事を務めた鈴木俊一氏を思い出す。派手さはないが、安定した都政運営だった。事務次官は、能力や人望、上司や政治家との関係など、総合的にみて上質な人物が就く。桜井氏なら技量的に十分都知事をこなせるはずだ。自民党が担げば当選するのではないか」と語っている。